古田会計事務所

〒640-8392 和歌山市中之島303-14 OK.OFFICE

お気軽にお電話ください

TEL.073-474-2212

今週の考える言葉「KPT」

考える言葉

KPT

   『これだけ!KPT』(天野勝 著)という本(2013年8月29日 第1刷発行)がある。
 
   あらゆるプロセスを成果につなげる最強のカイゼンフレームワーク“KPT”について解説してある書物である。
 
   これも10年以上前に購入し、読んだ本であるが、書棚の整理の中で、目につき再読してみた。
 
   “KPT”とは、ふりかえりに適している、「Keep」、「Problem」、「Try」の視点で物事をとらえる「思考のフレームワーク」である。
 
“KPT”の基本フォーマットは、次の3点である。
① Keep=よかったこと、今後も続けること
② Proglem=困ったこと、問題点
③ Try=今後の活動で試したいこと
 
   そして、「自律的なチーム」を育てる方法として有効だという。
 
   “KPT”を使ったふりかえりは、次に7つのステップで行うことが基本となる。
 
① 活動を思い出す
② うまくいった行動を確認する(Keep)
③ 問題を洗い出す(Problem)
④ 原因を検討する(Keep、Problem)
⑤ 改善策を考える(Keep、Problem)
⑥ 試したいことを検討する(Keep、Problem、Try)
⑦ 試すことを選択する(Try)
 
   つまり、短くまとめると、「活動を思い返して、よいところをよりよく、ダメなところは少しでもよくするためのアイデアを出して、アクションに落とす」ということである。
 
   そして、“KPT”サイクルの素晴らしいところは、「ふりかえりを繰り返し行うことで効果がより大きくなる」ところにある。
 
   “KPT”は、「自律的なチーム」を育てる方法と有効だと述べたが、チームの成長プロセスには、次の4つのステージがあることも知っておこう。
 
 Step1:形成期(チームの形成)
 Step2:混乱期(ぶつかり合い)
 Step3:統一期(共通の規範が形成)
 Step4:機能期(チームとして成果)
 
   自らのチームがどの段階にあるのかも認識しながら、“KPT”を活用したいと考える。
 

今週の考える言葉「4つの領域」

考える言葉

4つ領域

   90年代の半ば頃、発行されてベストセラーとなった本に『七つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー 著)というのがある。ご存知な方が多いと思う。
 
   「人生における真の成功は、テクニックではなく、人格を育てることから始まるのだ」という信念のもと、その人格を高めるために必要な『七つの習慣』ついて述べたものである。
 
 ① 第一の習慣:主体性を発揮する(自己責任の原則)
 ② 第二の習慣:目的を持って始める(自己リーダーシップの原則)
 ③ 第三の習慣:最優先事項を優先する(自己管理の原則)
 ④ 第四の習慣 :WinWinを考える(人間関係におけるリーダーシップの原則)
 ⑤ 第五の習慣 :理解してから理解される(感情移入のコミュニケーションの原則)
 ⑥ 第六の習慣 :相乗効果を発揮する(創造的な協力の原則)
 ⑦ 第七の習慣 :刃を研ぐ(バランスのとれた自己再新再生の原則)
 
   これらのうち、③ 第三の習慣について、考えてみたいと思う。
 
   多くの人は「時間を管理する」という発想に捉われてしまっているが、管理すべきは「時間」ではないという。管理すべきは、「最優先事項を優先する」という、行動の順序なのだ。
 
   行動の順序を考えるには、人間の活動を重要度・緊急度で分類した“4つの領域”を整理すればいいのだという。
 
 (人間活動の4つの領域)
 第Ⅰの領域(緊急で重要なこと)
 第Ⅱの領域(緊急でないが重要なこと)
 第Ⅲの領域(緊急だが重要でないこと)
 第Ⅳの領域(緊急でも重要でもないこと)
 
   多くの人は、第Ⅰの領域の活動に時間を割くものと思われる。だが、忙しく疲れもたまるので、ストレスとなり、長続きしない。そのため、ムダな第Ⅳの領域の行動に逃げ込んでしまう傾向がある。
 
   コヴィー博士は、人生を充実させるには第Ⅱの領域(人間関係づくり、仕事や勉強の準備と計画、健康管理や自己啓発)により集中することが必要だ、という。同感である。そして、できるだけ、そうできるように心掛けてきたつもりだ。
 
