古田会計事務所

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今週の考える言葉「人間形成」

考える言葉

人間形成

   最近、戦後80年という言葉をよく耳にする。今年(2025年)が戦後80年の節目であるということからだろう。
 
   戦後の日本は、経済的復興を最優先課題として掲げ、そのための知識教育の制度化を図った。その甲斐もあって、高度経済成長期(1955~1973年の頃)を経て、世界第2位の経済大国になったのは周知の事実である。
 
   その当時流行った言葉に、エコノミックアニマルがある。これは、その当時の日本人は経済上の利潤追求を第一義として活動していたため、国外の人からそう呼ばれたのであろう。
 
   そのせいもあったのだろうか、日本人としての思想・価値観を問い直すようなセミナーも流行っていたし、本屋にはそんな書籍もたくさん並んでいたように思う。
 
   その当時、あるセミナーで紹介され、関心をもった人物がいる。
 
   安岡正篤(1898~1983年)である。書棚を整理していると、十数冊出てきたので懐かしく思い、再読しているので少し紹介したい。
 
   安岡正篤は、日本の易学者、哲学者、思想家。戦後の政界・財界に影響を与えた人の中で、一番手に挙げられる。また、「平成」という元号は、安岡正弘の発案だとも言われている。
 
   その氏が説く“人間形成”において、人間は次の四つの要素から成り立っているという。① 徳性、② 知性・知能、③ 技能、④ 習慣
 
   さらに、人物を修めるための平生の心掛けとして、次の三点を挙げている
 
 ① 心中常に「喜神」を含むこと
 ② 心中絶えず感謝の念を含むこと
 ③ 常に陰徳を志すこと
 
 そして、人間としての要素をしっかりと認識できたら、次は人間として、自己を高めていく努力が大事になる。
 
 ① 寸陰を惜しむこと
 ② 良き師、良き友を持つこと
 ③ 愛読書、座右の書を持つこと
 ④ 感恩報謝の心を持つこと
 
   以前にも紹介した、物事の捉え方としての「目先にとらわれず長い目で、物事の一面だけでなく多面的に、枝葉末節にこだわらず根本的にみてゆく」という思考の三原則も肝に銘じておきたい教えである。
 
   手元にある本だけでも再読に時間がかかると思うが、それだけの価値はあるだろう。
 

今週の考える言葉「少数精鋭」

考える言葉

少数精鋭

   1970年代中頃を境に、日本経済が高度成長期(1955~1972年頃)から安定・低成長期に移行する時代があった。
 
   その頃、高度成長期には青田刈りという言葉が流行ったほど、多くの企業がこぞって新卒就労者を採用し、人を増やしていたのだが、時代環境の変化がそう言わせたのか、「これからは“少数精鋭”の時代である」と言われ出したのを記憶している。
 
   つい最近のことだが、ある経営者から「“少数精鋭”に徹していこうと思うのだが、どこから手掛けていけばいいのだろうか?」という疑問を投げかけられた。
 
   その意図の背景には、少子高齢化になって人材採用が難しくなってきているということと、売上拡大を目指すよりも利益重視の経営へ舵取りしていかなければならないという危機感からであろう。
 
   「“少数精鋭”で行きたい」という、その経営者の意図するところは「一人当たりの生産性をもっと高くしたい」と考えたほうがいいだろう。
 
   そこで、不採算部門の一人当たりの生産性を計算し直して、三人でやっていることを一人減らして、二人で担当してもらう。生産性の低い仕事をやっている人たちがいたら、その仕事を一つにまとめて、誰か一人にやってもらう…。
 
   そして、余剰となった人は業績が伸びている部門・部署への移動、あるいは新規事業の立ち上げに関わってもらうのもいいだろう。
 
   それから、“少数精鋭”を目指す目的は、生産性の高い組織や人材を育てるところにある。だとすれば、生産性の高低の判断をする物差し・基準を誰もが自覚できるように明確にしておく必要があるだろう。
 
