古田会計事務所

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今週の考える言葉「出る杭」

考える言葉

出る杭

   昔からよく耳にしてきた言葉に、「“出る杭”は打たれる」という諺がある。日本って国の同調を求める文化からだろう。
 
   書棚を整理していると、『イノベーション思考』(黒川清 著)という本が目に止まり、手に取ってめくっていると、「“出る杭”になることを恐れるな」という章があり、読み返してみた。
 
   高校生の時だったが、単に何かと目立ちたがりの時期だったのだろう。「やってやろうじゃないか、“出る杭”になろうぜ!」と、遊び仲間と意気がっていたのを思い出しながら…。
 
   もちろん、本書でいう“出る杭”の意味は次元が違う。
 
   本書の趣旨は、パラダイムシフトが起きている今日的な環境下においては、横並び的な同調意識の人材では危機を乗り越えることができない…。イノベーティブなシステムを考え行動するような希少な人財、すなわち、“出る杭”的な存在が求められるのである。
 
   では、“出る杭”を伸ばすためにはどうしたらいいのだろうか。
 
 ① 年功序列的な発想をやめ、機会均等にすること
 ② 能力だけでなく、価値観教育の機会をつくること
 ③ 均一・同質だけでなく、多様性の価値を認識すること
 ④ 失敗に寛容な風土をつくること
 ⑤ 主体性を伸ばす教育をすること
 ⑥ 海外旅行を推進し、異文化に触れる機会をつくること
 ⑦ お互いの強みを活かし合う文化をつくること
 
   以上、“出る杭”を伸ばすためにはどうしたらいいかを考えてみたが、それと同時に大切なことは、自己責任である。“出る杭”となる一人ひとりが自己責任に対する自覚を持っているかどうかである。
 
   IG会計グループでは、一人ひとりが主体性を発揮できる職場にしたいと常に考えている。つまり、責任観をもった“出る杭”になってもらいたいのだ。そのためのシステムとして、「IG式目標管理」がある。
 
   各人が“出る杭”になるためにはどうしたらいいのか。月末・月初の二日間はそのための考える一日としてスケジュール化している。通常の仕事をせず、どうしたら“出る杭”になれるのか・・・。また、“出る杭”を磨くための一日でもある。
 
   これからも、“出る杭”を許容する文化を育て上げていきたいと考える。
 

今週の考える言葉「人財」

考える言葉

人財

   いつ頃からか、定かではないが、“人財”という文字が使われるようになった。
 
   かつてから使われていた「人材」と何が違うのだろう?ニュアンス的には分かっているつもりだが、少し明確にしておきたい。
 
   「イノベーション思考法」(黒川清 著)を再読していると、その点について述べてあったので参考にしてみたい。
 
   著者によると、“人財”という言葉が使われ出したのは、1990年代の中頃からのことではないかと述べているが、小生の記憶もそんな感じだ。人を、価値を生み出す「財」として認識することの大切さを言い表したのであろう。
 
   「人材」の「材」は材料の「材」、つまりこれまでは人は材料だとみなしてきたわけだ。それが、最近では、「材」を財産の「財」に代え、「人財」と表現することが増えてきているようだ。
 
   その時代背景としては、交通手段の発達とインターネットに代表される通信技術の革新に伴う、世の中のグローバル化も一役買っている。個々の人間力が生み出すローカルな価値が、ネットやメールを通じてグローバルに展開される状況が日常性に起こり、画一化された価値観は崩れ、多様化していく時代である。
 
   マーケットごとに異なる顧客ニーズを見極め、常に新しい発想で対応しない限り、生き残りが難しい…。画一化された仕事をこなす「人材」ではなく、市場の多様性に知恵を出し、適応できる“人財”が強く求められているのである。
 
   「人材」の場合には、仕事をする上で役立つ能力を重視し、代替可能なリソースとして捉えられる。一方、“人財”とはその人の持つ価値観(モノの考え方)を重視するので、他の人には代えがたい人という意味を持つ。
 
   以上が、「人材」と“人財”の違いだと考える。
 
   「人材」教育に必要なのは、その人の持つ能力・技術を高めることなので、画一化された一定の訓練を施しやり続けることで成長できる。だが、“人財”教育とはそうはいかない。人の価値観は十人十色である。
 
   まず、自分が身につけている価値観が正しいのかどうか、自己検証してもらう必要がある。自分本位な価値観で生きていないか?相手の立場に立って、自分と価値観の違う人を理解し、受け入れようとしているのか?
 
