古田会計事務所

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今週の考える言葉「ビジネスパーソン」

考える言葉

ビジネスパーソン

   『武器になる哲学』(山口周 著)という本を手に取って、パラっとめくった瞬間に次のような文章に出くわし、印象に残ったので紹介し、考えてみたい。
 
   『無教養な“ビジネスパーソン”は「危険な存在」である』
 
   「なぜそうなのか・・・?」 著者は、その理由を次のように述べている。
 
   「世界の建設に携わっている“ビジネスパーソン”こそ、哲学・思想のエッセンスを知っておいて欲しいから」だという。
 
   余談だが、最近よくサラリーマンとかビジネスマンではなく、“ビジネスパーソン”という言葉が使われるが、それは「性差を取り払う」ために、男女平等性に習った観点からだそうだ・・・。 さて、本題に戻そう。
 
   著者は、“ビジネスパーソン”が「なぜ哲学を学ぶ必要があるのか?」 その理由について次の4つを挙げている。
 
   ①状況を正確に洞察する
 
   ②批判的思考のツボを学ぶ
 
   ③アジェンダ(課題)を定める
 
   ④二度と悲劇を起こさないために
 
   以上、掲げてある4つの理由を見たとき、得心した。なぜならば、経営計画を策定するときの思考のプロセスそのものであるからだ。
 
   ①まず、「いま、何が起きているのか」を問う。(現状分析と把握)
 
   ②次に、「What(目的)とHow(手段)」を問い直し、新しい自己に出逢うためには、古い自己を否定する。(経営環境の変化へ適応)
 
   ③解決すべき課題を明確にする。(普遍性の追求とイノベーション)
 
   ④結果に対する真摯な検証を怠らない。(フィードバック機能)
 
   それから、この著者には『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』という著書もあるが、あらゆる物事を「世界」という視点から捉えようとするスケールの大きいパラダイム(思考の枠組み、価値観)が魅力的だと思う。
 
   いま、「仮説~実践~検証」という経営サイクルをベースにした『IG式目標管理システム』の見直し、検討をしているところであるが、そのベースとなる「経営計画の策定とは、自らの人生や仕事について哲学する機会である」という視点から考えてみると面白いような気がしてきた。
 
   そして、その計画の策定に関わる者はすべて、「世界の建設を携わっている“ビジネスパーソン”」であるという大局観をベースにして再考してみたいと思う。
 

今週の考える言葉「デザイン思考」

考える言葉

デザイン思考

   “デザイン思考”(Design Thinking)とは、イノベーションを生み出す手法として注目を浴びている考え方である。
 
   もう何年か前に、目にした言葉であるが、頭の中でデッドストック化してた・・・。今年度のIG・基本方針(2021年度)として掲げた『チームワークで異次元の戦いをしよう!~戦う自分をつくる成長戦略』について考えていたとき、ふと蘇った言葉である。
 
   つまり、「衆知(チームワーク)を集めて、新たな価値(異次元)を創造していこう」としたとき、“デザイン思考”という考え方・手法は「役に立つ!」と直感したからだ。
 
   さて、“デザイン思考”には、次の3つのプロセスが必要不可欠となる。
 
   まずは、「着想」である。
 
   それは、「価値あるモノ・サービスの開発につながる手掛かりを見つけるプロセス」である。そのために必要なのは、観察。つまり、人間の普段の行動を観察することによって、潜在的ニーズを探り当てることである。人間の行動はそのまま「その人間のしたいこと(本質的欲求)」の現れだという。
 
   次に、「発案」である。
 
   それは、「アイデアを創造、構築、検証するプロセス」である。つまり、潜在的ニーズから実際のモノ・サービスを作り上げていくプロセスをいう。そのためには、「良いアイデアを」を必要とする。そして、「ブレーン・ストーミング」は多様で多数のアイデアを生み出す最良の手段であると考えられる。
最後に、「実現」である。
 
   それは、「アイデアをプロジェクトルームから市場へと導くプロセス」である。つまり、モノ・サービスを市場へ導入して成功させるためのプロセスをいう。そして、「実現」するに当たって必要なことは、周囲からの「理解」と「共感」であり、さらに「支援者(ファン)」が現れることが有効である。
 
   “デザイン思考”を有名にしたのは、世界的デザインファーム『IDEO(アイディオ)』である。アップルの最初のマウスをデザインしたことでも有名であるが、“デザイン思考”を次のように捉えている。
 
