古田会計事務所

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今週の考える言葉「目標設定」

考える言葉

目標設定

   コロナショックの経済に及ぼす影響は、リーマンショック時を上回る規模になるであろうと予測されている・・・。
 
   「コロナ、大倒産・失業時代が来る」と多くの週刊誌等で書かれてある。すでに経営破綻に追い込まれた企業も、宿泊・ホテル関連のほか、飲食業やアパレル関連など、インバウンド需要や個人消費に支えられていた業種が多いという。
 
   コロナショックによる経済活動の縮小が、企業の倒産・廃業の一義的な要因であることは相違ないと思うが、従来から、中小企業の抱えている本質的な課題が、顕在化してきたことにあるのではないだろうか。
 
   その一つは、事業承継の問題である。
 
   今、全国の中小企業うち127万社が後継者未定だといわれているが、何とか踏みとどまってきた経営者のなかに、背中を押されたかのよう廃業へと心が傾いている人たちがいるという・・・。
 
   もう一つは、財務体質の問題である。
 
   中小企業には内部留保が少ないため、経営環境の変化への適応が難しい。しかも、手元流動性比率が1.9ヶ月しかなく、2~3か月間の売上がない状況が続くと資金ショートしてしまう・・・。つまり、「バランスシート劣化型」の倒産が懸念される。
 
   以上の二つの問題からしても、もっと経営の本質のところから再考し、なすべき課題は何かを明確にして、”目標設定”する必要があるだろう。上記二つの問題は、いずれも経営の本質にかかわってくる課題なので、小手先のテクニックで解決できるものではない。当然ながら、相当の時間を要するもので、中長期的な”目標設定”が必要となるものである。その意味においても、いつまでも決断を先送りにできない。
 
   では、どうすればいいのだろうか?
 
   先ずは早く、俎上に載せるところから始めるべきであろう。具体的には、IGグループで毎月開催している『中期5ヶ年計画策定セミナー(将軍の日)』に参加して、「5年後のあるべき姿」をじっくりと思い描くことから始めるのが、唯一最良の手段だと考える。
 
   現状分析を徹底して行い、あるべき姿を思い描く。その差を埋めるために何をなすべきか、一日で浮き彫りにされ、具体化する。それらの一つひとつを形にする。つまり、”目標設定”していくのである。「使命→成果→目標→貢献」という、なすべき経営課題が明確になってくる。
 
   アフターコロナを、ぜひ『将軍の日』で乗り越えていきたいと思う。
 

今週の考える言葉「must」

考える言葉

must

   “must”という英語は、中学の時に習った単語(助動詞)である。
 
   「・・・しなければならない」とか「・・・してはならない」といった義務・否定などの命令的な言葉として、その当時のインパクトの強さが、今なお、記憶に残っている。
 
   なぜ、その記憶を思い出したかというと、『実践するドラッカー(全5編)』の一節の次のような文章が紹介されていたからだ。
 
   『第一に身につけるべき習慣は、”なされるべきこと”を考えることである。何をしたいかではないことに留意してほしい』(『経営者の条件』p3)
 
   ドラッカーは、成果を上げる経営者の特徴として、次の8つのことを習慣化していると述べている。
 
① なされるべきことを考える、② 組織のことを考える、③ アクションプランをつくる、④ 意思決定を行う、⑤ コミュニケーションを行う、⑥ 機会に焦点を合わせる、⑦ 会議の生産性をあげる、⑧ 「私は」ではなく「われわれは」を考える。
 
    これらは、いずれも成果を上げるための大切な要件だと思うが、その第一の習慣化として、「なされるべきこと」を掲げている。
 
   『実践するドラッカー』の中では、第一の習慣化である「なされるべきこと」について、次のような解説を施している。
 
   「組織に属する知的労働者は、組織への貢献を通して社会的役割を果たすことが期待されている」として、成果をあげるための優先順位を「”must”~can~will」で考えるとしている。
 