   グローバルな時代に必要とされる“人財”を育成しようとするためには、価値観(モノの考え方)を重視する必要があると考える。
 

今週の考える言葉「国際会議」

考える言葉

国際会議

   3月16(土)~21(木)日まで、日本M&A協会(=日本M&Aセンター)主催の「マドリード国際会議」へ参加するためにマドリード(スペイン)へ行った。
 
   関空からドバイ経由でマドリード入りしたのだが、丸一日がかりの移動であった。飛行時間は、関空からドバイが約11時間、ドバイからマドリード約8時間である。
 
   日本との時差だが、スペインが-8時間。つまり、スペインの方が遅れている(ドバイとの時差は、-5時間と、少しややこしい)。
 
   長旅であったが、翌17日の昼12:40(日本時間で20:40)に無事、マドリードに着く。それから市内観光を終えて、夕方にホテルにチェックイン。ホテル近くのレストランで夕食を済ませ、時間の感覚も定かでないまま、寝てしまう。
 
   マドリード2日目(18日)は、朝10時から夕方18時まで丸一日“国際会議”があり、歓迎夕食会へと続く。
 
   毎回、充実したカリキュラムが準備されていて、あっという間の一日であったが、今回の「スペシャルゲスト講演」は、元プロサッカー選手の大久保嘉人氏。ファシリテーターの質問や意見に応える形で語る彼の言葉には、好きなサッカーへの情熱を貫くメンタリティが伝わってきて、あっという間の60分であった。
 
   彼の前向きな生き方、話の随所で感じる判断力や決断力の素晴らしさは、企業経営者としても学ぶべきところがたくさんあった…。
 
   彼は長崎の国見高校の出身だったので、同郷のよしみで、講演後の懇親会でも少し話す時間があったが、人柄の良さも感じることができ、サインまで頂戴した次第である。講演依頼は、日程さえ合えばいつでも大丈夫だという返事だった。
 
   他にも、Ja‐BIGの会員でもある小久保、松下両先生らによるパネルディスカッションでは、会計事務所がとるべき成長戦略について有意義な意見を聞くことができた。
 
   さらに、柴田昇先生(ミカタグループ総代表)の事務所経営に関する話も興味深く聴くことができた。
 
   “国際会議”の歴史を調べてみると、1994年の上海から始まって30年になる。コロナなどで3回ほど中止になり、今回が27回目である。その間、世界の主要都市を中心に見聞を広げることができて、有意義な時間を過ごすことができた。
 
   全国各地で活躍している会計事務所が海外で一堂に会して、脱日常性の中で、情報交流を行い、懇親を深める機会は滅多にないので、貴重な体験となる。
 
   コロナ後の新たな事業展開において、M&Aは出口戦略及び成長戦略のいずれの手法としても、しっかりと学んでおく必要があると考える。
 

今週の考える言葉「バッファ」

考える言葉

バッファ

   先週の”考える言葉”シリーズで紹介した『エッセンシャル思考~最小の時間で成果を最大にする』(グレッグ・マキューン著)の中に、“バッファ”という言葉に触れてある章がある。
 
   “バッファ”とは英語で「buffer」と表記され、「余裕」「緩衝」「ゆとり」の意味を持つ。最悪の事態を想定し、“バッファ”をとることの大切さを説いているのだ。
 
   IG会計グループでは創業の当初から、「先見経営・先行管理」の重要性を説き、経営計画策定をベースとした未来会計の実践をサポートしてきたのであるが、その効用を一言でいうと、“バッファ”であるといえるのではないか…。
 
   21世紀という今の時代は、3000年紀における最初の世紀でもあるが、過去の延長線上で未来を捉えることができない時代だと言われている。つまり、予測不可能な世界に住んでいるのだ。
 
   世の中に確実なことなどないということだ。だからこそ、何が起こってもあわてないように、あらかじめ備えておく必要がある。つねに“バッファ”をとっておくことだ。
 
   つまり、あんしん経営を維持したければ、リスクに備え、徹底的に準備をするしかないのである。つまり、リスクマネジメントの徹底だといえよう
 
   リスクマネジメント戦略を立てるにあたって、次の5つの質問を考えてみよう。
 
 ① この仕事(事業)にはどんなリスクがあるか?
 ② 最悪の場合、どんなことになりうるか?
 ③ 周囲の人への影響はどのようなものがあるか?
 ④ そのリスクは自分(会社)にとってどの程度の経済的負担となるか?
 ⑤ リスクを減らすためにどのような投資を行うべきか?
 
