古田会計事務所

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今週の考える言葉「創意工夫」

考える言葉

創意工夫

   1月9~10日、恒例となった“やすらぎ伊王島”(リゾート施設)に泊り込んで、IG会計グループの「平成28年度・行動計画発表会&新年会」を行なった。
 
   今年度は、『Next Innovation~次なる革新!』という中期ヴィジョン(H27~31)を掲げてから2年目に入る。それを受けて、今年の基本方針は『変革へのリーダーシップ~心を奮い立たせる人材になろう!』である。
 
   小生は、冒頭で次のような挨拶をした・・・。
 
   「変革とは、新陳代謝を促進させるという意味である。現状維持は衰退と同じ・・・進化に対するしっかりとしたフィロソフィを確立しよう。今こそ、IG理念の一つである業界の先駆的役割を担う気概を持とう。リーダーシップとは、組織を動かす力のこと。一人ひとりが経営者マインドを醸成し、自らの心を奮い立たせ、他の人の心を奮い立たせることができる人材へと成長しようではないか・・・」
 
 それを受けて、各部門や各個人の発表が始まる・・・。
  
   発表会のスケジュールは、例年通り、グループ全体の売上目標(ベース、増収、スポット)の確認を行い、次に各種委員会の活動方針と担うべき成果の発表。そして、各部門と各個人の目標へと移る。各人の発表の内容は、次のとおりである。
 
   ①今年選んだ言葉(キーワード)
   ②目指すべきゴール(定量目標)
   ③四半期ごとになすべきこと(達成すべき目標と手段)
   ④一年後のあるべき姿(定性目標、変化した自己のイメージ)
 
   「選んだ言葉(キーワード)」には、一人ひとりの“創意工夫”見て取れて嬉しい。最近推奨した書物、例えば『挑戦する経営』(千本倖生 著)や『分林保弘の仕組み経営で勝つ!』(村田博文 著)、また“考える言葉”シリーズの題材をもとに選んだ、自分が一年間大事にしていきたい思いのエッセンスである。
 
   小生が選んだ言葉は、「苦しみ抜き、考え抜け!」である。そこから生まれてくるものが自分にとっての本物であり、過去を振り返ってみると、そうやって身につけたものしか残っていないような気がする。
 
   いばらの道だからこそ、“創意工夫”が生まれ、非凡が生じるのだと思う。非凡な経営者の悲痛な心の叫び声が聞こえるようになったところから、真の経営者としての器が磨かれてくるような気がする。
 
   一つひとつに“創意工夫”を重ね、飛躍の年にしたいと考える。
 

今週の考える言葉「フィンテック」

考える言葉

フィンテック

   ずっと気になっていた言葉・・・、“フィンテック”。
 
   “フィンテック(Fintech)”とは、「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語である。金融とITを融合した技術革新を指し、スマホ関連やビッグデータ分析などに秀でたベンチャー企業の技術を生かし便利な金融サービスを創出することが目的である。
 
   『日経ビジネス』(2015.12.14)に「知らぬと損する“フィンテック”~もう銀行には頼らない」という特集記事が掲載されていたので紹介をしたい。
 
   “フィンテック”は、今や「農業」「産業」「IT」に次ぐ第4の革命として時代の潮流になりつつあり、その仕組みは世界の秩序を根底から覆す破壊力を秘めており、巨大銀行も抗えないという。
 
    “フィンテック”革命の本質は、金融の大衆化、つまり限られた人だけが受けている金融サービスの大衆化にあるという。(既存の銀行が本当の顧客として相手にしているのは、利用者の5%程度ではないかという)
 
