古田会計事務所

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今週の考える言葉「ステージアップ」

考える言葉

ステージアップ

   先週7月26日、東証のVIPルームで打鍾するという貴重な体験をさせてもらった。
 
   今度、日本M&Aセンターが “J‐Adviser”(東証のTOKYO PRO Marketへの上場をサポートできる資格)を獲得した。そのセレモニーに、日本M&A協会を代表して参加させてもらったお陰である。
 
   「TOKYO PRO Market」とは、東証が運営する株式市場の一つであるが、プロ投資家に限定されているために、自由度の高い上場基準・開示制度となっている。そのため、中小企業にとっては自らの“ステージアップ”のスタートポイントとして活用できるチャンスが大きいといえよう。
 
   今回の日本M&Aセンターの最大の目的は、「TOKYO PRO Market」をもっと活用し、全国各地に「スター企業」を育成することによって、地方創生の加速化に貢献したいということであろう。いつもながら、目の付けどころが素晴らしい。
 
   但し、「TOKYO PRO Market」は2009年6月に開設されたそうだが、未だ知名度が低いせいか、上場会社数は31社と少なく、本来の機能を果たしていないような気がする。
 
   そこで、日本M&Aセンターの出番である。同社の全国に広がる会計事務所及び地域金融機関を活用し、それぞれの地域で連携を図り、優良中小・中堅企業の掘り起しや育成を行い、上場会社数の倍増を図る。スター企業の輩出により、地方創生の加速化に貢献できるという算段である。
 
   確かに、上場効果は大である。次のようなメリットが考えられる。
① 上場によりブランド力が高まり、知名度・信用力が向上する
② 優秀な人材が確保できる。
③ 従業員のモチベーションアップにつながる
④ 業界内での差別化が可能となる
⑤ 社内管理システムの構築、体制化がすすむ
 
   故に、多くの企業にとって、“ステージアップ”の絶大な機会になると期待される。
 
   日本M&センターは、企業成長にコミットする“J‐Adoviser”を目指しており、次の3つの「レバレッジ戦略」を準備しているという。
① 買収戦略、➁ パートナー戦略、③ 海外戦略。
 
   今後、地域の会計事務所や金融機関と連携しながら、「TOKYO PRO Market」に関するセミナーや説明会を随時に開催していく予定だという。
 
   私たちJa‐BIGとしても、大いに期待すると同時に協力していきたいと思う。
 

今週の考える言葉「価値化」

考える言葉

価値化

   先週末(19~20日)、IG後継者育成塾(第6期⑥)を終えたばかりである。
 
   当塾は、「全12講」を2年間かけて行うので、ちょうど半分を消化したことになる。毎回テーマがあって、導入講義のあと、準備された質問に対してのグループ討議をメインに進行していくのであるが、今回のテーマは『仕事の“価値化”~「仕事の報酬は仕事である」』であった。
 
   ここでいう“価値化”とは、「何のために(目的)」を問い正すことによって、「価値の次元を高める」という意味でいっている。
 
   まず、仕事の本質を考える・・・。仕事の「仕」も「事」も「つかえる」と読む。つまり、他への貢献を旨とし、「世のため人のために尽くす」のが仕事である。自分の利害得失を介在させる余地は微塵もないという覚悟が求められよう。
 
   さらに、「仕事の報酬は仕事である」とは・・・?仕事の報酬は、給料ではなく、仕事である。つまり、いい仕事をする人には、もっと難しい仕事が与えられるという。これを割に合わないと感じるのなら、プロとは呼べないだろう。
 
   以上のような仕事への考え方をベースにおいて、下記のことについて考え、議論してもらう。
① 仕事と自己成長との関係性について
② 仕事における成果とは、何をいうのか
③ 仕事における生産性と人間関係について
④ 人はなぜ、組織で仕事をするのか
⑤ 仕事と社会との関りについて
 
   私たちは、人生の大半を仕事との関りの中で生きており、それぞれの仕事を通して社会との絆を保ち、強化している。にもかかわらず、仕事の“価値化”について、日々省みることをせず、怠っているような気がする。
 
