古田会計事務所

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今週の考える言葉「5つの質問」

考える言葉

5つの質問

   『IG後継者育成塾』の第8期(2年間)がスタートした。
 
   一期を終了するのに2年間を要するので、受講生もそれなりの覚悟を決めて参加してもらうことになる。第1期目を開催したのが2008年(平成20年)であるから、ロングランの企画ものだといえよう。
 
   その背景には、戦後生まれの団塊の世代の高齢化も一因となっているのだろう。
 
   「中小企業2030年消滅?~社長の年齢、14年後80歳前後に」(日経新聞2016年6月6日付け)という衝撃的な第一面の記事を今でも鮮明に覚えている。
 
   さて、この育成塾の目的は、創業者の志を継承する「人材」を育成することにある。
 
   そのために習得すべき最大のテーマは、「自己革新力」。
 
   そして、それは➀ 思考力、② 数字力、③ モチベーション力という3つの要素を高めることによって培われるものだと考え、カリキュラム化している。
 
   これらを総称して一言でいうと、『マネジメント』だといえよう。その提唱者であるドラッカーが、『マネジメント』を理解するために準備してくれたのが次に掲げる“5つの質問”である。
 
 ① われわれのミッションは何か?
 ② われわれの顧客は誰か?
 ③ 顧客にとっての価値は何か?
 ④ われわれにとっての成果は何か?
 ⑤ われわれの計画は何か?
 
   ドラッカーは、『マネジメント』を次のように定義している。
 
   「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」であると。そして、その『マネジメント』をうまく活用して、成果に結びつけているかどうかを自己評価するための手段として“5つの質問”を準備してくれたのだろう。
 
   非常にシンプルな質問であるが、実際にやってみると経営の本質が見えてくるから不思議なものだ。
 
   “5つの質問”を自らの経営に生かすために心がけておくべきことは2つある。
 
 ① まず一つは、常に問い続ける姿勢が大切である。
 ② それから次に、主語が「われわれ」ということはトップ一人ではなく、みんなで行うことが大切である。
 
   「迷ったら、原点」という言葉があるが、変化の激しいご時世である。ドラッカーから授かった知恵を大事にしながら、正しい経営に勤しみたいと思う。
 

今週の言葉「聞け、話すな」

考える言葉

聞け、話すな

   自宅の書棚を整理していると、P・F・ドラッカー自身の著作とドラッカーに関連する本を合わせると100冊ほどの本があった。月に4~5冊ほど再読し、各要約文を作成したとしても2~3年はかかりそうだ…。新年早々、余暇の楽しみの一つができて、少し嬉しい気分である。
 
   早速だが、『経営者の条件』の冒頭に、成果をあげる人たちが身につけている習慣として、次の「8つの習慣」を紹介している。
 
 ① なされるべきことを考える (優先順位をつけ、一点集中)
 ② 組織のことを考える (組織人としての自覚)
 ③ アクションプランをつくる (実行する)
 ④ 意思決定を行う (周知徹底させること)
 ⑤ コミュニケーションを行う (情報ニーズ)
 ⑥ 機会に焦点を合わせる (変化はチャンス)
 ⑦ 会議の生産性をあげる (事前に目的を明らかにすること)
 ⑧ 「私」でなく「われわれは」を考える (自分の都合に捉われない)
 
   「彼らは、これら8つのうち最初の2つによって知るべきことを知り、次の5つによって成果をあげた。残りの一つによって組織内の全員に責任感をもたらした」という。
 
   そして、これら「8つの習慣」にもう一つおまけを加えたいといって、“「聞け、話すな」”を掲げている。
 
   習慣とは、天賦の才能ではない。「反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと」(広辞苑)である。
 
   目標管理に基づいて行動計画書を作成し、PDCAサイクルを繰り返し、繰り返し実行することによって、「8つの習慣」は身につくものであると確信している。
 
   ここに掲げる「8つの習慣」はいずれも納得させられる内容ばかりであったが、最もハッとさせられたのは、おまけで加えたという“「聞け、話すな」”という習慣であった。
 
   職業柄、聞かれたことに答えること、講演を頼まれて話すことに慣れてしまい、回答力や講演力を鍛える努力ばかりに気がいっていたのだろう。“「聞け、話すな」”という言葉に触れて、ハッとさせられた若かりし頃のことを、今でも思い出す…。
 
   磨くべきは回答力ではなく、質問力だと気付かされ、質問力に関する本を数冊買ってきて読み漁った。そして、話すことを控え、まず聞くことを心がけるようにした。効果はテキメンだった。相手の真意が理解できるようになったし、相手もまた、こちらの話しをよく聞いてくれるようになった。ホントに、“「聞け、話すな!」”である。
 

