古田会計事務所

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今週の考える言葉「予測」

考える言葉

予測

   日経新聞に、思わず目を引くような、次の記事が載っていた。「中小企業 2030年消滅?~社長の年齢、14年後80歳前後に」・・・。
 
   要するに、経営者の中心年齢は2015年に66歳となり、この20年で19歳上がったという。円滑な事業承継や若者の起業が進まなければ30年には80歳前後に達するという“予測”である。
 
   過去のデータを分析し“予測”するという手法は、将来の成り行きや結果を前もって推し量るための常套の手段として用いられ、その有効性を発揮してきた。将来を的確に見通すことができれば、私たちは常に適切な意思決定ができ、行動することができるからだ。
 
   今日、この“予測”の手法が疑問視されている。その背景にあるのが、パラダイムシフトである。時代のパラダイムが大きな転換期を迎え、その変化のスピードも凄まじい中で、過去と未来がつながらない・・・。つまり、過去のデータを分析し、“予測”をしても当たらないのである。まさに今、問われている課題が、ここにある。
 
   では、このような環境の中で不確実な未来に対して、私たちはどのように対処していけばいいのだろうか?
 
   小生は、経営計画を策定するときに、「分析・“予測”型」を捨てて、「洞察・創造型」でつくることを提案している。なぜかというと、“予測”してもその通りにいかないのだから、時代の潮流(世の中の進化や顧客ニーズの変化など)を見極め、それらにどう適応するか、自らの意思で決断し、未来を創造していく覚悟である。
 
   今、経営者に求められているのは分析的な能力ではなく、時代を見抜く物の考え方、価値観のレベルである。その人の価値観のレベルが、その人の生き様を決め、経営理念の構築と浸透となり、組織文化を醸成していく。
 
   素晴らしい組織には、独自の経営観がある。そして、その経営観がベースとなって、未来のあるべき姿やビジョンを描き、未来を創造するエネルギーを醸し出しているのである。ゆえに、外部環境に左右されない志の強さを感じ取ることができる。(孫正義氏は、300年以上成長し続ける企業をイメージしているという・・・)
 
   確かに、冒頭の記事のように、放っておくと“予測”通りの厳しい未来となるであろう。だが、私たちには智慧もあり、勇気も持っている。あるべき姿と現状とのギャップ(=差)を明確に捉え、何をなすべきかを思考し、行動することこそが未来会計の真髄である。
 
   “予測”の罠に嵌らないように、創造する力を養おう。
 

今週の考える言葉「長い目」

考える言葉

長い目

   仕事に限らず、人生においてもそうであるが、いま関わっている物事に対して“長い目”で捉えなおして、考えることは重要なことだと思う。
 
   ソフトバンクの孫正義氏が、「300 年成長続ける企業のイメージを真剣に考えている」という風に語っていた新聞記事を見たことがある。「迷いがあるときほど、もっと遠くを見てみると、明らかに大きな流れがよりクリアになってくる」と・・・。
 
   実は、孫さんほどのスパンではないが、ここ数年、創業者である小生がいなくなった後のIGグループの未来を考えることが多い。創業時につくったIG理念は、30 数年経った今、やっと馴染んできたが、これから先もずっと風雪に耐えて、IGグループの価値創造の源として、あり続けるのであろうか・・・・・?
 
   学校を出て、就職先も決まり、社会人としての一歩を歩みだす。毎日がドキドキワクワクの日々であるが、緊張やストレスのせいで五月病にかかる人も多いという。目先の事が気になって、“長い目”で物事を考えることができていないのであろう。
 
   「何の目的で、この仕事を選んだのか?」「そのためには、どんなビジョンを描き、実現したいのか?」「その達成のための戦略と戦術はいかに?」等々、“長い目”で物事を捉えると、考えるべきことがたくさんあるはずである。
 
   目先の事ではなく、5 年後や10 年後、もっと先の未来でもいい。自らのあるべき姿が明確になったら、単に日常業務に追われることなく、もう一段飛躍するためのステージが思い描けるであろう・・・。「10 年後の自分は、どんなポジションにいて、どんな貢献をしているのか。そして、どれくらい給料を稼げる人間になっているのだろう・・・」そんな強烈な自己イメージをもって仕事をしている人がどれくらいいるのだろうか?
 