   何事においても成果を出せる人ほど、すべてが思い通りにはいかないことを知っている。未来が予測不可能であるという現実を受け入れているのである。だからこそ、不測の事態が引き起こすダメージをできるだけ緩和するために、あらかじめ“バッファ”を計画に組み込んでおくのである。
 
   そのためには、➀ つねに最悪の事態を想定すること、② 準備と計画に全力を注ぐこと、③ 希望的観測をせず、見積もりは1.5倍で考えることなどが重要だ。
 
   車の運転でいうと、十分な車間距離をとることだ。“バッファ”をとることで、周囲の車の思わぬ動きに対応できる。急ブレーキを踏まずにすむし、万が一の事故を防いでくれる。仕事においても同じようなことが言える。仕事においては、パートナー同士でお互いにバッファをチェックし合うことも大切であろう。
 

今週の考える言葉「エッセンシャル思考」

考える言葉

エッセンシャル思考

   「人生は選択の連続である」というフレーズ、かの有名なシェイクスピアが言ったといわれる名言である。
 
   高校の頃だったが、今後の進路をどうするかという話で、担任の先生が語ってくれたことを今でも覚えている。
 
   「君たちは若いから、いくらでも“選択肢”はある。自分が志望する進路をしっかり考えなさい」と。そしてさらに、「選ぶのは君たちの自由だ。だが、選ばれるかどうかという問題もあるぞ」と。つまり、選択の自由があったとしても、それに見合うだけの実力がなければ思うようにはいかないということだ。
 
   最近読んだ本に、『エッセンシャル思考~最小の時間で成果を最大にする』(グレッグ・マキューン著)がある。
 
   エッセンシャル(essential)とは「本質的な」という意味だが、“エッセンシャル思考”とは「大事なことを見極め、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最高のパフォーマンスを発揮するための技術」である。
 
   つまり、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方だという。「今、自分は正しいことに力を注いでいるのか?」と絶えず問い続けるのが“エッセンシャル思考”の生き方である。
 
   そのためには、“エッセンシャル思考”の基礎となる、次の3つの考え方をしっかりと理解しなければならない。
 
① 選択
「選ぶ」という行動を自分のものにしなければならない。つまり、「選ぶという行為」に自覚的でなければならない。選ぶ能力は誰にも奪えない。ただ、本人が手放してしまうだけだ。(学習性無力感)
 
② ノイズ
大多数のものは無価値である。「成果の80%は20%の努力に起因する」という「80対20の法則」を忘れないことだ。
 
③ トレードオフ
「何かを選ぶことは、何かを捨てること」 誰かに決められる前に、自分で決めることだ。戦略には選択とトレードオフがつきものだ。独自性を意図的に選びとるのである(マイケル・ポーター)。
 
   “エッセンシャル思考”とは、「99%の無駄を捨て、1%に集中する方法」であるという。人生を振り返ってみると、非エッセンシャル思考的な生き方をしてきたかと反省せざるを得ない。
 
   「賢く生きる者は、不要なものを排する」という。「やると決める」「大事なものはめったにない」「何でもできるが、全部はやらない」を肝に銘じたい。
 

今週の考える言葉「仕事力」

考える言葉

仕事力

   社会人なら誰しも、「仕事ができるようになりたい」と思っている。では、仕事ができる人、つまり“仕事力”がある人とは、どんな人をイメージするだろうか?
 
   “仕事力”がある人とは、仕事ができ、成果を出せる人。周囲から評価を得られる人のことをいう。
 
   “仕事力”には、仕事に対する関わり方において次の3つの段階があるのではないだろうか。
 
(1)自己処理能力(作業者レベル)・・・自分に与えられ、任された仕事をきちんと責任もって処理する能力。
(2)協働する能力(管理者レベル)・・・部門・部署の仕事を役割分担化し、部門管理を徹底し、協力体制を管理し、成果を出す能力。
(3)任せる能力(経営者レベル)・・・組織の目的に沿って、組織全体を統合し、組織力で成果を出せる経営手腕能力。
 
   ただ、いずれの段階においても、仕事に対する基本的な考え方は同じで、
① 常にベストを尽くすこと
② 生産性に対するバランス感覚を持っていること
③ プライドが高すぎないこと
以上の3点が求められる。
 
   また、仕事ができる人の特徴としては、次の5点を挙げることができるだろう。
 
① 行動力がある
② リサーチ力があり、学習意欲が高い
③ 課題発見力がある
④ セルフマネジメント(自己管理)能力が高い
⑤ 身だしなみに気を配っている
 
   ザっと、“仕事力”があると感じられる人の特徴を述べてみたが、一言でいうと、「魅力的な人」だと言えよう。つまり、「あの人のように、なれたらいいな!」という願望であり、「また、あの人に頼みたい!会いたい!」という信頼である。
 