   そのためには、先ず組織が目指す一人当たりの生産性目標を明確にしておく必要がある。
 
   その一つの方法として、次の労働分配率を使うのもいいだろう。
 
 「労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100」
 
   この労働分配率が高すぎるということは、企業の収益が従業員の人件費に過度に依存し、利益が圧迫されているという可能性がある。つまり、給料に比べて一人当たりの生産性が低いのか、過剰人員がいるのか。これでは、“少数精鋭”とは言い難い。
 
   世界的に見て、日本という国の生産性の低さが話題となっているが、何が原因となっているのだろうか。日本人が他国の人に劣っているとは思えないのだが…。
 
   “少数精鋭”という視点も踏まえて、徹底して、働き方改革を行い、生産性の向上を高めるためには、何をなすべきなのかを徹底して考える必要があるだろう。日本の企業の99.7%は中小企業だという。その中小企業の働き方にも問題があるという。
 

今週の考える言葉「自助努力」

考える言葉

自助努力

   先週の考える言葉シリーズ(25‐05)で、IG主催の“新春セミナー”について取り上げたが、小生が第1部で講演した『自助努力~強みの上に己を築け』の内容についてもう少し詳細を知りたいと要望があった。
     そこで、“自助努力”について考えてみたいと思う。
 
   “自助努力”(self help)とは、「他に頼らず、自力を尽くして物事を成し遂げようとすること」である。そして、このテーマを実践し、高めるに当たり、次の10項目の視点が考えられるので紹介したい。
 
① 自助の精神を養う
 「天は自らを助くる者を助く」(“自助論”サミュエル・スマイルズ)頑張りは自分への応援であるという
 
② 勤勉の精神を培う
 「幸運の女神は常に勤勉な人に微笑む」
 
③ 自ら好機をつくる
 「自ら機会をつくり出し、機会によって自らを変える」
 
④ 才能と精進をする
  「働け!働け!働け!」(仕事は最高の修行である)
 
⑤ 勇気と気概を持って前進せよ
  「学べ!やれ!試してみろ!」 強い意志こそが人格の中心的力である
 
⑥ 勤勉に、正確に、誠実に
 「悪魔は人の怠惰につけ入る」という。(油断大敵!)
 
⑦ お金と美徳について
「正しく稼ぎ、正しく使う」(節約は人を寛容にする)
 
⑧ 自己研鑽の精神を培う
 「鉄は熱くなるまで打ち込め」(努力する限り限界はない)
 
⑨ 模範となる人々に学ぶ
 「自ら先頭に立って模範となろう」(そのためには師匠をもつ)
 
⑩ 人徳を身につける
 「美徳とは日々の正しい行動の集大成である」(人格は力である)
 
   価値ある目的を思い描き、上記のような視点で、“自助努力”を怠らず、やり続ければ、目的を実現するために必要なあらゆる出逢いを引き寄せてくれるのだという。
 
   “自助努力”は、IG会計グループの本年度・基本方針でもある。この一年間、“自助努力”についてじっくり考えてみたいと思う。
 

今週の考える言葉「IG新春セミナー」

考える言葉

IG新春セミナー

   先週7日(金)、IG会計グループ主催で恒例の“IG新春セミナー”が「ホテルニュー長崎(3F)」で開催された。
 
   ここ数日、天候不順で雪がちらつく天気だったが、参加者も多く、無事開催できてホッとしたところである。
 
   今年の“IG新春セミナー”のテーマは、『自助努力~強みの上に己を築け』である。
 
   今大会のテーマは例年の如く、IG会計グループの本年度の基本方針でもある。
 
   第1部で、今セミナーのテーマである『自助努力』について、そのテーマを掲げた背景とそのテーマに対して弊社がどのような取り組みをしようとしているのかについて、小生が一時間ほど講演を行った。
 
   その内容の骨子は、戦後80年間の日本経済の動向・変遷(5段階)と、その結果、日本が抱えることとなった社会的課題と何か、それを解決するために為すべき自助努力の視点(10項目)について、語らせて頂いた。
 
