古田会計事務所

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今週の考える言葉「節目」

考える言葉

節目

   今年は、IG会計グループにとって創業35周年という一つ”節目”の年を迎える。
 
   不思議な心地だ・・・。一年365日、いままでもずっと同じ時間の流れの中で生きてきたはずなのに、”節目”を意識するだけで、昨年とは違う何かを成し遂げたいという意識が動いている。
 
   例年のことであるが、10月に入ると次年度の「基本方針」を考え始めて、幹部会で発表するようにしている。”節目”の年を意識しながら、色々考えた挙句、選んだのが『「限りなき”創造・変化”への挑戦」~楽しく、豊かで、エキサイティングな一年にしよう!』であった。
 
   創業したのが1984年(S59年)6月1日。もちろん、ゼロからのスタートである。幸い、仲間には恵まれ、ヤル気だけは十分だった。毎日夕方になると、缶ビール等を買ってきて酒盛りが始まる。
 
   「一年くらいは無報酬でもいい」といって、駆けつけてくれた3人の仲間。何もなかったけれど、夢・志だけは溢れんばかりであった・・・。
 
   「よその会計事務所がやらない、できないようなことをしましょう」
   「業界を変える、先駆的な役割を担おう」
   「がむしゃらに働いて、遊ぶときは遊ぶ・・・。家族も連れて、皆で海外旅行にいこう」
   「プロ集団をつくり、中小企業のシンクタンクになろう」
    「パートナーシップ制を確立し、みんなに社長をやってもらおう」等々。
 
   何か、いつも胸騒ぎがしていた創業当初の頃の思いが蘇ってきて、気付いてみると前述のような「基本方針」を、みんなに発表していた。
 
   IGグループ創業の年(1984年)は、時代の大きな”節目”の年でもあったようだ。暦学の180年周期説によると、時代が治世(上元と中元)から乱世(下元)へ変わった年だという。
 
   この事実を知ったとき、妙に心ときめいたのを、今でも覚えている。激動、激変の時代、何かが動いていくような予感がして、ワクワクドキドキした気分である。そのときから、何かにつけて、「変化・革新・創造」という言葉がつねにキーワードとなってしまったようだ。創造的破壊、イノベーションなど。また、「治世の能臣、乱世の奸雄」という言葉も意味深いものだ・・・。
 
   話が少し飛んだが、”節目”とは物事の区切りとなる大事なところである。”節目”を意識するだけで、気が引き締まる思いである。また、その時々の”節目”に、様々な出逢いがある。なぜか、自然と感謝の気持ちがあふれ出してくる。
 

今週の考える言葉「やりがい感」

考える言葉

やりがい感

   Ja‐BIG主催の『未来会計実践塾』の定例会(第9回)が、今年もクロス・ウエーブ船橋でスタートした。
 
   月初めの週末という日程(2月1~2日)のせいか、普段より少し参加者が少なかったようだが、万障繰り合わせの上、足を運んでくれた人たちだ、士気が高くて会場の雰囲気も上々だった。
 
   “やりがい感”というか、やりがいを持って仕事をするということは、何事においてもいろんな意味で大切な心構えである。それ故に、社内における日常的な仕事ぶりは勿論、定例会などの研修会を開催したときも、参加者がどんな気持ちで臨んでいるのか、気になることでもある。
 
   “やりがい感”の反対語に、”やらされ感”という言葉がある。主体性が欠如している人間は往々にして、そうなりがちである。仕事へ取り組む姿勢が義務的で、下手すると被害者意識に陥っている者さえいる。これでは、生産性が向上するはずもない。だから、評価されない。ゆえに、モチベーションがさらに低下する・・・。そんな悪循環だけは避けたいものだ。
 
   今、「働き方改革」ということが盛んにいわれているが、”やりがい感”というのはその根本にあるべき課題ではないかと思う。その意味においても、トップリーダーはどうすれば”やりがい感”をもって働いてもらえるかを真剣に考える必要があると思う。
 
