古田会計事務所

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今週の考える言葉「算段」

考える言葉

算段

   長崎では、「おくんち」(10月7~9日)を過ぎると急に暑さが和らぎ、秋の気配が漂い始める。
 
   この時期、IG会計グループでは第4四半期に入り、今年度目標に対しての追い込み時期であると同時に、「次年度・基本方針」を決めて、次年度に対する仕込みをする時期でもある。小生が、10月中旬までに「次年度・基本方針」を幹部会で発表をする。それを受けて、各幹部はそれぞれが率いる分社・部門の「行動指針」を決めて、「次年度・行動計画書」の作成合宿(2泊3日)に備える・・・。
 
   今年は年初から、以前に購入していた『孫子』に関する書物を何冊も再読しているせいか、計画を立てること、すなわち”算段”の重要性を改めて嚙みしみている次第である。
 
   「勝兵は先ず勝ちて而(しか)る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む」(第四 軍形篇)。
 
   (勝つ方は勝つ見通しをつけておいて戦いを始めるが、負ける方は戦いを始めて勝機、勝ち目をさがす)
 
   「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」(第一 計篇)。
 
   (事前に、情報とデータから理論的に勝算の有無を解明し、勝算が多ければ勝ち、少なければ敗れる)
 
   経営においても然りである。業績の良くない会社は、具体的な目標がなく、無計画である。つまり、確かな”算段”をしていないのである。赤字企業の9割方以上は、事前の”算段”さえすれば、すぐに黒字転換できると確信している。
 
   さて、IG会計グループは、来年35周年を迎える。まさに、転換期である。創業の原点に立ち返って、抜本的な”算段”を断行しなければならないと感じている。そのために先ず、何を為すべきか?
 
   35年も経つと、組織風土が定着化し、その空気を吸っているメンバーは、良くも悪くもIGイムズ化(集団化、組織化)していないだろうか・・・。主体性を失い、没個性化が進むと、互いの切磋琢磨がなくなり、結果として組織の進化も止まり、衰退化していく恐れがある。
 
   そこで、今回の「次年度・行動計画書」作成合宿は、メンバー各人に焦点を当て、徹底して自己を見つめ直す合宿にしたいと考えている。「①自己成長のために何を為したか?②組織のために何を為したか?③世のために何を為したか?」
 
   自らに問う!先ずは、徹底して自己の”算段”をしてみたいと思う。
 

今週の考える言葉「問題意識」

考える言葉

問題意識

   同じ職場環境で日々の仕事をしているのに、一年も経たないうちに、仕事の覚えが早く、著しく成長する人と、そうでない人がいる。
 
   その差はどこから生じるのだろうか・・・?人を採用し、育成する立場にある者にとっては、つねに悩ましい問題であると同時に、興味深い課題でもある。
 
   随分前に読んだ本の一節に、次のようなことが書かれていた。
 
   「問題を持たない人は何も発見できない。平生何かに精神を集中していると意外な発見をする。ここに人生、事業、学問の秘訣がある」(安岡正篤)。
 
   つまり、常日頃の“問題意識”の差、その積み上げが、人の成長力の差となっているということであろう。さほどの“問題意識”も持たず、指示されるままに、自分の頭を使わずに、手だけを動かしていたのでは、脳も錆びついてしまうものだ。
 
   向上心をもって前向きに問題を探し、自らの創意工夫をしながら、日々の仕事に取り組んでいると、脳は活性化し、性能を増すものである。日曜・祭日などにノンビリし過ぎてしまうと、調子が出るのに時間がかかったという経験は、誰もがあるだろう。
 
   やはり、自己成長を促したければ、つねに“問題意識”をもって、問題から逃げないような習慣を身につける必要があるだろう。では、その“問題意識”は、どうすれば養うことができるのだろうか・・・。
 
   ① 目的を確認すること(手段の目的化という罠に陥らない)。
   ② 向上心をもって努力をし続けること(慢心や傲慢。上には上がいる!)。
   ③ 自己正当化しないこと(謙虚さ、素直さ)。
   ④ 難しいことにチャレンジすること(リスクはチャンス)。
   ⑤ 世のため、人のために尽くすこと(利他心)。
   ⑥ 失敗を恐れず、やってみること。
   ⑦ 身近に素晴らしいライバルを探すこと。
 