   先ず「”must”=なされるべきこと」、次に「can=できること」、最後に「will=やりたいこと」を問うのだと・・・。
 
   どうだろう?この優先順位に関しては、いろいろな意見がありそうな気がする・・・。
 
   ドラッカーの考え方を紹介した著者の立場は、明確である。「組織人である以上は、組織の使命を無視して、自分のしたいことを優先させるのは本末転倒である」ということだ。
 
   それから、「must」を意識することで、自分に「できないこと」がはっきりしてきて成長の機会を得ることができる。そして、その繰り返しが自分自身と組織の成長につながるのだと・・・。
 
   さらに、自分と組織の「will=やりたいこと」が一致していけば、最高の成果を期待できるとしている。
 
   成果をあげる優先順位「”must”~can~will」について、考えてみたい。

今週の考える言葉「資金調達」

考える言葉

資金調達

   ご存じの方も多いと思うが、㈱インフォマート(東証一部上場)はフード業界を中心に「BtoBプラットフォーム(企業間電子商取引)」を提供し、その道において先駆的な役割を担っているインフラ企業である。
 
   もう5年ほど前から、他業界・海外市場への事業展開もしていきたいという意向があり、私どもJa‐BIG(会計人のネットワーク組織)との連携も深めつつあるところだ。
 
   ちょうどその頃、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)が話題になり始めた頃で、個人や中小企業の立場からも関わりを持てることはないだろうかと気にかかっていたところであった。
 
   そこで、私たちおいても、このシステムを利用することによって、請求書の紙ベースによる受発注などが不要となり、ペーパーレス化が一気に進み、地球環境に優しい商習慣を根付かせることができると直感して、お付き合いをお願いした次第である。
 
   そしてこの度、インフォマートから、新たに”資金調達”に関する有難い提案を頂いたので、その内容を紹介したい。
 
   その内容とは、『電子請求書早払い』システムである。Web上で簡単に”資金調達”ができるサービスを始めるという。いわゆる、ファクタリングというもので、売掛債権を買い取ってもらうことで、決済日よりも早く現金化できる金融サービスである。発行した請求書が最短2営業日で資金化できるという。
 
   話によると、経済産業省が国の施策として売掛債権の利用促進をしていることもありファクタリングを利用する中小企業が年々増えてきているという。
 
   ファクタリングによる”資金調達”のポイントは次の通りである。
 ① 売掛金の早期現金化が可能となる
 ② 担保や保証人が不要である
 ③ 金融機関の与信枠外で資金調達ができる
 ④ 売掛債権の未回収リスクを解消できる
 
   などのメリットが考えられる。一方、一般の融資よりも手数料が割高に設定されていること、売掛債権の範囲内での”資金調達”しかできないというデメリットは当然ながら考えられる。緊急時の”資金調達”の手段として視野に入れておくと、経営の安定化に繋がると思う。この取引は、二者間ファクタリング(自社とファクタリング会社のみで取引)なので取引先に知れずに”資金調達”ができるので利用しやすいと考える。
 
   また、インフォマートの「BtoBプラットフォーム」は商品の売り買いも可能なので、ぜひ一度、覗いてみて頂きたい。
 

今週の考える言葉「三つの領域」

考える言葉

三つの領域

   毎日が、コロナ騒動である。最近は、”アフターコロナ”、要するに「コロナが終息したあとの世の中の環境はどうなるのだろうか?」という質問をよく受ける。確かに、気になることろである。
 
   「元の状態に戻るのだろうか、それとも・・・」 今でも厳しい中、何とか耐え忍んでいるのに、「これ以上不況が続くとしたら、本当に世の中はどうなるのだろうか?」という不安である。
 
   ドラッカーの著名な言葉の一つに「すでに起こった未来」というのがある。
 
   ドラッカーは「未来について言えることは、2つだけだ」として、「第一に未来は分からない、第二に未来は現在とは違う」と述べている。つまり、未来は今とは違う変化の果てであり、予測不能であるとしている。
 
   そこで、誰かが動かす未来を探るよりも、自ら未来を生み出すほうがずっと確実であるということだ。そして、その手法として「すでに起こった未来」という考え方を提案してくれたのであろう。
 
