今週の考える言葉「時短」
考える言葉
時短
最近、“時短”という言葉をよく耳にする。働き方改革や生産性向上という観点から、いかに仕事にかける時間を短くするかが問われている。確かに、限られた時間を有効に使うことは大切である。しかし、“時短”とは、単純に仕事を早く終わらせることなのであろうか。
小生は、“時短”の本質は「時間を短くすること」ではなく、「時間の使い方を変えること」にあると思う。仕事の成果を落とさずに時間だけを削ろうとすれば、どこかに無理が生じる。大切なのは、そもそも「何のために、その仕事をしているのか」を考えることである。
ドラッカーは、成果をあげるためには“集中”が重要だと説いている。IGグループでも、これまで“選択と集中”について考えてきたが、集中とは、限られた経営資源を本当に重要なものへ振り向けることである。つまり、“時短”とは、仕事を速く処理する技術だけではなく、「やらないことを決める勇気」でもある。
考えてみれば、仕事には三つの段階があるのではないだろうか。
➀ “なくす”……そもそも必要のない仕事をやめる。
② “任せる”……自分でなくてもできる仕事を人に任せる。
③ “効率化する”……必要な仕事について、仕組みやITを活用する。
この順番が大切なのである。最初から効率化だけを考えると、「無駄な仕事を、より速く行う」という皮肉な結果になりかねないIGグループが取り組んできた“未来会計”やMAS監査も、本質的には同じ発想であろう。目先の作業に追われるのではなく、未来のあるべき姿を描き、何をすべきかを明確にする。そこから行動計画を立て、「仮説~実践~検証」のサイクルを回していくのである。
“良い計画”があれば、優先すべきことが明確になる。逆に、目的や目標が曖昧であれば、目の前に現れる仕事を次々と処理するだけになり、いつまでたっても時間に追われることになる。
結局、“時短”とは、時間を削ることではなく、“大切なことに時間を使う”ための知恵なのである。忙しさを減らすことだけを目指すのではなく、限られた時間を何に使うべきかを問い直したい。
「忙」とは「心を亡くす」と書く。目先の仕事に追われて、本来の目的を見失ってはいないだろうか。時短を考える前に、「自分にとって本当に大切な仕事とは何か」を問い直すことから始めたいと思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」