   仕事の“価値化”に成功した先達者たちは誰もが次のことを知っている。
 
   「仕事の本質は、社会貢献である」とするならば、「どんな仕事でもそれは世の中に必要とされるべきものであって、世の中の人たちが求めていなければ、自分の仕事は存在していない」という事実である。つまり、世の中の支持があってこその自分の仕事なのである。
 
   「自分の仕事は世の中の仕事である」という発想を持っている人は、小さな自己満足に陥らないものだ。
つねに創意工夫を重ね、世の中の進化に少しでも貢献したいと願っている。
 
   それ故に日々新た、“価値化”である。
 

今週の考える言葉「CSR」

考える言葉

CSR

   書棚の整理をしていると、ずいぶん以前に読んだ、『CSR企業価値をどう高めるか』(日経新聞社)という本が目に止まった。
 
   “CSR(Corporate Social Responsibility)”とは、一般に“企業の社会的責任”と訳されているが、「責任」をここでは「存在意義と価値」という風に捉え、考えてみたい。
 
   ピーター・F・ドラッカーは、「組織の社会的責任」について次のように述べている。
 
   「社会的責任の問題は、企業、病院、大学にとって、二つの領域で生ずる。
 
(1)第一に、自らの活動が社会に与えるインパクトから生ずる。
(2)第二に、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じる。
 
   いずれの組織も社会やコミュニティの中の存在であるがゆえに、マネジメントにとって重大な関心事たらざるをえない」(『マネジメント(上)課題、責任、実践』 ドラッカー著)
 
   つまり、企業を含めたあらゆる組織のマネジメントは、自らの活動による社会に対して与えるインパクトについての責任を持つ。同時に、自らが原因ではない社会自体の問題の発生においても、その解決に貢献することを期待されているという。
 
   日本ではかつて、60年代の公害問題、70年代のオイルショックに伴う便乗値上げ、80年代の地価高騰、90年代のバブル崩壊と金融危機、そして食品偽造事件等・・・、企業の不祥事問題に対する社会的責任という形で取り沙汰されたことがあった。しかし、ここで言う“CSR”は、企業の本質である社会的存在性から考えたい。
 
   企業を含めたあらゆる組織は、社会に貢献するために存在し、そして社会の中に存在する。つまり、それらは社会環境の中においてのみ存在する、社会の機関であるということだ。
 
   したがって、社会自体の問題の影響を受けざるを得ない。健全な組織は、不健全な社会では機能し得ないのである。ゆえに、社会の健康はマネジメントにとって不可欠な条件である。
 
   ドラッカー曰く、「自らが社会に与えるインパクトについては責任がある。これが第一の原則である」。そのうえで、「社会に存在する諸々の問題に対しては、企業のマネジメントにとっては挑戦である。機会の源泉である」という。
 
   パラダイムシフトが起きている21世紀における“CSR”の課題は、この点にあるのではないだろうか・・・。環境の激変によって生ずる諸々の社会問題を事業機会として捉え、その解決のためにリスクを負う。
 
   社会的イノベーションこそが、まさに21世紀の“CSR”ではないだろうか。
 

今週の考える言葉「けじめ」

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けじめ

   毎日寝起きの30分、『道をひらく』(松下幸之助 著)を読むようにして一週間以上が経つが、気づかされることが多く、日々新たな気分である。読書って、ホントにお金のかからない自己投資ですね・・・。
 
   今回は、「仕事をより向上させるため」には、“けじめ”が大事だということを改めて気づかせてもらった。
 
   よく考えてみると、仕事に限ったことではない。朝起きてから夜寝るまで、私たちの日常性は、習慣化された“けじめ”の中で生かされている。朝起きたら顔を洗い、「おはよう!」とあいさつを交わす。夜寝るときも同じである。
 
   松下幸之助さんは、何事をするにも、この“けじめ”のつけ方が大事だと説く。形に捉われる必要はないが、ふだんの諸々の行為に対して、どれほどに“けじめ”を意識しているだろうか・・・。
 