   予測するのではなく、すでに起こったことを観察すれば、それがもたらす未来が見えてくるはずだ。そこから、元に戻ることのない変化や重大な影響をもつことになる変化を見極めて、それらを自らの経営の成果へ生かすことを考えるべきであろう。
 
   さて、あらゆる組織は、持続的な成長をするために、”三つの領域”における成果を必要としている。
 
   (1) 「直接の成果」
第一は、すでに起こったことが売上や利益、顧客の数などにどのような影響を及ぼしたのか。そして、未来においてどの程度の影響をもたらすのであろうかを予見し、戦略や戦術の見直しをする。
 
   (2) 「人材の育成」
第二は、このピンチを、人材育成のチャンスと捉える。どうすれば、このピンチをチャンスに変えられるかを徹底して議論して、健全な危機管理ができるように衆知を集めて、組織プレーができる人材育成の土壌づくりの機会とする。
 
   (3) 価値への取り組み
第三は、一つには「顧客価値」であり、顧客が喜ぶ付加価値をいかに提供できるかという視点からの見直しだ。二つには「組織の価値観」への取り組みで、どうような土壌を形成していくかの視点が問われる。
 
   「自らの手で未来を創造する!」という覚悟だけは、自分の意思で決められる。
 

今週の考える言葉「先入観」

考える言葉

先入観

   「真実を学びたいと願うなら、あらゆる”先入観”を捨てること」・・・。 学生の頃に某教授に教わった言葉を思い出している。
 
   「どんなに著名な学者が書いた本でも、鵜呑みにしてはいけない。自分の頭でしっかりと考えて、疑ってみることだ」と。
 
   考えてみると学問のときに限らない。失敗の全ては必ず”先入観”の拘束を受けているようだ。「まさか、そうなるとは・・・」という後悔の一言が、つきまとう。
 
   人類は、今なお、コロナウイルスの脅威を克服できないでいる。
 
   「世界のコロナ死者は20万人を超え、感染者数は約288万人だ」という。「国内での感染者数は約1万3千人で、死者は350名を超えた」という。
 
   中国の武漢で昨年末に発症し、今年の1月下旬に武漢が封鎖された際に、誰がここまでの事態を想定できたであろうか・・・。その後、欧米や日本に飛び火してきた時でも、現代医学への過信だろう、「まさか、そうなるとは・・・」と、”先入観”の拘束を受けていた自分に恥じる思いである。
 
   “先入観”とは、前もってつくられた固定的な観念であり、思い込みである。偏見や固定観念などもその一種である。「自分って、こういう人間なんだ」とか「彼奴って、そういう奴なんだ」と決めてかかるところがあるが、これもまさに”先入観”である。
 
   “先入観”のすべてを否定する訳ではないが、① 失敗のすべてが”先入観”の拘束を受けていることや、② 他人とのトラブルの原因の多くがお互いの”思い込み”だとすれば、放っておくわけにはいかないと思う。
 
   では、どうすれば”先入観”を捨てることができるのであろうか?
 
 ① 自分の頭で考えて、疑ってみること。
 ② 読書をして、向上心を高めること。
 ③ 価値観の違う人と付き合ってみること。
 ④ 仕事の日々改善を心掛けること。
 ⑤ 多くの人との出会いを大切にすること。
 ⑥ 海外に行ってみること。
 ⑦ 人生の目的や目標を立て、つねに検証すること。
 
   今や、パラダイムシフトの時代である。いわれの無い自己限定の中で日々を過ごし、
 
   それを疑わない生き方は、決定的な失敗の要因となるだろう。
 
   「まさか、そうなるとは・・・」の一言を避けたい。”先入観”の払拭こそ、自己革新の第一歩である。まさに今こそ、人生の勝負どころである。
 

今週の考える言葉「セルフマネジメント」

考える言葉

セルフマネジメント

   新型コロナ感染症に関連して、仕事を含めた多くの活動が自宅待機など自粛要請になっている。IG会計グループも自宅待機を決めてから3週目に入る。
 
   “セルフマネジメント”(self mangement)とは、「自己管理」や「自立」という意味であるが、今のような非日常的な状況に置かれたとき、”セルフマネジメント”に対する自覚が問われるのでないだろうか。
 