今週の考える言葉「ストレッチ目標」

考える言葉

ストレッチ目標

   先週末(13日)は、IG会計グループ『行動計画書』の発表会だった。
 
   今年は、中期5ヵ年計画『Breakthorough10』(2020~2024年)の最終年度となる。そのせいもあるのだろう、各部門及び個人の目標はいずれも、かなりストレッチの効いたものになっている。聴いていて、とてもうれしい気分にさせられた…。
 
   「ストレッチは人を成長させる」と考え、“ストレッチ目標”(Stretch targets energize)を提唱したのは、GEの最高経営責任者であったジャック・ウェルチ(1935~2020年)である。
 
   “ストレッチ目標“とは、個人や組織において「背伸びして工夫することではじめて手が届く」ような難易度に設定された目標のことである。
 
  ウェルチは、自分の能力の限界まで最大限の努力を重ね、さらにその先を目指すことに価値があると信じていた。不可能と思える目標も、達成しようと努力することで可能となることがあるし、たとえ目標が達成できなくとも、その目標を設定しなかった時よりもはるかによい結果に結びつく、と考えていた。
 
   「星に届くまでストレッチせよ」が、それを象徴する言葉である。
 
   この考え方に関しては、P・ドラッカーも同じ考え方をしていたようで次のような言葉を残している。
 
   「多くを求めるならば、何も達成しない者と同じ程度の努力で、巨人にまで成長する」(『プロフェショナルの条件』)。
 
   “ストレッチ目標”を設定する際のポイントとして次のような点が考えられる。
 
 ① 能力の見極め
 ② 個人に合わせた目標設定
 ③ 目標設定後のフォロー
 ④ ポジティブフィードバック
 
   そして、“ストレッチ目標”を設定するメリットとしては、➀パフォーマンスの最大化、②達成感、③生産性の向上などがある。
  
   今年度の基本方針である『逆境こそチャンス!~流れは必ず変わる』とは、まさに“ストレッチ目標”を掲げる絶好の機会だと考えている。
 
   また、年齢や立場に関係なく、いつでも成長したいという欲求を持ち続けている以上はストレッチする機会がある。そのためにも、“ストレッチ目標”は誰にとっても大切なものだ。
 
   今年一年もストレッチの効いた目標を掲げ、精進していきたいと考える。
 

今週の考える言葉「継続学習」

考える言葉

継続学習

   かつて「生涯学習(life‐long education)」の名のもとに、従来の学校教育中心の考え方を脱却し、社会人になってからも広く、長く、学習機会を持つことの重要性が盛んに言われるようになった時期があった。
 
   理士という知的サービス業に関わっている者としては、新しい知識の習得は仕入れのようなものだから、専門書はもちろん一般書を読んだり、各種セミナーにも積極的に参加したり、継続的に学習をやり続けてきたつもりである。
 
   だが、多くの社会人にとって、日常業務に追われ、夜のお付き合いもあるしで、帰宅してから机に向かい、新しいことを学ぶという時間がめっきり減った人が多いのではないだろうか。
 
   P・F・ドラッカーは、「少年期や青年期に学んだことは、その後の人生においてそこから離陸すべきスタート台に過ぎなくなる」と述べ、“継続学習”や自己啓発の機会を持つことの重要性を説いている。
 
   確かに、今の時代、AIの進化を始めとしてあまりに変化が激しく、せっかく学んで身につけた知識や経験がすぐに陳腐化してしまい、うかうかしていると時代に取り残されてしまうのも事実である。
 
   では、このような時代環境の中で、私たちはどうすればいいのだろうか?ドラッカーは次の3つのこと挙げている。
 
 ① 日常生活の中に“継続学習”を組み込む
 ② 常により優れたことを行うように努める
 ③ 新しい仕事が要求するものは何かを考える
 
   人生100年時代の到来がさかんに言われている。しかも、環境の変化が激しく、組織の寿命よりも人間の寿命の方が長い時代となる。
 
   学校を卒業して企業に就職すれば、その後は終身雇用制によって定年まで安定した生活を送ることができるという制度は、すでに成り立たなくなっているのである。
 
   また、ドラッカーは「教育は経験や知恵を与えることはできない」とし、「人は仕事を通して磨かれる」と述べている。
 
   つまり、“継続学習”の最良の機会は仕事をする職場そのものにあるということである。共に働く者は、そのことを意識して協働行為を体系化していくべきだと考える。
 
   IG会計グループでは、経営理念にも「互いに切磋琢磨する」ことを掲げ、“継続学習”の重要性を掲げて、「早朝勉強会」や月末・月初に「考える一日」を設けて、組織としても学習することを心がけている。
 

今週の考える言葉「思考逃避」

考える言葉

思考逃避

 
   日常性を振り返ってみたとき、自分が“思考逃避”に陥ったことがないかどうか、考えてみよう。あるとすれば、その原因は何だったのか?
 
