古田会計事務所

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今週の考える言葉「働くこと」

考える言葉

働くこと

   先週の「”考える言葉”シリーズ(24‐33)働き」で、「動き」と「働き」の違いについて考えてみた。
 
   今回は、「人はなぜ、働くのだろう?」という観点から、“働くこと”の意義について考えてみたい。
 
   前回も触れた通り、「働くの語源は、傍(はた)を楽(らく)にすること」であり、他人に貢献することによって、自らの成長機会を得ることになるのだ、と。
 
   経営学者である伊丹敬之(ひろゆき)教授は、氏の著書『経営を見る眼』の中で、次の二つのために「人は働く」と述べている。
 
「所得」=「稼ぎ」(経済生活)
「すること」=「勤め」(存在意義)
 
   そして、なぜ人は「会社」で働くかというと、一つは、人間は一人ではできることには限界があるということ、二つに、集団に加わりたい、つまり人は群れたがる動物だからだという。
 
   先週(20~21日)は、二日間、福岡で後継者育成塾(第8期⑤)を開催したが、その時のテーマは『仕事の価値化~仕事の報酬は仕事である』。二日間みっちり、「何のために仕事をするのか」、そして個人ではなく組織人として、なぜ“働くこと”をしているのか等々について、皆で討議し、考えてみた。
 
   普段何気に行っている日常的な業務……。「なぜ、何のために」と目的を問い直してみると、様々な気づきが出てくるものだ。
 
   近代組織論の祖の一人であるチェスター・バーナード(1886~1961)は、企業という組織を協働行為の体系と捉え、その組織の成立条件として、次の3要素を示している。存続の前提としている。
 
① 共通目的(組織目的)
② 協働意思(貢献意欲)
③ コミュニケーション
 
   ここで、“働くこと”とは、協働行為の体系の一部分として、全体と部分との関係性を十分に理解した上で、自らの役割を十分に認識し、求められる成果につながるような動き、働きをすることが重要である。
 
   「仕事の本質は、社会貢献である」とするならば、「自らの働きが世のため人のためになっているのか」という問いを自問自答し、日々反省の時間を持つことが大切だと考える。
 
   「人はパンのみにて生くるにあらず」 “働くこと”の意義を改めて熟慮したい。
 

今週の感がる言葉「働き」

考える言葉

働き

   人を評価するときの間違いの一つは、「動き」と「“働き”」を混同するところにある。
 
   夜遅くまでの残業とか、休日出勤を「よく働いている」と評価するのは早計である。それがどんな成果につながっているのか抜きに評価できないという。
 
   忙しく動き回っていれば働いている気になってしまう。しかし、これは悪しき習慣である。
 
   成果をあげるには、古いものや報われないものを計画的に廃棄する必要があるとドラッカーは繰り返し主張している。
 
   さらに、“働き”において成果を出すために重要なことは、自らの強みを認識できているかどうかである。なぜならば、何事かを成し遂げるのは強みだからである。
 
   では、強みを正しく知るためにはどうしたらいいのか。ドラッカーが推奨するのは、フィードバック分析である。
 
   例えば何かをすると決めた時、先ず期待する成果を書き留めておく。そして定期的に期待と結果を比較する。すると、次のような事が明確になってくる。
 
① 自分は何がうまくできるのか
② 自分の強みは何か
③ 自分にはどんな能力が欠けているのか
④ 自分は何を学ばなければならないか
 
   こうして自分の強みを知ったら、それをさらに強化し、“働き”(仕事)に活かすように心がけることだ。
 
   そして、組織としての“働き”という観点から考えると、協働行為の体系としての機能が求められる。つまり、組織を構成するメンバー一人ひとりがお互いの強みを生かし合うという風土を創ろうとする心がけである。
 
   “働き”を通して、自らのキャリアを高めたいと願っている。それには、ドラッカーによると、次の3つを知ることが大事だという。
 
① 自らの強み(強みを知り、伸ばすこと)
② 自分の仕事のスタイル(仕事の得意不得意を知 る)
③ 自分の価値観(モノの考え方)
 