   他にもいろいろとありそうだが、自分にとって、しっくりといく課題を絞り込んで、真摯に取り組んでみることだと思う。「山中の賊は破るは易く、心中の賊は破るは難し」(『陽明全書』)を以前に習ったことがある。
 
   王陽明は、上記のような表現で、自分を律することの難しさを指摘している。つまり、「人生最大の敵は、自分の心である」ということだ。日々慢心することなく、心中の賊を破るべく、修養することが大事。経営とは、つねに問題と向き合う姿勢である。
 
   “問題意識”を磨けるように、向上心をもって仕事に専念したい。
 

今週の考える言葉「未来会計」

考える言葉

未来会計

   時代の転換期においては、必ず古いものが捨て去られて、新しいものが生まれてくる。新旧交代という新陳代謝は、避けがたい自然の摂理(the low of nature)である。
 
   今私たちが生きている21 世紀という時代は、パラダイムシフトの時代だといわれ、様々な変化がどのような業界においても生じ、あらゆる常識やルールを創造的破壊へと導いている。
 
   さて、先週の“考える言葉”シリーズの続きになるのだが、NN大会の「基調講演」の内容について紹介をしたい。
 
   今回の基調講演のテーマは、「会計で世の中を変える!~未来会計事業化の重要性」で、講師は澤邉紀生・京都大学教授(もう数年も前から、NN大会には出演して頂いたり、いろんな助言を頂戴して頂いたりしている・・・)。
 
   同教授は、「自分の研究は世の中に役立っているのだろうか?」という疑問から臨床会計学を提唱された方で、まさに今回のテーマそのものである。
 
   会計には、大きく二つの領域がある。一つは、財務会計と呼ばれるもので、企業活動の結果を整理して、ステークホルダーに報告をすることを旨とする領域で、報告会計あるいは制度会計とも呼ばれているものだ。(一般に普及しているもの)
 
   もう一つは、管理会計と呼ばれるもので、経営者の意思決定に役に立つ会計情報を体系化したものである。京セラの稲盛さんがいう、「会計が分からないで、経営ができるのか」は、まさに管理会計の重要性を指摘されたのだと思う。
 
   日本の中小企業の数は、1990 年代のピーク時(約500 万社)からすると、3 割減だといわれている。その7 割弱は赤字であり、さらに127 万社が後継者未定という問題を抱えているのだ。
 
   同教授は、中小企業経営者の特徴を次のように指摘している。「中小企業の経営者は、直感力に優れ、直感的に行動する人が多い、上手くいっているときはいいが、上手くいかないと軌道修正が難しい・・・」と。
 
   そこで、経営と会計を結びつけることができる管理会計を熟知した会計人が、助言者・コーチ役を果たすことができれば、「会計で世の中を変える!」ことができるというのが、同教授の主張である。全く同感である!
 
   IG会計グループでは、それを未来会計(=MAS監査)と称し、20 数年前からサービス展開をしているが、約9 割近くの顧客が黒字である。
 
   澤邉教授と共に、「会計で世の中を変える!」という気概で仕事に挑みたい。
 

今週の考える言葉「追い風」

考える言葉

追い風

   先週末(13~14 日)、今年もホテル椿山荘東京で「NN構想の会・第19 回全国大会」を開催することができた。全国から415 名の職業会計人及び関係者のみなさんが参加してくれた。感謝の気持ちがいっぱいで、身が引き締まる思いであった。
 
   2000 年(平成12 年)に、時代の変化を肌で感じつつ、業界革新の一翼を担うことによって、世の中に貢献できる社会的インフラをつくりたいという一念でスタート・・・。
 
   亀の歩みであるが、世の中の進化に貢献しつつ、一歩一歩確実に目的に向かっての“追い風”を感じている。
 
   全国各地から参加してくれる多くの会計人の熱意、16 の支持団体の無私の協力、そして協賛企業の方々の励ましの言葉など、当大会が醸し出す全体の雰囲気からそう感じるのである。
 