   ずいぶん前に購入した本だが、『プロフェショナルシンキング~未来を見通す思考力』(BBT大学編)の中で、組織の中で“思考逃避”をもたらすバリア(障壁)として次の3点を指摘してあったので紹介しておきたい。
 
 ① 空気を読みすぎる
 ② 他人の言うことを鵜呑みにする
 ③ 組織の作法を重視する
 
   以下、➀から③について、もう少し踏み込んで考えてみたい。
 
   まず➀の「空気を読みすぎる」であるが、同質性の強い組織には無言のルール、当たり前の行動が蔓延しており、その組織にしみ込んだ慣習がみんなに空気を読むことを強要し、本来の思考力が削られてしまっているという。例えば、会議の場で発言しない出席者が異様に多いなどは要注意である。
 
   次に②の「他人の言うことを鵜呑みにする」であるが、相手との間の摩擦を極力なくす方向で思考が無意識に動いていると考えてみよう。「相手の要求は的外れかもしれない」と自問し、その場で「なぜか」という質問をしてみることだ。そうすれば、より根源的な課題が見えてくるかもしれない。
 
   そして③の「組織の作法を重視する」であるが、組織の規範となる思考を、大きく2つのパターンに分けて考える。
 
   一つは、「結果インパクト重視」の思考。議論の中身を重視し、その結論の実現のために有効な方法論を考えるもの。もう一つは、「手続き重視」の思考。根拠・規定・権限などに沿って正しい手続きを踏むことを最重視したもの。
 
   特に思考逃避を生み出しやすいのは、二つ目の「手続き重視」の思考が蔓延した組織の場合である。
 
   以上のように、われわれの仕事や生活環境には、油断すると、“思考逃避”に陥りやすい罠が潜んでいることを十分に自覚しておく必要があるだろう。
 
   その上で、日常のシーンを振り返って、自分が“思考逃避”に陥ったことがないかを考え、その原因は何であったかを考えてみよう。
 
   激変で、未来が読めない時代環境にある。いつまでも繰り返しの定型業務だけでうまくいく仕事などあるはずがない。“思考逃避”には気をつけたいと思う。
 

今週の考える言葉「経営戦略」

考える言葉

経営戦略

   経営会議の中で、よく耳にするのが“経営戦略”という言葉…。その言葉について少し整理しておこう。
 
   先ず、「経営戦略とは何か?」 その定義を明確にする。
 
(定義)
競争優位性を出すために、事業を選択し、選択した事業に経営資源を集中投入すること。
 
(戦略の前提)
 ① 経営環境…既に成熟化した会計業界(例)
 ② 経営理念(目的と使命)…IG経営理念
 ③ 自社の強み…未来会計の伝道師
 
(戦略の3要素)
 ➀ 市場(誰に)…中小企業
 ② 商品(何を)…未来会計(IG式目標管理システム)
 ③ 流通チャネル(どのように)…顧客・同業者からの口コミ
 
   21世紀は「パラダイムシフトの時代である」といわれているように、グローバル化の進展やAIの普及、ニーズの多様化、競争環境の激変など、現在変化のスピードがますます増してきている状況だ。
 
   経営戦略策定の基本的なプロセスとしては、次のような手順となる。
 ① 経営理念・ビジョンの策定
 ② 外部環境分析
 ③ 内部環境分析
 ④ 戦略オプションの立案
 ⑤ 戦略の選択(経営資源配分)
 ⑥ 戦略の実行
 ⑦ 戦略のレビュー
 
   最近(今年に入って)、IG会計グループで20数年前からやり続けている『将軍の日』(中期5ヵ年計画策定セミナー)への参加者が増えてきている。会場の都合もあり、一日8社程度しか席が準備できないのであるが、満席状態が続いている。
 
   コロナ発症後4年目に入った今年は、いつまでもコロナ、コロナと言ってはいられないという危機感からだろうか、人の移動が始まったようだ。コロナ後に向けて、出遅れないための“経営戦略”をしっかりと確立したいと思う。
 