   では、人はどんなときに”やりがい感”を持つのであろうか?自分の経験から次の三つのことが思い浮かぶ。
 
   ① 人から必要とされているとき。
   ② 自分の成長・成果を感じられるとき。
   ③ 未来に希望を感じるとき。
 
   だとすれば、これら三つのことを感じてもらえるような状態をつくる必要がある。
 
   例えば、経営計画や事業計画を策定するときに、上記3つのことをテーマにして話し合うとか、IG式目標管理などを活用し、主体性のある人材育成を行い、セルフモチベーションを高めるのも効果であると思える。
 
   IG会計グループの今年度・基本方針である『限りなき「創造・変化」への挑戦~楽しく、豊かで、エキサイティングな1年にしよう!』は、まさに”やりがい感” のある仕事をつくり出していく戦いだとも言えよう。
 
   そのためにも、「偶然ではなく選択基づいた生き方、怠慢ではなく計画に基づいた生き方」を習い性にしたいと考える。
 

今週の考える言葉「総力戦」

考える言葉

総力戦

   寒さが底をつく、この時期になると「今年も確定申告が始まるぞ!”総力戦”だ」と心が躍る。やはり、長年の職業柄であろう・・・。
 
   会計事務所の仕事も多様化し、一昔ほどではないが、少なくとも、税務の仕事を担う税理士法人あるいは部署・部門においては、”総力戦”の様相を呈せざるをえないであろう。
 
   少し気になり、インターネットで調べてみると、「”総力戦”(Total War)=国家や組織の全分野にわたる力を一つに集めて行う戦い」とあり、第一次世界大戦以降使われるようになったらしい。まさに、力づくでも敵を撃退するという戦争用語なのである。
 
   そして、”総力戦”(Total War)といえば、日本が国家総動員法に基づいて全国民を巻き込み、「欲しがりません、勝つまでは!」というスローガンのもと、戦って敗北した第二次世界大戦の悲劇を思い出す。
 
   確定申告の仕事は、短期決戦型・・・。つい、「戦力を集中し、一気呵成に!」という思いに駆り立てられてしまう。税務の関係部署が一丸となって、全力を尽くし期限との戦いをやると、一定の成果は期待できると思う。だが、しょせん消耗戦だ、疲れ果ててしまうだろう。
 
   イギリスの有名な戦略思想家に、故サー・リデル・ハート(1895~1970)という人がいて、次のようなことを述べている。
 
 「従来の”総力戦”(Total War)は、直接アプローチ戦略(戦力の集中と機動的な運用)であり、それだけでは限界がある。先ずは、間接アプローチ戦略(外交、心理、経済などで外堀を埋めて優位に立つこと)が大切だ・・・」
 
   そして、「間接アプローチ戦略と直接アプローチ戦略を効果的に組み合わせる”総力戦”(Grand Strategy)が大切である」と述べている。
 
   氏のいう”総力戦”(Grand Strategy)は、私たちが普段いうところの関係性思考の徹底ではないだろうか。自分が関わっている仕事(部分)は、組織(全体)におけるどのような役割であり、価値に関わっているのだろうかを、先ず考える。
 
   ① 確定申告は、何のためにあるのか?(目的)
   ② それによって、どんな価値が生じるのか?(社会、顧客、組織、個人)
   ③ 責任を全うするだけの準備は万全か?
   ④ 協力者への根回しは済んでいるか?
   ⑤ 不測の事態は想定できているか、その具体的な対策は?
 
   “総力戦”には、リーダーは勿論、一人ひとりの主体性が問われることなる。
 

今週の考える言葉「折れない心」

考える言葉

折れない心

   先週の”考える言葉”シリーズ(19‐02)でも紹介をしたが、新年合宿(12~13日)を行い、今年度におけるIG会計グループが目指すべき方向性は明確になり、全員で共有できたと確信している。 
 
   あとは、掲げた未来への理想を信じて、戦い抜くだけである。そのためにも、「楽しく、豊かで、エキサイティングな一年にしよう」というサブ・テーマを掲げた。長くもあり、短くもある一年はすでに始まった・・・。
 
   昨年の暮れに、近くの本屋さんに立ち寄ったとき、『中村天風 折れないこころをつくる言葉』(イースト・プレス)が山積みしてあり、その表紙カバーに次のように書かれてあり、手に取った。
 
