古田会計事務所

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今週の考える言葉「先義後利」

考える言葉

先義後利

   “先義後利”という四字熟語がある。出典は、『孟子』(梁恵王・上)である。
 
   「義」とは人として当然あるべき道の意、「利」とは利益のこと。「道義を優先させ、利益を後回しにする」という意味である。
 
   大丸百貨店の創業者である下村彦右衛門(1688~1748、江戸時代中期の商人)は、論語を商いの根本精神として、「顧客第一主義に徹すれば、利益は自らついてくる」という考えで、”先義後利”を大丸の店是に定めたという。
 
   バブル経済が崩壊して、すでに四半世紀が経つが、未だに日本の中小企業はその7割近くが赤字経営に苦しんでいるという。中小企業にとって、目先の利潤さえ追えば、結果が出ていた都合のいい経営環境など、もう二度と期待できないであろう。
 
   人口減少やグローバル化などの浸透を考慮して、これからの経済環境を洞察したとき、これからの中小企業にとって、大きく、次の四つの経営課題が浮き彫りにされてくるに相違ない。
 
   ① 人材の確保と育成・定着
   ② リスクに強い財務体質の構築
   ③ グローバル化への対応
   ④ 自己革新へのあくなき挑戦
 
   しかし、これらの経営課題は小手先のテクニックで乗り越えられるものではない。小生のコンサル経験からも言えるが、赤字企業を一時的に黒字化することは、さほど難しいことではない。しかし、ずっと黒字を出し続ける企業体質となると別問題である。
 
   やはり、前回の”考える言葉”シリーズでも触れたように、「企業の目的とは何か?」を問うところから始める必要があるし、企業の長期的な業績は、経営者の人間性や生き方の反映である。自らの経営者としての価値観を問い直し、確立させるところから始めなければならないだろう。
 
   その意味において、”先義後利”の考え方は、他への貢献を旨とする仕事の本質を捉えた考え方である。多くの中小企業が、利益を出せなくて困っている。そんな時こそ、大義のもとに自社の経営資源の再構築をし、経営基盤を固めることから着手すべきではないだろうか・・・。
 
   バブル期の反省から、顧客第一主義だとか、マーケットインの発想などがさかんに叫ばれているが、孟子が”先義後利”を説いたのは実に紀元前の話である。また、大丸の店是は江戸の中期に定められたという。
 
   何事も本質を捉え、概念化された言葉は、いつの時代においても力強いものだ。
 

今週の考える言葉「有意注意」

考える言葉

有意注意

   先週末(21~22 日)、『IG後継者育成塾(第5 期⑥)in福岡』を終えたばかりである。今回のメイン講師は、『日本で一番大切にしたい会社』シリーズの著者である坂本光司教授(法政大大学院)である。
 
   同教授には、毎期一単元をお願いしているが、いつも熱いメッセージを語って頂き、あっという間に3 時間が経ってしまう・・・。長年に亘り、自ら現地に足を運び、さまざまな経営者や従業員の生の声を取材されてきた、まさに三現主義に徹した中小企業研
究者である。語る言葉に説得力があり、つい聴き入ってしまう。
 
   塾生(=後継者)に問うように語り続ける。
 
   「経営の目的とは何か・・・・・?」「経営の目的は、その企業に関わるすべての人々を幸せにすることである」「そのためには、その人々が『自分たちは大切にされている』と実感する経営を行うことだ」と、 自らの信条を語ることから始める。「経営の目的に沿って、正しく考え、正しく経営すれば、成果はあとからついてくるのは当然である」と、言い切る。
 
   企業の長期的な業績は、経営者の人間性や生き方の反映である。そのような経営者の価値観とは何だろうか・・・?
 