   先だって、人材不足で悩んでいた社長から連絡があった。「新卒の男性が入社してくれた」と大層な喜びよう・・・。水を差すわけではないが、「その人に支払う生涯賃金いくらだと思います?2 億円は下りませんよ!」と話したら、沈黙だった・・・。
 
   言いたかったのは、目先の人手不足の解消を喜ぶのではなく、「“長い目”で、この人材をどう育て、役割を担わせようとしているのか・・・」という人材ビジョンについて、社長と語り合いたかったのである。
 
   「中小企業2030 年消滅?社長の年齢、14 年後80 歳前後に」(日経新聞)という記事を読んだ。私たち団塊の世代が、まさにその原因である。永続的成長を続ける組織のDNAをいかに設計できるのか、「次世代へ繋ぐための次なる革新(Next Innovation)」を真剣に考えなければならない。
 
   先が見えない時代だからこそ、“長い目”で考えることが重要だ。
 

今週の考える言葉「組織モデル」

考える言葉

組織モデル

   NBMをスタートさせた動機は、一言でいうと、「会計業界の抜本革新!(イノベーション)」である。経営者の意思決定をサポートするための未来会計を体系化した『循環モデル』(IGグループのHPを参照のこと)を学習し、未来を語れる多くの会計人を世に輩出することによって、中小企業を倒産という悲劇から救うことを目的としている。
 
   さて、今回(Step5)のテーマは、“学後の実践”を円滑に進めるための『組織体制のモデル~システム思考的目標管理』である。
 
   “組織モデル”には、大きく二つの考え方がある。
 
   一つは、機械論的“組織モデル”。組織を仕事の側面(機能)から構造的に捉え、それぞれの働きを担う部品として人間を配置する。目的達成手段として有効な組織を合理的・計画的にデザインし、管理できるようなモデルを形成する考え方である。一方、この考え方は、機械をモデルとしているため、環境変化への適応性が悪く、硬直化し、制度疲労を起こしやすいといえる。(安定的な環境ではいいのだが・・・)
 
   もう一つは、有機体的“組織モデル”。組織を相互に作用し合う要素の集合体としてのシステムと捉えている。つまり、組織を構成するメンバーの一人ひとりの目的・意図・ニーズなどが相互に影響し合い、一つの全体を創り上げていく成長・進化のプロセスとして考えるとよいだろう。その大きな特徴は、自己組織化である。
 
   自己組織化(self‐organization)とは、生命の発生や社会構造の成立などに見られる、自律的に秩序をもつ構造をつくりだす現象のことである。その本質は、環境の変化に適応できるように、自己の仕組みに依拠しながら、自己を変化させていくところにある。
 
   私たちは今、パラダイムシフトの時代に生きている。大きなゆらぎの中にいる。変化が常態のこの世の中、ゆらぎは必然である。私たちは何を触媒として自己組織化されていくのだろうか・・・。
 
   もちろん、二つの組織モデルは二者択一ではない。両者を統合させる思考が大切である。いずれにしても、自社に合った“組織モデル”を再構築する必要がある。
 

今週の考える言葉「マンネリ」

考える言葉

マンネリ

   “マンネリ”とは、マンネリズム(mannerism)の略。
 
   「最近、“マンネリ”だな・・・」と、仕事をしているときなどに、よく使う言葉である。ワンパターンで、単調・・・、「ネタ切れで、つまらなく、飽きがきた・・・」と感じてしまう状態をいうのだろう。
 
   新卒の人が、夢を描いて就職をしたとしよう。当然ながら、仕事をし始めた当初から“マンネリ”に陥る人は、先ずいないだろう。恐らく、毎日がワクワク・ドキドキの日々だと思う。それがいつの間にか、ワクワク・ドキドキ感が失せてしまう日がくる・・・。
 