   そして、自らの価値観を“働き”に活かそうとするならば、組織の価値観との間にズレがあっては自らの強みを発揮することはできない。
 
   元来、働くの語源は、傍(はた)を楽(らく)にすることだという。“働き”、他人に貢献することによって、自らの成長機会を得ることになる。
 
   自己の強みを活かし、世のため人のために尽くすことに専念したいと思う。
 

今週の考える言葉「起業家精神」

考える言葉

起業家精神

   バブル崩壊後(1990年代初頭)、日本経済は「失われた10年~30年」と言われ、そしてアフターコロナ後の今がある。
 
   その間、よく耳にするようになった言葉に一つに、“起業家精神(アントプレナー・シップ)”という言葉がある。また同時に、“起業家精神”を持った若い経営者に出逢う機会が増えたような気がする。
 
   アントレプレナーシップ(entrepreneurship)、その語源はフランス語の「entrepreneur」から来ており、日本語では「起業家(企業家)精神」と訳されている。
 
   シュンペーター(経済学者)は、“起業家精神”について「新しい事業を創造しリスクに挑戦する姿勢であり、イノベーションを遂行する当事者である」と述べている。
 
   また、ドラッカー(経営・社会学者)は「“起業家精神”を個人の資質だけでなく、組織の文化やリーダーシップの哲学」としても捉えている。
 
   そして、「組織やリーダーが変化に適応し、成長するための貴重な指針となり、変化こそが新たな機会を生み出す土壌である。つまり、変化の時代においてビジネスの成功に不可欠な要素を提供する」としている。
 
   かなり分厚い本だが、『ベンチャー創造の理論と戦略』(ジェフリー・A・ティモンズ著、千本倖生+金井信次訳)という本の中で、「“起業家精神”の6大テーマ・起業家に必要なメンタリティと行動」として、次の6項目が紹介してある。
 
① 全面的な献身と強固な決意(決してあきらめない)
② リーダーシップ(ビジョンと夢)
③ 起業機会への執念(識別し、没頭する)
④ リスク、曖昧性、不確実性に対する許容度(パラドックスへの対処)
⑤ 創造性、自己依存、適応力(失敗を恐れず、行動主義に徹する)
⑥ 一流足らんとする欲求(チャレンジ目標への意欲)
 
   この6大テーマの関しては、まったくの同感である。小生も、未来会計の事業化について講演したとき、「事業化、成功の秘訣は何ですか?」と問われたとき、次のように応えることが多い。
 
   「一言でいうと、成果が出るまで、決して諦めずにやり続けること」…。
 
   そのためには、上記の「6大テーマ」は必要不可欠な要件だと、改めて認識した次第である。
 
   今日の成熟化した時代環境、ビジネスのグローバル化、消費者ニーズの多様化など激変する経済環境において、その環境に適応し、さらに存続・発展していくには、“起業家精神”は組織にも個人にも必要不可欠な要件だといえよう。
 

今週の考える言葉「プラス思考」

考える言葉

プラス思考

   弱み・アンバランス・脅威はチャンスである」という考え方がある。
 
   つまり、「マイナス要因はビジネスチャンスである」という“プラス思考”の発想だ。チャンスを発見する視点として、「マイナスをプラスに変える」という考え方が大いにあり得ることである。
 
   そもそも、企業は「顧客の問題解決」を支援する存在であると考えるならば、「マイナスをプラスに変える」という“プラス思考”の発想は、企業の存続・発展には欠かせないことである。
 
   まず、脅威だが、これは社外に存在する。つまり、組織を取り巻く環境であり、その変化として捉えることができる。時に、“プラス思考”あるいはポジティブ思考という言葉が口にされるのは、変化の激しい時代環境のせいもあるだろう。
 