   「最大のポイントは、利他の心をベースにして自律心を養うことだ」と・・・。坂本先生の経営哲学には、ブレがない。全く、同感である。
 
   “有意注意”という言葉がある。「意をもって、意を注ぐ・・・。つまり、目的をもって真剣に意識や神経を対象に集中させること」を意味する。恐らく、坂本先生はつねに“有意注意”をもって、自らの仕事や人生を積み上げてこられたのであろう。中小企業経営者にとって大切な言葉一つひとつに対する概念化が実に凄い。
 
   「人生は心一つの置き所」という言葉を残された中村天風先生は、“有意注意”について次のように述べている。
 
   “有意注意”(=粘り強い注意)とは、「精神統一」を実現するための手段である。そのためには、次のような方法において“有意注意”力を訓練し、習慣化する必要があるという。
 
   ① 何事に対しても、興味・関心をもって取り組むこと
   ② 諸事万事、真剣な気分で行うこと
 
   “有意注意”が習慣化され、完全に精神統一が実現した暁には、一切を一時に我が注意の圏内に取り込むことができるようになり、聖徳太子のような振る舞いができるようになるという。“有意注意”、雑念妄念に苦しむ小生にとって、光明である。
 

今週の考える言葉「魅力」

考える言葉

魅力

   ある経営コンサルタントが、「自己満足ではダメ!顧客にとっての“魅力”ある商品やサービスでなければ・・・。そのためには、あなたの会社の商品を買ってくれている顧客に直接聞くことが大事です」と述べていた。
 
   確かに、その通りだと思う。自分に好意を寄せてくれている異性に、「私の何が“魅力”なの?」と聞くと、意外な答えが返ってくることが多いのではなかろうか。
 
   “魅力”という言葉を辞書で引くと、「人の心をひきつけて夢中にさせる力」とある。人はもちろん、“魅力”の対象となるものはすべて、その人(対象)の中に人の心をひきつける何かを持っているのである。
 
   だが、自分自身の“魅力”を自分で正しく認識できている人は、意外と少ないのではないだろうか?なぜなら、“魅力”とは、その人(対象)に対して、相手が感じるものだからであろう。
 
   お店で買い物をしたりすると、アンケートの記入を頼まれることがある。「なぜ当店を利用されているのですか?その“魅力”をお聞かせください」などは、非常にいい試みだと思う。(その結果をフィードバックできれば、の話であるが・・・)
 
   IGグループも上半期の合宿を終えたところである。後半戦を戦い抜くためにも、自社あるいは自らの“魅力”(=強み)を再確認してもらうためにも、各自に次の内容でレポートを提出してもらうように指示を出した。
 
   (自分の“魅力”を知るための質問)
 
   ① 今までに最も高い評価を受けた仕事は何か?
   ② それはこれからも高い評価を受けられそうか?
   ③ なぜ、そう思うのか?
   ④ 評価をさらに高めるために、どのような要素を追加すべきか?
   ⑤ それを習得す方法は?実際に習得するには何が必要か?
 
   自らの仕事を通して、顧客満足をつくりだしている真の“魅力”とは何か?自分だけに止まらず、自分を支えてくれている組織やネットワークまでに広げて、顧客に喜んでもらえる“魅力”を自覚し、多くの人々に知って頂き、そして“魅せる化”する働きかけも大切なことだ。
 
   “魅力”を強みとして活かし、選択と集中を行えば、生産性の向上につながり、“魅力”をさらに強化する未来投資も可能になってくるであろう。二極分化が進む時代環境である。自己満足に陥らず、つねに顧客とのコミュニケーションを心がけて、魅力づくりに励みたいと考える。
 

今週の考える言葉「連携」

考える言葉

連携

   かつて、「自前主義を貫く!」いう考え方が流行った時期があったが、最近はあまり耳にしなくなった・・・。
 
   自社の資源と技術だけで何でもやろうとする考え方だ。自前主義には、その組織や人なりのこだわりがあって、いい面もたくさんあったのだろうと思われるが、環境への適応力(変化のスピード、競争の高度化や多様性など)を考えると、自前で何でも対応する時代は終わったのだろう。
 
   最近、よく言われるのは”連携”である。小生は、ネットワークと呼び、より幅広い関係性を模索している。
 
   “連携”とは、同じ目的を持つ者同士が協力し合って行動することである。外部の力も活用して、より効果的に、大きな成果を得ようとする考え方だ。資源のムダも省けるだろうし、大賛成だ。
 
   IG会計グループの行動指針の一つに、「個人の限界を組織の限界にしない。さらに、組織の限界を業界の限界にしない」というものがある。まさに、‟連携”して衆知を集めることの重要性を唱っているものだ。
 
   “連携”のいくつかの形態を考えてみよう。
 
   ① 一つは、同一地域における同業者や他業者との”連携”がある。互いの受注不足やバラツキ、人手不足を補い合うことができて、人材等の資源の効果的な活用ができるメリットが生じる。
 
