古田会計事務所

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今週の考える言葉「熟練」

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熟練

   商品の一般化(大衆化)が進み、他との差別化ができなくなる状態をコモディティ化という。情報化やグローバル化がさらに深化していく中で、その傾向はいっそう強くなるであろう。
 
   長く続くと、低価格競争に陥って利益の確保が難しく、消耗戦の上共倒れとなる・・・。対策として、商品の差別化(ブランディングなど)が叫ばれているが、そう現実は甘くない。それは知的サービスの専門家においても同様で、専門知識の一般教養化が進み、より高度に専門特化しないと生き残りが難しい時代である。
 
   最近、“熟練”したマインドが求められているという。どんなに、たくさんの知識を習得したとしても、それ自体が価値にはならない時代なのである。“熟練”とは、それらの知識の活かし方を身につけていることをいう。つまり、仕事の目的をしっかりと捉え、その目的遂行のために必要な知識を関連付け、体系化できる思考法である。
 
   “熟練”したマインドを育むためには、次の4つの段階が重要となる。
 
   第一に、その仕事の目的をつねに問い、本当に重要な課題を見分けること。
   第二に、課題に対する研究をつねに怠らず、やり続けること。
   第三に、手段は無限、多岐にわたる方法を試してみること。
   第四に、学後の実践を旨とすること。
 
   孫正義氏が、次のようなことを述べている。
 
   「日常業務を社員ができる範囲でこなしているだけの時は単なる『作業』でしかない。全く異なる環境に飛び込み、もう一段の飛躍のために絶対に成功させねばならない使命を背負った時に、初めて人は大脳が活性化し始める。組織も同じだ」
 
   “熟練”したマインドを高め続けるために最も重要なことは、チャレンジである。パラダイムシフトが起きている今日的な環境においては、一度身につけた“熟練”がずっと安泰であり続けるなんてことはあり得ない。また、そういう職業などない。
 
   今盛んに、「生涯学習」の重要性が叫ばれている。重要な仕事に就き、地位が高くなればなるほど、広い意味での教育を受け続ける重要性が増してくるといえよう。大切なことは、強要されるのではなく、主体性をもって“熟練”を自覚し、やり続けるマインドである。
 
   悟りを究めた伝教大師最澄が自らを大愚といったように、“熟練”したマインドを備えた人ほど、生涯にわたる学習の必要性を自覚し、学ぶことに情熱を傾けている。学んでは実践し、さらに実践から学ぶ。
 
   “熟練”に過ぎるということはないと考える。
 

今週の考える言葉「睡眠」

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睡眠

   若い頃によく経験した、マージャンなどもそうであったが、徹夜したあとの爆睡(もう何日も寝ていたような気分になる・・・)、そんな深い眠りに陥ってしまうような“睡眠”を、もう何十年も経験していない。
 
   歳のせいもあるだろうが、小生は極めて短眠である。概ね3~4時間ぐらいで、目が覚めてしまうのである。それが習慣になってしまったようで、何時に寝てもその時間が過ぎると目が覚めてしまうのである。困ったことに、夜早く寝ようものなら、その日のうちに目が覚めてしまうことだってある・・・。
 
   家にいるときなど、夜の10時から11時ごろには床に就くので、夜中の2時過ぎから3時ごろには目が覚めてしまう。少なくとも明け方までは寝ようと努力をしたが寝付けず、悶々としていたが、ある時期から目が覚めたら「起きる!」と決めたら、意外と調子が良くて、本が読めるのである。
 
   今では習慣となって、“睡眠”時間が平均4時間である。読書もはかどり、体調も悪くはないのだが、お陰で夜の付き合いが苦手になってしまった・・・。アルコールが入るとてきめんで、睡魔に勝てないのだ。
 
   最近もの忘れが激しい(歳のせいもあるのだろうが・・・)ので、“睡眠”不足のせいではないかと気になり、“睡眠”に関する本を読み漁ると、けっこういろんな研究がなされているようだ。それによると、日本は不眠に悩む人が多く、「不眠大国」だという。
 