   その変化をプラスに変える思考は、どうすれば身につくのだろうか?そのトレーニングの方法として、よく次のような事が言われている。
 
 ① 小さい目標達成を繰り返し、勝ち癖をつける
 ② 普段から笑うように心がける
 ③ 何事にもまずはチャレンジしてみる(やりたい気持ちを大切に)
 ④ 完璧主義に固執しない
 ⑤ 筋力トレーニングなどに励み、自己肯定感を高める
 ⑥ 前向きになれるよう、ルーチンワークやゲン担ぎを取り入れる
 ⑦ 「ありがとう!」などポジティブな口癖を習慣化する
 ⑧ 前向きになれる言葉や名言を読む
 
   小生は、朝起きたとき、「今日も一日、前向きに生きるぞ!」と“プラス思考”が働くように、P・F・ドラッカーの本などを机に数冊置いていて、手に取るようにしている。そして、今日一日大事にしたい言葉を一つ選ぶように心掛けている。
 
   さらに、その選んだ言葉は、スマホのIG経営理念を記載している個所に、大事にしたい価値観として、付け加えるようにしている。そして、折に触れて、目を通すようにして、考える言葉の題材として活用もしている。
 
   “プラス思考”にとって、もっと本質的な事としては、「目的思考」を持って生きるということではないだろうか。「何のために生きるのか」という問題意識こそ、“プラス思考”の根本をなす姿勢であろうと考える。
 
   つまり、“プラス思考”の本質は、目的を明確にしてその実現のために努力をし続ける姿勢を貫くことで培われてくる思考、つまり生き様ではないだろうか。
 
   変革の時こそ、前向きに生きる、“プラス思考”が必要なのではないだろうか。
 

今週の考える言葉「細口巨耳」

考える言葉

細口巨耳

   もう30年程前に出版された書物であるが、『リーダーの生き方』(飯塚昭男 著)という本がある。90年代で、バブル経済が崩壊し、トップのリーダーシップが強く問われる時代の始まりだった。
 
   先行き不透明な難しい時代の中で舵取りをしなければならない経営者にとって、情報収集力は必要不可欠な要因だったといえよう。
 
   情報の基本動作は不変で、それは「深く読み、深く聞き、深く叩く」ということだ。
 
   この三つの基本動作の中でも組織リーダーには「聞くということ」が重大な要素になるという。組織を動かし、人心をつかみ、時代の変化に対応するには「体全体を耳にする」必要がある。
 
   「良きリーダーシップは、まず聞くことから始まる」と言う。
 
   “細口巨耳(さいこうきょじ)”とは、「余計な口を挟まず、相手から話を聞き出せ」ということである。
 
   古くから中国に伝わる言葉で「巨口細耳」という言葉がある。人の言うこと聞かぬ王侯の頑なな態度を嗤ったものである。つまり、口ばかり大きく、わめき立てるが、耳はことのほか小さく、他人の意見に全然耳をかさない状態を指したものだ。
 
   それを上手く、使い変えて、「経営者は“細口巨耳”であらねばならぬ」といった経営者がいたという。
 
   経営の神様と言われた松下幸之助氏の成功の秘訣の一つとして、「幸之助さんは人の話を聞く名人だった」とよく言われる。しかも、素直な心でしっかりと聞き、一方で深く考え、そして考えながら聞いたという。まさに、“細口巨耳”…。聞き上手だったのである。
 
