古田会計事務所

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今週の考える言葉「機会費用」

考える言葉

機会費用

   今年度第 1回目のIG全体会議(1月 29~30日)を終えたばかりである。会議というよりも、自己研鑽の場と考えている。
 
   各部署・各人ごと、自らの目標に対しての確認と検証を徹底して行い、全体の場で自らの気づきを発表する。当然ながら、手厳しい質問や意見が飛び交う。いい加減な検証をしていると、立ち往生となること必定だ・・・。
 
   真摯さが伝わらない人間が一人でも混ざっていると、場全体の空気がよどむ。メンバーの一人ひとりが希少な経営資源そのもの、その自覚が欲しいと思う。何人かの発表を聴いていて、そんな思いが頭の中をよぎると同時に、“機会費用”という言葉がふっと浮かんだ。
 
   “機会費用”(opportunity cost)とは、選択されなかった選択肢のうちで最善の価値のことである。希少性(使いたい量に対して使える量が少ないこと)によって迫られる選択に際して生じる。「そのことをすると、他のことがどれだけ犠牲になるか」計算するものを“機会費用”と呼ぶ。
 
   ある選択を行うことで失った(選択しなかった)ものの価値…。“機会費用”というのは見えない費用のことであるが、経営の意思決定を行う際に考慮すべき、非常に大切な概念であると考える。
 
   例えば、人材の採用には、“機会費用”のリスクがつねに伴う。しかも、一度採用を決めたらそう簡単にやめてもらうわけにはいかない。(もちろん、就職活動をしている側においても、選択の結果の“機会費用”を背負うのであるが・・・)
 
   中小企業では、付加価値の高い仕事があるにも関わらず、人手不足や能力不足がゆえにそのチャンスを逸してしまったという話をよく耳にする。すなわち、“機会費用”が生じているのである。
 
   人材における“機会費用”は、一つは採用時の選択ミス、もう一つは採用後の育成の仕方と適材適所によって生じると考えられる。さらにもう一つ付け加えると自己革新の機会を設けているかどうかであろう。
 
   「日常業務を社員ができる範囲でこなしているだけの時は、単なる作業でしかない。全く異なる環境に飛び込み、もう一段の飛躍のために絶対に成功させねばならない使命を背負った時に、初めて人は大脳が活性化し始める。組織も同じだ」(孫正義)どのような環境を選択するかで、その人や組織の“機会費用”に大きな影響を与えるであろうことを示唆している。
 
   人生は、「選択」の繰り返しの結果、つくられていくものだと思う。“機会費用”について、正しい認識をしておきたいと考える。
 

今週の考える言葉「運」

考える言葉


   「事業が成功するか否かは、“運の強さ”に左右される!」という考えがあるが、我々はどう反応したらいいのだろうか?
 
   人生はすべて「塞翁が馬」という諺があるように、人生って自分の意志で思うようにならないことがあることは事実である。この世に生まれたことだって自分の意志ではないし、その境遇を選べた訳でもない・・・。
 
   じぁ、“運”に任せて、「ケセラセラ~!」と気楽に、“運任せ”で生きるかというと、どうも合点がいかない自分がいる。それどころか、自らの手で“運命”を打開しようと、もがき、苦しんでいる自分がいる。
 
   そこで改めて考えてみた。そもそも、“運”って何なのだろうか・・・?
 
   “運”とは、その人の意思や努力では“どうしようもない巡り合わせ”を指す。そして、結果に対しての原因がうまく説明できないときに、私たちはよく「運が良かった!」とか「運が悪かった!」とか表現することがある。
 
   世の中には、『「原因」と「結果」の法則』(ジェームス・アレン)なるものが存在しているという。「私たちの心の中の“思い(原因)”が、私たち自身の“環境や運命(結果)”を創り出している」と・・・。
 
   小生は、「未来会計~自らの手で未来を創ろう!」という経営のあり方を経営者の方々に推奨し続けている。それは、経営の意思を明確にして、その実行のための仕組みづくり(「仮説~実践~検証」というサイクル)の重要性を説いている。
 