   さて、今大会のテーマは『時流を見極め、貢献戦略を鮮明にしよう』である。次の3つの考え方を共有したいと思い、掲げてみた。
 
   ① 時流を見極めることの大切さ
大廃業時代の幕開け(中小企業の127 万社が後継者未定)が叫ばれているなか、私たち会計人の使命・役割を考える。
 
   ② 会計で世の中を変えることの意義
「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」(孫子)。中小企業の約7 割近くが赤字・・・。会計の力で、黒字化の算段をしっかりと整えて、企業価値を高める支援をする。
 
   ③ 「ピンチはチャンス!」
AIに取って代わられるのは、部分(目先き)の仕事のこと。全体からの視点に立って、輝く未来をつくる社会システムの構築に貢献する。
 
   大会一日目第一部は、澤邉紀生氏(京大教授)を招いての基調講演『会計で世の中を変える』から始まった。会計人による未来会計サービスを事業化することの重要性を、論理的にきちんと語って頂いた。(内容の詳細は、次回に紹介したい)
 
   続いて第二部、澤邉教授のコーディネートのもと、氏が懇意にされている管理会計の研究者である3 名の論客をお招きして、管理会計(=未来会計)の研究的課題及び実務との統合について、論じてもらった。
 
   その後の情報交流パーティーによる親睦、そして二日目の支持団体主催の分科会も充実した企画が盛り沢山で、満足して頂いた大会であったと思う。
 
   さて、来年は、いよいよ第20 回大会の節目を迎える。今大会で感じた“追い風”に乗って、さらに邁進していけるように精進したいと思う。
 

今週の考える言葉「IG Way」

考える言葉

IG Way

   月末と月初めの二日間は、IGグループにとって特別な日である。「徹底して考える一日」と称して、全体会議を行う。いわゆる「IG式目標管理」の実践である。
 
   第一日目は、小生の講話からはじまり、みんなで「予実のチェック」を行い、まとめる。翌二日目午前中は、「ジョブリストの棚卸し」を行い、当月の為すべきことを確認し、各自の重点目標を決める。そして、午後からはまとめの発表をして、全員で議論し、衆知を集める時間としている。
 
   さて、今回は“IG Way”について講話をして、みんなで議論をした。“IG Way”を問われたら、どう応えるのか・・・?
 
   まず、思い浮かべるのは、やはり『IG理念』であろう。端的にまとめると、次の3 つの言葉が浮かぶ。
 
   ① 先駆性(世の中の進化に貢献)、② 主体性の確立(切磋琢磨)、③ 自己実現(衆知・統合の価値観)。ドメインを問われたら、はやり「未来会計」の領域で活躍している自分の姿を思い浮かべるに違いない。
 
   これら“IG Way”の基本的な概念をベースにして、「俺流」というものを確立していくと、きっとワクワクして、面白いかもしれない。
 
   問題は、“IG Way”をどれだけ徹底して実践しているかだ。そこで、徹底されていないとすると、何が問題なのかを考えて、その原因をみんなで共有し、是正したい。
 
   ① 優先順位をつけていない(もっと、フォーカスしよう!)。
   ② 熱意を持って語り合っていない(日報やミーティングの活用)
   ③ やり遂げるための計画が不徹底である(ジョブリストの徹底活用)
   ④ 時間の確保・配分ができていない(緊急と重要のマトリックス)
   ⑤ 繰り返さずにやめてしまう(失敗こそ、チャンス!)
 
   一言でいうと、何事も中途半端な取り組みをしていたのでは、‟Way”を口にするのもおこがましというであろう。
 
   IG会計グループでは、年二度の事務所見学会が開催されており、全国各地から同業者の人たちが足を運んでくれる機会がある。そのときの懇親会などで、「“IGさんらしい”雰囲気を感じることができて、勉強になりました!」という感想を頂くことがある
が、何を感じてそう言ってくれたのか・・・。
 