   毎日の仕事に慣れてきて、いちいち上司や先輩からの指示がなくても、自分で一日の仕事の段取りとパターンができてくる。そんな時、ふっと「仕事って、こんなもんかな~?」と思い、舐めてしまうのだ。慣れてしまい、飽きを感じる瞬間だ。
 
   一つに、“マンネリ”の原因は、慣れから生じる、飽きである。恐ろしいことに、“マンネリに”陥った人の中には、働き盛りの時期を何十年も無為に過ごしてしまうような輩も見受けられる。“マンネリ”すら、気にならなくなるのである。
 
   中には、“マンネリ”を感じ、新天地を求めて転職をする人も多いという。気分一新、一時的な効果はあったとしても、それで本当の意味で、“マンネリ”から脱却できるのであろうか?
 
   小生の経験からであるが、日常的な業務はすべてパターン化されていることが多いので、経験、場数を踏めば慣れるのは当たり前である。じゃ、慣れると誰もが飽きが来て“マンネリ”を感じてしまうのかというと、そうではないと思う。現に、小生は“マンネ
リ”を感じないタイプである。
 
   長くやっているからといって仕事に慣れ、飽きを感じることはない。むしろ、心の余裕が生まれるといったほうがいいだろう。その分、創意工夫の時間をもてる。
 
 「より生産的にするためにはどうしたらいいのか?」「他の人に任せても、同じ結果を出してもらうためには、どう段取りをすればいいのか?」などを、考え始める。楽しそうにしているから、他の人が関心を持ち、やりたがる。だから、手離れが良くなり、新た
な仕事にチャレンジする時間ができる・・・。
 
   こう考えると、慣れたから“マンネリ”になるのではなく、その仕事が自分の中で変化しないから、飽きてきて“マンネリ”になるのである。つまり、自分自身が成長しない人ほど、“マンネリ”の罠に陥っているのが真相だと思う。成長し続けている人は、つねに自分自身が変化しているので、同じ仕事をやり続けても少しも“マンネリ”を感じないのである。あなたは、10 年前と何が変わりましたか?
 

今週の考える言葉「大局観」

考える言葉

大局観

   今回は、『ドラッカー流マネジメントの真髄~自らの手で未来を創造する』をテーマにマネジメントの本質を探ろうという企画であった。
 
   第4期も、あと「最終講⑫」(7月予定)を残すのみとなり、2年間近く学んだ成果のお陰だろう、難しいテーマであるにも関わらず、グループ・ディスカッションも活発な意見が飛び交い、塾生の成長に頼もしさを感じた合宿であった。
 
   「忙」とは「心を亡くす」と書く。目先の事に追われ、日々をバタバタと忙しくしている人の特徴は、一つに“大局観”の欠如である。つまり、本来の目的(根本)を見失って、枝葉末節的なことに振り回されていることが多い。
 
   企業の掲げる理念やビジョンこそが、その組織の存在意義であり、「何のために」という目的を考えるときの原点である。また、経営者にとって大切な“大局観”は、それをベースに培われるものだと考える。
 
   “大局観”というと、安岡正篤氏の思考の三原則を思い出す。
第一は、目先にとらわれず、“長い目”で見る。
第二は、物事の一面だけを見ないで、“多面的・全面的”に観察する。
第三は、枝葉末節にこだわることなく、“根本的”に考察する。
 
   経営者など上に立つ人にとって、これは心得ておくべき大切な考え方だと思う。
 
   これらは、「わが社をどんな会社にしたいのか(理念・目的・ビジョン)、社会にどう役立ちたいのか(使命観)、日々の経営判断において大切にしている物差しは何か(価値観)」等々、ものの考え方のベースとなる。
 
   市場のコモディティ化が叫ばれている今日において、企業の独自性を発揮させる唯一の手段は、理念経営の確立だと言われている。確かに、同感である。しかし、理念をつくって、壁に掲げているけれど、形骸化している企業が多い。つまり、それを社内外に浸透させるまで、徹底されていないのである。
 