   この根底には、一つに「経営は、未来からの逆算である」という考え方がある。更にいうと、「原因と結果の法則」を経営に上手く活かそうという考えである。孫子の兵法の中に、「勝敗の行方は戦う前に決まっている。勝つための準備を整えた者が勝ち、そうでない者が敗れているのである」という有名な言葉がある。
 
   経営計画とは、まさに得るべき結果を出すためのシナリオづくりである。「あるべき姿(結果)」を描き、「現状」との差を捉える。その差を埋めるために何をすべきなのかを真剣に考える・・・。そのなすべきことが目標である。
 
   未来会計の真髄は、「結果を得るための原因をつくること」、つまり「準備を万端に整える」ところにある。それは、「自らの手で“運”を引き寄せる経営」といっても過言ではないだろう。
 
   “考える言葉”シリーズでも何度となく引用している言葉、「人生の価値ある目的を持った時から、価値ある出逢いが始まる」(ヘーゲル)。
 
   “運”とは、その人の心の持ち方に大きく左右されるのではないだろうか・・・。
 

今週の考える言葉「実行」

考える言葉

実行

   IG会計グループ主催の「後継者塾(第 4期生)」は、第 9講目(1月 15~16日)を終えたところである。
 
   今回のテーマは、経営戦略。講師は、「戦略参謀」システムの開発者であり、「軍師の会」を主宰している若山恵佐雄税理士である。積雪の青森から馳せ参じ、熱弁を奮ってくれた。(友情に感謝・・・)
 
   戦略的な思考は、経営の本質を“実行”に移すために必要不可欠なものと心得る。
 
   では、経営の本質とは何か?「経営とは、真理と一体となった営みをいう」(経営人間学講座)。つまり、つねに経営の目的(「なんのために」)を自らに問い、その達成のために「正しい見方、考え方」を心がけ、“実行”に移すことである。
 
   「戦略が意図を“実行”に変え、たんなる多忙さを仕事に変える」という言葉があるが、まさにマネジメントにおける“実行”の前提となるのが経営戦略だといえよう。
 
   「組織は戦略に従う」という名言があるが、戦略は組織の“実行力”によって保障されるのではなかろうか・・・。
 
   『経営は“実行”』(L・ボシディ&R・チャラン著)の中で、“実行”の責任を担うリーダーがとるべき 7つの行動を掲げているので紹介をしたい。
 
①自社の人材や事業を知る
   実行力のない企業の経営者は、実務に疎いものだ。(現場主義の徹底)
 
②つねに現実を直視するように求める
   現実直視を社内のあらゆる対話の目標とし、その風土をつくる。
 
③明確な目標を設定し、優先順位をはっきりさせる
   目標は全体として簡潔に、そして直接語る。
 
④最後までフォローする
   実行力欠如の最大の原因は、最後までフォローされないところにある。
 
⑤成果を上げた者に報いる
   業績と報酬がきちんと連動していない企業が少なくない。
 
⑥社員の能力を伸ばす
   自らの持つ英知を次世代のリーダーに伝える。
 
⑦己を知る
   多様性の組織を率いる精神的な強さ(本物、自覚、克己心、謙虚さ・・・)が必要。
 
   “実行”を企業文化にするには、計画性のある経営(=経営の意思×仕組み)の基盤づくり、すなわち未来会計の実践が必要となる。(ぜひ、「将軍の日」へ!)
 

今週の考える言葉「創意工夫」

考える言葉

創意工夫

   1月9~10日、恒例となった“やすらぎ伊王島”(リゾート施設)に泊り込んで、IG会計グループの「平成28年度・行動計画発表会&新年会」を行なった。
 
   今年度は、『Next Innovation~次なる革新!』という中期ヴィジョン(H27~31)を掲げてから2年目に入る。それを受けて、今年の基本方針は『変革へのリーダーシップ~心を奮い立たせる人材になろう!』である。
 
   小生は、冒頭で次のような挨拶をした・・・。
 
   「変革とは、新陳代謝を促進させるという意味である。現状維持は衰退と同じ・・・進化に対するしっかりとしたフィロソフィを確立しよう。今こそ、IG理念の一つである業界の先駆的役割を担う気概を持とう。リーダーシップとは、組織を動かす力のこと。一人ひとりが経営者マインドを醸成し、自らの心を奮い立たせ、他の人の心を奮い立たせることができる人材へと成長しようではないか・・・」
 