   そして第2部。大久保嘉人氏(元サッカー日本代表)が登場。「情熱を貫くメンタリティ~キャリアから紐解く勝者の考え方」というテーマに対して、コーディネーターの永井功太郎氏(日本M&Aセンター)との対談形式で、思いを語ってくれた。
 
「成功するには、能力だけでなく、人一倍の努力が必要だ」
 
「人を育てるには、その人の問題を指摘するのではなく、本人自身に気づかせ、考えさせるようにする」
 
「不安を抱えつつも、自分を信じて、思い切ってやることだ」(自己責任)
 
「自信を培うこと。そのためには、徹底した練習による裏づけが必要だ」(一つの技を繰り返し、繰り返しやり続けること)
 
   超一流という選手には、我を感じないという。つねにチームのことを優先し、チームの一員としての自覚をもって思考し、行動しているのだろう。
 
   第3部は懇談会。大久保氏も最後までお付き合いしてくれて、参加者の人たちの声かけ、記念撮影にも気軽に応じてくれていたので、順番待ちの行列ができていた。
 
   また、懇親会では小生も久し振りにお会いする人たちとの会話が弾み、改めて感謝の気持ちで満たされた。
 
   “新春セミナー”を無事終えて先ず思ったのは、「開催できてホントに良かった」という気持ちである。なぜなら、参加された方々の表情が生き生きとされていたし、懇親会でも話が弾んでいたからだ。
 
   やはり、「人は集まる場を持つことが大切だ」と改めて気づかされたように思う。集う、そして語り合う、そんな刺激の場をもっと、つくっていきたい。
 

今週の考える言葉「事業コンセプト」

考える言葉

事業コンセプト

   英語のコンセプト(concept)とは、「①概念、考え。②骨格となる発想や観点」(デジタル大辞典)という意味を持つ。
 
   つまり、物事の考え方のベース・方向性のことで、哲学や芸術などの分野で使われるほか、ビジネスにおいてもよく使われている。
 
   ビジネスで使われる「コンセプト」は、どのような顧客にどのような価値をどのようにして提供するかといった、企画の骨組み・構想をいう。
 
   今回の“事業コンセプト”とは、起業のアイデアをビジネスの構想として具体的に整理したものをいう。「誰に」「何を」「どのようにして」といった視点でまとめることで、事業概要が端的に表現される。
 
   先ずは、ビジネスのアイデアを打ち立て、マーケティングリサーチにより検証をしたあと、いよいよ“事業コンセプト”の策定に取り掛かることになる。
 
   市場性はあるのか、商品・サービスの魅力度はどれくらいか、事業の実現性は高いかなどを確認していく。
 
   具体的には、次の5つの設問に答えてみると頭の整理がしやすいだろう。
 
 ① 誰に対して(顧客は誰か)
 ② どのような商品・サービスを
 ③ どんな相手を競合に
 ④ どんなかたちで(システム)で提供するか
 ⑤ 必要な経営資源の整理・把握
 
   さて、最近、戦後80年という言葉をよく耳にする。その流れを経済的動向の視点でとらえると、「戦後の復興期(1945~1954)~高度成長期(1955~1973)~安定成長期(1974~1985)~バブル期(1986~1990)~低成長期(1991~現在に及ぶ)」という変遷があり、今や「失われた30年」を迎えているという。
 
   70年代、経済が成熟化し安定成長期に入ったころ、ニーズの多様化に伴い、多くの企業で事業の「多角化」が叫ばれた時代があった。その一つの手法としてM&Aがあった。そのメリットはリスクを分散・軽減できることであるが、逆にデメリットとして利益率の低下・財務リスクなどが言われている。
 
   その後、「選択と集中」という事が言われ、「コアコンピタンス(Core Competence)」という言葉が流行った。つまり、「得意分野」に選択・集中する差別化の戦略である。
 
   「多角化」あるいは「選択と集中」、いずれの戦略を取るにしても、“事業コンセプト”を明確にして、組織で共有化しておくことは大事である。過去の延長線上に未来が描けない時代である。“事業コンセプト”を再確認したいと思う。
 

