古田会計事務所

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今週の考える言葉「自覚」

考える言葉

自覚

 2000年からスタートしたNN構想の会、やり続けているうちに 16年になる。会を重ねるごとに、次のような質問を受ける機会が増えるようになった。
 
 「どんな思いからNNの活動をやり続けているのか?その動機は何か?」
 
 質問する側もいろいろな意図があってのことだと思うが、質問を受ける小生にとっても一言で表現できるほど単純ではない。やり始めた初期の段階と今とでは、やはり動機も思いのレベルも相当違う・・・。
 
 自分のやりたいこと、好きな仕事に専念しているうちに、それに関連する様々な出逢いが生じ、一つの場が生まれる。その場に感謝し、場のレベル向上のために頑張っているうちに、いつの間にか周囲の人から引き立てられ、その立場を演じている自分に気づかされる。どちらかというと、強烈な意図があってというよりも、自然の流れの中で、その役割を演じているうちにその気になっている自分がいるのだ。
 
 それにしても何故、やり続けているのか・・・?それは、“自覚”であろう。“自覚”とは、読んで字の如し。自らを悟(=覚)るということだ。つまり、「この役割は、自分が演じなくて誰が演じるというのか!」という、自分自身の問題意識なのである。
 
 「やり続けている動機は何か?」という問いの答えは、一言でいうと「“自覚”でしょうね!」ということになる。だが、“自覚”に至るまでのプロセスは上記の通りである。“自覚”に至ると、思いや動機のレベルが明らかに変わる。使命観や責任観ともいえるものだろう。
 
 もちろん、やりたいこと、好きなことをしているという意味においては何ら変わりはないのだが、この場に関わっていてくれる人たちがどのような成果を得ているのか、またその場が環境に及ぼす影響力は如何ほどのものなのだろうか等々、自分を超えた全体の様子が気になってくるのである。恐らく、それが“自覚”なのだと思う。
 
 「“自覚”とは、その人のパワーの源泉である」ともいえる。日蓮上人は、自らを上行菩薩の生まれ変わりであると“自覚”し、「法華経の行者、日蓮」という使命観に目覚めたという。そして、その“自覚”をもって自らの生涯を通して演じきったのである。
 
 ずい分以前に読んだ書籍の中に、『「原因」と「結果」の法則』(ジェームス・アレン著)という本がある。その本の一節に、「私たちは、自分の考えているとおりの人生を生きている」とある。また、「人間は思いの主人であり、人格の製作者であり、環境と運命の設計者である」とある。
 
 どんな“自覚”を持つのかによって、私たちは自らの環境を呼び寄せているである。そして、自分の思う通りの人生を演じている。自作自演、それが人生なのである。
 

今週の考える言葉「NN大会」

考える言葉

NN大会

   本当にお陰様で『NN構想の会・第16回全国大会』(9月10~11日)を、今年も椿山荘(東京)で開催することができた。
 
   大会の常連さんは勿論、初めて参加頂いた方々にも、NN構想の趣旨を理解して頂いた上で、16年以上もやり続けていることへのねぎらいや激励の言葉を頂戴し、改めて覚悟を決めた二日間であった。(感謝!)
 
   さて、今年の大会テーマは『“生産性の向上”~会計人よ、賢く働こう!』である。
一過性ではない、構造的な変化(パラダイムシフト)が起きている今日、もはや、朝から晩までがむしゃらに働けば成果が出るという時代ではない。「マネジメントとは、組織をして生産的にならしめるもの」(P・F・ドラッカー)という言葉があるが、「賢く働く」ということは、いかに自らの仕事をマネジメントできるかどうかであろう。
 
   大会一日目は、千本倖生氏を招いての基調講演『これからの時代の経営思想』から始まった。氏が、稲盛和夫氏を説得して、第二電電(DDI)を創業したのは31年前(1984年)、その後もイー・アクセスやイーモバイルを創業し、日本の通信業界に風穴をあけた風雲児として有名だ。
 
   以前に『挑戦する経営~千本倖生の起業哲学』(経済界)という氏の著書を読んでいたので、凄い人がいるものだと感心し、尊敬をしていたが、生の講演は淡々とした口調ではあるが、聴く人を魅了してしまう迫力がある。幾多の苦難を乗り越えてきた実業家の実践に裏付けられた一語一句だからであろう。
 
   「いかに賢く会社を立ち上げ、運営するか・・・。そのためには、世界がどう動いているか、時代を読むキーワードに関心を持とう」 「企業はミッションを達成したとき、腐敗が始まる。大改革のメスを入れる、凄さを伴った心意気が必要だ。・・・階級社会を壊す。現場に足を運ぶ・・・」 「進化には、健全で、強烈な競争相手が必要だ」 「稲盛さんと私の遭遇、そして“一緒にやろう”という決断がなかったら、今のKDDIはなかっただろう」「始めた以上はやり続けること・・・。いばらの道、千尋の谷を飛び越えると、三倍の強化が生れる」
 
   パラダイムシフトの時代を生きる、私たち企業人にとって大切な心意気や目標設定やディシジョンメイキング、さらに実行の大切さを示唆して頂いた講演であった。そして、人生の運とは「人との出逢い」と「その後の関係性の構築」によって動いているのだと感じさせられた一日だった・・・。改めて、千本倖生氏に感謝の意を表したい!
 
