今週の考える言葉「チェンジリーダー」
考える言葉
チェンジリーダー
先週(19~20日)、コロナで開催を見送っていた『IG後継者育成塾』(第17期)をやっとスタートさせた。
世代交代期にある今、事業承継は重要な経営課題の一つである。その中でも、後継者(トップリーダー)を如何に育てるかは、企業のゴーイングコンサーンにとって、最も重要かつ難しい課題だといえよう。
『IG後継者育成塾』では、「経営とは戦いである」という前提に立って、次に掲げる3つの戦いをきちんとできるリーダー的人材を育成することを目的としている。
①組織との戦い(統率力、求心力)
②環境との戦い(洞察力、適応力)
③変化との戦い(創造力、革新力)
そして、「時代は乱世であり、過去の延長線上に未来は描けないのだ」という認識に立って、「分析予測型」ではない、「洞察創造型」の意思決定ができる“チェンジリーダー”になってもらいたいと思っている。
もう数十年前に、“チェンジリーダー”の必要性を唱えた人がいる。P・F・ドラッカーである。そして、ドラッカーは“チェンジリーダー”を次のように定義している。
「“チェンジリーダー”とは、変化を機会としてとらえる者のことである。変化を求め、機会とすべき変化を識別し、それらの変化を意味あるものとする者である」
そして、“チェンジリーダー”の心得として、次の4つの条件を示唆している。
①捨てる勇気をもつこと(体系的廃棄)
②カイゼンを続けること(継続的改善)
③成功を常に追求していること(成功の追求)
④イノベーションを率いること(変化の機会)
ドラッカー曰く、「今日のような乱気流の時代にあっては、変化は常態である」、そして、「変化はコントロールできない。できるのは、その先頭に立つことだけである」と。
つまり、リーダーに求められるのは対処能力ではなく、創造的破壊(イノベーション)ができる価値観を持つ人、つまり“チェンジリーダー”としての存在であるといえよう。
ドラッカーは、チェンジリーダーとしての3つのタブーを指摘している。
①現実に即さないイノベーションに走ること
②「新奇さ」をイノベーションと混同すること
③「組織改革」のポーズに満足すること
変化をチャンスとみなす“チェンジリーダー”こそが、明日を変える人である。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「アイデンティティ」
考える言葉
アイデンティティ
“アイデンティティ”(identity)は、「同一性」「一致」のことをいう。
もう少し詳しく言うと、「自己同一性」「個性」「国・民族・組織などある特定集団への帰属意識」「特定のある人・ものであること」などの意味で用いられる。
もう随分前になるが、ビジネスの世界では、コーポレート・アイデンティティー(CI)という言葉が流行り、社名、ロゴタイプ、広告のキャッチフレーズとして解釈され、使われることがあった。
本来、CIとは企業イメージの統一であり、企業における理念体系(企業の理念・使命・価値・行動指針)をいう。
そして、その役割と目的は次の3点にある。
① 独自性を高め、競合他社との差別化を図る
② 理念や方針を共有し、方向性を明確にすることによって企業活動の質を高める
③ 自社の存在価値を明確にして顧客や社会とよりよいコミュニケーションを図る
つまり、その本質は企業文化を高め、顧客をはじめとする社会との関係性を高めるところに重要な目的があると言えよう。
もちろん、企業に限ったことではない。個人においても、自らの“アイデンティティ”を正しく認識することによって、独自性や存在価値を高めることができる。つまり、世の中の環境がどんなに移り変わろうと、「私は私である」ことを保証するのが“アイデンティティ”なのである。
IGグループの経営理念の中に、「われわれ相互の主体的価値を尊重し、互いに切磋琢磨する」とある。これはまさに、一人ひとりが自己の“アイデンティティ”を確立することによって、互いの持ち味を生かし合う組織文化が生まれることを期待しているのである。
次のような質問を投げかけられたときに、ちゃんと答えられるだろうか。
① 自分たちは何者か?
② 自分たちはどんな立場に置かれているのか?
③ どこが他と違うのか?
④ 自分たちにふさわしい場所はどこか?