今週の考える言葉「自分との戦い」

考える言葉

自分との戦い

   “自分との戦い”(battle with myself)…。「人生は“自分との戦い”である」という言葉は、誰もが一度は耳にした言葉であろう。
 
   「“考える言葉”シリーズ」でも何度となく、取り上げたテーマの一つでもある。
 
   最近、読んだ本に『サクッとわかるビジネス教養 マネジメント』(遠藤功 監修)というものがあり、分かりやすく、かつ本質を突いた内容だったので少し紹介したい。
 
   著書の中に、マネジメントの必要性について次のように書いてある。
 
   『仕事に限らず、人生というものは思い通りにはいきません。…思い通りにいかないものを、どうにかこうにかして「いい感じ」にし、成果を最大化するために必要なスキルこそがマネジメントなのです』。
 
   そして、マネジメントの最小単位は「自分」、そこから「チーム」、「組織」と単位が大ききなっていくと指摘し、先ずはマネジメントの基礎となる「セルフマネジメント」の徹底から始めるべきだと指摘している。
 
   全く、同感である。マネジメントとは、その意味で、まさにセルフマネジメント、つまり、“自分との戦い”を徹底するところから始まるのである。
 
   IG会計グループが、創業間もない頃からドラッカーの提唱する「自己管理による目標管理」を徹底して学び、弊社の組織体制、人材育成のベースとしてきたのも、自立心を培い、“自分との戦い”ができる、「主体性のある人材」を創出したかったからである。
 
   セルフマネジメントでパフォーマンスを最大化するための必要な要素として次の4つが挙げられるという。
 
 ① 時間(最も重要なリソース。常に時間を意識すること)
 ② 仕事(段取りと準備が命)
 ③ 環境(現場を見直し、環境を整えること)
 ④ 人間関係(仕事の成果は人とのつながり。思いやりが大事)
 
   昔から、「他人と過去は変えられない」という言葉があるように、マネジメントとはトップ自らが率先して「自己革新」を心がける、“自分との戦い”を徹底して行うしか成果は出ないのだと考える。
 
   今、ふと「克己心(こっきしん)」という言葉が浮かんだが、「自分に打ちかつ心のこと」をいう。語源は、「論語」の「克己復礼(こっきふくれい)に由来するといわれている。
 
   まさに“自分との戦い”において大切な心がけであろう。
 
   「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)とある。“自分との戦い”、自己革新の覚悟を怠らないようにしよう。
 

今週の考える言葉「管理会計」

考える言葉

管理会計

   先週末(1月17~18日)、福岡で「IG後継者育成塾(第8期第7講)」であった。
 
   以前にも紹介しているが、「IG後継者育成塾」の目的は、創業者の志を継承する「後継者の人材」を育成するところにある。
 
   そのために、習得すべき最大のテーマは、「自己革新力」である。そのために必要な課題として3つのテーマ(① 思考力、② 数字力、③ モチベーション力)を身につけるために、全12講でカリキュラム化して行っている。
 
   2ヵ月に一回の開催なので、終了するのに2年間を要することになる。それだけの時間かけて行う理由に一つは、ただ知識の習得だけでなく、経営者にとって大切な人脈づくりの機会にして欲しいからだ。現に、卒業したあとも、定期的に会ったり、情報交換したりをしているようだ。
 
   さて、今回は『管理会計~会計を経営に活かす』というテーマで、その大家である澤邉紀生教授(京大)お招きして、「経営者の意思決定をサポートするための会計」である“管理会計”について、大変分かりやすく、噛み砕いて、じっくりと講義して頂いた。
 
   経営者としての仕事を行うための出発点として、まずドラッカーの「五つの質問」がある。「これらの質問に答えることは、経営者にしかできない仕事!」であり、「これらの質問に答え続ける者こそが経営者!であるという。
 
   その意味で、「五つの質問」は経営者にとって必要な「道具箱」だという。ただ、道具を「所有する」のと「使いこなす」とは違う。「使いこなす」ためには、経営者目的の“管理会計”をしっかり学び、身につける必要があるという。
 