   「IG」とは衆知、「Intelligent Group」の略称で、「衆知を集めて世のため人のためにいい仕事をしよう」という思いを込めている。
 
   これからはもっと、「IGらしさ」、“IG Way”を探求、実践していきたいと思う。
 

今週の考える言葉「熟慮断行」

考える言葉

熟慮断行

   “熟慮断行” じゅくりょだんこうとは、十分に考えた上で、思い切って実行するという意味である。
 
   『孫子を読む』(武岡淳彦 著)の中に、次の一文が紹介してあった。
 
   「弱体な国家は、常に優柔不断である。決断力に欠ける人々が、いかにまじめに協議しようとも、そこからでてくる結論は、常にあいまいで、それゆえ常に役立たないものである。また、優柔不断さに劣らず、長時間の協議の末の遅すぎる結論も、同じく有害であることに変わりない」(マキャベリの『政略論』)。
 
   経営者であれば、誰もが同意する内容であろう。だが現実には、不決断の壁に悔いることが多いのではないだろうか・・・。ビジネスでは商機というのがあり、そのタイミングに乗るか否かで商談の可否が決まることが多い。にも拘らず、なぜ不決断になるのか?著者は、その原因を『孫子』を引用し、次のように考えている。
 
   「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」(孫子)の算が読めず、迷ってしまう(心が逃げる)からだという。ではどうしたらいいのか?「進みて名を求めず退いて罪を避けず」(孫子)であり、邪心を去れ、邪心がなければ迷うことはないと示唆してくれている。
 
   不決断、迷いの本質は、邪心にあるという。先ずは、意思決定において大切なことは、邪心を捨てること。すなわち、哲学・理念・信条に基づいて、論理的に行う必要があるのだという。蓋し、同感である。
 
   さて、“熟慮断行”についてだが・・・。
 
   “熟慮断行”の根本には、哲学・理念・信条が反映される必要がある。そして、達成すべき目的や目標に対して、次のような手順で戦略的な展開を行い、実行の可能性を高めていくことになる。
 
   ① 先ず、情報の収集と分析を行う
   ② ①に基づいて、統合的な状況判断を行う
   ③ ②に基づいて、実行可能な行動計画を作成する
 
   そして、組織全体で行動計画の共有化を図り、実行に勢いをつくることが肝要だと考える。
 
   IGグループで提唱している「未来会計サービス」の本質は、“熟慮実行”による意思
決定をオペレートするのに有効な、目標管理システムにあると考える。
 
   さらに、「仮説~実践~検証」の経営サイクルを繰り返し行うことによって、仮説の質が高まり、意思決定の必然性が高まっていく。まさに、経営者の“熟慮断行”をサポートする考え方、仕組みではないだろうか。
 

今週の考える言葉「自己革新」

考える言葉

自己革新

   ”考える言葉”シリーズで、過去において何度となく取り上げたテーマの一つに“自己革新”がある。今回は、トップの“自己革新”について考えてみたい。
 
   ある企業コンサルタントの一言、「会社は良くも悪くもトップ次第です・・・」。どんな赤字の会社でも、トップが変われば一年もしないうちに黒字転換できるし、見違えるほどの成長軌道に乗せることができるのだという。
 
   小生も仕事を通して、多くの中小企業経営者とお付き合いさせて頂いているが、確かに「良くも悪くも、トップ次第だな・・・」と思うことが多い。経営革新を断行するとき、先ずは、トップの“自己革新“からスタートしなければ、何ら効果が生じないことが多いのである。
 
   だが、これはなかなか難しい課題である。なぜならば、人材や資金不足等を嘆くが、多くの経営者は、自分自身の経営手腕そのものに業績不振の原因があると思っていないからである。「やるべきことは沢山あるのに、人材不足だ」と嘆く。
 
   そこで、いくつかの質問を投げかけてみる。
 
   ① 経営理念や人材ヴィジョンは明確になっていますか?
   ② 5 年後、10 年後の会社のヴィジョンは明確になっていますか?
   ③ 社長自身がやるべきこと、やるべきでないことは明確に区分できていますか?
   ④ すべての責任を取る覚悟はできていますか?
   ⑤ 後継者の育成は万全ですか?
   ⑥ 自らの引き際は明確にしていますか?
   ⑦ 現場を掌握する仕組みはできていますか?
 