今週の考える言葉「成果」

考える言葉

成果

   今までも何度となく取り上げてきたテーマであるが、改めて“成果”について考えてみたい「マネジメントの父」と称されるP・F・ドラッカー(1909~2005年)は、その著書の中で「マネジメント」と「マネージャー」を次のように定義している。
 
   「マネジメント」=組織に“成果”を上げさせるための道具・機能・機関。
 
   「マネージャー」=組織の“成果”に責任を持つ人物。
 
   そして、「マネジメント」で「“成果”をあげる原則」として、次の7つを指摘している。
 
 ① 強みに集中する
 ② 強みをさらに伸ばす
 ③ 知的傲慢を正す
 ④ 悪い癖をなおす
 ⑤ 人への接し方や対処の仕方を改善する
 ⑥ “成果”が上がらないことには手をつけない
 ⑦ 努力しても並みにしか慣れない分野にムダな時間を使わない
 
   さらに、これらの「成果を上げる原則」を身につけるためには、次のようなことを習慣化する必要があるという。
 
 習慣➀:ビジョンと目標をもって行動する
 習慣②:1つのことに集中する
 習慣③:定期的に検証と反省を行う
 習慣④:新しい仕事が要求するものを考える
 習慣⑤:あらかじめ期待値やそのための行動を書き留めておく
 習慣⑥:自分の強みを知り、それを活かす
 
   IGグループでは、ドラッカーが提唱した『目標管理』を『IG式目標管理』としてシステム化し、自己管理ができる人材育成を目指している。自らが掲げた目標の達成に主体的に取り組んでもらう。
 
   そのとき、自らが選び、掲げた目標に組織全体で共通すべき課題があることを認識できたとき、その成果に対して責任の共有を自覚できるようになる。このような成果に対する組織としての習慣化は、良好な人間関係の形成にも寄与することになるだろう。
 

今週の考える言葉「仕事ぶり」

考える言葉

仕事ぶり

   組織の目的は、メンバーの強みを生かし合い全員の協働(コラボレーション)によって成果を上げることにある。
 
   そこで問題となるのが、メンバーの強みをどうしたら発見し、引き出すことができるのか、である。人間は、他人の短所(弱み)にはよく気づくが、長所(強み)を見逃すというか、認めたがらないところがあると、言われる。
 
   しかし、主観や個人的な感情に流されてしまっていたとしたら、互いに大切な経営資源を無駄にしてしまっていることに気づくべきであろう。
 
   協働の精神を培い、より大きな成果を出したいなら、もっとメンバーの強みに目を向ける努力を大切にしたいと思う。では、そのためには、どうしたらいいのだろうか。
 
   ドラッカーによると、お互いに、次のような心構えや“仕事ぶり”を確認し合うことが大切だという。
 
① 目標や成果の基準を自ら高くして挑戦することを習慣にしているか
② 問題ではなく機会に焦点を合わせて、意思決定や行動をしているか
③ 経営理念など組織の価値観に沿って行動しているか
④ 自分の成長だけでなく、他者の成長を手助けしているか
⑤ 肩書に左右されずに、何が正しいかを考えて判断・行動しているか
⑥ 自分や他人の強みを生かすマネジメントをしているか
⑦ 経験をうまく生かしているか
⑧ 誠実であるか
 
   IG会計グループでは、創業間もないことから、「IG式目標管理システム」を導入し、自己分析の機会をつくっているが、偏りをなくし、衆知を集める機会として月末・月初の二日間を「考える一日」と称して、みんなで話し合い、気づき合う場をつくっている。
 
   “仕事ぶり”とは、仕事に取り組む心の姿勢の問題だと考える。そのためには、私たちの価値観(=考え方)のベースとなる「IG経営理念」を反芻し、日々、自らを見つめ直すことが大切であろう。
 
   仕事に対して共通の価値観を持ったもの同士が、お互いの“仕事ぶり”に対して率直に感じたことを言い合う場があれば、「自分自身を正しく知る」いい機会が存在していると言える。
 
   「強みと弱みは表裏一体!」だという考えがある。どんな感想であろうと、それをどう受け止めるかは自分自身の問題である。自らの“仕事ぶり”を見直すいい機会を得たと考え、前向きに精進していきたいものだ。
 