   そのためにはどうしたらいいのか。まず自分の役割を明確にし、その達成のための目標を考えることだ。つまり、『IG式目標管理』を徹底活用することであろう。
 

今週の考える言葉「やる気」

考える言葉

やる気

   稲盛和夫氏の書籍に、『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(2014年3月6日発刊)というのがある。もう10年程前に書かれたものだ。
 
   その当時、読み終えた感想を、その本の最後のページに次のように書き残していた。
 
   「久し振りに一気に読み上げたくなる本に出逢いました!経営の本質をこれほどまでに面白く、簡明にあらわしている本はない…」と。
 
   その当時、自分自身はもちろん、従業員の“やる気”を引き出すためにはどうしたらいいのかと考えていた時期だったのだろう…。
 
   再読してみると、『第1章 経営の原点に立ち返る』で、従業員を“やる気”にさせる7つの要諦として、次の項目を紹介している。
 
 (要諦1) 従業員をパートナーとして迎え入れる
 (要諦2) 従業員に心底惚れてもらう
 (要諦3) 仕事の意義を説く
 (要諦4) ビジョンを高く掲げる
 (要諦5) ミッションを確立する
 (要諦6) フィロソフィを語り続ける
 (要諦7) 自らの心を高める
 
   「これが、経営者の努めであり、経営の原点である」と述べているが、その当時、非常に得心し、持ち歩いていた手帳に書き写し、折に触れて読み返していたことをはっきりと覚えている。
 
   IG会計グループは、その創業の当初からずっと、『パートナーシップ制の確立』を目指してやってきたので、その原点に立ち返るためにも、稲盛氏の説く7つの要諦は片時も忘れてはならないことだと改めて思うのである。
 
   7つの要諦については、何度も読み返しているので、その理屈としてはそれなりに理解していると思うが、感性として身に沁みるところまで磨き上げているかどうか…。
 
   一番判断に迷うのは、「要諦2 従業員に心底惚れてもらう」というテーマだろう。稲盛さんも、この点に関して最も気遣い、心がけて努力されたのではないだろうか。
 
   では、従業員に心底惚れてもらうためには、どうすればいいのか。稲盛さん曰く、「簡単なことです。己ばかりを愛していたのでは、誰も惚れてくれません。己を空しくして、自己犠牲を払い、従業員のことを最優先して考えるのです。そうしてあげるから、皆、惚れこんでくれるのです」と。
 
   つまり、「まず惚れよ!」ということ。それが、人の“やる気”を引き出す帝王学だ。
 

今週の考える言葉「儲けの仕組み」

考える言葉

儲けの仕組み

   自社の“儲けの仕組み”を、日頃、どれだけ意識して行動しているだろうか。
 
   事業計画書を作成するとき、事業展開のベースとなる「営業戦略」は大変重要な役割を持っている。
 
   まず重要なのは、「自社がどのようにして売上をあげ、利益を出しているのか」という、その仕組みを見直してみることだろう。そのためには、次の問いかけをしてみよう。
 
① どの部署が営業をし、どのような営業を仕掛けているか
② 毎月の営業目標、その度合いはどうか
③ 営業業務に携わっている社員は何名いるか
④ 取引先、顧客は何社か。またそれぞれどのくらいの売上になっているか
⑤ 新規でどのような市場を探しているか
⑥ 提案力は十分か
⑦ 日報の管理はできているか
⑧ 日報に何を記載しているか
⑨ 情報の共有はできているか
⑩ 聞く力、聴く力は十分か
 
   以上のようなことを、まとめた上で問題点を洗い出してみよう。そして、儲けるための仕組みづくりを考えてみることだ。
 
   利益の算定式は、「利益=売上-費用」である。
 
   つまり、売上(販売数量×販売価格)を伸ばし、費用(変動費+固定費)を減らせば、その分利益は増える。
 
   上記の計算式から、次のようなことが言える。
 
① 商品の販売数量または顧客数を増やすと売上は増加する。
② 販売価格の値上げをすると、売上は増加する。
③ 変動費と固定費の削減は利益の増加につながる。
 
   しかし、そう単純に計算は成り立たない。なぜならば、値上げをすると、顧客数が減る可能性があるし、変動費や固定費の削減がサービスの低下となり、顧客離れを引き起こすことになりかねないからだ。
 