     “フィンテック”革命で次のようなことが可能になるという。
 
① クラウドファンディング
    起業家のアイデアに対して、一般市民が投資家になり資金調達を可能とする。
 
② トランザクションレンディング
    アマゾンやヤフー、楽天などEC(電子商取引)事業者による融資サービス。
 
③ クラウド財務管理
   freeeやマネーフォワードなどのアプリは経理の自動処理を可能にし、専門知識を不要とする。
 
   その他にも、④0円決済ツール、⑤ 指紋決済、⑤ ビッグデータ与信などがあるという。
 
   最近、あと 10年で「消える職業、なくなる仕事」というのが話題になっているが、革命とはつねにそうあるのだ。
 

今週の考える言葉「ほめる」

考える言葉

ほめる

   書棚を整理していると、2~3年前に購入した『人を動かす2』(D・カーネギー)という本が目につき、読み直していると、自分のリーダーとしての至らなさに改めて気づかされる。
 
   例えば、「人を変える八原則」(PART4)の第一番目に「まず“ほめる”」という原則がある。これが意外とできていない。意外というよりむしろ、そう簡単に“ほめて”いいのかという信念めいたものがある。
 
   若い頃、ゴマすり野郎の無責任男を主役にした映画が流行ったこともあったし、「豚もおだてりゃ木に登る」という言葉もあるように、「“ほめる”=茶化すこと」のような感じだったし、また“ほめ言葉”に対する照れくささもあるのだろう。
  
   だが、この本を読むともっと“ほめる”べきだと考えさせられた。
D・カーネギーはいう・・・。
 
   「批判的で、ネガティブな言葉は、暗くて陰気な雰囲気をつくる。相手は気分が重くなり、うなだれ、肩を落とすことになる。結果として、相手のネガティブな心理的・生理的反応と闘わざるをえなくなる」
 
「会話を正直な、心からの“ほめ言葉”ではじめることだ。相手はずっと素直に聴いてくれるだろうし、防衛的になられることも抵抗されることもずっと少なくなる」
 
   まさにその通りだと思う。だが、あいにくなことに「人が他人をみるとき、欠点や悪いところのほうが、長所やいいところよりずっとよく目につくし、重大にみえる。ことに道徳的・倫理的な面については、その傾向が著しい」という。つまり、相当意識して努力をしないと、“ほめる”どころか“貶す”方向へ走ってしまう傾向があるということだ。(並では、リーダーは務まらない・・・)
 
   人間には、ミラーニューロン(Mirror neuron)という人に「共感」をもたらす脳細胞が存在しているという。これのおかげで私たちは他人の行動を理解し、意図を解釈し、次の行動を予測できるのだという。良好な人間関係を保ち、より生産的な職場環境をつくっていくためには、元来、人類が備えている「共感」という機能をもっともっと鍛え上げる必要があるのであろう。その第一の努力が“ほめる”という行為ではないだろうか・・・。
 
   「一人に三つ」というルールを紹介している。「好きになれない人がいたり仕事のやり方がなっていないと思う人がいても、それをすぐに口に出さず、まず相手のいいところを最低三つ発見する・・・」
 
   人のいいところに注目すれば、人間関係は必ずいいほうへ向かう!

今週の考える言葉「モチベーション」

考える言葉

モチベーション

   「どうすれば社員の意欲を引き出せるのだろうか?」という話題を耳にする機会が増えている。“モチベーション”の問題は、いつの時代でも経営における中心的な課題の一つである。
 
   今回は、“モチベーション”について考えてみたい。
 
   “モチベーション”とは、動機づけと同義であり、「目標を掲げ、その達成のために自分や他の人の意欲(やる気・その気)を引き出すこと」だと考えたい。その意欲が持続し続けることが最高の“モチベーション”である。
 
   多様性の時代環境の中で、個人プレーから組織プレーへの関係性思考が企業経営でも重要視されるようになった。つまり、リーダーシップのあり方である。リーダーシップと“モチベーション”は密接な関係にある。
 
   関わる人たちの意欲を引き出すことができないリーダーは、リーダーとして失格の烙印を押されてしまうであろう。しかし、他の人をその気にさせるのは簡単ではない。昔から「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」という諺があるように、飲む気のない馬に水を飲ませるのは至難の業である。
 
   かといって、断念してしまっては何も変わらない。リーダーとしての役割を担うことによって分かったことがある。それは、自分の意欲は、他人の意欲を引き出すことと不可分の関係にあるという事実である。つまり、高い“モチベーション”の持続性は相互作用によって成り立っているのである。
 
   では、人間の“モチベーション”を高める要因とは何であろうか?
 