   聞き上手のポイントとして、次の4点が考えられる。
 
 ① とにかく黙って聞くこと
 ② 本音で聞くこと
 ③ 問題意識を持って聞くこと(自分の座標軸の問題)
 ④ そして最後は、「深く考える」こと
 
   バブル崩壊後、失われた10年が、いつの間にか失われた30年と言われるようになった。時代環境はさらに多様化し、混沌とした時代が深まっている。
 
   経営はさらに、リーダーシップが問われる環境にある。そのためにも、リーダーは傾聴力を高め、先見力を磨き、信念を持って意思決定をすることが求められるいる。
 
   全身を耳にして情報を集めるためにも、“細口巨耳”でありたいとも思う。
 

今週の考える言葉「ドメイン」

考える言葉

ドメイン

   “ドメイン(domain)”とは、組織体の活動の領域・フィールドことで、事業“ドメイン”ともいう。
 
   小生が独立開業したのが1984年で、40年ほど前になるが、その頃の日本経済は戦後の高度成長期を終え、市場が成熟化し、安定成長・低成長期にあったと言われていた。
 
   そんな経済環境であったからだろう、「企業は新たな成長戦略を描くには、“ドメイン”の見直し、再構築が必要だ」ということをよく見聞きしたものだ。
 
   企業は“ドメイン”の設定により、戦う領域を設定し、組織活動の指針とする。ゆえに、
 
   “ドメイン”は、企業の方向性を示す上で、非常に重要な意味を持つ。そして、“ドメイン”設定のミスが、企業の凋落の原因となった事例として、アメリカ鉄道会社のことがよく挙げられていたものだ。
 
   アメリカ鉄道会社の凋落の原因は何か。それは、市場が衰退したからではなかったと…。人の移動の面でも物の移送の面でも、事実、輸送に対する社会のニーズは急成長を続けるなかで鉄道の凋落が起こったのである。自動車やトラックなどの代替輸送手段に需要を奪われたというよりも、伸び続けていた需要に鉄道会社自身が上手く対応できなかったために起こったのである。
 
   この例は、鉄道会社が自らの事業を「輸送事業」と考えるのではなく「鉄道事業」と考えたために自分の顧客を他に追いやってしまったというのだ。
 
   アメリカの鉄道業界が衰退したのは自分たちの事業を“鉄道”というサービスでだけしか考えていなかったのが、その理由であった。つまり、輸送を目的と考えずに鉄道を目的としてしまったからだ。
 
   鉄道という物理的定義の“ドメイン”ではなく、輸送という機能的定義の“ドメイン”を思考すべきだったのだ。
 
   自分の商品やサービスを中心にして事業を考えていると、技術革新など環境に変化が起こったとき、他の業界に顧客をすべて持っていかれる恐れがあるのだ。
 
   成功と継続を両立させるためには、➀ 顧客は誰か、② 顧客の抱える問題は何か、③ どうやって顧客の問題を解決するか、常に顧客の視点から“ドメイン”を見直すことを怠ってはならないと思う。
 
   1990年代初頭にバブルが崩壊して30年が過ぎる。「失われた10年」がいつの間にか「失われた30年」と言われるようになった。各人が、自らの手で、新たな成長戦略を描くためにも、自社の“ドメイン”を再構築してみたいと思う。
 

今週の考える言葉「迷い」

考える言葉

迷い

   誰もが自らの人生において、「何かに迷う」ということを幾度となく経験しているのではないだろうか。現に今、“迷い”の最中にいる人もいるだろう…。
 
   しかし、「何かに迷う」ということは、不快なことではあるが、人間として生きている証拠だとも言える。人間はもともと迷う生き物なのだ。それは人間が複雑な社会を生きているからに他ならない。ある意味、進化している証拠だともいえよう。
 
   中西輝政(政治学者、歴史学者、京大名誉教授)は、その著書の中で「“迷い”は将来への投資である」と延べて、「人間は、つねに相反する二つのものを持ち、自分に問いかけていくべき存在だ。その中で悩み、惑い、試行錯誤することこそ、考えを広げ、深める訓練の場となる」と。
 
   「社長は誰も孤独で“迷い”続けている」という言葉をよく耳にするが、確かに日々難題に向き合い、孤独な意思決定をせざるを得ない経営者にとっては、“迷い”(悩み)は一種の職業病だともいえるだろう。
 
① 業績の低迷、伸び悩み
② コスト削減の悩み
③ それに伴う資金繰り悪化
④ 優秀な人材確保ができない
⑤ 人材が定着しない
⑥ 取引先との関係性に悪化
⑦ 将来への見通しが不透明 等々…。
 
