古田会計事務所

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今週の考える言葉「見切り」

考える言葉

見切り

   ビジネスの要諦は“見切り”にある…」 以前に、ある書物で読んだことを思い出した。
 
   “見切り”とは、これまで注ぎ込んできた資金や時間、あるいはこれから手にするだろう利益の一切を捨て去ることである。
 
   仕事ができる人とは、そのあたりの見極め方が実にうまく、どんなに儲かっていた仕事であっても、継続することに危惧を感じたなら迷わず“見切る”こと、そのあたりの結論を出すのが実に早く、うまい人である。
 
   相場の格言の一つで、「見切り千両、損切り万両」という言葉がある。含み損を抱えた株式などに対して、損失の少ないうちに“見切り”をつけることは千両の価値があり、損失を拡大させないために、ある程度の損を覚悟で売買することには万両の価値があるという例えである。
 
   そんなことは、分かっているはずなのに、なかなか“見切り”をつけることができず、ズルズルと引きずってしまう…、人間の性である。そんな経験は誰もが一度や二度はしているのではないだろうか。
 
   優れた人材ほど、“見切り”が早いというが、その理由として3つ挙げられる。
 
 ① 変化を恐れていないこと(革新性)
 ② 先を見て行動していること(先見性)
 ③ 危機感を持って過していること(健全性)
 
   先日のIG全体会議でも話したことであるが、日本という国はバブル崩壊後、「失われた30年」という歳月を無為に過ごしてきたと言われている。
 
   日本経済は、なぜ停滞をし続けてきたのか?
 
   一言でいうと、「豊かさの弊害:チャレンジできない環境」になってしまっていたと指摘する評論家が多い。
 
   日本の21世紀は、20世紀の遺産を食い潰している時代だと指摘する人が多い。バブルが崩壊して30年。以前ほどの2桁成長は望めないとして、日本のGDPは中国に抜かれはしたものの世界第3位…。
 
   だが、日本の経済力に昔ほど魅力を感じないのは私だけでないと思う。
 
   少子高齢化、低成長に伴う賃金水準の低調、エネルギー価格の不安定、経常収支の悪化など気になることが多い。
 
   「変わるしかない!」のに変わり切れない日本。そんな日本にとって、コロナは救いのための劇薬。過去に“見切り”をつけることこそが、大きなチャンスである、と考える。