   1.強烈なヴィジョンを描き、共有すること。
   2.各人の“モチベーション”要因を理解し、切磋琢磨すること。
   3.つねにお互いの貢献意欲・強みを確認し合うこと。
   4.結果を共有し、フィードバックすること。
   5.全体の成果を共有し、喜び合うこと。
 
   以上、リーダーシップという観点から“モチベーション”の課題を考えてみたが、最高の“モチベーション”のあり方は、“セルフ・モチベーション”ではないだろうか・・・。
 
   IG会計グループが創業の当初から取り組んで大事にしてきたのは、まさにこのテーマである。“セルフ・モチベーション”の高い主体的な人材をいかに育成し、組織化するか・・・。そのための仕組みづくりが『IG式目標管理システム』として組織文化を培っているといえよう。
 
   IGには、相互の主体的価値を尊重し、切磋琢磨するという文化がある。
 

今週の考える言葉「議論しない」

考える言葉

議論しない

   『D・カーネギー人を動かす2』(創元社)という本がある。著名な本だから知っている人も多いと思うが、そのなかに「信頼を築く十原則」(PART3)という内容が紹介されている。
 
   「十原則」とは、次の通りである。
1.議論しない
2.「あなたは間違っている」と決して言わない
3.間違いを潔く認める
4.親しみをこめて話しかける
5.共感を得る
6.手柄をゆずる
7.人の身になる
8.気高い精神に訴える
9.物語を共有する
10.対抗意識を刺激する
 
   信頼とは、相手と心が通い合い、繋がることであり、人を動かす力の源泉である。「十原則」を頭の中で反芻していると、本を読まなくとも内容がほとんど浮かんでくる。ただ一つだけイメージがすぐに湧いてこなかったのが、「1.議論しない」である。
 
   職業柄か、どちらかというと議論癖がある小生にとって、なぜ「議論しない」ことが信頼につながるのか、今一つイメージが湧かなかったが、読んでみると納得・・・!
 
   「人と議論しても、あなたが得るものはほとんどない。議論してもたいていは双方が、自分のほうが正しいという確信を深めるだけなのだから。あなたは完全に正しいかもしれない。だが議論が何ももたらさなければ、完全に間違っていても同じだ。・・・」
 
   生きていれば毎日のように衝突が起きる。だが、議論からは何も得られないことを知るべきである。関係性が良くならなければ、生産的になり得ないのが人間である。
 
   もう一つ、良くないと分かっていながら、つい言ってしまうのが「あなたは間違っている」という一言・・・。「人の間違いを指摘するのは、敵をつくるだけである」その通りだと思う。感情的に反応し、防衛的になるだけである。
 
   どうすれば、「議論しない」「人の間違いを指摘しない」ような、生き方ができるようになれるのか・・・。
 
   お互いが信頼し合うことによって、シナジー効果が生れ、より大きな生産的な場が生れることを知るべきである。自己主張よりも相手を尊重するほうが、長い目でみればより生産的なのである。
 

今週の考える言葉「ヴィジョン」

考える言葉

ヴィジョン(Vision)

   この時期、恒例の『次年度行動計画書』作成のためのIG合宿( 2泊 3日)を終えたばかりである。
 
   『変革へのリーダーシップ~心を奮い立たせる人材になろう』という次年度の基本方針を受けて、各部門としての行動指針と業績目標の決定、そして個人目標まで落とし込んでいく知的作業が 2日間続く。そして最終日に、全体発表を行い、討議する。
 
   リーダーシップや奮起の素材となる、また『行動計画書』の内容にも大きな影響力を持つ“ヴィジョン”について考えてみたい。
 
   「“ヴィジョン”とは、未来のものだ。無限なのだ」(スティーブン・R・コヴィー)という言葉に、いつも共感を覚える。“ヴィジョン”の描き方一つで未来には無限の可能性が広がっていることを示唆してくれる素晴らしい言葉である。
 