   講演のあとに続く、パネルディスカッション、情報交流パーティ、そして二日目の分科会の内容については、次回に紹介したい。
 

今週の考える言葉「会計」

考える言葉

会計

   東芝の不正会計が社会的な話題となっている。
 
   いわゆる粉飾決算である。過去にもカネボウや山一證券の巨額粉飾、そしてライブドアでは堀江貴文氏は逮捕され、上場廃止に追い込まれた・・・。そうそう、アメリカではエンロンの粉飾が発覚し、その後、倒産。ざっと思い浮かべても、意外と不正会計に手を染める経営者が多いのに驚かされる。
 
   粉飾の手口は、複雑そうに見えても、大きくいうと「売上の先取り」「費用の先送り」そして「全くのでっちあげ」と3つのパターンに分けることができよう。でも、組織ぐるみでやられると、その道のプロである監査法人といえども、見抜けないのだろうか・・・。
 
   さて、なぜ、経営者は粉飾の罠に嵌ってしまうのだろうか?粉飾とは、見栄えがいいように装うということであるから、見栄と責任逃れからであろう。きっかけは業績の悪化から資金難に陥ることを恐れてのことだろう。
しかし、“会計”処理において、他人の目をだませたとしても、自分をだまし続けるわけにはいかない。だましても、業績は良くならないのである。
“会計”には、企業の利害関係者へ報告をすることを目的とした制度会計(=報告会計)とは別に、経営者の意思決定をサポートすることを目的とした管理会計(=意思決定会計)という領域がある。これは、経営のための“会計”である。
 
   IGグループでは、後者の“会計”領域を未来会計と呼び、その領域を事業化するためのビジネスモデルをMAS監査と名付け、20年前から税務と並ぶもう一つの事業の柱として展開している。
 
   私たちは、「未来会計とは、経営者の意思決定をサポートし、持続可能な未来を構築するための“会計”の体系(Accunting Manegement System)」と定義している。“会計”の本質をリスク計算と捉え、それをベースに目標管理を徹底して実行できる組織風土を培っていくお手伝いである。
 
   “会計”の目的をそのように考えると、“会計”は経営に役立つようにシステム化し、日常における“会計”処理は、「正確かつ迅速」であることがモットーとなる。そして、そのようにして作成された“会計”データをベースに経営判断をし、決定されたことを実行に移せるように計画を立てる。そして、結果の検証を行い、次の計画へとフィードバックしていくのである。その徹底で、80%以上の会社が黒字化できている。
 
   京セラの稲盛和夫会長がいう、「“会計”が分からんで経営ができるのか」という“会計”とは、まさに未来会計のことである。
 
   他人の目を気にする前に、自らの経営改革のため、正直な“会計”を考えよう!
 

今週の考える言葉「角度」

考える言葉

角度

  アルバムを眺めていると、その人の魅力的な表情を瞬間にとらえているような一枚の写真に出逢うときがある。実に絶妙なシャッターチャンスだと思うと同時に、アングルというか、捉える“角度”がいい・・・。
 
   プロのカメラマンの特徴は“角度”の捉え方にあるというが、私たちの人生や経営においても、“角度”の捉え方によって思考や行動が大きく変わる。
 
   例えば、会計学を実務に活かすときもそうである。どのような“角度”で会計学を見るかによって活かし方が変わってくる。つまり、税務署への申告を目的とした会計と、経営者の意思決定のサポートを目的とした会計では、会計システムの構築や処理の仕方が変わってきても当然である。
 
   「会計がわからんで経営ができるのか」というフレーズで有名でもある『稲盛和夫の実学~経営と会計』という本の中で、氏が次のようなエピソードを述べている。
 
   自分が経営の立場から予想したものと実際の決算の数字とが食い違うので、「それは、なぜか?」と問うが、「会計的にはこうなる」という教科書的な返事しか戻ってこない。「6年でダメになる機械を法定耐用年数の12年で償却費計上するのか?」「儲かっているのに、税金や配当を支払うのに借金をするという。儲かったお金はどこにあるのか?」 経営の基本にしっかりと寄り添ってこそ会計の本質ではないかと・・・。
 
   さすがである。「売上を最大に、経費を最小に」「値決めは経営である」「土俵の真ん中で勝負をする」「勘定合って銭足らず」などの考え方をベース、“角度”にして、経営に役立つ京セラの管理会計システムを構築していったのである。
 
   人生も同じだと思う・・・。「人生は出逢いである」といわれるが、どのような“角度”で出逢うのかによって、その後の関係性のありようが大きく変わってしまうという経験を多かれ少なかれ、持っているのではなかろうか?
 
   社内でも起こる人間関係の軋轢・・・。どんなに嫌な相手、その人にも愛し合う家族があり、友人の輪がある。ちょっと“角度”を変えてみると、その人のいい所が見えてきそうな気がする。
 
   職場という組織(全体)は、それを構成しているメンバー(部分)の集合体である。部分と部分との関わりという“角度”だけに執着してしまうと、食い違いばかりが目に付いてしまう。だが、全体という“角度”からお互いの関係性を見直してみると、何かもっと大きな計らいがあっての出逢いを感じることができるのではないだろうか。
 
   「人間は一本の葦にすぎない。・・・だが、それは考える葦である」 有名なパスカルの言葉である。捉われず、いろいろな“角度”から考えていきたい。
 

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