   最近は、“睡眠”のメカニズムに関する科学的な研究が進んでいるそうだ。また、不眠による国民の健康への弊害を心配してか、厚労省も「健康づくりのための睡眠指針~睡眠12箇条~」をまとめて、公表している。関心のある人は、のぞいて欲しい。
 
   現代人の5人に1人は“睡眠”に関する悩みを抱えているそうで、“睡眠”不足から生じる作業効率の低下や事故などによる経済的損失は、年間で約3・5兆円にのぼるという試算もされているそうだ。日中のパフォーマンスが“睡眠”の質で決まるということであれば、私たちは自らの睡眠法について、もっと真剣に考える必要があると思う。
 
   ショートスリーパーという言葉があるが、ナポレオンのように短い睡眠でも健康を保ち、偉業を成し遂げた人もいるようだが例外だそうで、なろうと思ってなれるものではないという。確かに、睡眠不足は堪えるし、知らず知らずにロス・タイムをつくり出しているような気がする。「もっと、起きている時間のパフォーマンスを高めよう!」という戦略的な視点から、自らに合った“睡眠”方法を一度真剣に考えるのは、人生を豊かにするためにも大切だと思う。
 
   そのとき、朝型のリズムを習慣化する考え方は絶対にお勧めしたい!
 

今週の考える言葉「観想」

考える言葉

観想

   前回の『IG後継者育成塾』(第5期⑤)で、「仕事の価値化」について研修をし、討議してもらっていたとき、ふっと思い浮かんだのが“観想”という言葉である。その語源は、ギリシャ語のテオーリア(theōria)に起因する概念だという。
 
   “観想”とは、表面的な理解を突き抜けて、より深い意味を探り、物事の本質を洞察することである。アリストテレスは、理性(=考える力)こそが人間の本質であるから、観想的な生活を送ることこそが最大の幸福であるとした。
 
   情報化社会に生きている現代人は、何か分からない事が出てきてもインターネットで調べれば、すぐに分かる。そう、深く考えることをしなくても、いっぱしの議論もできるし、すっかり知り尽くしているかのごとく思い込んでしまう傾向がある。
 
   情報過多の気忙しい環境で生きていると、浅く広くの知識の詰め込みが習慣化され、薄っぺらな思考しかできなくなり、目の前で起きている現象的な事実に対応することばかりに気が奪われて、その奥にある本質を見失ってしまう危険性をつねに潜んでいる。まさに、モグラ叩きの状態である。
 
   今の経営者にとって、“観想”の習慣を持つことは極めて重要な事だと考える。なぜなら、変化に翻弄されず、その奥にある真実を洞察するには、自らの頭で深く考え抜くしか方法がないからである。
 
   “観想”とは、一つの特定された問題に焦点を当てて、それを深く考え抜くことである。心をそこへ集中する必要がある。例えば、今回のテーマである「仕事の価値化」について次のように自問自答し、考えを集中してみよう。
 
 ① これはどういう意味なのだろうか?
 ② その提案の意味していること、目的とは何だろうか?
 ③ 自分にとって、どんな意味があるのだろうか?
 ④ この考えを経営に活かせるだろうか?
 ⑤ 我が社の幹部や社員に問うたら、どう答えるだろうか?
 
   どうだろう?どれぐらいの時間を、そのテーマに集中できただろうか・・・。また、どのような考えが浮かび、整理できたであろうか。思ったほど、集中力が持続しないことに驚かされる人もいるだろう。
 
   以前に、ある先生が言っていた事を思い出す。『心とは、「ころころ」するから「こころ」って、言うのだ・・・』と。あらゆる雑念を取り除き、一点に心を集中させるためには、やはり、それなりの訓練が必要だ。
 
   そのためにも、“観想”の習慣を身につけるように努力をしたいと考える。
 

今週の考える言葉「改めて、問う」

考える言葉

改めて、問う

   先週末、『IG後継者育成塾(第5期⑤)』を終えたばかりである。お陰様で、2008年9月に第1期をスタートしてから9年目に入る。今回もそうであったが、卒業生がときどき顔を出してくれるのが有難い・・・。
  