   その意味においても、リーダーにとって、“ヴィジョン”はすべてである。自らを奮い立たせ、リスクを恐れず、前へと駆り立てるのは“ヴィジョン”の持つ力である。また、周りの人をその気にさせ、付き従わせるのも“ヴィジョン”の持つ力であると考える。
 
   “ヴィジョン”の持つ力を前提に、“ヴィジョン”を描くことの効用について整理したい。
 
①使命観や責任感が醸成され、不退転の決意が生まれる
②進路・方向性が明確となり、選択と集中ができる
③組織やチームの結束力が生まれ、衆知を集めることができる
④未来の可能性が広がり、全員が夢や志をもてるようになる
⑤経営資源を引き寄せる力が働き、磐石経営が可能となる
 
   では、そのような力を発揮する“ヴィジョン”はどこから生まれるのであろうか。まず、目的から始めることである。「何のために」という目的意識を持つと、未来を洞察する力が生じる。
 
   そして、洞察力が働くようになると、それに基づく構想力が生まれる。ここでいう、構想力とは現実を直視することによって、現実を変革していく“ヴィジョン”がイメージ化されることをいう。
 
   あとは、その“ヴィジョン”を持って、揺るぎない行動力を突き動かすことができるかどうかである。その役割を担うのが、戦略と戦術・・・。その詰めさえ間違わなければ、“ヴィジョン”の力がいっそう際立ってくると考える。
 
   「“ヴィジョン”とは未来のものであって、無限・・・」この言葉を信じて、自分自身を制限する過去ではなく、無限の可能性を与えてくれる未来へ向かわせる“ヴィジョン”を真剣に描いてみたいと考える。
 

今週の考える言葉「虎穴」

考える言葉

虎穴

 「虎穴に入らずんば虎子を得ず(不入虎穴、不得虎子)」(後漢書)。
 
 「危険を冒さなければ、大きな成功は得られない」という意味で使われているが、中国に古くから伝わる諺で、後漢の班超が匈奴との戦いで危機に陥ったとき、部下に言った言葉からだという。
 英語では、「Nothing venture、nothing have(何の冒険もしなければ何も得られない)」という言葉があるそうだ。
 
 昔から大好きな故事の一つで、学生の頃は、麻雀で相手の当り牌を掴んだとき「虎穴に入らずんば・・・」とつぶやきながら勝負したときのことを思い出している。(今思うと、浮き沈みの激しい麻雀をしていたような気がする・・・笑)
 
 今やまさに、リスキーな時代である。リスクを避けては、通れない経営環境にある。つまり、背負うことを恐れ、避けることによって生じてくるリスクがある。つまり、「虎穴に入らずんば・・・」という覚悟が、つねに問われる時代だといえよう。
 
 小生は、「虎穴に入らずんば・・・」という故事の意味は、「決意の強さ」を表現しているのだと考えている。つまり、「何か事を為すとき、その人の強い決意が大きな成功をもたらすのだ」と信じている。
 
 講演などで成功の秘訣をきかれると、必ず、次のように答えている。
 
 「やると決めた以上は何事においても、“覚悟を決めて成果が出るまでやり続けること”です」と・・・。
 新たなことにチャレンジすると、必ずといっていいほど、窮地に追い込まれる場面に遭遇する。本来、そこからがホントの勝負なのだ。窮地に陥ったときこそ、自分を信じ、思い切った決断をする、これができるかどうかなのだ。
 
 “虎穴”に入る覚悟を決めたとき、なぜそう決めたのか?そのときの目的の意義を反芻しながら、不退転の気持ちを強化させる。そうすると、様々な手段や方法が浮かび上がり、いけそうな気がしてくるから不思議だ。
 
 成功する人と失敗で終わる人、その差は何か?一言でいうと、決意の強さではないだろうか。つまり、「“虎穴”に入らずんば・・・」である。価値ある目標を定めた以上は、どんな状況におかれようと、成し遂げる覚悟であろう。
 