   「打たれ強く人生を生きよ!」
   「生まれながらこうだと思えば、何でもねえじゃねえか。およそ人生の一切の事件は、ほとんどそのすべてが自己の心の力で解決される」
 
   最近、読み直している渋沢栄一に関する本の中でも、同じ意味合いの言葉に出逢ったので紹介したい。
   「一時の成敗は、長い人生、価値の多い生涯に於ける泡沫(うたかた)のごときものである」
   「不自由を世の常と思わば、別に苦情も起らなければ、下らぬ心配も起るはずがない」と・・・。
 
   人間は自分自身の尊さを信じ切れなくなると、心の中に迷いが生じる・・・。そうすると、雑念・妄念の虜になり、消極的な考え方に陥ってしまうものだ。つまり、心の鏡に曇りが生じて、真実が見えなくなるのだという。仏教でいうところの煩悩のなせる業である。
 
   人生や仕事を楽しく、豊かで、エキサイティングに生きたければ、天風先生曰く「心を磨き、”折れない心”をつくれ」と・・・。
 
   ① 「迷わない、恐れない!」・・・先ずは、やり抜き通す意志を持とう。
   ② 「あきらめない、ふりむかない!」~正直、親切、愉快をモットーに。
   ③ 「くすぶらない、おちこまない!」~つねにステージアップを意識しよう。
   ④ 「ふりまわされない、くるしまない!」~雑念や妄念の虜になるな。
 
   「人生のなかでつくりあげるべき自分とは何かを自覚し、それを信念に変える生き方をしなさい」と示唆してくれる。
 
   「美事は自然に進歩する」(渋沢栄一)という言葉も有り難い言葉である。
 

今週の考える言葉「選んだ言葉」

考える言葉

選んだ言葉

   「i+Land nagasaki(旧名称やすらぎ伊王島)」に泊り込んで(1 月12~13 日)、IG会計グループの「2019年度・行動計画発表会&新年会」を行なった。
 
   今年は、『Next Innovation~次なる革新!』という中期ヴィジョン(H27~31)を掲げてから5 年目、仕上げの年になる。
 
   そして、今年度のIG基本方針は、『限りなき“創造・変化”への挑戦~楽しく、豊かで、エキサイティングな一年にしよう!』である。
 
   例年の如く、まず各分社・部門長が自部門の行動指針、売上目標、組織体制や改善計画等について大枠の発表を行い、続いて部員一人ひとりに個人目標(能力や業務のレベルアップ、自己改善など)について発表してもらう手順である。
 
   各人の発表を聞くのは、やはり楽しみである。どんな新しい挑戦をしようとしているのか、具体的な一歩を踏み出す決意はできているのか、一年後の自己の成長イメージは鮮明に描けているのだろうか・・・。
 
   今年は、各人の“選んだ言葉”に注目をして聴いてみた。
 
   「達成感・信頼」「想定内」「己事究明」「関係性思考」「俯瞰力」「モデルチェンジ」「コラボで成果」「Evolution」「機を起こし、汗をかけ」「開拓」「変革の火種」「覇気」「百言一行に如かず」「凡事徹底」「自立」「結果」「共創」「プラス思考」「その一歩先へ」「躍動」「自信」「自己革新」「“ヨダレかけ”から“エプロン”へ」「未来の共有」「業」「成果」「上げる」「早期完了」「変わるパートⅡ」「勝敗は戦う前に決している」「やり抜く」「初志貫徹」「実行・継続」「典故」「Refine!」「未来に繋ぐ」等など・・・。
 
   人間は言葉を使って考え、生きている。そして、古来より「言霊」という言葉があるように、何気なく使う言葉でも、思っている以上に私たちの心の持ちようや行動に大きな影響を与えている。ましてや、意識して“選んだ言葉”は計り知れない影響力を持っていると考えたほうがよい。
 
   幸い、各人が“選んだ言葉”には、自らが掲げた目標を達成したいという意志や願望、自己実現欲求、堅実な仕事への願望、未来志向、周囲とのコラボレーション、変革への挑戦意欲など前向きな言葉が多く、嬉しくなった。
 
   IG会計グループにとって、今年は、1984 年に創業して35 年目に入る節目の年となる。創業して4~5 年は、ダボハゼのような仕事ぶり・・・。その反省から導入した「IG式目標管理システム」体制の構築から30年が経つ。
 
   「会計人は社会的インフラである」、その言葉に恥じないように互いに切磋琢磨し、いい仕事ができる組織風土を培っていきたいと考える。
 

今週の考える言葉「美運」

考える言葉

美運

   初詣の楽しみの一つは、おみくじ。今年の運勢は、“美運”だという。確か、去年は「活運」だったと思うが・・・。
 
   “美運”って、どんな運勢なのだろうか?
 