   経営者というは、ホントに“迷い”(悩み)の尽きない役職である。
 
   松下幸之助も、松下政経塾で“迷い”について次のように語っていたという。
 
   「今はまだ、“迷い”に迷って、骨と皮になるというくらいに迷ってもいいわけや。迷えば迷うほど偉大なものが生まれる。苦労のしがいがあるものや。そやけど迷わんでもいいことで迷ったらあかん。それと、自分の感情にとらわれたらあかん。素直な心がなかったらそうなってしまう」と…。
 
   現状に甘んじることなく、新たなことにチャレンジしようという気持ちで日々仕事に取り組んでいると、“迷い”はあって然るべきだろう。そんなとき、「“迷い”は将来への投資である」という言葉を思い出し、焦らず、じっくりと迷いと向き合う姿勢であるべきだろう。
 
   「満足した豚よりも不満足なソクラテス」でありたいと思う。
 

今週の考える言葉「未来への投資」

考える言葉

未来への投資

   P・F・ドラッカーの提言に、次のような言葉がある。
 
   「チェンジ・リーダーたるためには二つの予算が必要である。一つが現在の事業のための予算、もう一つが未来のための予算である」。 
 
   今を生きるのが精いっぱいという人や企業が多いが、望む未来を築き上げるためには、未来のために少しでも時間やお金を使うことが必要だということだ。経営には、「未来会計が必要だ」と説いている小生にとって、まさに同感できる言葉である。
 
   「いつかこうなりたいなあ…!」と願ったことがあると思う。人は誰でも夢を思い描くものだが、その夢は殆ど、待っているだけでは実現しないものだ。夢は、それを具体的にあるべき姿として描き、その実現にチャレンジしてはじめて具現化する。
 
   その手順を明確にして実践する方法を具体化してフォローするのが、弊社の提供している未来会計サービスである。
 
   我々は、いろいろな状況において、学ぶ機会を持つことが多いが、まさに「学び」は“未来への投資”だと考える。
 
   「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」(アラン・ケイ)という言葉があるドラッカーは、「未来は望むだけでは起こらない」という。では、望む未来を手にするためには何が必要なのか。
 
   それは、『今、意思決定を行い、今、行動し、リスクを冒すことである。未来は「ただ待つ」のではなく、自ら「行動しながらつくり上げていく」ものだ』という。
最近、改めてドラッカーに凝り、手元にあるドラッカー本を一冊一冊ていねいに読み直しているのだが、毎回、フレッシュな気分で向き合えるのは不思議だ。きっと、マネジメントを通して、世の中の真理と向き合えているからだろう。
 
   また、経営者として、21世紀という大変革の時代にチャレンジするために必要な知恵をふんだんに授かることができるからだろう。
 
   ドラッカーの言葉には、一つひとつに哲学がある。それゆえに、深く考える機会を与えてくれているのだ。
 
   目先の仕事に追われ、今を生きるのが精一杯というのが実情だと思うが、望む未来を築き上げるためには、未来のために少しでも時間やお金を使うことが必要だと思う。自らの未来について、じっくりと「考える一日」。それが、弊社が毎月二回開催している『将軍の日』である。ぜひ、将軍になる時間をつくってもらいたい。
 

今週の考える言葉「セルフイメージ」

考える言葉

セルフイメージ

   “セルフイメージ”とは、「自分が自分に抱いているイメージ(自己認識)」のことである。
 
   「三つ子の魂百まで」という言葉があるが、私たちは生まれてから、日々様々な経験をするのだが、過去に自分が経験したすべての出来事が“セルフイメージ”をつくり上げる要素となっているという。
 
   新しい仕事を任せようとしたとき、その対応にも二つのタイプがある。
 
   ➀ 一つは、「それ、やったことがないので、私には無理です」という“自己否定的”なタイプと、② もう一つは、「ぜひ、私にチャンレンジさせてください!」という”自己肯定的“なタイプがある。
 