   今回の後継者塾は、「理念のもつ効用とは何か?また、理念を浸透させるために何をなすべきか?」などを、徹底してグループ討議した。先ず、後継者にとって必要なことは、自社の掲げる理念という大義(錦の御旗)に対し、熱意と信念を持ち得ているかどうかである。
 
   そして、“大局観”を持って、その実現のための方向性を指し示し、周囲を奮い立たせるようなリーダーシップとコミュニケーションを自家薬籠中の物にすることである。
 

今週の考える言葉「攻めの経理」

考える言葉

攻めの経理

   どんな企業でも、“経理”の仕事はある。最近では、外部の会計事務所などにアウトソーシングするところも増えているようであるが、会計帳簿の作成は法律で義務付けられている・・・。
 
   そこで、日々の取引を記録して、会計帳簿を作成し、決算をする。その動機は、義務だから・・・。利益が出ていれば、税金対策に知恵を絞ることもあるだろう。しかし、これでは、守りのために経理をしているに過ぎない。
 
   経理には、“攻めの経理”がある。経営者の意思決定をサポートし、未来を創造していくために大切な情報を提供していくための経理である。小生が、未来会計と呼んでいる領域の経理は、まさにそうである。
 
   まさに、渋沢栄一がいうところの「論語と算盤」である。論語とはその事業を成り立たせている基盤の考え方(=理念やフィロソフィー)であり、算盤とはその考え方を具現化するために必要な利益の確保(=計数管理)をいう。つまり、経営の両輪なのだ。
 
   例えば、経営者の仕事をし易くするために、次のような事を常に考えて経理を行う。
 
   ① 必要最小限利益をどうやって確保するのか?
どうすれば、売上を伸ばし、利益率を高めることができるか。固定費の無駄を常になくす意識をもつ。
 
   ② どうすれば効率的な資金繰りの仕組みができるのか?
銀行はじめ取引先との交渉力を磨く。金利を1~2%下げるだけでも違う。また、資産等の回転率(在庫管理や売掛・買掛管理、投資等など)を高めるだけでも、資金は廻るようになる。
 
   ③ 企業価値を高めるためにはどうすればいいのか?
資産と負債・資本のバランスを考え、内部留保の充実と自己資本比率の向上を常に考えて、経理を行う。
経営者の視点で、経理を考える。これが、“攻めの経理”である。
 
   本来、数字とは正直なもので、ごまかせないものだ。だから、経理には事実を正しく把握する力がある。把握した事実を、次の打つ手にいかに活用するか。経営に活かす数字力を問われるのである。確実に業績を伸ばし、成長し続ける社長には必ず経理の達人(プロ)が寄り添っている。京セラの稲盛さんがいうように、「正しい会計が分からんで、正しい経営ができるのか!」は、実に名言である。
 
   事前のリスク計算をきちんと行う未来会計は、「“攻めの経理”を担う人にとって習得すべき重要な考え方であり、計数管理の手法である」と考える。
 

今週の考える言葉「計画」

考える言葉

計画

   小さい頃から、“計画”を立てることが大好きだった・・・。なぜか、“計画”を立てていると、それだけで心が弾むのである。小生にとって、未来を思い描くことそれ自体が夢や希望に満ちた行為だからであろう。
 
   小中学校の頃は、夏休みになると40日間の過ごし方について“計画”をしっかり立てるように指導を受けたと思うが、それが楽しくてしょうがなかった。思い描いているだけで、やる気が出てきて、“計画”が出来上がったときには、もう夏休みを一度体感したような気分になっていた。
 
   職業会計人(税理士や公認会計士)になることを決意して、故郷の会計事務所に就職して、初めて担当を任され、経営者の方と話しをした時のことを、今でも鮮明に覚えている。
 
   「社長のところの経営計画書を良かったら見せて頂けますか?」
   「経営計画?そんなのないよ・・・」
   「経営計画書がなくても、経営はできるのですか?」
   「・・・」返事ないまま、会話は途切れてしまった。
   その後、他の経営者にも尋ねてみたが、似たり寄ったりの反応であった。
 
   企業経営に不可欠なはずの経営計画書が、中小企業の現場にはない・・・。驚きと同時に、すごく新鮮な発見をしたような気分になったのを覚えている。また、本来あって然るべきものがない、とてつもなく大きなマーケットを発見したような気がした。
 