   「岡目八目」という言葉はあるように、他人の行為についてはよく見える。“けじめ”がある人とそうでない人、つまりだらしない人とでは、一目瞭然である。じゃ、自分はどうかと問うと危なっかしいところがある。しかも、習慣化した行為に関しては無自覚なところが多いので、要注意だ。
 
   ただ、仕事に関していうと、ハッキリしていることがある。それは、仕事の成果である。
 
   けじめのある人の仕事は、始末が良く、安心できる。つまり、期待外れがないのである。一方、だらしない人の仕事は危なっかしくて、不安が残る。ましてや、経営においては、もっと明暗がハッキリするので、心してかかる必要がある。“けじめ”のない経営をしていると、組織にほころびが生じ、いずれどこかで破綻する・・・。
 
   今日的な経営環境においては、企業間格差が生じるのは否めない。ちょっとした“けじめ”のゆるみが大事に至る。油断は大敵である。
 
   例えば、赤字決算・・・。経営者だったら誰もが嫌がる現象であるに違いない。しかし、人間って恐ろしいもので、一期、二期と続けているうちに、その状態に慣れてしまう。
 
   病気でもそうだ。初期の段階で“けじめ”をつけて、キチンとした心掛けをもって対処すれば治るはずだったのに、つい油断してしまい、取り返しがつかないところまでいってしまう。
 
   “けじめ”というと、物事の区分、節度や責任といった言葉が思い浮かぶ。これは、普段の心掛けだと思う。しっかりとした躾を身につけて、“けじめ”のある一日一日を過ごしたいと思う。
 

今週の考える言葉「道」

考える言葉


   先日、日本橋界隈の書店に立ち寄ると、松下幸之助さんの書籍がズラリと並んでいるコーナーがあった。そこで目に止まったのが『道をひらく』の文庫本での三部作。もうだいぶ前に読んだ本ではあるが、改めて読んでみたくなり購入する。
 
   “道”といえば、老子の説く「道(タオ)」を思い浮かべる。それは「宇宙の永遠不変の法則」のこと。老子の言葉としてすぐに思い浮かぶのは、「無為自然」と「上善如水」・・・。「我を張らずに、自然に生きる」「柔軟、かつ謙虚であれ」という生き方、“道”を学ばしてもらった。
 
   松下幸之助さんは、『道をひらく』の中で、“道”について概ね次のように述べている。
 
   「人それぞれに天与の尊い道がある。それは自分だけしか歩めない、かけがえのない道である。・・・だから、他人の道に心を奪われるのではなく、心を定め、自分の道を歩むべきだ」と。つまり、“道”とは人生そのものであり、その生き方だといえよう。氏は、自らの経験と人生に対する深い洞察を通して、“道”の本質を説きながら、次のようなときにその人の“道”の価値を問われるのだと示唆している。
 
① 運命を切りひらくために
② 日々を新鮮な心で迎えるために
③ ともによりよく生きるために
④ みずから決断を下すときに
⑤ 困難にぶつかったときに
⑥ 自信を失ったときに
⑦ 仕事をより向上させるために
⑧ 事業をよりよく伸ばすために
⑨ 自主独立の信念をもつために
⑩ 生きがいある人生のために
⑪ 国の道をひらくために
 
「素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚れを生む」
「志を立てれば、事はもはや半ばは達せられたといってよい」
「人生は真剣勝負である。だからどんな小さな事でも、生命をかけて真剣にやらなければならない」
「死を恐れるのは人間の本能である。だが、死を恐れるよりも、死の準備のないことを恐れた方がいい」
 