   こう考えると、“仕事力”というのは、単に仕事ができるという能力的なものではなく、「人間性」。つまり、「人間力」が問われるのではないだろうか。
 
   自他非分離の思考(統合の価値観)で、常に相手の立場を考え、行動できる価値観のレベルが高い人だと考える。
 

今週の考える言葉「五方良し」

考える言葉

五方良し

   先週の2月8日(木)、IG新春セミナーを開催した(会場:ホテルニュー長崎)。2021年以降3年間コロナ騒動で開催できずにいたので、4年ぶりである。気にかけていた集客も順調で、参加者の方々にも喜んで頂けたようだ。(感謝)
 
   当セミナーのテーマは、『逆境こそチャンス!~必ず流れは変わる』で、次の要項で行われた。
 
第1部【講演】 「逆境こそチャンス!流れは必ず変わる」(講師:小生)
第2部【講演】 「日本で一番大切にしたい会社~経営者・経営幹部としての心得」(講師:経営学者 坂本光司先生)
第3部 懇親会&名刺交換会
 
   ここでは、坂本先生の講演内容について、少し紹介したいと思う。
 
   先生の持論であるが、「日本で一番大切にしたい会社」とは、次のような会社をいう。
 
① 損得ではなく善悪をモノサシに経営をしている会社
② 手段や結果ではなく、経営の目的・使命を大切にしている会社
③ 関係する人々が程度の差こそあれ幸せを実感している会社
④ 一方ではなく、常に、“五方良し経営”を実践している会社
⑤ 大切な人に就職を紹介したい会社
⑥ 棺の中に会社の制服を入れたいような会社
⑦ もう一度生まれ変わっても就職したい会社
⑧ お天道様に顔向けできるような経営を実践している会社
⑨ 神様にご褒美をいただけるような経営を実践している会社
⑩ 地域社会が無くてはならない企業と評価・位置付けされている会社
 
   そして、“五方良し経営”とは、企業経営において、とりわけその幸せを追求・実現しなければならない人で、次の5人であるという。
 
 ① 社員とその家族
 ② 社外社員のその家族
 ③ 現在顧客と未来顧客
 ④ 地域住民、とりわけ障がい者等社会的弱者
 ⑤ 株主・支援機関
 
   今までも、何度か講演も聴き、書物も呼んでいるが、何度聴いても歯切れがよく、心にしみる内容である。今も、『経営者のノート』(坂本光司著)を手に取って読み直しているところである。
 

今週の考える言葉「良い計画」

考える言葉

良い計画

   今年も、あっという間に一ヵ月が過ぎたが、今年一年はどんな年になるのだろう…。いや、どんな一年にしようとしているのか。
 
   「一年の計は元旦にあり」という言葉がある。戦国武将・毛利元就が言った言葉だそうで、何事も最初が肝心であるということを意図している。
 
   IG会計グループでは、毎年1月の初旬に「新年発表会」を開催している。今年も、各部門・個人が掲げている今期の目標を発表してもらったばかりである。ここ数年、若い人財も増えて、未来志向の雰囲気が一層、組織全体に漂っているような気がしてワクワクしている。
 
   案の定、発表された数値目標も前向きで、ハードルが高い感がするが、聞いていて心地よいものであった。
 
   よく“良い計画”を作ったとしても、「所詮、絵に描いた餅だ」という人がいるが、「良い計画=実現できる計画」だとは思わない。肝心なのは、「今、未来に向かって一歩踏み出せるかどうか」である。
 
   “良い計画”をつくると、次のようなことが言える。
 
 ① アイデアをカタチにできる。
 ② 事業の強みや魅力を伝えることができる
 ③ 客観的な意見でブラッシュアップできる
 ④ 優先すべきことを明確にできる
 ⑤ しっかりとした売上目標がつくれる 
 ⑥ 戦略・計画の根拠が説得力を増す
 ⑦ 必要最小限の利益がわかる
 ⑧ 資金調達ができる
 ⑨ プレゼンがしやすくなる
 ⑩ 協働行為の体制が可能となる
 
   「先見経営・先行管理」を実践するには、“良い計画”の作成をベースに「仮説~実践~検証」の経営サイクルを繰り返し、繰り返しやり続ける必要がある。そのプロセスで、いろいろな気づきが生まれ、成長を実感できるようになる。
 
   “良い計画”を作成するには、➀ まず前提条件が明確であること(俯瞰と決定)、② 論理的に検討されていること(構造化)、③ しっかりとした予測がなされていること(想像力)などが挙げられる。
 