   トップの姿勢として、外にも問うべきことはあると思うが、以上のことについても具体的な答えを頂けることは意外と少ないのである。
 
   昔から、「他人と過去は変えられない」という言葉があるように、トップ自らが率先して“自己革新”をしなければ、組織も社員も変えることは難しいのである。
 
   「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)という有名な言葉があるように、トップの姿勢や考え方そして行動にすべてが委ねられていると思って“自己革新”をするしかない。
 
   “自己革新”とは、あるべき姿(新し自分)と現状(古い自分)との差を認識し、その差を埋める戦い、すなわち自分との戦いである。
 
   自らの価値観(思考の枠組み)を変え、行動を変える戦いなのである。それゆえに、先ずは、トップの“自己革新”、覚悟が求められるのである。
 

今週の考える言葉「片づけ」

考える言葉

片づけ

   幼少の頃の躾で最も大切なことの一つに、“片づけ”の習慣があげられる。
 
   確かに、「遊んだ後は、ちゃんと“片づけ”なさい」と母親からいわれた記憶がある。
 
   最近も、お母さんたちが子供たちに、そんな注意をしているのをよく耳にする。だが、大人になると、その“片づけ”の習慣がちゃんと身についている人とそうでない人とに、はっきりと分かれているような気がする。
 
   ひと頃、『5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)』というのが流行ったのは記憶に新しい。弊社においても、コンサルタントにお願いし、取り組んだ時期がある。確か、5Sの責任者まで決めて職場ぐるみで実施したが、どうだろうか?その活動の成果はどうだったのか・・・。問題意識のレベルが低かったような気がする。
 
   『トヨタの片づけ』(OJT ソリューションズ/中経出版)という本がある。その本の中に、「“片づけ”は雑務ではない。仕事そのものである」という一節がある。何のために“片づけ”をするのか?
 
   ① 作業や時間のムダを省く
   ② 乱雑さから発生するミスなどを省く
   ③ 仕事の効率化を推進する
 
   「生産性の向上」という経営課題に取り組むための手段として、“片づけ”に全社で取り組んでいるというスタンスが素晴らしい。
 
   「歳をとると、何事も面倒くさくなる・・・」というある人の一言で、「面倒くさいと感じたら歳をとった証拠だ」と思うようにして、心掛けてやり出したのが“片づけ”である。日常的などんな事でもいい。朝起きて着替えたら、パジャマをたたむ。ご飯を食べ終えたら、すぐに茶碗を洗う。使い終わったものは、元に戻すなど・・・。
 
   大切なことは、やり続けて習慣化することだ。完了感をいつも味合うことができて、頭の中がすっきりと片づいて、気持ちの切り替えができて、次の仕事への転換がスムーズにいく。そして、心の余裕ができるから不思議だ。
 
   ここまで書いていて、ふっと気になったことがある。ずっと前から、机の下の置きっ放しになっている段ボール・・・。整理棚の中の、一年以上も触れていない過去の書類関係など・・・。片づけの第一歩は捨てることから始まるという名言。それから、最近気になるのがメールやラインの量が多すぎて、返信が遅れがちになっていること。これも、さっさと“片づけ”をしないと、相手に対して失礼になると思いつつ・・・。
 
   “片づけ”は、生産性の向上(仕事の質化・効率化)につながるし、人間関係の良否に関わる大切な仕事である。
 

今週の考える言葉「配慮」

考える言葉

配慮

   先週末(8 月3~4 日)、NBM(第17 期⑥)最終講が終えたばかりである。NN構想の会に参加している会計事務所を中心に声かけをし、新ビジネスモデルの共同研究を行っている勉強会である。
 
   未来会計を事業化するために必要なビジネスモデルの習得、組織体制のつくり方、そして営業展開の手法などについて、グループ討議を通して一年間で学んでもらう内容になっている。2003 年にスタートして、もう17 年が経つ。
 
   同業者が一同に会し、意見を交換し合いながら、自社の成長戦略を描く機会をもてる場は滅多に得られるものではない。グループ討議のテーマは、予め質問形式で準備されているので問題ないのだが、その運営のあり方に課題が残るそれは何か?メンバー相互の“配慮”の力量であろう・・・・・。
 