   今回は、読書感想文のようになったが、座右の書がまた一つ増えた。
 

今週の考える言葉「非居住エリア」

考える言葉

非居住エリア

   『未来の年表』(河合雅司 著)がベストセラーとなり、話題を呼んでいる。
 
   本書は、「日本が少子高齢社会であることは常識であるが、その実態を正確にわかっている日本人は、どれだけいるのだろうか?」という問題意識から始まっている。
 
   人口減少は、社会基盤の衰退やインフラの劣化を招く重大な問題であるが、「人口減少カレンダー」にして、年代順に、将来において何が起きるかを示している。
 
   例えば、①2020年 女性の2人に1人が50歳以上に、②2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する、③2026年 認知症患者が700万人規模に、④2035年 「未婚大国」が誕生する、⑤2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに、⑥2050年 世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる、⑦2065年~外国人が無人の国土を占拠する等など。これら以外のどれを取っても、かなり深刻な問題が指摘されてある。
 
   また、人口減少の統計データでは、日本の総人口は100年後に約5060万人、200年後に約1380万人、そして西暦3000年には2000人まで減少する、というから驚きである。
 
   氏は、先ずは人口減少において生じる問題を正しく認識すること。その上でいかに対処すべきかを考えるべきだと提唱し、「日本を救う10の処方箋」を提示している。
 
   その中で、最も関心を持てたことを一つだけ紹介したい。
 
   人口減少がどうしても避けられない現実であるとするならば、先手を打って「戦略的に縮む」ことを選択し、その一つの方策として「”非居住エリア”を明確化」することを提言している。
 
   つまり、「人が住む地域とそうでない地域とに国土を色分けしてコンパクトで効率的な国につくり変える」のだという。歩道の拡幅も含めインフラを計画的に再整備し、人々が自然に歩きたくなる街を目指す・・・。
 
   そして、”非居住エリア”は、大型農業などを生み出す集積地に転じていくことを提唱している。この提案には大賛成である。小生には、以前から過疎化が進んだ地域に農業を中心とした町づくりをするという、「農業城下町構想」というのがある。
 
   宿泊施設やシッピングモールを兼ね備えた農業研修施設の建物を中心に町づくりを展開する。農業を本業する個人や法人、老後を田舎で過ごし趣味で農業をする老人たち、教育としての農業を経験する若者たち、様々な形の農業がある。
 
   安心で、うまい、高付加価値な農産物のつくり方を学びに海外からの就労者たちが集い、滞留人口が町を活性化させる・・・。食料の自給率は高まり、さらに農業先進国としての日本のステータスが高まる。まさに、一石二鳥である。
 

今週の考える言葉「台湾雑感」

考える言葉

台湾雑感

   IG会計グループ35周年の記念旅行(4泊5日)を兼ねて、みんなで”台湾”旅行を楽しんできた。
 
   福岡から台北への飛行時間は、約2時間半ほどである。機内食を食べて、読書等をして、寛いでいると、あっという間に着く感じだ・・・。ハワイなどと比べると、本当に近くて、気軽に行けるという感じだ。
 
   そのせいか、日本からの旅行者が年々増えているそうで、昨年で年間約200万人弱の日本人が訪れているという。ハワイへの渡航者数は例年約150万人弱だそうだから、日本人にとって今や、台湾は人気スポットだといえよう。気軽さもあるが、親日的な国民性が受けているのであろう・・・。
 
   宿泊したホテルは、台北市の中心、中山区に位置する「リージェント台北」。さすが、5つ星ラグジュアリーホテルだけあって、部屋やバスルーム等も広めで、ゆったりとできる空間であった。朝食会場のバイキングは、料理の種類が豊富で、何時間でも時間をかけて過ごしたくなる気分だ。現に、最終日は2時間以上朝食を楽しんでしまった(日頃は、5分程度・・・笑い)。
 
   二日間はゴルフを予約していたが、一日目は何とかワンラウンド回ったものの、二日目はハーフでギブアップ!30℃を超えるむし暑さで、久々に流れるような汗を経験した・・・。ゴルフ場も広く、手入れが行き届いていたが、カートの乗り入れができないので、ハワイのようにはいかない。(料金もハワイより高め・・・)
 