   今から、40年近くも前の話である。今思うと、当時、まだ右肩上がりで全体の経済が底上げされていた時期であったし、業界ごとに儲かる仕組みがあって、独自性がなくても共存できた環境であったのであろう・・・。
 
   今や、格差社会であり、淘汰の時代である。自立して、独自性を発揮できなければ、生き残れない、つまり未来はないのである。そんな健全な危機感をもった経営者が、嬉しいことに、随分と増えている。つまり、“計画”をつくるお手伝いができる経営者層が年々増加しているということだ。
 
   今、経営者が向き合っている環境(グローバル化、人口減少、世代交代等々)は、複雑で、多様化し、難しい問題である。年間廃業社数は、約29万社(そのうち、後継者不在の理由で約9万社)に上るという。
 
   一方で、急成長している企業の話も聞く・・・。成長企業の特徴は3つ、①独自の経営観を持っている、②高付加価値な領域を確立している、③人材育成に熱心である。
 
   やはり、「“計画”なくして成長なし。成長なくして存続・発展なし」である。
 

今週の考える言葉「誠実」

考える言葉

誠実

   初期の段階の“考える言葉”シリーズを整理していると、次の一文に目が止まった。
 
   「人に対して“誠実”であるか」・・・。
 
   これは確か、安岡正篤先生の『人生の大則』という本に紹介されていた「大和的生活法」(=日常的な生活における基本となる考え方と過ごし方)の一つとして示唆された内容であったと思う。
 
   人に対して思いやりがなく、不誠実な人間は世間から信用されない。つまり、「あいつはちゃらんぽらんだ」となると、どんなに能力があっても相手にされなくなってしまうのだ。
 
   ピーター・F・ドラッカーは、真摯さ(=integrity of character)という言葉で「経営者の条件」として掲げ、“誠実”であることの重要性を次のように述べている。
 
   「人間性と真摯さは、それ自体では何事もなしえない。しかしそれらの欠如はほかのあらゆるもの(仕事上の能力や強みなど)を破壊する」と・・・。つまり、その人間の人格の統合、価値観に関わることであると捉えているのである。
 
   では、“誠実”とは何をいうのか?少し、考えてみたい。
 
   “誠実”とは、「私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること」「いつわりなくまめやかなこと」とある。無私、真心、真摯、律儀、忠実、至誠、篤実などが類似語として挙げられる。
 
   もう少し、具体的に“誠実”な人の特徴を考えてみよう。
 
① 正直である、うそをつかない。
② 約束を必ず守る。
③ 言行一致で一本筋が通っており、裏表がない。
④ 面倒見が良く、打算がない。
⑤ 間違いに対して、素直に謝罪する。(言い訳をしない)
⑥ 結果に対して責任をとる。
⑦ 他人の心情を察して、親身に行動できる。
⑧ 仕事に対して真面目に取り組む。
⑨ 美辞麗句、調子のいい言葉を使わない。
⑩ 人を見て態度を変えない。
 
   「自分自身と人に対して、いつも“誠実”であれ!」(ニーチェ)という言葉があるように、“誠実”とは自分自身に対しても問われることである。
 
   自分が大事にしている“誠実”と何か?自問自答してみよう!
 

今週の考える言葉「壁」

考える言葉


   “壁”(wall)とは、家の四方を囲うもの、または室と室の隔てとなるものをいう。つまり、空間を区切るもの。その効用は、守りかな・・・?
 