今週の考える言葉「先送り」

考える言葉

先送り

   人間には厄介な性質がある。それは、“先送り”の傾向があることだ。
 
   目先の緊急な課題にはすぐに対処するものの、遠い未来の緊急な課題に関しては、「まだ先のことだから」と“先送り”する傾向である。
 
   コロナの発祥がその傾向を一層強めているような気がしてならない。「コロナだからしょうがないよね…」という言葉をよく耳にする今日この頃だ。
 
   コロナ禍であろうが、コロナ後であろうが、われわれ経営者が取り組むべきマネジメントの課題は、常に存在しているし、“先送り”していい問題など一つもないはずであり、そう心得ておくべきだろう。
 
   変化の激しい時代なので、未来を予測することが非常に難しいといわれているが、確かな問題意識を持って、目の前にある現実を観察していると、未来に起こり得る変化の予兆がみえてくる。
 
   ドラッカーの言葉を借りていうと、「すでに起こった未来」があるのだ。
 
   この問題意識を高めるために効果的なのが、ドラッカーの提唱している『自己目標管理』(Management By Objectives and Self‐Control)であろう。
  
   IG会計グループでは、創業当初から「IG式目標管理システム」と称して、「ノルマ管理」ではなく、「自己管理」ができる主体的な人材育成することを目的として取り組んできたものであり、また、未来会計(=MAS監査)としてクライアントに提供し続けているサービスの一つでもある。
 
   今や、「人生100年時代」だといわれている。昔みたいに、学生を出て社会人となり、定年を迎えて第二の人生(余生)を生きるという、そう単純にはいかないだろう。“先送り”された課題は、その質を変えて新たな課題へと変わり、もっと難しくなって、悩みの種となりそうだ。
 
   21世紀は変革の時代である。生涯学習という言葉があるように、絶えざる継続学習が求められる時代であり、変わり続けていくことが求められる時代でもある。とても“先送り”できる余裕はないはずである。
 
   ドラッカーが提唱した「自己目標管理」を徹底し、「仮説(Plan)~実践(Do)~検証(See)」を繰り返し、繰り返し行うことによって、“先送り”しなくていいマネジメントのスタイルを確立する必要がある。
 
   今年になって、毎月2回開催している『将軍の日』(中期五ヵ年計画策定セミナー)への参加者が増えてきている。“先送り”していることへの健全な危機意識が芽生えている証拠だといえよう。ぜひ、参加を考えてみませんか!
 

考える言葉「平常心」

考える言葉

平常心

   東京~福岡と出張続きの一週間であった。東京や福岡での常宿に泊まったが、ほぼ満室状態で海外からの観光客もいっぱいであった。特に、韓国からの団体客が目立っていた。
 
   少しずつ、平常時に戻りつつあるようだ。しかし、どこでもマスク着用者は多く、機内で咳払いすると、じろっと睨まれたりもする。どこまで我々の“平常心”は戻ってきたのだろうか・・・。
 
   “平常心”といえば、幼いころ、近所で起きた火事の出来事を思い出す。
 
   小学生4~5年の頃だったと思うが、近所の幼友達の家が火事になったときのことだ。「カズオ、あんたもボッとしてないで手伝いなさい!」といわれ、一目散に火事場の庭に走っていった。そして、庭先にあった物干し竿をもって走り出した。「何やってんの!もっと大切なものがあるでしょ!」と、叱られた…。
 
   火事のような異常事態になれば、誰でも慌てる。気が動転してしまう…。妙にあのときのことを思い出しては、そんなとき自分だったら何を持ち出していたのか反芻することがある。
 
   今となれば、何を持ち出すべきかではなく、大切なことはどんな状況においても“平常心”を保てる自分であるかどうかである。
  
 2019年12月に、中国の武漢で変な病気が流行しているというニュースを耳にしてから4年目に入る。中国も大変だなと思っていたら、あっという間に世界中に広まり、日本でも翌1月に感染者が見つかり、ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が見つかり、大騒ぎになったことを思い出す。
 
   観光地長崎では、観光関連の事業や飲食店を筆頭に売上が激減したが、助成金や補助金で何とか資金がまわっていたため、「異常時だから、ジタバタしてもしょうがない…」と観念していた人が多かった。
 
   しかし、今年に入って将来のことが気になり始めた経営者が増えてきたのだろう。弊社が毎月2回開催している『将軍の日』(中期5か年計画策定セミナー)への参加者が増えてきている。
 
   “平常心”あるいは“正常心”に戻り始めた経営者が増えてきたのだと思う。平常に戻れば、“平常の心”が求められるのは当然のことである。
 
   やはり、「自らの未来は自らの手で描くしかない」のである。誰にも依存し、頼ることができないのがマネジメントの宿命である。
 
   “平常心”をつねに忘れず、勇気をもって未来を見据えていきたいと考える。