   ② 次に、同一規模の同業者が、全国的な”連携”(ネットワーク)を構築し、統一イメージでネットワークのブランド化を図り、圧倒的な競争優位性をつくりだす考え方だ。一社では到底できない知名度を確立できる仕組みだと考える。
 
   ③ さらに、特殊技術など特別な強みを持った中小企業が、大企業と‟連携”するのも面白い。自社にないブランドや販売網などの強みを持っている大企業と”連携”すれば、全国的な展開が可能となり、事業規模の拡大や収益構造のレベルがあがる。
 
   いずれも、すでに効果が上がっている事例がたくさんあるので調べてみよう。
 
   “連携”の基本は、対等関係が保たれるかどうかであろう。そのためには、自らの強みをしっかりと認識し、常に磨き続ける努力が必要だ。それから、”連携”の成果は、関係性の良否で決まるといっても過言ではない。お互いがお互いの存在価値を認め合う考え方、価値観を共有できているかどうかである。
 
   つまり、企業の本質(目的や存在価値)を思考し、なぜ”連携”をするのかなどを確認合い、信頼の絆を構築することが肝要である。
 

今週の考える言葉「尊敬心」

考える言葉

尊敬心

   いつの頃からだろう・・・、結婚式でスピーチを頼まれたときに、触れるようにしている言葉が”尊敬心”である。
 
   つまり、好いた、惚れたという感情はそう長く続くものではない。それに、好いた、惚れたという感情には、「自分が好きな相手だから、一緒にいたい。だから尽くしたい!」という、どこかエゴ(?)に匂いがする。その意味で、夫婦の絆としては今一つ危なっかしい感じがする。
 
   単に、好きや嫌いの感情だったら犬や猫でもある。だが、犬や猫に‟尊敬心”があるという話は聞いたことがない・・・。人が他人を尊敬するという行為は、次元が違う心の状態だと思う。
 
   人はどんなときに‟尊敬心”持つのだろうか?
 
   「人は、能力が優れている人を見ると、驚嘆し、称賛もするだろう・・・。だが、その人に‟尊敬心”を抱くのかといと、そうとは限らない」という。
 
   では、人はどんな人に出逢うと共感・共鳴し、その人のようになりたいと憧れ、‟尊敬心”を抱くのであろうか?私だったら、人としての器が大きい人、人格が崇高な人と出逢ったときである。それは、ものの考え方や価値観のレベルが全然違うという驚嘆であり、その人のようになりたいという‟尊敬心”であろう。
 
   小さい頃、偉人伝を読んで感動した。今でも自叙伝的な本を読むのは好きだ。何故ならば、その人の生き方を知り、多くのことを学ぶことができるからだ。それは、偉大な人物が描く人生の目的や志の凄さであったり、逆風に立ち向かう勇気が生まれる背景であったり、やり抜く力を支える動機など・・・。
 
   今改めて思うに、‟尊敬心”は人間の成長にとって極めて大切な要素である。確かに我が人生においても、多くの尊敬できる人との出逢いは、自らの価値観の成長に大きな影響を与えてくれたと実感している。
 
   面接等でも、「尊敬できる人は誰ですか?」という問いがあるが、これは大切なことである。尊敬心には、次のような効果があると思う。
 
   ① 謙虚な気持ちでいられる
   ② 人から多くのことを学べる
   ③ 感謝の気持ちを持てる
   ④ 信頼心が生まれる
   ⑤ 人間関係がうまくいく
 
   立場が高くなればなるほど、‟尊敬心”を失わないようにしたいと考える。
 

今週の考える言葉「創造性」

考える言葉

創造性

   「21 世紀は“創造性”の時代である」と言われて久しい。
 
   だいぶ以前だが、「中小企業を保護すべき“平均的な弱者”と決めつけるより、多様な可能性と“創造性”を持った事業主体」と捉え、その潜在性に期待するような記事を見た記憶がある・・・。迅速な行動ができる中小企業にとって、環境の激変は“創造性”を発揮できるチャンスだという趣旨で、大いに共感したことを思い出している。
 
   「日本企業の99.7%は中小企業、その7 割が新たな成長戦略を描けず、赤字で苦しんでいる」(国税庁調べ)という話を聞くと、“創造性”を発揮できる環境にあるにも関わらず、「なぜ?」という疑問が残る。
 
   「改めて問う、“創造性”とは?」 その本質は何だろう?また、なぜ、“創造性”は必要なのか?
 