 それを受けて、各部門や各個人の発表が始まる・・・。
  
   発表会のスケジュールは、例年通り、グループ全体の売上目標(ベース、増収、スポット)の確認を行い、次に各種委員会の活動方針と担うべき成果の発表。そして、各部門と各個人の目標へと移る。各人の発表の内容は、次のとおりである。
 
   ①今年選んだ言葉(キーワード)
   ②目指すべきゴール(定量目標)
   ③四半期ごとになすべきこと(達成すべき目標と手段)
   ④一年後のあるべき姿(定性目標、変化した自己のイメージ)
 
   「選んだ言葉(キーワード)」には、一人ひとりの“創意工夫”見て取れて嬉しい。最近推奨した書物、例えば『挑戦する経営』(千本倖生 著)や『分林保弘の仕組み経営で勝つ!』(村田博文 著)、また“考える言葉”シリーズの題材をもとに選んだ、自分が一年間大事にしていきたい思いのエッセンスである。
 
   小生が選んだ言葉は、「苦しみ抜き、考え抜け!」である。そこから生まれてくるものが自分にとっての本物であり、過去を振り返ってみると、そうやって身につけたものしか残っていないような気がする。
 
   いばらの道だからこそ、“創意工夫”が生まれ、非凡が生じるのだと思う。非凡な経営者の悲痛な心の叫び声が聞こえるようになったところから、真の経営者としての器が磨かれてくるような気がする。
 
   一つひとつに“創意工夫”を重ね、飛躍の年にしたいと考える。
 

今週の考える言葉「フィンテック」

考える言葉

フィンテック

   ずっと気になっていた言葉・・・、“フィンテック”。
 
   “フィンテック(Fintech)”とは、「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語である。金融とITを融合した技術革新を指し、スマホ関連やビッグデータ分析などに秀でたベンチャー企業の技術を生かし便利な金融サービスを創出することが目的である。
 
   『日経ビジネス』(2015.12.14)に「知らぬと損する“フィンテック”~もう銀行には頼らない」という特集記事が掲載されていたので紹介をしたい。
 
   “フィンテック”は、今や「農業」「産業」「IT」に次ぐ第4の革命として時代の潮流になりつつあり、その仕組みは世界の秩序を根底から覆す破壊力を秘めており、巨大銀行も抗えないという。
 
    “フィンテック”革命の本質は、金融の大衆化、つまり限られた人だけが受けている金融サービスの大衆化にあるという。(既存の銀行が本当の顧客として相手にしているのは、利用者の5%程度ではないかという)
 
     “フィンテック”革命で次のようなことが可能になるという。
 
① クラウドファンディング
    起業家のアイデアに対して、一般市民が投資家になり資金調達を可能とする。
 
② トランザクションレンディング
    アマゾンやヤフー、楽天などEC(電子商取引)事業者による融資サービス。
 
③ クラウド財務管理
   freeeやマネーフォワードなどのアプリは経理の自動処理を可能にし、専門知識を不要とする。
 
   その他にも、④0円決済ツール、⑤ 指紋決済、⑤ ビッグデータ与信などがあるという。
 
   最近、あと 10年で「消える職業、なくなる仕事」というのが話題になっているが、革命とはつねにそうあるのだ。
 

2016年の「経営を考える日」日程を更新しました!

その他お知らせ

「営業利益改善の日」、「決算検討会の日」、「経営無料相談日」のそれぞれの開催予定日を更新しました。
各ページより日程をご確認ください。
2016年もよろしくお願いします!