「アイデンティティ・クライシス(自己喪失)の時代である」という言葉を耳にすることがある。時代環境がどんなに激変しようとも、「私は私である」という自覚を持たないと他人も正しく評価できなくなるだろう・・・。個人も組織も、そして国としても自らの“アイデンティティ”を常に問い正す必要があると思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「過当競争」
考える言葉
過当競争
自由主義経済(=資本主義)とは、自由競争の原理に基づいて成り立っている。
それゆえに、競争の自由が阻害されるような状況が生まれると、自由市場システムが成り立たなくなるので、独禁法なる法律があるくらいである。
ゆえに、競争は市場や企業の健全な発展のために欠かせない要因であるが、競争も行き過ぎると様々な弊害が出てくる。
かつて、日本における高度経済成長期(1955~1972年)に、“過当競争”という言葉が言われた時期があった・・・。
過当競争”とは、同業の企業が市場占有率を拡大しようとして起こる過度な競争状態をいう。価格が引き下げられ、正常以下の利潤しか得られないという問題が起こり、中小企業における企業間格差が叫ばれたことがあった。
最近、ある雑誌で、コロナ後の国内市場の縮小を背景に“過当競争”が起こり、企業の淘汰が進むのではないかという記事があった。
“過当競争”の最大の問題は、値下げにより売上や利益が損なわれてしまうところにある。その対処方法は、一つ。逆に、値上げできないかを徹底して考えることだ。
そのためには、どうしたらいいか?「競争のいらない経営」を目指すべきだという。
『絶対に儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』(石原明 著)に次のような内容が書かれていたので紹介したい。目先の利潤追求に振り回されず、値上げして得た利益を「経営のサイクルを伸ばす投資(3年先、5年先、10年先)」とすることによって、圧倒的に他社を引き離した経営ができるようにすることが重要だという。
そして、「経営サイクルを伸ばす」ためにヒントとして、次の6つを示唆している。
① 今すぐは必要とされないが、将来大きな差となる行動は何かを考える。
② 長い時間をかけないと絶対にできないこととは何か?
③ 圧倒的に蓄積がものを言う世界は何か?
④ 面倒くさくて誰もやろうとしないができたらすごいことはないか?
⑤ めったにできないがやった人しかわからないことはないか?
⑥ 日本人はほぼ行かないが行ったことがある人しか絶対にわからないことは何か?
“過当競争”に伴う値下げ合戦ほど、リスクの大きいものはない。値上げの最大の目的は「時間」をつくるところにある。経営者は、その「時間」を「経営サイクルを伸ばす」ために活用し、「競争のいらない経営」ができるようにしたいと考える。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
11月の税務カレンダー
今週の考える言葉「デバイス」
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デバイス
“デバイス”とは、日頃使っているパソコン・タブレット・スマートフォンや、それらと接続して使う装置の総称である。
『ナポレオン・ヒル自己実現』(ナポレオン・ヒル著)を読んでいたら、「成功への旅立ちに必要な六つの“デバイス”」というくだりがあったので、改めて調べてみた。
デバイス(device)とは、本来は道具・仕掛け・考案・くふう・方策・図案・意匠などを意味する英単語であることが分かった。
ここでは、“デバイス”を「心構え」として捉えよう。ナポレオン・ヒルは成功への旅立ちに必要な“デバイス”(=心構え)として、次の6つを掲げている。
① 燃えるような願望を持つこと。
② 心がつねに目標に向かっているようにすること。
③ 前向きな人たちと親しく付き合うこと。
④ 自分の心にいつも前向きの指示を与えること。
⑤ 自分の心を支配できるという特権を自分のものとして活用し、徹底的に認識すること。
⑥ 睡眠中も潜在意識に指示を与えるため、器具を利用すること。
以上で理解できると思うが、成功のための“デバイス”には、まず動機と目的を明確にする必要があるということだ。
つまり、何をしたいのかという望み(目的)が明らかでなければ、どうしようもない。そして、動機が強いものであるほど、心のコントロールが容易になるということであろう。
「ナポレオン・ヒルの成功哲学」との出逢いは、もう30年ほど前になるだろうか。その当時、お付き合いしていた経営者の一人に大変熱心な方がいて、その人の勧めで
「カセットテープ一式」を購入して、早朝勉強会をしたことを思い出す。
一年ほど続いただろうか・・・。仲間も増えていったが、いつしか自然消滅の状態になってしまった。その頃、他にも『経営人間学講座』(竹内日祥上人主催)など価値観学習が盛んなときでもあったようだ。
今思うと、その当時の価値観学習との出逢いが、人生における小生の“デバイス”(=心構え)を培ってくれたのだと思う。