   「5つの質問」を使いこなすことによって、「経営者としての夢(将来のあるべき姿)が明確になってくる。その夢、あるべき姿を実現するためにはどうしたら良いか考え、計画し、実行し、実現する経営」、まさに「逆算の経営」を具現化するために必要な会計の領域が“管理会計”だといえよう。
 
   その意味において、“管理会計”は「未来会計」であり、「意思決定のための会計」だと言える。
 
   多くの経営者は、会計といえば、過去の結果をまとめて、税務署に申告するために、あるいは利害関係者に報告するに義務付けられているように思っている人が多い。小生は、それを過去会計であり、報告会計と呼んでいる。過去は変えられないので、自分に不都合な結果であれば、ごまかしてしまう。いわゆる粉飾決算である。
 
   その点、“管理会計”とは、経営のレベルアップのために有用な、真に経営者のための会計だといえよう。IG会計グループでは、ずっと以前から、MAS監査というビジネスモデルを構築し、提供している。導入した企業の黒字率は90%を超えている。
 

今週の考える言葉「強み」

考える言葉

強み

   今年は21世紀に入って、早や25年目になる。第一四半世紀の最後の年で、つまりラストスパート(last spurt)の年である。
 
   IG会計グループにとっては、新5ヵ年計画(2025~2029年)のスタートの年でもある。
 
   中期ヴィジョンとして、『夢・志への挑戦、Next Stage~Build on Strength』を掲げて、次世代のための未来創造に向けてスタートすることにした。
 
   そして、本年度(R7年)の基本方針は『自助努力~“強み”の上に己を築け』とし、先週末、新年度発表会を全員で開催し、今年一年に対する各部署・各人の所信表明をしたばかりである。
 
   さて、非連続な時代環境において、競争力を保ち続けるためには、コア・コンピタンス(Core Competence)という言葉をよく耳にするが、自己あるいは自社の“強み”をしっかりと認識しておく必要があるだろう。
 
   今、P・F・ドラッカーの書物をぜんぶ読み直しているのだが、ドラッカーは自らの“強み”に集中することの大切さを次のように説いている。
 
   「何かを成し遂げるのは、“強み”によってだけである。弱みによって何かを行うことはできない」
 
   「不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの“強み”に集中すべきである。無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする」
 
   NN構想の会(1999年設立)を25年前に立ち上げたときの動機も、よくよく考えてみると、ドラッカーの「自らの強みに集中せよ」という思想に触れたのがきっかけとなったような気がする。
 
  それでは、どうやって自らの“強み”を知ればよいのだろうか?
 
   これもドラッカーによると、“強み”を知る方法は一つしかないという。フィードバック分析である。「何かをすることに決めたならば、何を期待するかを直ちに書き留めておく。九ヶ月後、一年後にその期待と実際の結果を照合する」そうすることによって、一年後あるいは二年後には、自らの“強み”が見えてくるのだという。
 
   確かに、ある仕事に関して、他の誰よりも迅速かつ正確にこなしている自分がいる。
 
   それは、自分の“強み”が生かされている証拠である。そして、その気づいた“強み”をさらに磨く努力をすれば万全である。
 
   もう一つ大事なことは、組織のメンバーがお互いの“強み”を発見し合うことだ。そして、お互いの“強み”を生かし合うような文化が生まれたら、素晴らしい成果が生まれるだろう。コア・コンピタンス経営を心掛ける一年にしたいと思う。
 

今週の考える言葉「成功する人」

考える言葉

成功する人

   書棚を整理していると、農業経営に関する書物が十数冊出てきたので、再読し始めている。その中の一冊に『農業で成功する人うまくいかない人』((澤浦彰治 著)という本があり、新しくの農業に取り組み、成功する人の思考と行動について述べている個所がある。
 
   その内容を読んでいると、何も農業経営に限らず、一般企業においても共通して言えることなので少しかいつまんで紹介したい。
 
 ① しっかり成り立っているプロの農家に学び、生の情報を大事にしている。(研修先選びが大事、学ぶ姿勢がいい)
 