 世の中って不思議なもので、「人生は心一つの置きどころ」という言葉があるが、本当にそうだと思う。自らの心にあることしか、出逢わないのである。
 
 「“虎穴”に入らずんば・・・」という強い決意こそが、大きな成功をもたらす秘訣である。自らの選択を信じて、貫き通す心を大事にしたいと考える。
 

今週の考える言葉「奮起」

考える言葉

奮起

   この時期になると、IG会計グループは『次年度行動計画書』作成のための合宿( 11月 26~28日)の準備で忙しくなる。
 
   毎年決まりのパターンであるが、 10月下旬から 11月初旬にかけて、代表(小生)が次年度の「基本方針」を定め、発表する。それを受けて、各分社・部門長は自らが率いるグループの「行動指針」を決める。そして、幹部会において中期計画の進捗状況を検証しつつ、次年度の大枠を決定するのである。
 
   さて、次年度(H28年度)のIG基本方針は次の通りである…。『変革へのリーダーシップ~心を奮い立たせる人材になろう』である。「心を奮い立たせる」つまり、“奮起”を促すあるいは“奮起”したくなる状況をいかにつくっていけるかを思考し、行動する人材を育成する年にしたいのである。
 
   あらゆる業界や企業も今や、「慣れ親しんだ快適ゾーン」から「事業機会溢れるチャレンジゾーン」へと軸足をシフトしないかぎり、成長はおろか、存続すら難しい時代環境である。故に、「心を奮い立たせる」、自他共に“奮起”したくなるようなリーダーシップが求められるのである。
 
   「この人とだったら、なんでもやれそうな気がする!」と思い、感じるような人と出逢ったことはないだろうか……。小生は、そんな出逢いを何人もの人としている。心が安らぎ、落ち着く。同時に、何か新たな“奮起”のエネルギーが沸いてきたのを覚えている。決してカリスマという感じではないが、人をその気にさせてしまう不思議な存在である。今風にいうと、その人の持つ総合的な人間力だろうか…。
 
   小生の好きな『老子』の中に「上善は水の如し」という言葉がある。「水は万物に恩恵を与えながら相手に逆らわず、人の嫌がる低いところへと流れていく」という意味合いがある。ここから学ぶべき 2つの視点がある。
 
   第一は、柔軟性。主体性を持ちながら、相手の出方に応じていかようにも自らの体勢を変えていくという、そんな柔軟性である。相手を受け入れながら、自らも成長していく力である。
 
   第二は、謙虚さ。成功の罠が傲慢と慢心…。傾聴力や共感力、相手との共通項を見出す力があり、コミュニケーション力が備わっている。
 
   水がないと、生物は生きていけない。そんな大きな存在であり、働きをしているにも関わらず、柔軟さと謙虚さを兼ね備えた人をみると、思わず心の中で脱帽してしまう。そして、そうありたいと“奮起”する心が沸き立つのである。
 
   お互いの主体性を尊重しつつ、奮起し合う組織をつくりたいと考える。
 

今週の考える言葉「リスク」

考える言葉

リスク

   「21世紀の世界とは、変化の激しい、リスキーな時代である」といわれて久しい。内外の情勢を観ていても、まさにその通りで、経営の舵取りの難しさを実感されている経営者も多いことであろう。
 
   「経営における“リスク”とは何か?」を改めて整理してみたい。
 
   私たち職業会計人の専門領域の一つに企業会計がある。その会計とは、本来、「計算をする」という意味であるが、「何を計算しているのか」というと、「“リスク”を計算している」のだというのが、小生の持論だ。
 
   会計には大きく、過去会計(=制度会計)と未来会計(=意思決定会計)の領域があると考える。
 
   過去会計は、過去の経営活動の結果をまとめ、利害関係者への報告を目的としている。利害関係者への“リスク開示”をきちんとすることによって社会的な信頼関係が生まれるわけだ。
 
   一方の未来会計は、経営者の意思決定をサポートするための会計であり、意思決定に伴う“リスク”を事前に計算することによって、安心して「“リスク”を取りにいける状況」をつくり出すことに意義がある。
 