このところ、コロナで出張などの移動時間が減ったせいか、かなり読書の時間も増えて、じっくりと考える一日が多くなった。読書感想も含めて、“考える言葉”シリーズを充実した内容にしたいと思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「テレワーク」
考える言葉
テレワーク
コロナ禍で、国の旗振りもあり、一部の企業では“テレワーク”が定着しつつあるというが、多くの職場でいまだ遅々として進まない“テレワーク”の普及の状況がある、と指摘されている。
“テレワーク”とは、ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をいう。今や、世界の潮流となっているのであるが、このままでは、日本は“テレワーク”後進国になってしまうのではないかと懸念されている。
「テレワーク(telework)とは、「tele=離れた場所」と「work=働く」をあわせた造語で、テレワークを利用して働く人のことをテレワーカーと呼んでいる。
“テレワーク”に対する取り組みは、現状において、企業間でかなりバラツキがあるようだが、その導入に積極的な企業は、次のような理由を挙げている。
① 少子高齢化による労働力減少への対策
② ワークライフバランスの実現
③ 地域活性化の推進
④ 環境への負荷軽減
さて、“テレワーク”を推進することによるメリット・デメリットがよく議論されているが、概ね次のようなことが言われている。
(メリット)
企業にとっては、① コスト削減、② 人材の確保、③ 生産性・効率性の向上、④事業継続性の確保などがある。一方、従業員にとっては、① 家庭と仕事の両立、②通勤時間・通勤ストレスの解消、③ ワークライフバランスの向上などがある。
(デメリット)
企業にとっては、① 従業員の管理が難しくなる、② チームワークが取れなくなる、③ 従業員間で不公平感が出る、④ セキュリティーリスクが高くなる。一方、従業員にとっては、① 自己管理が不可欠、② 通信に依存する、③ 孤独を感じる、④ 正当な評価を受けにくいなどがある。
今までと違う、新しいことにチャレンジしようとすれば、当然ながら様々なリスクが伴う。しかし、時代環境の変化に適応していくしか、生き残る道がないのは、歴史の習いである。
働き方改革が叫ばれている今日、“テレワーク”の推進は避けて通れない課題だと言えよう。各人に乗り越えるべき壁があると思うが、みんなで知恵を出し合い、協働可能な“テレワーク”環境を構築していきたいと思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「ハイブリッド思考」
考える言葉
ハイブリッド思考
“ハイブリッド”と聴けば、直ぐに思い浮かぶのは、プリウスなど、トヨタの車でないだろうか。ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターの組合せで、画期的な低燃費を実現したものだ。
このように、複数の異なるものを組み合わせて、新たな価値を生み出すことを“ハイブリッド思考”と呼ぼう。
本来、“ハイブリッド”(hybrid)の語源はラテン語の「hybrida」。もともと「イノブタ」を意味する語だという。そこから、生物の掛け合わせによって生まれた動物(雑種)という意味に転じ、後に異種の要素を組み合わせた製品を形容する語彙として用いられるようになったそうだ。
ハイブリッドな生き物の例としては、豚と猪の交配よって生まれたイノブタや、馬とロバの交配によるラバなどが挙げられる。また、野菜の交雑によって生まれた品種は「ハイブリッド野菜」と呼ばれているという。
さて、IG会計グループでは今、「チームワークで異次元の戦いをしよう」という基本方針を掲げ、新たな価値を創造することにチャレンジしている最中であるが、まさに“ハイブリッド思考”が求められる・・・。
チームワークとは、複数のメンバーが助け合い、お互いの弱みを補完することで個人では達成できない仕事を、組織として成し遂げる時に発生する力のことをいう。つまり、チームワークに欠かせないのが、“ハイブリッド思考”ではないだろうか。
「どちらか片方を選択する」のではなく、掛け合わせて統合的に生かし、大きな価値、ほかには真似できない価値を生みだそうとするのが“ハイブリッド思考”なのだ。
複雑化した時代環境の今日、価値観の多様化が進むと同時に、二律背反性すなわち二項対立の罠に嵌っている現代人が多い。二項共存を目指す“ハイブリッド思考”は、救いの女神であるといっても過言ではない。
ハイブリッド思考を鍛えて、次のような効果を意識してみよう。
①掛け合わせて最適解を求める。
「機能とデザイン」「個と全体」「真面目と遊び心」・・・。
②二律背反の双方を生かす。
「拡散×収束」「空気を読む×流されない」「専門領域の確立×興味の拡散」・・・。
より深い専門性が求められる一方で、統合性をおろそかにできない難しい環境がある。そんなとき、解決の手段として“ハイブリッド思考”は大変効果的である。