   夜は中華料理を食べに、外に出かけたが、台湾、北京、四川いずれも当たり外れがなく、旨かったと思う。料金は、食べた場所にもよると思うが、以前に来たときほどの安さを感じなかった・・・。
 
   40年ほど前(1075~1985年頃)に何度か、台湾へは行ったことがある。本当に久しぶりの訪台であったが、昔の面影がほとんどなく、高層ビルが立ち並び、東京のように都会化してしまったと思う。
 
   思うに、台北に限らない、当時の後進諸国であったアジアの国々の首都がどれも都会化し、東京のような外観になってしまった・・・。目覚ましい発展の30数年である。
 
   バブルの崩壊後、失われた10年とか20数年とかいわれているうちに、「日本に追いつけ、追い越せ」でやってきた国々が、見違えるほど経済発展を成し遂げてきたことを改めて、思い知らされたような台湾旅行であった・・・。勿論、経済だけが全てではない。では、何をもって今後、日本はリーダーシップを発揮して行ったら良いのだろうか?雑感の中での気づきであるが、熟慮すべき課題であると思う。
 

今週の考える言葉「ルーズ」

考える言葉

ルーズ

   “ルーズ”な性格の人は、知らず知らずのうちに他人に嫌な思いをさせており、敬遠されている人が多い。
 
   「度が過ぎると致命傷」という言葉があるが、人生のあらゆる関係性(人、お金、時間、仕事、約束、異性など)において“ルーズさ”は悪しき影響を与えるので気をつけたほうがいい。
 
   “ルーズ”とは、「態度や行動にしまりがないさま。だらしないさま」をいう。“ルーズさ”とは、その人にとって小さい頃から生活習慣化されてしまっているので、自分の“ルーズさ”に気づかないことが多いのではないだろうか・・・。
 
   次のような症状がある人は、ルーズな傾向が自分にあると思った方がいい。
① 面倒くさがり。
② 物事の優先順位が決められない。
③ 無責任なところがある。
④ 人に頼って代わりにやらせようとする。
⑤ 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)ができていない。
⑥ 自分本位で、自分に甘い。
⑦ ミスが多く、人のせいにする。
⑧ 取っ散らかすような仕事をして、後始末ができていない。
⑨ モノやお金を借りても返さない。
⑩ その他・・・・・。
 
   最近、「働き方改革」においても、生産性の向上などが盛んに言われている。“ルーズ”という意味は、「やるべきことをキチンとやらないこと、手抜きあるいは慢心」と捉えてよいだろう。これは、非生産的な行為で、経営や仕事において致命的である。
 
   では、自分の“ルーズ”な性格や習慣というものは、どうすれば直すことができるのであろうか?
 
① 先ずは、自覚すること。
自分の仕事の成果や人間関係に悪しき影響を与えていることを自覚しよう。
 
② 「仮説(Plan)~実践(Do)~検証(See)」を習慣化すること。
日々の単位で、このサイクルを実行し、仮説・検証のフードバックを習慣化すること。
 
③ 5Sの徹底。
5Sを徹底することによって、日常的に、面倒くさがる“ルーズ”な性格を変えよう。
 
“ルーズ”に悪意はないと思う。だからこそ、自己革新が求められる。
 

今週の考える言葉「修養」

考える言葉

修養

   渋沢栄一の『論語と算盤』を読んでいると、「“修養”は理論ではない」という言葉に心が惹かれた・・・。
 
   そういえば、“修養”という言葉を耳にすることが少なくなったような気がして、辞書で調べ直してみると、“修養”とは「学問を修め、徳性をみがき、人格を高めるよう努めること」とある。
 
   戦前の日本の教育には、「修身の時間」があったが、GHQの占領政策の一環で日本の教育現場から姿を消してしまったという。その修身と同義である。その政策を聞いたある外国人有識者が、その当時、アメリカの占領政策に対して「非人道的な行為だ」と批判をしたらしい。
 
   “修養”とは、自分の精神的な成長のために取り組むことであるが、今風の言葉でいうと、「自分探しをする」、「自己啓発する」、「アイデンティティを確立する」等々であろうか。つまり、「自己実現」をめざすことであろう。
 