   以上、“儲けの仕組み”について考えてきたが、それを理解するだけで利益が増えるかというと、そうではない。実行されて初めて成果につながる。
 
   社員一人ひとりがどれだけその気になって働くかである。つまり、働きがい・生きがいを持てるかどうか、動機づけがなされてはじめて、“儲けの仕組み”は機能する。
 

今週の考える言葉「成功の10原則」

考える言葉

成功の10原則

   以前にも紹介したが、『目標達成の技術』(青木仁志 著)という書籍の中に、「目標達成の原理原則」というコーナーがあり、目標を達成するためにおさえておくべき原則として、“成功の10原則”が掲げてある。
 
   その内容のいずれにおいても得心できたので、紹介したい。
 
 ① あらゆる事柄に目標を設定し、計画的に生きる(優先順位を守る)
 ② セルフコントロール能力の習得
 ③ 成功者としての自己概念を形成する
 ④ 心の法則を使う
 ⑤ パワーパートナーの協力を得る能力
 ⑥ 専門能力を開発し、真のプロフェッショナルになる
 ⑦ 過去志向型から未来志向型への変革
 ⑧ 一生学び続ける
 ⑨ 健康管理を徹底し、エネルギッシュに生きる
 ⑩ 実践主義に徹する
 
   以上の10項目であるが、その原則の大前提として、自分自身の「心一つの置きどころ」だと考える。
 
   上記のうち、小生が常に心がけているのは、➀と⑦と⑩である。その点について、もう少し考えてみたい。
 
   まずは➀についてだが、優先順位を守るということは、自らの人生をどう生きるかを明確にするということだ。目標達成の優先順位によって、為すべきことが変わってくるものだ。時は有限、人生は有限…。
 
   次に⑦についてだが、過去に起きた出来事は誰にも変えることができないから、変えられないことにこだわるのをやめて、成功している未来の自分の姿(あるべき姿)に焦点を当て、今日を意欲的に生きることだ。
 
   そして⑩についてだが、目標達成の秘訣は決断と実行にあると言えよう。やると決めること、そして成し遂げるまで諦めず、やり続けることだ。つまり、実践主義に徹することである。
 
   IG式目標管理システム(「仮説~実践~検証」の経営サイクル)は、まさに“成功の原則”を実践するための仕組みだと言えよう。
 
   “成功の10原則”、その他の項目も大切なことばかりだと思う。さて、あなただったら、何を優先して実行しますか。
 

今週の考える言葉「モチベーター」

考える言葉

モチベーター

   IG会計グループでは、月末・月初の二日間、「考える一日」と称して全体会議を行っている。その時、いつも気にしているのが、“モチベーター”の存在である。
 
   “モチベーター”(motivator)とは、「人にやる気を起こさせる行動を促す要因」という意味である。人を鼓舞してやる気を出させることに長けた人物、人に行動を促すための技術や知識を持った人物を指して用いられることが比較的多い。
 
   いつも特定の人とは限らず、その時の状況に応じて、リーダーシップを発揮して、その場を活性化してくれる人が出てくれば、その場から得られる成果が大きくなり、より充実した気分になれる。
 
   その行動の主体は、言うまでもなく社員である。
 
   したがってそのためには、目的に向けた建設的な行動を促す刺激や仕掛け、すなわち“モチベーター”を組み込む必要が出てくる。
 
   社員を動かす方法はたくさんあると思う。命令もそうだし、懲罰を科すという方法もある。助言、激励、恫喝、無理強いもあれば、指導、鼓舞もある。報奨を与えるのも一つの方法であろう。
 
   だが、「目標管理システム」をベースに主体性のある人財を育成していこうという方針であるならば、最もよい方法は、社員が自ら率先して行動し自らを管理することだと思う。その意味でも、“モチベーター”という言葉を大事にしたい。
 
   “モチベーター”の存在は、最終的には組織の目的に沿った生産的な行動に結びつかなければならない。生産性を高めるためには、次のことをしっかりと論じ、一人ひとりが認識してもらう仕組みが必要である。
 
① 権限を委譲して責任の重みを与えること
② 仕事の意義や価値を知らせること
③ 社員の仕事ぶりに対する評価を率直に伝えること
④ 昇進のチャンスや業績に見合う報酬を与えること…。
 
   これらはどれも社員に刺激を与える具体的な手段である。その手段を通して、大切なのは、自己責任で行動するような人材に育ってもらうことである。
 
   自己責任の原則こそ、社員の行動を促し生産性を高める最も効果的な手立てであると考える。
 
   経営システム(理念・目的、戦略計画、行動方針、組織計画、事業計画)をしっかりと確立させ、やり続けることによって、“モチベーター”が輩出されるような組織風土を作っていけるように努力をし続けたいと考える。
 