次年度の「IG基本方針」は、“ハイブリッド思考”にチャレンジしてみようと思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「幸福税」
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幸福税
小生が独立開業したのは、1984年6月・・・。それから4~5年経った頃だったと思う。少し、余裕ができると同時に、もっと事業を大きくしたいと考えていた時期でもあったのだろう。
ある会合で出逢った人に、ナポレオン・ヒルの「成功哲学」にはまっていた人がいて、彼の勧めで高価なカセットテープを購入し、一緒に学習をした記憶がある。もう30数年前の話になる。(今も事務所に保管されたままになっている)
その当時、1~2年ほど、熱心に勉強会を続けていたが、ナポレオン・ヒルの成功哲学を習得し、卒業したというわけではなかったが、お互いに仕事の忙しさに感けて、その勉強会も自然消滅してしまったという思いがある。ただ、大変刺激を受けた一時であったと思う。
つい最近のことであるが、本屋で目に留まったのが『ナポレオン・ヒル自己実現』(ナポレオン・ヒル著、田中孝顕訳)である。
「どんな災難にも、どのような不愉快な状況、失敗、あるいは肉体的な苦痛であっても、そこには、それに見合うだけの利益の種子が含まれている」という文章で始まっているが、懐かしく思い、つい購入してしまった。
昔取った杵柄か、頷きつつ、あっという間に一読してしまった感じだ。全体を要約すれば、「人生は心ひとつの置き所・・・。心構えがすべてを決定する」というだろう。
「心構えこそ自分でコントロールできる唯一のものであるという事実」だ。つまり、人間に許された、完全でゆるぎない唯一の特権を、自らの人生の目的へ向けてコントロールすることがさえできれば、自分の運命を支配できるのである。
また、努力の重要性について、次のような表現をしてある箇所があった。いい得て妙なので、紹介しておきたい。
それは、「努力は“幸福税だ」という表現だ。人間には努力が不可欠であるが、それは人間があらゆる障害を乗り越えて成長、発達し、強靭になるように、自然が人間に強制する巧みな手段・・・。つまり、幸福になるために負担すべき税金のようなものだという。
無知を克服するにも努力が必要、勉学は永遠の努力であり、生涯の仕事である。また、富を蓄積するにも努力が必要とされる。健全な肉体を維持するのにも、たゆむことのない努力は欠かせないのである。
ある仕事を続けていく努力、仕事で認められるための努力、事業を倒産させない努力・・・。まさに、努力は“幸福税”である。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」
今週の考える言葉「ツボ」
考える言葉
ツボ
“ツボ”とは、東洋医学では「経穴(ケイケツ)」と呼ばれ、五臓六腑の異常「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」が滞るところとして、鍼、灸、マッサージを行うための場所と考えられている。
数年前に購入した本に、『1年で結果を出す経営改善の“ツボ”』(野村宜功・丸山直明 著)というものがある。
ここでいう“ツボ”とは、「押さえどころ、要所」という意味だと思うが、「経営改善の“ツボ”というべき課題を的確に見極め、正しい優先順位で取り組むことが、結果を出すためには不可欠である」と説いてある。
著者は、経営改善の“ツボ”として、次の6つのジャンルを設定し、それらの“ツボ”を探すためのチェックリスト35項目を紹介している。(レジュメを添付)
(ツボ1) 社長(①~⑦)
(ツボ2) 戦略・ビジネスモデル(⑧~⑬)
(ツボ3) 経営管理(⑭~⑱)
(ツボ4) 人・組織(⑲~㉔)
(ツボ5) 営業(㉕~㉙)
(ツボ6) 財務(㉚~㉟)
著者は二人とも政策公庫を退職したあと、中小企業に特化したコンサルティング業務を志向し、様々な活動を行って今日に至っているようだ。そのせいか、中小企業者として仕事をしている人間にとって、違和感のない、むしろ的を射た内容である。
小生も、「“ツボ”探しのチェックリスト」を自分の立場からチェック(〇・✕)してみた6割方はクリアできたと思うが、あとの4割は課題として残った。特に、「営業の“ツボ”」に関していうと、ほぼ全滅・・・。
何が問題だったかというと、営業のプロセス(顧客のリストアップ~訪問~情報収集~提案~クロージング~受注など)がきちんと分けられておらず、結果として部署・部門あるいは個人任せになっていたようだ。それでは、情報の共有がなされず、結果として個人プレーに流されていたと思う。
以上、一つの事例であるが、それぞれの立場でチェックをしてみると、いろいろな立場での経営改善の“ツボ”が明確になってくると考える。
いよいよコロナ後の対策が問われる時期がきていると思われる。ツボを押さえた効果的な改善策の立案と実行が重要である。この書籍の要約文をまとめているところです。ご要望があれば、でき次第、メール等で配送させて頂きます。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」