   今の経営の困難さは、現状に留まることができない環境に起因している。つまり、変化に適応できるように自己革新するか、または自らが変化を起こし、その中心的な役割を担うか、その勇気を問われているのである。
 
   「“リスク”を冒さざるを得ない」(受動的リスク)というのではなく、「“リスク”を取りにいく(take)」(能動的リスク)という決断であり、それに伴う“リスク”を自らの責任で背負う覚悟である。そのためには、大義が必要だ。
 
   自分のことばかりを考えている人は無難なところに留まろうとするであろうし、“リスク”を避けようとするであろう。しかし、世の中全体のことを考えて生きている人は、どうすれば世の中がもっと進化するであろうか考える。だから、「“リスク”を取る」という勇気が生まれ、何かをやってくれそうな気迫が漂うのである。
 
   ここでいう“リスク”とは、「あるべき姿-現状=差」をいう。あるべき姿(大義)をもって生きている人は、その差(=問題すなわち“リスク”)をどう埋めるかをつねに思考し、行動するであろう。つまり、彼らにとっての“リスク”とは、自らが掲げた目標のことである。ゆえに、必ず実行し、達成するまでやり続ける覚悟ができているのだ。
 
   そして、小生がいう未来会計とは、大義に生きる人が背負おうとしている“リスク”を事前に計算し、必ず達成できるように支援したいと想い、念ずる会計である。
 

今週の考える言葉「シニア移住」

考える言葉

シニア移住

   今春開業した北陸新幹線の恩恵で賑わう古都・金沢で、日本M&A理事総会(10月30日)が開催された。
 
   新幹線かがやき 507号(東京~上野~大宮~長野~富山~金沢)で、約 2時間半の旅だ。車窓から見える北アルプスの雄大な眺め、そして日本海に達して、富山に近づくと立山連峰が続く山並み…、途中トンネルが多いのが少し気になったが、心が和む素晴らしい景色である。
 
   自宅に戻り、週刊朝日を手に取ると「“シニア移住”にやさしい街」特集の一つとして、金沢の「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を運営している「シェア金沢」が全国の福祉関係者から注目されているという記事があった。
 
   小生が思考している「農業城下町構想」と重なるところがあり、“シニア移住”に関しては大変関心がある。だいぶ以前に、大企業に長く勤務し海外を飛び回っていた人が、定年後、田舎の町に住み移り、晴耕雨読の生活を楽しんでいるという話を聞いて思いついたのが「農業城下町構想」だ。
 
   アメリカでは、CCRC(Continuing Care Retirement Community)という高齢者を継続的にケアするシステムが広がっているそうだ。
 
   まだ福祉の支援を受けていない自立した高齢者が移り住み、自然と親しみつつ、それぞれが定年前のキャリアを街づくりに活かし合いながら、コミュニティつくりに貢献して過ごす空間である。
 
   小生の「農業城下町構想」は、地域農業の事業化(地域の活性化と人材の多様化)と中小企業で働く人たちの老後プラン(老後保障をすることによる人材の確保)のマッチングモデルである。お互いに人手不足を解消し、新たな成長戦略を描ける機会をつくりたい。それに、 2025年問題を抱えている医療や介護のモデルも加われば、大変豊かな地方創生の一つのあり方が見えてきそうな気がしている。
 
   自然や人とのふれあいの中で、老後の生きがいをどのように確立させていくかが大きな課題となるであろう。つまり、第一に生きがいの確立、そして自然環境の豊かさがあって、人を中心とした地域とのふれあい…。
 
   日本の田舎は、何処にいっても緑と水が豊富で、心の和む自然環境がある。問題は地域に根ざした人間関係を大切にできるかどうかであろう。良くも悪くも、お互いの顔がよく見えるのが田舎である。
 
   ただ、町で仕事をしていても田舎暮らしでも、人間関系の本質は一緒…。他者への貢献を第一義に考え、行動する人は、つねに生きがいを感じる人である。