   「貴方の運勢は、富貴・栄誉に恵れ、華やかな人生をおくり得る、美化結実の象である。大いに努力して将来の幸運を掌握されよ」(高島易断所)、とある。“美運”とは、聞きなれない言葉なので、辞書を引いてみたが載っていない。試しに、ネットで調べてみると、「輝いている人は、運を引き寄せる力を持っています。これを“美運”といいます」という紹介記事のブログがあった。
 
   「分かったような、分からないような気分である」が、要するに、「美」をキーワードにして、今年一年を輝かしい年にしようと努力すれば、幸運な年になれるということにしておこう・・・。じゃ、「美」とは・・・?
 
   最近、読み直している中に、中村天風の書物が数冊ある。その中に「真・善・美」という言葉を、次のように紹介してある。「真・善・美は、洋の東西を問わず、いずれの宗教でも、それを“神の心意”なりとしている。・・・「真」とは「誠」であり、一点の嘘偽りもないこと。「善」とは「愛情」のことであり、普遍的な愛。そして、「美」とは「調和」である」と・・・。
 
   つまり、“神の心意”に同化するためには、心に「誠」と「愛」を満たし、「和」を旨とした生活を心掛けることだという。
 
   「美」とは「調和」だという。つまり、「完全調和の状態」をつくり出せば、そこに「美」が生じて、皆の人生が“美運”となる・・・。これは、IG会計グループが日頃から心掛けている「関係性思考」と同質のキーワードではないかと思う。
 
   私たち一人ひとりが、自らの内面的主体性を磨き上げ、輝く存在となる。さらに互いに切磋琢磨することによって、輝き合える場をつくり、「世のため、人のために貢献できるいい仕事をしよう」という思いである。
 
   今年のIGグループの基本方針は、『限りなく“創造・変化”への挑戦~楽しく、豊かで、エキサイティングな一年にしよう!』である。それをベースにして設定された部門・分社及び個人の目標は、限りなくチャレンジ性の高いものとなっているはずである。
 
   つまり、「美とは何か?」を徹底して意識し、輝ける思考と行動を行い、“美運”を引き寄せようと自覚し、覚悟を決めるしかないと考える。
 
   “美運”というおみくじは、「真・善・美」という考え方・価値観の重要性を自覚させるために、自らが引き寄せた運なのであろう。
 

今週の考える言葉「コラボ」

考える言葉

コラボ

   いつの頃からだろう?“コラボ”という言葉をよく耳にするようになった・・・。
 
   “コラボ”とは、collaboration(名詞)、collaborate(動詞)であり、「共に働く」、「協力する」などの意味がある。この中にはよく知っている単語が隠れている。「労働」の”labor”である。そして、頭に「co=いっしょに」がついて、collaborate は「いっしょに働く」ということになる。
 
   実は、“コラボ”という考え方は、IG会計グループの経営理念(IG理念)のバックボーンとなる思想といっても過言ではない。(IG理念)
 
   一、業界において常に先駆的役割を担い、品質の高い知的サービスを通じて企業の繁栄に貢献する。
   一、我々相互の主体的価値を尊重し、互いに切磋琢磨する。
   一、全人類の自己実現のために衆知を集める。
 
   この理念のキーワードは、変革のリーダー的役割、プロ人材の育成とネットワーク化、自己実現のステージ創りであるが、「世のため、人のために貢献できる存在になるために、互いに切磋琢磨し、衆知を集めること」を旨としている。
 
   チェスター・バーナード(1886~1961 年)の組織論で定義されているように、「組織とは協働行為の体系」である。小生が、組織というものの在り方に強く関心を持ち始めたのは、この言葉との出逢いからである。
 
   NN構想の会で掲げている、「個人の限界を組織の限界にしない。さらに、組織の限界を業界に限界にしない」というスローガンも、「協働行為の体系」という関係性思考に基づいた活動である。
 