   今回のテーマは、「仕事を価値化する~仕事の報酬は仕事!」である。「仕事の価値化」とは、何を意味するのだろうか?“改めて、問う”と、いろいろな答えが出てきそうで面白い。グループ討議も、様々な意見が飛び交い、弾んでいたようだ。
 
   「仕事の価値化」を考えるとき、「自分は今、何のために働いているのか?」という仕事の目的やその仕事を選んだ自らの動機を問うことから始める必要があるだろう。“改めて、問う”と、それこそ十人十色だ。
 
   「生活のため。趣味や生きがいは他にある」「能力を高め、スキルアップしたい」「楽しいから、好きだから」「報酬をガンガン稼ぎたい」「自己実現したい(夢や志)」「社会貢献したい」等など・・・。
 
   このように仕事に対する目的や動機を“改めて、問う”と、ものの考え方(価値観)に次元の違いを感じることができる。「生活のため」というのと、「自己実現あるいは社会貢献のため」というのでは、明らかに次元の違いがあると思う。
 
   実は、「仕事の価値化」とは、その目的や動機の次元を高次化することにあると考える。つまり、マズローの欲求5段階説でいうところの、欠乏欲求(生理・安全・帰属・自尊)から成長欲求(自己実現・自己超越)へと次元を高めていくことから始めるべきではないだろうか。
 
   仕事の本質は、奉仕である。仕事の「仕」も「事」も「つかえる」という意味だ。世のため人のために貢献できてこそ、仕事の価値は高まるものだ。まさに、仕事の報酬は仕事なのだ。
 
   仕事は必ず場を形成する・・・。場とは社会システムを構成する部分であるが、様々な出逢いがあり、関係性を構築して、システム化していく。そのような状況下で、私たちは支えられ、生かされている。つまり、職場とは働く者にとって協働の場であると同時に、成長機会を提供してくれる場であり、自己実現のステージである。
 
   企業は、社会への貢献性を高めることにより、存在価値が認められ、より大きな場へと成長していく。その場に、優秀な人材が集い、切磋琢磨しあい、互いに成長する機会を共有しているのである。
 
   このように考えると、仕事の価値化とは社会システムの抱えている問題(ニーズ)に応えることによって、社会の進化に貢献することではないだろうか・・・。
 

今週の考える言葉「生涯未婚率」

考える言葉

生涯未婚率

   “生涯未婚率”という言葉がある。日本政府が人口の統計において用いている用語であり、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人間の割合を意味する言葉だそうだ。
 
   従来、日本における“生涯未婚率”は極めて少ない数字だったようで、1970年代迄は安定して2%程度、2000年頃でも10%未満という数字だったようだ。その後、年々上昇傾向にあり、2010年には男性の生涯未婚率は20%を超える迄になっているという。
 
   最近の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳までに一度も結婚したことがない人が2015年に男性で4人に1人、女性で7人に1人いたことが分かったという。こうした人の割合を示す“生涯未婚率”は、10年前の前回調査から男女とも3ポイント以上増えて過去最高を更新。
 
   “生涯未婚率”高まった要因が、いくつか指摘されている。
  
   ① 一つに、女性の社会進出が挙げられる。
   1986年4月から施行された「男女雇用機会均等法」が、女性の社会進出に拍車をかけた。結婚せず、独立したライフスタイルを選ぶ人が増えた。その結果、結婚という形でのパートナーを持つ必要がないという考え方が徐々に広まったという。できる女性ほど、相手を選ぶ条件が高くなり、なかなか良い相手がなく、そのうち結婚の適齢期を逃してしまう・・・。
 
   ② 次に、収入格差の増大が挙げられる。
   1990年バブル崩壊以降、フリーターなど非正規雇用者の増加に伴い、収入が不安定で将来設計が立てられないという。経済的な余裕がないことが原因だという。
 
   ③ さらに、独身主義者が増加していることも理由として挙げられる。
   「自分の稼いだお金を自分の好きことに使いたい」「家族をもつことに価値を見出せない」という。
  