   “創造性”について考えていると、次のような言葉が浮かんできた。
 
   純真無垢な好奇心・探求心・チャレンジ・勇気・ひらめき・空想・イメージ・多面性・関係性・伝播性・・・等々。
 
   それぞれの仕事の領域において、専門知識や熟練技能や経験等を積んでおく必要はあると思うが、どうもそれだけでは、“創造性”を発揮するには不十分のような気がする。“創造性”に適したマインドや価値観が必要なのではないか・・・。
 
   ① 目指すところが高く、現状に満足しない人
   ② 失敗を恐れず、打たれ強い人
   ③ 大胆な発想で、勇気ある行動をとる人
   ④ 決して、途中であきらめないという信念の人
   ⑤ 多様性に価値を置き、共感的な関係性をつくれる人
 
   では、なぜ、“創造性”は必要なのか?やはり、世の中の進化・向上への貢献ではないだろうか。だとすれば、「世の中が根本的に欲していることは何か?」そして、「それを満たすために何をなすべきか?」を、つねに自問自答する必要があるだろう。
 
   これからの時代では、“創造性”を発揮できない企業は生き残れないという。それでは、どうすればそのような風土が生まれるのか?
 
   ① 独自な経営観を共有し、目的思考である(システム思考的)
   ② 失敗に寛容で、建設的な意見ができる組織(切磋琢磨)
   ③ 主体的な人材が育まれる風土のある組織
 
   その前提には、統合的な思想や価値観を共有し、互いに高め合えるような学習組織が必要とされるであろう。
 

事務所移転しました

その他お知らせ

平成29年6月19日より、事務所移転となっております。
 

 
【新事務所】
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電話番号:073-474-2212
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電話番号・FAX番号につきましては、以前のままとなっております。
来所の際は、お間違いのないようにお願致します。

今週の考える言葉「統合」

考える言葉

統合

   先週末(6 月16~17 日)、『NBM16 期⑤~組織体制モデル』(「NN構想の会」主催)の研修が無事に終了した。
 
   全国の有望な若手会計人が集う研究会であり、毎回、積極的な意見交換が飛び交う、素晴らしい出逢いの場である。2003 年からスタートし、これまでに1000 名近くの卒業生を輩出しており、いつも楽しみにしている勉強会の一つである。
 
   今回のテーマは、組織論。NBMが提唱する『循環モデル』(=経営者の意思決定をサポートするための会計の体系)を事業として展開していくために必要な組織体制をどう構築するか・・・。
 
   Chandlerの「組織は戦略に従う」(“Strategy and Structure”1962)という著名な言葉があるが、戦略のパラダイムシフトが起きている21 世紀の経営環境において、新たな戦略の決定と同時に、組織体制をどのように再構築していくのかは、重要な経
営課題の一つとなる時代のパラダイムが激変する21 世紀の社会・経済環境において、業界再編は重要な経営課題となっている。今まで多くの中小企業は、「一国一城の主」として自社の利益と成長を考えて、経営すれば良かった。再編で統廃合が進むと、そういう訳には行かなくなるだろう。
 
   M&Aなどで、風土や文化の違う組織が一つになる。どのように“統合”し、組織体制を整えていくのか。それだけではない、再編が進む業界全体をどのようにリードし、業界全体の輝く未来を形成していくのか・・・。
 
   多様化した時代環境の中、上に立つ人ほどまたは業界をリードする企業ほど、多様
化した価値を“統合”できるようなモノの考え方、すなわち価値観(=思考の物差し)が
非常に重要となるであろう。
 
   人間の思考には、分離的思考と“統合”的思考があるという。分離とは、他人と自分を分ける考え方で、「相手と自分とは違う」という二項対立的な考えに陥り、良好な関係性をつくれなくなる。
 
   一方、“統合”とは、自他非分離の考え方で、「相手と自分は一つである」という二項共存的な考えができるので、共感・共鳴的に相手を受入れ、良好な関係性を構築することができて、生産的な場が生まれる。
 
   組織とは、元来、協働行為の体系である。業界再編が進む中、M&Aなどで組織の統廃合が生じる。
 
   そんな状況下、組織の盛衰を決めるキーワードは、“統合”という概念であろう!
 

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