   もちろん、個人の努力は大前提であるが、個人には限界がある。その限界を超えたより大きな社会貢献をしたいと願うならば、はやり、夢や志、目的を共有できる仲間たちと“コラボ”をすることであろう。
 
   先日も、「日本の経済はどうなっていくのだろうか?」という質問を受けたが、人口問題など様々な課題を抱えている中で、舵取りが難しい環境にあることは否定できないだろう。だが、逆境はつねにイノベーションにとって機会である。
 
   成熟化した社会環境の中で、一つの特徴として出てきたのが「多様性」という現象である。この多様性という環境に適応する一つの手段として“コラボ”という考え方は最高の切り口として使えないだろうか・・・。お互いの違いを認識したうえで、対立ではなく共存を選択する。まさに“コラボ”思考は時代の申し子である。
 

今週の考える言葉「危機意識」

考える言葉

危機意識

   IG式目標管理をやっていると、自ら掲げた目標であるにも関わらず、その達成の度合いに相当の個人差が出てくる・・・。その差が、なぜ生じるのか?気になるところである。
 
   なぜ、達成度合いに差が生じるのか?
 
   目標の立て方や手段・方法の拙さなど原因があると思うが、要は目標達成に対する考え方や習慣を身につけているかどうかであろう。その考え方や習慣において、最も重要なことの一つとして“危機意識”を挙げることができよう。
 
   なぜなら、目標とは次のように定義することができる。
 
   「あるべき姿(理想)-現状」との差(=リスク、問題)を埋めること。つまり、その差を埋めるために何をなすべきかを考えて、具体化したものを目標という。このように目標を定義すると、目標が未達成であるということは、「リスク、問題」を放置したままの状態にあることを意味し、極めて危機的な状況にあるといえよう。その危機をしっかりと認識し、それと向き合う、健全な“危機意識”が大切である。
 
   先だっての、目標達成率が極めて低い者との対話である。
 
   「なぜ、こんなに達成率が低いのか?」、暫し考えて「決めたことを実行しなかったから・・・」 「なぜ、実行しなかったのか?」 「他にやる仕事ができて、優先順位を怠ってしまった・・・」 「じゃ、優先順位を怠らなかったら、上手くいったのか?」 「・・・・・」沈黙が続く。
 
   目標に対する健全な危機意識の欠如が、「仮説~実践~検証」という経営プロセスの各段階における詰めを曖昧にしてしまっている。つまり、目標管理に対する考え方や習慣を身につける努力を怠り、無価値な仕事ぶり、生き方になってしまっている。
 
   かつて、ドラッガーは『哲学という言葉を安易に使いたくないが、自己管理による目標管理こそ経営の哲学たるべきものである』という名言を残したが、肝に銘じている言葉の一つである。
 
   目標とは、他人から課せられたノルマではない。自分の人生を豊かで、楽しくするために立てるものである。つまり、自分の生き方を考えることでもあるのだ。そのように考えると、目標達成に対する考え方や習慣を身につけることがいかに大事であるかが分かると思う。
 
   若い頃の教訓、「有頂天になっていると、思わぬ罠に嵌まるぞ・・・」 「傲慢や慢心ほど、危険なことはない。自重を怠るな!」と。
 
   ハザードラインを予め定め、日頃から健全な“危機意識”を培っていきたいと思う。
 

今週の考える言葉「二項共存」

考える言葉

二項共存

   私たち現代人は、どちらかというと”二項対立”の考え方をする傾向がある。つまり、「AかBか」と分けて、互いに相容れないものとして分離してしまう。
 
   それは、近代から現在に至る科学のめざましい発展をもたらしたパラダイム(=思考の枠組み)が要素還元主義(reductionism)という機械論的世界観(分離の思考)であり、時代の価値観に大きな影響を及ぼしてきたからだという。
 
   「真・善・美」という概念は、「偽・悪・醜」というものと対立的なものとして捉え、「真・善・美」の追求こそ、人間としての正しい生き方だと考える。つまり、「善」でなければ「悪」であると・・・。
 
   それに対し、”二項共存”とは有機体的システム思考(統合の思考)で、対立する概念を統合する考え方である。
 
   「善から生まれる善は偽善。悪から生まれる善こそが真善である」(経営人間学講座)
 