   このように、その人の抱いている“セルフイメージ”の在り様で、仕事の良否あるいは仕事を通しての成長の度合いが変わっていくるという。
 
   その自分の“セルフイメージ”について深く考えてみたことがあるだろうか。また、“セルフイメージ”を高めるためにどんな努力をしてきただろうか。『なぜかうまくいく45の習慣』(井上裕之著)という本に中に、“セルフイメージ”の高め方として、次の8つの項目を掲げてあったので紹介したい。
 
 ① 自己否定はしない
 ② うまくいく言葉だけを使う
 ③ 自分の「よいところ」に目を向ける
 ④ 周囲の評価にとらわれない
 ⑤ 自信を持てない人の共通点に気づく
 ⑥ 歪んだ“セルフイメージ”を直す
 ⑦ 「コンプレックス=思い込み」と考える
 ⑧ 自分の希少価値に気づく
 
   普段、あまり自らの“セルフイメージ”を意識したことはなかったが、上記の➀と⑧については無意識にやっているような気がした。
 
   心理学では、「役割効果」といわれるものが存在しており、人は役割を与えられると、与えられた役割(“セルフイメージ”)通りの行動を取ってしまう傾向があるという。
 
   言われてみると、確かに「自分の役割とは何か?」を自己認識することによって、その役割に合った“セルフイメージ”を無意識に描いて、自分をつくり出している可能性があると思う。もっと自覚的にセルフイメージを描くことによって、新しい自己の発見ができるかも知れない。そんな感じがした。
 

今週の考える言葉「継続心」

考える言葉

継続心

   先週の考える言葉シリーズ(24‐24)で紹介した、新渡戸稲造の著である『逆境を越えてゆく者へ』の中で、“継続心”の大切さについて述べている個所があったので紹介したい。
 
   「発心はたやすいが“継続”は難しい」という。
 
   志を立て、何かを決意することは、誰でも幾度となく経験することであろう。しかし、この決心を“継続”させることはなかなか容易なことではない。最初は勢いに乗って熱心にやっても、たいてい途中で厭になることが多い。
 
   例えば、今日から日記をつけよう、家計簿をつけようと決意しても、これを一年間やり続けることは容易なことではない。最初は勢いに乗って熱心に取り組んでいても、習い性になるまでには気が緩むことがある。
 
   大概の仕事においてもそうだ。もう一息という大切なところで厭になり、諦めがちなものである。やめてしまえばそれまで…。すべてを無駄にしてしまうことになる。
 
   徳川家康の遺訓に「人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし」というのがある。家康ほどの人物であっても、継続することの困難と必要を認めてこれを説いたのだという。
 
   ゲーテも「急がず、休まず」という言葉を残しているという。何事も“継続心”をもってやり続ければ、いつか必ず目的に到達するものだ。最後まで辛抱してやり遂げようとする決意が乏しいのだと思う。
 
   では、“継続心”を培うには何が必要なのだろうか。
 
   先ずは、毎日幾度となく志(なすべき事)に注意を向け、それを習い性にすること。つまり、常に志を忘れないように心にかけて記憶することだろう。そして習慣づけば、一回でもしないと物足りなくなるものだ。
 
   また、“継続心”を妨害する外部要因が3つあるので注意しよう。
 
① 外因一:そんなことはやめろという反対
② 外因二:生活環境の変化による中断
③ 外因三:他人の嘲笑(皮肉や嫌味など)
 
   「習うより慣れろ」という諺があるが、その通りだと思う。小生もセミナーなどで、「未来会計、事業化の秘訣は何か?」と問われると、必ず次ように応えている。「成果が出るまでやり続けること!」、その決意があれば必ずうまくいくと…。
 
   まさに、先人が指摘するように、「継続は力」である。改めて、“継続心”の大切さを痛感している。