   私たちは普段から壁に囲まれた空間に身を置くことによって、安らぎを感じ、生きている。外から自分のオフィスや家に戻り、お茶やコーヒーを飲んで、ひと時のくつろぎを覚えるのも、そのせいであろう。
 
 今回、考えてみたい“壁”は、空間を区切る物理的な機能をもったものではなく、私たちの心の中に生じる精神的な、意識の“壁”について、である。どんな心の“壁”があるのか、整理してみたい。
 
   ① 自我の壁
   自我とは、自分と他人を分ける働きをもっている。そこから生じる自己防衛的な本能や他との比較において優位性を保とうとするプライドが生じる。見栄や虚栄心、相手によって態度を変える行為などの弊害をつくる。
 
   ② 習慣の壁
   人間は、習慣の動物である。一定の行動のパターンが身についてしまい、多くの日常的な行動は無意識化されたものになっている。毎日の小さな習慣の繰り返しが、慢性的な病気を引き起こしたり、偏狭的な心の状態をつくり出したりしている。
 
   ③ 価値観の壁
   人それぞれ自分の価値観をもっている。それは、思考の枠組みであり、思考や行動を限定している。また、世間を図るときの物差しとなっている。それが、他の思考や行動の可能性を阻害してしまっている。
 
   ④ 恐怖の壁
   戦う相手が強すぎたり、困難な事態に陥ったり、状況が悪すぎたり、未知なことに遭遇したりしたとき、心が恐れを抱き、怖気づく。「失敗したら・・・」という不安が心によぎり、一歩を踏み出す勇気を失ってしまう。
 
   今、多くの企業が自らの未来を描けないでいる。過去の成功体験が通用しないことへの焦り・・・。新たな成長戦略を描こうと模索をしているが、妙案が浮かばないのである。
 
   その原因は、過去の延長線上に未来を描くことができないというパラダイムシフトしている環境のせいだといえなくもないが、環境や他人のせいしていても状況は一つも進展しない・・・。あらゆる限界はすべて、自分自身の心の“壁”がつくっているからだ。
 
   軽やかで、柔軟な心で、自分の“壁”と向き合ってみたいと考える。
 

今週の考える言葉「ソリューション営業」

考える言葉

ソリューション営業

   先週のIG幹部会における研修テーマの一つとして取り上げられた“ソリューション営業”について考えてみたい。
 
   国内市場が成熟化する過程で、プロダクトアウト(商品ありき)からマーケットイン(顧客ありき)の志向へシフトする必要性が叫ばれてから久しい。その一つの解決策として提案され、ブームになったのが、“ソリューション営業”だったような気がする・・・。
 
   “ソリューション”とは、課題解決という意味であるが、“ソリューション営業”とは顧客企業の課題の解決方法を提示しながら、そこに自社の商品やサービスの販売を組み込んで提案するという営業スタイルである。
 
   時代に合った素晴らしいモデルだと思う。だが、「言うは易く行うは難し」である。いくつかの壁がある。
 
   先ずは、全体的問題の掌握力。顧客企業の部門を超えたビジネス全体の問題をどうやって掌握するのか・・・。部分だけでは捉えることができない全体像をどうやって把握できるのだろうか。
 
   次に、当事者意識である。他人の問題を真に自分の問題として考えることができる価値観を持ち合わせることができるのであろうか・・・。
 
   さらに、“ソリューション営業”を関係性の思考から考えると、次のように定義できる。
 
   「顧客と“価値ある関係性”を構築するための提案型営業」であると・・・。ここでいう、“価値ある関係性”とは信頼である。つまり、相互信頼関係が構築できるかどうかである。
 
   このように、“ソリューション営業”を定義してみると、その本質は信頼である。信頼できる人であるかどうかをお互いに見定めることができるかである。“ソリューション営業”が成功するか否か、それは終始一貫、信頼がテーマとなる。企業の経営計画を策定するお手伝いをしていると分かるが、目標の数値化は簡単にできる。だが、数値重視の計画は必ずと言っていいほど、頓挫する。画餅と化すのである。何故か?経営者の思いや魂(=365日の生き様)が欠落しているからだ。
 
   信頼し合うということは、お互いの思いや魂に、それを価値観と置き換えてもいいと思うが、共感し合うことであると確信する。このように考えていくと、“ソリューション営業”は、テクニカルな営業レベルではなく、経営計画や事業計画策定のはじめから、一体となって関わり、価値観を共有し合ってはじめて成果につながるものだと考える。
 
   揺るぎない信頼関係を構築できなければ、反って仇となる恐れがある。肝に銘じでおきたい。