今週の考える言葉「ほめる」

考える言葉

ほめる

   書棚を整理していると、2~3年前に購入した『人を動かす2』(D・カーネギー)という本が目につき、読み直していると、自分のリーダーとしての至らなさに改めて気づかされる。
 
   例えば、「人を変える八原則」(PART4)の第一番目に「まず“ほめる”」という原則がある。これが意外とできていない。意外というよりむしろ、そう簡単に“ほめて”いいのかという信念めいたものがある。
 
   若い頃、ゴマすり野郎の無責任男を主役にした映画が流行ったこともあったし、「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉もあるように、「“ほめる”=茶化すこと」のような感じだったし、また“ほめ言葉”に対する照れくささもあるのだろう。
  
   だが、この本を読むともっと“ほめる”べきだと考えさせられた。
D・カーネギーはいう・・・。
 
   「批判的で、ネガティブな言葉は、暗くて陰気な雰囲気をつくる。相手は気分が重くなり、うなだれ、肩を落とすことになる。結果として、相手のネガティブな心理的・生理的反応と闘わざるをえなくなる」
 
「会話を正直な、心からの“ほめ言葉”ではじめることだ。相手はずっと素直に聴いてくれるだろうし、防衛的になられることも抵抗されることもずっと少なくなる」
 
   まさにその通りだと思う。だが、あいにくなことに「人が他人をみるとき、欠点や悪いところのほうが、長所やいいところよりずっとよく目につくし、重大にみえる。ことに道徳的・倫理的な面については、その傾向が著しい」という。つまり、相当意識して努力をしないと、“ほめる”どころか“貶す”方向へ走ってしまう傾向があるということだ。(並では、リーダーは務まらない・・・)
 
   人間には、ミラーニューロン(Mirror neuron)という人に「共感」をもたらす脳細胞が存在しているという。これのおかげで私たちは他人の行動を理解し、意図を解釈し、次の行動を予測できるのだという。良好な人間関係を保ち、より生産的な職場環境をつくっていくためには、元来、人類が備えている「共感」という機能をもっともっと鍛え上げる必要があるのであろう。その第一の努力が“ほめる”という行為ではないだろうか・・・。
 
   「一人に三つ」というルールを紹介している。「好きになれない人がいたり仕事のやり方がなっていないと思う人がいても、それをすぐに口に出さず、まず相手のいいところを最低三つ発見する・・・」
 
   人のいいところに注目すれば、人間関係は必ずいいほうへ向かう!

今週の考える言葉「モチベーション」

考える言葉

モチベーション

   「どうすれば社員の意欲を引き出せるのだろうか?」という話題を耳にする機会が増えている。“モチベーション”の問題は、いつの時代でも経営における中心的な課題の一つである。
 
   今回は、“モチベーション”について考えてみたい。
 
   “モチベーション”とは、動機づけと同義であり、「目標を掲げ、その達成のために自分や他の人の意欲(やる気・その気)を引き出すこと」だと考えたい。その意欲が持続し続けることが最高の“モチベーション”である。
 
   多様性の時代環境の中で、個人プレーから組織プレーへの関係性思考が企業経営でも重要視されるようになった。つまり、リーダーシップのあり方である。リーダーシップと“モチベーション”は密接な関係にある。
 
   関わる人たちの意欲を引き出すことができないリーダーは、リーダーとして失格の烙印を押されてしまうであろう。しかし、他の人をその気にさせるのは簡単ではない。昔から「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」という諺があるように、飲む気のない馬に水を飲ませるのは至難の業である。
 
   かといって、断念してしまっては何も変わらない。リーダーとしての役割を担うことによって分かったことがある。それは、自分の意欲は、他人の意欲を引き出すことと不可分の関係にあるという事実である。つまり、高い“モチベーション”の持続性は相互作用によって成り立っているのである。
 
   では、人間の“モチベーション”を高める要因とは何であろうか?
 
   1.強烈なヴィジョンを描き、共有すること。
   2.各人の“モチベーション”要因を理解し、切磋琢磨すること。
   3.つねにお互いの貢献意欲・強みを確認し合うこと。
   4.結果を共有し、フィードバックすること。
   5.全体の成果を共有し、喜び合うこと。
 
   以上、リーダーシップという観点から“モチベーション”の課題を考えてみたが、最高の“モチベーション”のあり方は、“セルフ・モチベーション”ではないだろうか・・・。
 
   IG会計グループが創業の当初から取り組んで大事にしてきたのは、まさにこのテーマである。“セルフ・モチベーション”の高い主体的な人材をいかに育成し、組織化するか・・・。そのための仕組みづくりが『IG式目標管理システム』として組織文化を培っているといえよう。
 
   IGには、相互の主体的価値を尊重し、切磋琢磨するという文化がある。