   「国(家庭も個人も同じ)というものは、平らな底をもつ皿を、政治、経済、宗教という3本の柱で支えているようなものだ。柱の一本でも長かったり、短かったりすれば、水はこぼれてしまう。周りが見えず、経済が長ければ日本、宗教が長ければイラクのようになる・・・」(「大愚のすすめ」山田恵諦 著)。
 
   3本柱のバランスがとれていると、皿の中の人たちは穏やかに過ごせるという。日本の少子高齢化、人口減少の問題は、社会的システムとして深刻な課題である。
 
   「なんのために?」とか「なぜ?」という、物事の本質を自らに問うことを行い、自己革新をしていくことが、全体(国)も部分(企業や家庭、個人)も求められている。
 

今週の考える言葉「大愚」

考える言葉

大愚

   最近、妙な習慣がついたようだ・・・。書棚を眺めていると、不思議と目に留まる本が出てきて、手に取り、読み始めている。最初は、パラパラとめくりながら、「こんな本があったな・・・」と思いつつ、流し読みをしているのだが、いつの間にか、はまっている。
 
   連休中に、はまってしまったのが『大愚のすすめ』(山田恵諦 著)だ。熟読しているうちに、いつ頃購入した本だったかが、気になって調べてみると、1991 年7 月30 日初版発行とあるから、25 年ほど前のことである。
 
   時代は20 世紀の終盤あたりで、世の中が日本のバブルに気づき始めた頃だろう。小賢しく知識を詰め込み、経済に偏重し過ぎた日本の将来を憂えている・・・。「世の中の誰も彼もが、少しでも利口になろうとあくせくしている。利口でなきゃ損をするから、勉強するのだと、どうにもせせこましい」と。
 
   「手段にすぎないものを目的化し、真の目的を見失っている日本・・・。経済的に豊かになった日本は、豊かさの中にあぐらをかいているのではなく、助け合う心・分け合う性格をつくり、恩を返して、世界のための日本となるべきだ」と説いてある。
 
   そのために必要なことは、“大愚”になることだという。元は、伝教大師最澄の次の言葉からだという。
 
   「色々と学び、励んでみたけれど、自分は知恵も才能もない最低の人間だ。ならば、これまでしてきたことは全て流し去って、生まれたままの自分になってみよう。愚の中の極愚に徹してみよう」
 
   賢くなろう、利口になろうと、あくせくするのではなく、愚になること。力を抜いて、とことん愚かなじぶんというものを見つめてみる。一から出直す決意である。「愚の中の極愚」、つまり“大愚”とは、自分をまず最低の位置に置いてみることだという。
 
   そうすると、そこから眺める世界というものは、上から見るのとはえらい違いがあることに気づかされる。山川草木(=自然)のすべてが先生となり、真実というものを教えてくれるのだという。
 
   その真実とは何か?自分以外のすべての環境に支えられている自分がいることに気づかされることだと思う。つまり、「自分は生かされている!」という真実である。最近だが、そのことが腑に落ちてきている自分に気づかされる。
 
   以前よりずっと、家族をはじめ、身近な人たちに、自ずと感謝の念を持てるようになっている。すると、不思議と肩の力が抜けて、素直で穏やかな自分になれる。どんな些細なことにでも面倒くさがらず、自然と体が動くのである。
 
   恐らく、仕事をご縁にいい出逢いをいっぱいさせてもらっているのだと思う。感謝!
 

今週の考える言葉「人の力」

考える言葉

人の力

   最近購入し、一気に読み上げてしまった本の中に、『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』(三木雄信 著、ダイヤモンド社)というものがある。今年の2月に初版、すでに第5刷発行となっているので、かなりの売れ筋なのだろう・・・。
 
   ソフトバンクは、創業からわずか30数年で8兆円企業へと成長した。カリスマ経営者・孫正義が率いる組織だからこそ、なし得た成果だと思うだろうが、ソフトバンク躍進の最大の秘密は、「高速PDCA」思考の徹底実践にこそあるとし、その考え方を分りやすくまとめた良書である。
 