   「“デザイン思考”とは、人間の欲求に寄り添い、解決する、誰にでも身に付けることができるアプローチである」
 
   デザインとは、人の心を察する力である。小生が“デザイン思考”に共感した理由がここにある。IGグループで提唱している「未来会計」で、「顧客の心を察する力」を日常性のなかで磨き続けたいと思う。
 

今週の考える言葉「マクロ環境」

考える言葉

マクロ環境

   「企業とは環境適応業である」という言葉がある。今まさに、その真価が問われているのではないか・・・。
 
   私たちが中長期の経営計画をつくるとき、必ず行うのが経営環境の分析である。その環境は、「マクロ的な経済・社会環境」と「ミクロ的な顧客・競争業者・業界」とに大きく分けることができる。
 
   今回は、“マクロ環境”に絞り込んで考えてみたい。
 
   “マクロ環境”とは、分かりやすくいうと“世の中”のことである。組織にとっての機会を生み出したり、組織に脅威を与えたりする大きな力となる環境を指す。具体的には、政治環境、経済環境、社会・文化環境、技術環境、自然環境などがあり、それらの動向が折り重なって“マクロ環境”を創り出しているといえよう。
 
   そして、21世紀という時代環境の中で、次のようなことが、“マクロ環境”の変化に伴う課題として取り沙汰されている。
   ① グローバル化
 
   ② 少子高齢化(人口動態の変化)
 
   ③ 価値観の多様化
 
   ④ 技術革新に伴う情報化
 
   ⑤ エネルギー・資源問題の深刻化(リサイクル、地球温暖化、公害など)
 
   このような“マクロ環境”の変化、それに伴う社会的な課題への対応は、企業にとって社会的責任であると同時に、成長機会でもある。
 
   そして、このような戦略的な課題に取り組む手法の一つとして、「SWOT分析」がある。強みのS、弱みにW、機会のO、脅威のTの頭文字をとって名付けられた分析手法である。
 
   自社の経営力(強みと弱み)と経営環境(機会と脅威)、以上4つの要素を組合わせることによってエリア分けをして、企業戦略の方向性を見定めるやり方である。
 
   ① 強み・機会エリア、② 弱み・機会エリア、③ 強み・脅威エリア、④ 弱み・脅威エリア。もちろん、①のエリアが最も活用すべき領域だといえよう。
 
   企業は環境適応業である。
 
   「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」(チャールズ・ダーウィン)。
 
   コロナ騒動で、思うような活動ができないこの時だからこそ、戦略的な思考で“マクロ環境”を捉えて、経営革新の機会としたいと考える。
 

今週の考える言葉「対人力」

考える言葉

対人力

   IG会計グループは、1月6日から仕事始めであった。全員そろって新年の挨拶をしたうえで、各人に新年の抱負を簡単に述べてもらった。
 
   今年度の基本方針(2021年)は、「チームワークで異次元の戦いをしよう!~戦う自分をつくる成長戦略」である。
 
   この基本方針のキーワードとなる言葉は、「チームワーク」である。そして、そのチームワークの良否を決める基礎的な要素として求められるのが、チーム構成メンバー各人の“対人力”ではないだろうか・・・。
 
   “対人力”とは、様々な人と信頼関係を築く力のことである。つまり、他の人たちと良い人間関係を築き、協力し合って、互いに能力を補うことで、一人では到底できないような成果を出せる力だといえよう。
 
   小生の経験からも言えることだが、人生の成功も失敗もその人の“対人力”に根本があると確信している。では、ビジネスパーソンとしての“対人力”を磨くためには、常日頃からどんな心構えが必要だろうか・・・。
 
①相手を尊重し、その価値を認めること。
②自分自身の価値を高める努力を怠らないこと。
③相手の立場で考え、行動する習慣を身につけること。
④世のため人のために貢献する意欲を持つこと。
⑤頼りがいがあって、裏表のない人間になること。
⑥相手に対して、つねに感謝の気持ちを忘れないこと。
⑦つねに人生の師を求めて生きる謙虚さがあること
 
   以上、思いつくままに書き連ねてみた。
 
   「人生は出逢いである」という言葉がある。つまり、人生でどんな人と出逢い、親しくなるかが、その人の人生の成否を決定づけることになるのであるが、その出逢いの価値の見極めとその後の付き合い方を決めるのは、その人の持つ“対人力”に因るところが大きいのではないだろうか。
 
   IG会計グループが掲げる経営理念の一つに、「われわれ相互の主体的価値を尊重し、互いに切磋琢磨する」というのがある。これはまさに、互いの“対人力”を磨き合うことを示唆していると考えても良いだろう。
 