今週の考える言葉「スピード経営」

考える言葉

スピード経営

   “スピード経営”といえば、武田信玄の旗印で有名な「風林火山」を思い出す。
 
   これは、孫子の兵法書の一節「疾きこと風のごとく、徐かなること林のごとく、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとし」(軍争篇)から四文字を引用したものである。
 
   なぜこのような一節を思い浮かんだかというと、言うまでもなく、今や激変の時代である。その変化のスピードに翻弄されないようなスピード感が経営に求められているからだ。
 
   現にアメリカ企業では競争に対するスピード感覚が経営効率の向上につながっているという事例をもとに、“スピード経営”の大切さをよく知っている経営幹部の特徴として次の7つを挙げている。(『マッキンゼー経営の本質』マービン・バウワー著)
 
① 時間を無駄にせず、素早く行動する
時間は最も大切な経営資源と心得ている。ひたすら目的達成を目指す。
 
② 情熱的である
何事も熱心で手際がいい。仕事に対する情熱があるからだ。
 
③ 迷いがない
事実を集めて考え抜いたら、スパッと決断する。
 
④ 機会を逃さず活用する
短所を直すより長所を伸ばすことだ。
 
⑤ 問題を探し出して直面する
時間が経てば経つほど問題に対処するのが難しくなる。
 
⑥ 人事をめぐる困難な決断にも尻込みしない
人事に関する決定は、公正でありさえすれば、不利益を被る人でも素直に受け入れるものだ。
 
⑦ シェアを拡大し利益を上げることに全力投球する
あらゆる行動の目的は長期的な競争優位を確立することだが、行動自体はすぐに起こすのが身上である
 
   さすが、熾烈な競争社会の中で、多くの企業と関わってきたコンサルタントである。素晴らしい経営者たちの生の姿をよく観察していると感心した。
 
   小生も、「即決即断」、「いまやる」を常に心がけて事業を大きくしてきた経営者の人たちと出逢い、多くのことを学ばせて頂いたことを覚えている。
 
   IG目標管理システムは「いまやる」姿勢に目的を与え、その精神を養ってくれる。
 

今週の考える言葉「MAPサロン」

考える言葉

MAPサロン

 
   先週末(4月19日)、『MAPサロン100回記念大会』(ロイヤルパークホテルin東京)が開催された。
 
   小生の記憶では、1993年(H5)頃、未来会計を事業化するためのモデル(MAS監査)をつくろうと、(株)MAP経営の呼びかけで全国から7会計事務所が集まって共同研究会を立ち上げたのが始まりである。
 
   そして、1995年(H7)には、「あんしん経営をサポートする会」を発足し、第1回目の“MAPサロン”が開催された。それから回を重ねて100回目となる。感慨深いものがある。
 
   思うに、その年にIG会計グループは『中期五ヵ年計画~S‐Plan』を立て、新たな組織の成長戦略を過去会計(税務会計)から未来会計(経営者の意思決定をサポートする会計)へ軸足を移すことを決断した。それ以来、「中期五ヵ年計画策定セミナー」を『将軍の日』と名付けて、定期的にやり続けている。
 
   上記の記念大会でも、パネリストとして話をしたのだが、計画は分析予測型(過去のデータを分析し、予測する)で作成するのではなく、自らの意思で未来を創造する洞察創造型(あるべき姿を描き、現状との差を埋める)で作成し、「仮説~実践~検証」(PDSAサイクル)を繰り返し、やり続ける。
 
   それを未来会計と称しているのだが、それを実践するにあたっての心得を経験から10項目挙げておきたい。
 
 ① ネバーギブアップ!
 ② 未来からの逆算(過去に捉われない)
 ③ 志を高く、大きな目標をもつ
 ④ 業界の先駆的役割を担う
 ⑤ 自らの手で未来を創造する
 ⑥ 出逢った相手は自分である
 ⑦ 誠実かつ謙虚たれ
 ⑧ 変化の中心で仕事をする
 ⑨ リスクを恐れるな!
 ⑩ 頭は忙しく体は楽に(頭を使え!)
 