   という言葉がある。自分は善人であると同時に悪人でもあることを知っておくことが大切である・・・。それでこそ、善悪の統合が可能となる。
 
   21世紀は、パラダイムシフトの時代だという。つまり、時代の価値観(=思考の枠組み)が崩れ、シフト(転じる)する。これまで当然だと思われていたことが、根本から劇的に変わる時代である。
 
   そんな中、多様性(ダイバーシティ)の時代という言葉が盛んに使われている。それぞれの「違い」を尊重し、認め合い、受け入れることによって、新たな価値が生じてくる時代であるといえよう。
 
   2000年から活動をはじめた「NN構想の会」は、会計業界に存在している様々な研究団体(ネットワーク)が持つそれぞれの価値を尊重し合いながら、さらに大きなネットワーク活動をしていける関係性のステージ(環境)を創ろうという発想から生まれたものである。これもそれぞれの「違い」を認め、対立するのではなく、共存の在り方を思考することによってできる、高次元の関係性(ネットワーク)である。
 
   先週行われた「新ビジネスモデル研究会(NBM第18期②)」も、同業者が全国から集い、お互いのノウハウをオープンにして、より高いレベルのサービスを提供できる会計人になろうという志によって支えられ、18年も活動を続けている・・・。
 
   多様性という時代の環境を生かし、成長し続ける人や組織には、”二項共存”という考え方がしっかりと身についている。
 
   「違い」をしっかりと認識したうえで、その違いを生かし合い、統合する”二項共存”という考え方、価値観を養いたいと思う。
 

今週の考える言葉「ゴム紐」

考える言葉

ゴム紐

   書棚の整理は、楽しい。以前に感銘し、影響を受けた書物に再会できるからだ。
 
   今回は、『「般若心経」生き方のヒント』(ひろさちや著)という本に目が止まり、ぱらぱらとめくっていると、次の言葉に心が惹かれて、再読が始まった。
 
   「人間の物差しは”ゴム紐”だ」・・・・・。
 
   「物差し」とは、価値観(=思考の枠組み)と置き換えてもいいだろう。「人間はそれぞれ自分独自の、自分勝手な、そのときの気分に左右される物差しでもって、物事をみている」のだという。
 
   つまり、勝手に伸び縮みする”ゴム紐”のような物差しでものを測っているのが、私たち人間であると・・・。「同じ物が、人が違うと違って見える。同じ人でも、気分が違うと違って見える」 そんなあやふやな物差しを信じて生きているのが、私たち人間であると・・・。
 
   じゃ、「ゴム紐の物差し」を「プラスチックの物差し」に変えればいいという話なのかというと、著者はそう簡単な話ではないという。人間は、「ゴム紐の物差し」しか持てないのだという。なぜか?際限のない欲望(=渇愛)こそが人間の本質であるから・・・。
 
   では、どうしたらいいのだろうか?
 
   先ず大事なのは、① 自分が身につけている物差し(=価値観)は、後生大事にしているが「ゴム紐の物差し」であって、あやふやなものであるということを自覚することである。そして、その次に大事なのは、② その物差しをどのように使えば、幸福になれるのだろうか、を考えることだ。
 
   物差しを価値観と置き換えてみると、その糸口がみえてきそうな気がする。
 
   まず、私たちが身につけている価値観が”ゴム紐”のように伸び縮みするのであれば、その価値基準(判断軸)は不安定で当てにならないということになる。それを解決するためには、独善的(独りよがり、身勝手、自己中心的)にならないこと・・・。社会的絶対性(真・善・美)をつねに意識し、自己反省を日々するように心掛ける。
 
   さらに、価値観には位相差(レベルの違い)があるという。経営人間学では、レベルの低い価値観のことを分離思考の価値観(自他分離)といい、レベルの高い価値観を統合思考の価値観(自他非分離)として教えている。
 
   価値観の位相(レベル)を高めることによって、私たちは独りよがりな判断や他との優劣で物事を見るような不安定さから解放されるという。
 
   「世のため人のために尽くすことが自らの幸福である」と考えることができるようになれば、”ゴム紐”の物差しも安定的な使い方ができるようになるのでないだろうか。
 

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