   やり続けることによって、“良い計画”作成が習慣化されるといえよう。
 

今週の考える言葉「5つの質問」

考える言葉

5つの質問

   『IG後継者育成塾』の第8期(2年間)がスタートした。
 
   一期を終了するのに2年間を要するので、受講生もそれなりの覚悟を決めて参加してもらうことになる。第1期目を開催したのが2008年(平成20年)であるから、ロングランの企画ものだといえよう。
 
   その背景には、戦後生まれの団塊の世代の高齢化も一因となっているのだろう。
 
   「中小企業2030年消滅?~社長の年齢、14年後80歳前後に」(日経新聞2016年6月6日付け)という衝撃的な第一面の記事を今でも鮮明に覚えている。
 
   さて、この育成塾の目的は、創業者の志を継承する「人材」を育成することにある。
 
   そのために習得すべき最大のテーマは、「自己革新力」。
 
   そして、それは➀ 思考力、② 数字力、③ モチベーション力という3つの要素を高めることによって培われるものだと考え、カリキュラム化している。
 
   これらを総称して一言でいうと、『マネジメント』だといえよう。その提唱者であるドラッカーが、『マネジメント』を理解するために準備してくれたのが次に掲げる“5つの質問”である。
 
 ① われわれのミッションは何か?
 ② われわれの顧客は誰か?
 ③ 顧客にとっての価値は何か?
 ④ われわれにとっての成果は何か?
 ⑤ われわれの計画は何か?
 
   ドラッカーは、『マネジメント』を次のように定義している。
 
   「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」であると。そして、その『マネジメント』をうまく活用して、成果に結びつけているかどうかを自己評価するための手段として“5つの質問”を準備してくれたのだろう。
 
   非常にシンプルな質問であるが、実際にやってみると経営の本質が見えてくるから不思議なものだ。
 
   “5つの質問”を自らの経営に生かすために心がけておくべきことは2つある。
 
 ① まず一つは、常に問い続ける姿勢が大切である。
 ② それから次に、主語が「われわれ」ということはトップ一人ではなく、みんなで行うことが大切である。
 
   「迷ったら、原点」という言葉があるが、変化の激しいご時世である。ドラッカーから授かった知恵を大事にしながら、正しい経営に勤しみたいと思う。
 

今週の言葉「聞け、話すな」

考える言葉

聞け、話すな

   自宅の書棚を整理していると、P・F・ドラッカー自身の著作とドラッカーに関連する本を合わせると100冊ほどの本があった。月に4~5冊ほど再読し、各要約文を作成したとしても2~3年はかかりそうだ…。新年早々、余暇の楽しみの一つができて、少し嬉しい気分である。
 
   早速だが、『経営者の条件』の冒頭に、成果をあげる人たちが身につけている習慣として、次の「8つの習慣」を紹介している。
 
 ① なされるべきことを考える (優先順位をつけ、一点集中)
 ② 組織のことを考える (組織人としての自覚)
 ③ アクションプランをつくる (実行する)
 ④ 意思決定を行う (周知徹底させること)
 ⑤ コミュニケーションを行う (情報ニーズ)
 ⑥ 機会に焦点を合わせる (変化はチャンス)
 ⑦ 会議の生産性をあげる (事前に目的を明らかにすること)
 ⑧ 「私」でなく「われわれは」を考える (自分の都合に捉われない)
 
   「彼らは、これら8つのうち最初の2つによって知るべきことを知り、次の5つによって成果をあげた。残りの一つによって組織内の全員に責任感をもたらした」という。
 
   そして、これら「8つの習慣」にもう一つおまけを加えたいといって、“「聞け、話すな」”を掲げている。
 
   習慣とは、天賦の才能ではない。「反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと」(広辞苑)である。
 
   目標管理に基づいて行動計画書を作成し、PDCAサイクルを繰り返し、繰り返し実行することによって、「8つの習慣」は身につくものであると確信している。
 
   ここに掲げる「8つの習慣」はいずれも納得させられる内容ばかりであったが、最もハッとさせられたのは、おまけで加えたという“「聞け、話すな」”という習慣であった。
 
   職業柄、聞かれたことに答えること、講演を頼まれて話すことに慣れてしまい、回答力や講演力を鍛える努力ばかりに気がいっていたのだろう。“「聞け、話すな」”という言葉に触れて、ハッとさせられた若かりし頃のことを、今でも思い出す…。
 
   磨くべきは回答力ではなく、質問力だと気付かされ、質問力に関する本を数冊買ってきて読み漁った。そして、話すことを控え、まず聞くことを心がけるようにした。効果はテキメンだった。相手の真意が理解できるようになったし、相手もまた、こちらの話しをよく聞いてくれるようになった。ホントに、“「聞け、話すな!」”である。