   未来会計(MAS監査)の目的は、マズローの欲求五段階説でいえば、組織とそこで働く個人の自己実現欲求を充足させるのをサポートするところにあるのだと考える。
 

今週の考える言葉「XY理論」

考える言葉

XY理論

   『完全なる経営』(アブラハム・H・マズロー著)を再読していると、解説のところで、ダグラス・マグレガー(1906~1964)の“XY理論”について触れている個所があった。
 
   改めて思うに、半世紀以上も前に提唱された経営管理論である。彼は、その著書『企業の人間的側面(The Human Side of Enterprise)』(1960年著)において、「人間の可能性を開放すれば、それだけ企業の業績も向上する」と主張したのである。
 
   マグレガーは人間に対する見方を次の二つに大別し、それぞれをX理論、Y理論という言葉で呼んだ。
 
 ① X理論…本来、人は怠ける生き物なので、命令や強制で管理しなければならないという立場に立脚している。(アメとムチによる管理手法)
 
 ② Y理論…本来、人は進んで働きたがる生き物なので、労働者の自主性を尊重すべきであるという立場に立脚する。(自主性、主体性を尊重する管理手法)
 
   マグレガーのこの考え方の基礎となったのが、マズロー(1908~1970)の「欲求5段階説」であったという。
 
   マグレガーは、「どのような方法で人間を管理するのが最も効果的だと仮定しているか。これが経営トップに対する最も重要な問いかけである。経営陣がどのような仮定に立って人材を管理しているかで、企業の性格が決まるのである」と指摘している。
 
   IG会計グループが「IG理念」を具現化する唯一の手段として取り組んでいる「IG式目標管理システム」は、マグレガーのいうY理論的な人間観に基づいて構築されたものであるといえよう。
 
   その理由は、「IG式目標管理」が「一人ひとりの主体性を重視する自己統制的な管理手法」だからである。
 
   しかしながら、「目標管理」は容易に成果に結びつくものではない。なぜならば、「目標管理」は人間の自己実現的な欲求を前提としたプロセス管理のシステムだからである。つまり、個人の“主体的な成長欲求”によって動機付けされなければならないからである。そして、もっと大切なことは、経営トップの姿勢、考え方、価値観が問われるものだと感じている。
 
   Y理論をベースにした目標管理システムの課題は、人々を動機づけることではなく、動機づけられた人々が最大限の貢献をしようと進んで努力するよう、環境を整えることであると考える。単に能力的な成長だけではなく、価値観のレベルが上がるような環境を整えたいと思う。
 

今週の考える言葉「出る杭」

考える言葉

出る杭

   昔からよく耳にしてきた言葉に、「“出る杭”は打たれる」という諺がある。日本って国の同調を求める文化からだろう。
 
   書棚を整理していると、『イノベーション思考』(黒川清 著)という本が目に止まり、手に取ってめくっていると、「“出る杭”になることを恐れるな」という章があり、読み返してみた。
 
   高校生の時だったが、単に何かと目立ちたがりの時期だったのだろう。「やってやろうじゃないか、“出る杭”になろうぜ!」と、遊び仲間と意気がっていたのを思い出しながら…。
 
   もちろん、本書でいう“出る杭”の意味は次元が違う。
 
   本書の趣旨は、パラダイムシフトが起きている今日的な環境下においては、横並び的な同調意識の人材では危機を乗り越えることができない…。イノベーティブなシステムを考え行動するような希少な人財、すなわち、“出る杭”的な存在が求められるのである。
 
   では、“出る杭”を伸ばすためにはどうしたらいいのだろうか。
 
 ① 年功序列的な発想をやめ、機会均等にすること
 ② 能力だけでなく、価値観教育の機会をつくること
 ③ 均一・同質だけでなく、多様性の価値を認識すること
 ④ 失敗に寛容な風土をつくること
 ⑤ 主体性を伸ばす教育をすること
 ⑥ 海外旅行を推進し、異文化に触れる機会をつくること
 ⑦ お互いの強みを活かし合う文化をつくること
 
   以上、“出る杭”を伸ばすためにはどうしたらいいかを考えてみたが、それと同時に大切なことは、自己責任である。“出る杭”となる一人ひとりが自己責任に対する自覚を持っているかどうかである。
 
   IG会計グループでは、一人ひとりが主体性を発揮できる職場にしたいと常に考えている。つまり、責任観をもった“出る杭”になってもらいたいのだ。そのためのシステムとして、「IG式目標管理」がある。
 
   各人が“出る杭”になるためにはどうしたらいいのか。月末・月初の二日間はそのための考える一日としてスケジュール化している。通常の仕事をせず、どうしたら“出る杭”になれるのか・・・。また、“出る杭”を磨くための一日でもある。
 
   これからも、“出る杭”を許容する文化を育て上げていきたいと考える。
 

1 2 3 40