今週の考える言葉「長い目」
考える言葉
長い目
仕事に限らず、人生においてもそうであるが、いま関わっている物事に対して“長い目”で捉えなおして、考えることは重要なことだと思う。
ソフトバンクの孫正義氏が、「300 年成長続ける企業のイメージを真剣に考えている」という風に語っていた新聞記事を見たことがある。「迷いがあるときほど、もっと遠くを見てみると、明らかに大きな流れがよりクリアになってくる」と・・・。
実は、孫さんほどのスパンではないが、ここ数年、創業者である小生がいなくなった後のIGグループの未来を考えることが多い。創業時につくったIG理念は、30 数年経った今、やっと馴染んできたが、これから先もずっと風雪に耐えて、IGグループの価値創造の源として、あり続けるのであろうか・・・・・?
学校を出て、就職先も決まり、社会人としての一歩を歩みだす。毎日がドキドキワクワクの日々であるが、緊張やストレスのせいで五月病にかかる人も多いという。目先の事が気になって、“長い目”で物事を考えることができていないのであろう。
「何の目的で、この仕事を選んだのか?」「そのためには、どんなビジョンを描き、実現したいのか?」「その達成のための戦略と戦術はいかに?」等々、“長い目”で物事を捉えると、考えるべきことがたくさんあるはずである。
目先の事ではなく、5 年後や10 年後、もっと先の未来でもいい。自らのあるべき姿が明確になったら、単に日常業務に追われることなく、もう一段飛躍するためのステージが思い描けるであろう・・・。「10 年後の自分は、どんなポジションにいて、どんな貢献をしているのか。そして、どれくらい給料を稼げる人間になっているのだろう・・・」そんな強烈な自己イメージをもって仕事をしている人がどれくらいいるのだろうか?
先だって、人材不足で悩んでいた社長から連絡があった。「新卒の男性が入社してくれた」と大層な喜びよう・・・。水を差すわけではないが、「その人に支払う生涯賃金いくらだと思います?2 億円は下りませんよ!」と話したら、沈黙だった・・・。
言いたかったのは、目先の人手不足の解消を喜ぶのではなく、「“長い目”で、この人材をどう育て、役割を担わせようとしているのか・・・」という人材ビジョンについて、社長と語り合いたかったのである。
「中小企業2030 年消滅?社長の年齢、14 年後80 歳前後に」(日経新聞)という記事を読んだ。私たち団塊の世代が、まさにその原因である。永続的成長を続ける組織のDNAをいかに設計できるのか、「次世代へ繋ぐための次なる革新(Next Innovation)」を真剣に考えなければならない。
先が見えない時代だからこそ、“長い目”で考えることが重要だ。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」