   かつての修身の教科書には、「吉田松陰を始め、勝海舟、加藤清正、米国初代大統領ワシントンなど、古今東西の偉人の話が載っていたのです。そして、その方々の具体的なエピソードを通して、“正直”、“勤勉”、“正義”、“公益”などの徳目を教えていました」とある。
 
   歴史上の偉大な人物の生き様から、人間としてのあるべき姿を学ぶことによって、自らの徳性をみがき、人格形成をするための学習には、大変意義深いものであっただろうと想像に難くない。
 
   よく指摘されてきたことでもあるが、戦後の日本の教育は、知識教育を偏重し過ぎて、修身で教えていた徳目や、日本の歴史、文化、慣習を蔑ろにしてしまったのではと思う。その結果、エコノミック・アニマルと揶揄され、日本人の精神性の低さが問題視されるようなこともあった。
 
   小生にとって運が良かったのは、20数年前の『経営人間学講座』(主催・竹内日祥上人)との出逢いである。「人間としていかに生るべきか?」という問いに対して、大切なのは「能力ではなく、価値観の高さ」であるということを教えて頂いたことである。
 
   読む本の選び方、尊敬すべき人物とはどんな人なのか、物事の優先順位の決め方など、すべてが変わったような気がする。
 
   「“修養”は理論ではない」という渋沢栄一の一言は、胸に突き刺さる一言である。
 
   頭でっかちではなく、学後の実践にこそ、“修養”の意味があるのだ。心・技・体のバランスを考えて学び、そして実践し、“修養”を積みたいと思う。
 

今週の考える言葉「ES(社員満足)」

考える言葉

ES(社員満足)

   『IG後継者育成塾(第6期⑤)』(2019.5.24~25 in福岡)を終えたばかりである。今回は、『ES(社員満足)~選ばれる職場づくり』というテーマに基づいて、リーダーの思考と行動特性が“ES”に与える影響について、グループ・ディスカッションを通して、塾生にしっかりと考えてもらった。
 
   導入講義は、㈱ヒューマンブレークスルーの代表・志田貴史氏。12年ほど前から“ES”に専門特化したコンサル事業を展開しており、“ES”に関する書籍も数冊手掛けているその道のプロである。
 
   1990年代に、CS(顧客満足)という活動が流行し、その後に「“ES”なくして、CSなし」という形で、“ES”が注目され、多くの企業で取り上げられるようになったと記憶している。市場の成熟化と共に、プロダクトアウトからマーケットインへと発想の転換がなされた時代環境の中から生まれた経営課題のような気がする。
 
   “ES”とは、会社と社員あるいは社員同士の関係性だと思う。“ES”を満たすことができる職場環境について考えてみたい。
 
   P・F・ドラッカーに次のような言葉がある。
 
   「対人関係の能力をもつことによって良い人間関係が持てるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによって人間関係が持てる。そうして人間関係が生産的となる。生産的であることがよい人間関係の唯一の定義である」(経営者の条件)。
 
   つまり、関係性はテクニックではなく、モノの考え方すなわち価値観の問題であるということであろう。“ES”も同じことであると考える。ハーズバーグが提唱するように「衛生要因」だけでなく、「動機づけ要因」を満たすことができる環境を創っていく必要があるだろう。
 
   例えば、「仕事の報酬は仕事である」というようなことをみんなで議論し、考える場を設けるなど・・・。つまり、「何のために働くのか?」といった目的思考を共有することによって、モチベーションの高い職場環境を創っていくことが大事である。
 
   A・マズローは、人間性心理学を経営学に持ち込んだ最初の人としても有名であるが、氏の提唱した「マズローの欲求5段階説」は、自分あるいは自分以外の人達がどの段階の欲求レベル(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求)にあるのかを知るには貴重な説である。
 
   以上のように、人間としての原理原則的な考え方を学び、価値観学習を組織的にきちんと行うことが、“ES”活動には重要だと考える。
 

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