   多様化した時代環境に生きている私たち現代人は、様々な価値観を持った人々との出逢いの中で、関係性を築き合い、生きていかなければならないと思う。
 
   「人との絆を築く力」、つまり“対人力”を高めていけるように心掛けたいと思う。
 

今週の考える言葉「コロナ格差」

考える言葉

コロナ格差

   『週刊朝日』(12・25号)を読んでいると、“コロナ格差”が生じているという。特に、「教育格差」がコロナ禍で増幅し、止まらないという。
 
   その一つの要因に、親の所得格差にある。休校中、いままでなら学校がカバーしていた家庭環境の差がもろに出て、学力の差がどんどん広がっているそうだ。
 
   共稼ぎの家庭では勉強を見てくれる人がいない、なかには保護者が休業や失業で仕事を失い、夫婦げんかが絶えず、ゲーム漬けになったりしている子もいるという。従来の格差や貧困をコロナがあぶり出し、増幅した形だ。
 
   また、年収400万円未満の世帯では、3割余りがパソコンやタブレット端末を持っていないそうで、「オンライン教育」もできない状況にあるという。
 
   もちろん、行政も手をこまねいているわけではないだろう。また、NPO法人等のボランティア活動も盛んであるが、“コロナ格差”への決め手になっていないようだ・・・。
 
   “コロナ格差”は、教育の現場だけの話ではない。仕事の現場においても、その懸念はあると思う。
 
   在宅勤務が取り沙汰されているようだが、職場のように仕事に適した環境を期待するのは難しいと思うし、在宅勤務が長引くようであれば、自律性をもっている人とそうでない人では、かなり生産性に影響が生じるのではないか・・・。
 
   しかしここは一つ、自律性を養ういい機会だと考えたらどうだろうか。
 
   自律性とは、まさに「自分を律する」こと。つまり、言われたことを言われたとおりにやるだけではなく、自分で考え、自分で自分を管理して仕事を進めることである。その自律性を養うために大切なことは、自分なりのキャリア形成プランや成長戦略を持てているかどうか。
 
   そして、その前提となるのが目的意識である。「人生の目的とは何か?」「仕事は何のためにあるか?」など、物事の本質を考え、自律性を高めるいい機会である。天から授かった有難い時間だと思い、大事にしたいと思う。
 
   「20世紀は、科学万能の知識社会で物質的な豊かさを享受した時代であった。そして、21世紀は心の豊かさを中心にした価値創造の時代になる」と、多くの識者が予期している。
 
   “コロナ格差”は、依存心が強い、自らの怠慢が原因であると考えたい。そして、真の自律性を確立し、創意工夫を持って自分の大切な時間の過ごし方を考えてみたいと思う。
 
 そのためにも、『IG式目標管理』を徹底したいと思う。
 

【年末調整】寡婦控除の見直し・ひとり親控除の創設

その他お知らせ

令和2年より、寡婦控除の見直し及びひとり親控除の創設がされました。
年末調整で新に変更になっておりますので、ご紹介いたします。
 
◆ 令和1年までの寡婦控除
 
・夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人
・扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人
(総所得金額等が38万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族となっていない人に限る)
・夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下この場合は、扶養親族などの要件はなし
 
 
◆ 令和2年からの寡婦控除・ひとり親控除について
 
〇 ひとり親控除の条件
下記の条件に全て該当すると「ひとり親控除」の対象になり、35万円の控除が受けられます。
12月31日の現況で、婚姻をしていないこと又は配偶者の生死の明らかでない一定の人
(1) その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
(2) 生計を一にする子がいること
※子とは、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限る
(3) 合計所得金額が500万円以下であること。
 
〇 寡婦控除の条件
下記の条件に(1)と(2)もしくは(1)と(3)に該当すると「寡婦控除」の対象になり、27万円の控除が受けられます。
12月31日の現況で、婚姻をしていないこと又は配偶者の生死の明らかでない一定の人
(1) 女性であること
(2) 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人(合計所得金額が500万円以下の人)
(3) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人(合計所得金額が500万円以下の人)、扶養親族の要件は不要


 
上記の「ひとり親控除」及び「寡婦控除」についての簡易フローチャートになります。

今週の考える言葉「波」

考える言葉


   “波”に乗るという表現がある・・・。「時勢に合って栄える。時流に乗る。また、調子に乗る」などの意味合いである。
 
   成功した人の話の中で、「時代の“波”に乗って、とんとん拍子にうまくいった」ということをよく耳にすることがある。小さい頃、海で遊んでいたとき、“波”に流されたり、戻されたりした経験があるので、その速さたるや肌で感じることができる。
 