   というのは、一グループが7~8 名のメンバーで構成され、グループごとに2 日間協議をするので、お互いの意見を交換し合い、衆知を集めるためのいい機会になるはずだが、ほとんど自分の意見を言わない人がいるかと思えば、独壇場で喋りすぎる人もいる。いずれも“配慮”のなさであろう。“配慮”とは、心づかい、気づかい、心配りである。つまり、他人や他の事のために気をつかうことである。
 
   今後、AIに取って代わられる職業がたくさん出てくるといわれている。それは時代の流れであって、避けて通れないことであろう。でも、どんな職業であろうと、AIに丸投げというわけにはいかないような気がする。
 
   それは、“配慮”という行為ではないだろうか。“配慮”は人間にしかできない究極のマナーではないだろうか。AIに向かって、「おまえは配慮が足りなすぎる!」と嘆いてみてもしょうがないだろう。
 
   職業柄、多くの経営者の方々にお会いする機会があるが、優れた経営者は得てして“配慮”の達人が多い・・・。ちょっとした気配りをさり気なくするあたりは、流石としかいいようがない。その行為に全く嫌味がないのである。
 
   NBMも期を重ねるごとに、若い会計人の参加者が増えてきているが、場の盛り上がりが良くなってきているような気がする。学ぶ姿勢が良いのはもちろんであるが、参加者の“配慮”のレベルが、年々、高くなってきているような気がする。
 
   “配慮”の度合いとは、人や物事に対する関心の高さと比例しているような気がする。
 
   優れた経営者に配慮の達人が多いのも、自らの経営に対する関心(=思いの強さ)の高さであろう。また、場の空気を読める人でもある。
 
   AT化等が進むに連れ、“配慮”が仕事における成果のキーワードになりつつある。
 

今週の考える言葉「職業の道楽化」

考える言葉

職業の道楽化

   最近、書棚を整理していると、かつて読んだ良書に出逢うことが多い。『本多静六人生計画の立て方』(本多静六 著)も、その中の一つである。
 
   本多静六博士(1866~1952 年)は、林学博士、造園家、株式投資家で、日本の「公園の父」という略歴の紹介があるが、氏の人生哲学に基づいた『人生計画の立て方』は、感銘に値するほどに素晴らしい。また、とても65 年以上も前に書かれたものと思えないほど、斬新で、普遍性がある。
 
   「人生即努力、努力即幸福」という人生観に基づいた『人生計画の立て方』は、理に適っており、「計画は向上を意味し、努力を意味するもの」であり、人生コースの四分法(教練期、勤労期、奉仕期、楽老期)は、長期的な視野に立った計画目標と計画方法の描き方が明確となり、参考になる。
 
   生き方としては、やはり決めたこと(計画したこと)は「焦らず、休まず、怠らず」で、やり続ける意志力を培うことの必要性を説いていると思う。
 
   これに関連してだと思うが、この本の「我等いかに生くべきか」という章で、“職業の道楽化”について述べている箇所がある。
 
   「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、実際何事でも好きになるまで努力すれば、自然とそれが必ず上手になれるものであって、努力はついにその人を天才にし、名人にまですると、いう。
 
   まさに、同感である。私たちも普段から、新人研修などを行うとき、「仕事は嫌々していたのでは、いつまでも上達しないぞ。何でも与えられた仕事は、好きになれるように創意工夫が必要だ・・・」と諭している。
 
   氏は、「不慣れな仕事でも、これを天職と確信し、これを命運と甘受し、迷わず、疑わず、最善を尽くして努力するならば、初めの間こそ多少の苦痛は伴っても、いつとはなしその仕事に慣れ、自分もそれに適応するようになって、能率も上がり、成績もよくなり、自然とその仕事に趣味も生じてくる。ついにはそれが面白くてたまらなくなるところまで展開される・・・」
 
   つまり、“職業の道楽化”が達せられたわけで、「あとは全く人と職業とが一体化せられて、その大成功は求めずとも必ず向こうからやってくるのである」という。
 
   “職業の道楽化”とは、実に面白い表現であるが、働くことを価値化するための唯一手段となり得る考え方だ。
 
   「熱心は工夫を生む母となり、努力はまた趣味を生じる父」となる。みんなで、“職業の道楽化”を図ると、日本の生産性は間違いなく向上すると確信する。
 

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