 ② やるべきことのタイミングを逃さず実行している。(「将来よくなりたい」という願望を強く持っている)
 
 ③ 安易に支援資金に依存しない。(先ずは、正しいアドバイスが得られる師匠持つこと)
 
 ④ 機械や機械や道具をきれいに長く使う。(減価償却が済んでも、使い続けている。5S活動の徹底)
 
 ⑤ 労働時間(午前8時~午後5時)に縛られない。(その日に必要であれば徹夜してでも終わらせる)
 
 ⑥ 高いモチベーションを持っている。(どんなときでも諦めない。一時的ではなく、「継続的なやる気」)
 
 ⑦ 丈夫な身体を維持している。(避けて通れない強い体力づくり)
 
 ⑧ 顧客の要望に対して「できない」と即答しない。(今はできないが、時間と資源をかければ必ずでる)
 
 ⑨ 利益を目的として考えない。(顧客の要望に応えるいい仕事をすれば、利益は後からついてくる)
 
 ⑩ 適正規模で経営をする。(損益分岐点売上高を下げる)
 
 ⑪ 自分の意志で物事を考え、かつ柔軟な姿勢で実行する。(肯定的で、楽観的に思考する)
 
 ⑫ 失敗を環境や他人のせいにせず、自己責任で受け止める(失敗を次に活かし、事前にリスクを考え、準備する)
 
   激変の時代環境の中で、誰もが変化のためのリスクを背負わなければ新たな成長が難しい時代である。成功するための心構え、条件づくりが重要となる。常にいろいろな機会を見つけ、自分に合った成功事例を学ぶ必要があるだろう。
 
   いい仕事をするために、自分自身の強みを正しく知る機会を常に求めたいと思う。
 

今週の考える言葉「CSR」

考える言葉

CSR

   「CSR(Corporate Social Responsibility)」とは、企業が社会的存在として果たすべき責任のことである。日本語では、「企業の社会的責任」と訳されている。
 
   企業が適切に“CSR”を果たすことは、信頼向上や人材採用・定着への好影響、法令違反のリスクを低減するなどの観点から非常に重要なことである。
 
   日本で“CSR”の考え方が普及した背景には次のような時間があったからだと思う。
 
   1970年代のオイルショックの際の便乗値上げや買い占め・売り惜しみなどで生活物資が高騰し、小売業らに対する批判的なムードが高まった。また、2000年代には不景気の中で相次いで企業不祥事が問題となり、一般消費者の企業に対する信頼は大きく低下した。
 
   こうした背景の下、企業の信頼回復・維持するためには、“CSR”を適切に果たすことが重要であると認識されるように至ったのであろう。
 
   “CRS”に関しては、「国際標準化機構(ISO)」が定めた、次の「CRSに関する7つの原則」がある。
 
 ① 説明責任
 ② 透明性
 ③ 倫理的な行動
 ④ ステークホルダーの利害の尊重
 ⑤ 法の支配の尊重
 ⑥ 国際的行動規範の尊重
 ⑦ 人権の尊重
 
   驚くことに、ドラッカーは約50年前の1973年(63歳)のマネジメント論の著作の中で、その社会的な役割として次の3つを掲げ、「企業の社会的責任(CSR)」に関しても言及している。
 
 ① 自らの組織に特有の使命を果たす
 ② 仕事を通じて働く人たちを生かす
 ③ 社会の問題について貢献する
 
   ただ、「企業とは、それぞれに特有の目的をもつ組織であり、その分野で成果をあげることを目的とする社会の機関である」とし、「それらの組織が果たすべき最大の貢献、すなわち“社会的責任”とは、自らに特有の機能を果たすことである」としている。
 
   つまり、その能力を超えた課題に取り組み、あるいは“社会的責任”の名のもとに自らの権限のないことを行い、成果を損なうようなことは行うことは許されるべきではないとしている。つまり、分を弁えた上で、“CSR”に取り組むべきだと忠告している。