   ソフトバンク流「高速PDCA」の特徴は、スピードとタイミングの重視であろう。それを、「ソフトバンク3原則」と呼んで、次のように紹介している。
 
   ① 思いついた計画は、可能な限りすべて同時に実行する
   ② 1日ごとの目標を決め、結果を毎日チェックして改善する
   ③ 目標も結果も、数字で管理する
 
   「PDCA」という経営サイクルの仕組は、誰もが良く知っている経営手法である。しかし、その手法で結果を出している組織や個人は、やはり、一味も二味も違う。自分流というか、考え抜いて、実行し、自らの哲学にしている。一読の価値あり・・・。
 
   さて、今日のテーマである“人の力”について、である。この本の中で、「“人の力”の借方」として、孫正義の凄さを紹介している(第6章)。
 
   なぜ“人の力”を借りるのか?孫さんの答えは明確、「自分一人できることなど、たかが知れている」。“人の手”を借りれば、一番手っ取り早く成功できる、つまり結果を出せる!という。「やる!」と決めて動き出して、“人の力”を借りる。とに角、結果を出すことに専念している。
 
   また、孫さんは、人を使うのが実に上手いという。秘訣の一つは、素直さ!「相手の肩書きやキャリア、年齢や経験を問わず、自分にとって有益だと思う情報やノウハウを持っている人のアドバイス」を、素直に傾聴するという。
 
   さらに加えると、熱意!孫さんは若い頃から、知りたいことがあれば自分から情報や知恵を取りに行っていたという。連絡を取って、相談に行けば、相手は「この人は本気だな」と、その熱意を感じて、懇切丁寧に教えてくれるし、力を貸してあげたくなるものだ。
 
   もう一つ加えるとすれば、孫さんのビジョン・志の確かさだろう。そして、「やる!」ことへの信念・・・。
 
   「素直さ、熱意、ビジョンの確かさ」 改めて自問自答したいと思う。
 

5月の税務カレンダー

税務カレンダー


※5月の「決算検討会の日」の開催日が変更になっております。
    変更前:25日(木) → 変更後:24日(水)

今週の考える言葉「人材育成」

考える言葉

人材育成

   4月に入り、新入社員が入社し、フレッシュ感が漂う職場も多いと思う。
 
   さて、成長し続けている企業には、次の3つの特徴があるといわれている。
 
   ① 独自の経営観を持っている
   ② 付加価値の高い事業領域を確立している
   ③ “人材育成”に熱心である
 
   独自の経営観とは、「なぜ、この事業をしているのか?」という問いかけに明確な答えを持っているということである。つまり、事業の目的が明確であること・・・。また、付加価値の高い事業領域の確立とは、「あなたの会社でないと困る」といってくれるロイヤリティの高い顧客に恵まれているということである。
 
   ①と②の重要性を理解し、実行して、企業風土をつくり出しているのが人材である。ゆえに、“人材育成”に熱心な組織は成長し続けるのである。
 
   ピーター・F・ドラッカーが残した有名な言葉の一つに、「従業員はコストではなく、経営資源である」というのがある。全く、同感である。
 
   また、経営者には、従業員をコストでなく、経営資源として価値ある人材に育てる責任があると思う。人口減少という社会問題のなかで、人材不足が慢性化している今日では一層その重要性を感じる。
 
   “人材育成”、そのためには、先ず人材ビジョンを明確にしておく必要がある。IGグループでは、「人材とは、主体的かつ生産的な目標を設定できる人をいう」と定義している。
 
   そのような人材が育つ環境を整えること、これがトップの仕事である。そのために、次の3つのことを心掛けている。
 
   ① 価値観(経営理念)を共有し、つねに確認できる機会をつくる
   ② 「仮説~実践~検証」という経営サイクルを確立する
   ③ 「目標管理システム」を構築し、その運用のために時間を確保する
 
   また、働く社員としての心得は、個人と組織人としての二面性を、どう統合できるかであろう。「仕事の報酬は仕事である」という言葉がある。この言葉の意味をしっかりと噛み締めることができたら、すべてが解決できる。
 
   人材の成長とは、より生産的になることである。そして、生産性の本質とは良好な関係性で仕事ができている状態をいう。
 
   このように考えると、人材とはスキルだけでなく、同時にマインドを磨き上げていくことが大切であると考える。
 

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