   では、“波”に乗って、大きな成功を勝ち得る人ってどんな人だろうか?まずは、時代の“波”をとらえるセンスを持っているかどうか。
 
   経営者は大局観を持つべきであるといわれる。大局観を持つということは表面的な事象にとらわれることなく、その現象をもたらしている本質を見抜くことでもあるのだが、「時代の“波”」をとらえることが上手い人であるといえよう。
 
   例えば、「景気循環論」の考え方がある。そして、その景気循環の“波”は大きく分けて次の4つの種類があるという。
   ①キチンの“波” (在庫に着目した約40ヶ月周期の波)
   ②ジュグラーの“波” (約10年周期の設備投資に着目した波)
   ③コンドラチェフの“波” (約20年周期の建設投資に着目した波)
   ④クズネッツの“波” (約50年周期の技術革新に着目した波)
 
   それぞれの景気循環の“波”が複雑に重なりながら、景気をつくっていると言われいているが、こういう“波”があるということを知っているのと知らないとでは「時代の“波”」をとらえるタイミングなどが当然違ってくると思える。
 
   次には、「時代の“波”」をとらえたあとの対処の仕方であろう。つまり、今起きている“波”が自分のビジネスの成否にどのような影響を与えるのかを見極めるセンスだと思う。
 
   マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、IBMからOSソフトの開発依頼を受けたとき、「やがて個人一人ひとりがパソコンを持つ時代が来るだろう」直感したという。そこで、IBMと交渉して「OSソフトをIBM以外にも提供できる」という内容の契約を勝ち取ったという。ゲイツ氏は、IBMからの依頼という「小さなさざ“波”」から、その後の大きな“波”がくることを確信したに違いない。
 
   このように大きな“波”を予見し、その“波”が来たとき、自社はどうあるべきか、対処すべきかを考えるセンスを磨いておく必要がある。
 
   そのためには、未来会計(管理会計)を経営に活かし、戦略的思考を磨き、未来を見通す力を身につけたいと思う。
 

今週の考える言葉「グッドルーザー」

考える言葉

グッドルーザー

   “グッドルーザー(good loser)”とは、負けっぷりのいい人、「よき敗者」のことをいうそうだ。
 
   朝日新聞の『日曜に想う』に『「よき敗者」が担う役割とは』という論説があった。
 
   この論説では、米大統領選挙における「敗北宣言」の伝統を、その事例として挙げてある。恐らく、いまや負けたはずの大統領が結果を認めない事態が続いているアメリカの今後を懸念してのことであろう。このままでは、政権が移行されても民主主義のこうむる痛手は深いと・・・。長丁場の大統領選は、「民主主義の祭り」の様相を見せるが同時に、皮肉にも祭りのたびに社会は二分された戦いとなる。
 
   ゆえに敗者は勝者を祝福し、勝者は敗者をたたえて、溝を埋める意志を示し合うのが、きれいごとに見えても祭りの終わり方だったという。その良き伝統を壊すような態度を取り続けるトランプ氏の意図はどこにあるのだろうか・・・。
 
   ここまで書いているうちに、「敗軍の将は、兵を語らず」(『史記』)という言葉が頭に浮かんだ。「戦いに敗れた将軍は武勇について語ることはできない。転じて、失敗した者はその事について意見を述べる資格はない」という意味だ。
 
   経営者など組織の上に立つ人たちにとって、“グッドルーザー”の心得は身につけるべき重要な教えだと考える。
 
   “グッドルーザー”を演じることによって、次の二つの効用が期待できる。
 
   一つは、戦いによって生じた分断を「統合」に導くことができる。負けっぷりの良さが、場の共感を生み出し、差異を認め合う復元力を生み出すことが期待できる。
 
   もう一つは、新たなチャレンジの機会を得ることができる。「敗れたこと」に対して言い訳をせず、真摯に自己と向き合うことによって、自分自身の慢心さや傲慢さに気づかされて、自己革新の必要性を感じ、新たなチャレンジへの意欲が湧いてくる。
 
   今やパラダイムシフトの時代だ。変革と挑戦をやり続けるなかで、成功と失敗は表裏一体だと思う。いづれにしても、結果から何を学びとるかである。そして、「人間としていかにあるべきか」を見直す機会を怠らないようにしたい。
   「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし」(平家物語)。
 

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