   いっときは「毎日が日曜日!」って気分もいいと思うが、それがずっと続くとなるとストレスも生じるだろうし、ルーチン化された仕事を中心に一日が過ぎていく平日が、きっと有難いと感じるに違いない。
 
   また、職業や立場(パートなど)によっては、自宅待機期間の給与保証を得ることができない人たちもいるようで、先行き不安を感じている人もいるようだ・・・。
 
   IG会計グループは、創業の当初からパートナーシップ制をベースにした組織づくりを標榜してきたので、主体性のある人財が育つ職場環境をつくろうと目標管理システムを導入し、”セルフマネジメント”を重要視してきたつもりである。
 
   さて、”セルフマネジメント”を身につける方法として考えてみよう。
 
   仕事の目的や目標を明確に理解すること
 
   日程・スケジュールの管理を徹底すること
 
   自己の強み・弱みを把握すること
 
   自分で考え行動する癖をつけること
 
   時間の使い方をつねに意識すること
 
   ほかにも、すべての仕事は他との関係性において成り立っていることを考慮するならば、他への働きかけを自ら心掛ける姿勢も問われるであろう。
 
   今回においては特に、人との約束や期限のある仕事に対する管理の徹底、それから時間の使い方などの自己管理を徹底するいい機会だと思う。
 
   朝から新聞を読んでいると、「人が出ないと現れた」という見出しで、「街中に野生動物が現れた、水や空気がきれいになった」という記事が紹介されていた・・・。
 
   世界の感染者数が225万人を超えて、死者数が15万人を超えたという。国内感染者も1万人を超え、死者223人になったという(4月18日現在)。
 
   新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は、時代の変化とともに変わらざるを得ない今までの常識や秩序に対する警鐘のような気がしてならない・・・。
 
   時代が大きく動こうとしているとき、私たち一人ひとりも自己変革を余儀なくされる。
 
   その時、大切なのは”セルフマネジメント”できる力ではないだろうか。
 

今週の考える言葉「グローバリゼーション」

考える言葉

グローバリゼーション

   “グローバリゼーション”(globalization)は、グローバル化あるいは地球規模化とも呼ばれる。確か1980年代に入ってから、良く耳にするようになった言葉であるが、21世紀はまさに”グローバリゼーション”の時代だといえよう。
 
   “グローバリゼーション”とは、「政治・経済、文化など様々な側面で、従来の国家・地域の垣根を越え、地球規模で資本や情報のやり取り、人の交流が行われること」をいう。
 
   私たち企業人は、”グルーバリゼーション”の引き起こす社会的な影響、つまり「変化と多様性」を経済的な側面から捉えて、自社のビジョンや戦略を描くときに、”グローバル化”の視点を無視できないものとして考慮してきたつもりである。
 
   昨年の12月、中国・湖北省の武漢市で発症が確認されたコロナウイルス・・・。あっという間にパンデミック(世界的な大流行)となった状況を考えるに、”グルーバリゼーション”に関する概念を、もっと様々な視点から理解しておく必要性を感じている。
 
   “グローバル化”の拡大の背景には、次の二つの要因があるという。
 
   一つに、自由主義経済の発達に伴う「国際関係の変化」
 
   人・物・金といった三大要素が国や地域を越えて自由に、頻繁に行き来するようになった。
 
   二つに、インターネットなどの「技術の進歩」
 
   輸送や通信にかかるコストが劇的に低下し、国や地域をまたぐことが簡単にできるようになった。
 
   こうした状況のなかで、世界的規模の相互依存性のネットワークが急速な発展と果てしない密集化が進む・・・。個人一人ひとりに強みと弱みがあるように、国それぞれにも強み弱みがある。
   能力的な側面でいうと、お互いに強みを活かし合い、分業化することによって生産性向上につながり、経済的な効果も共有できるので問題はないだろう。
 
   ところが、多様化した価値観や考え方においてはそう簡単でない。お互いがそれぞれの国の文化を、どう理解し合えるのか課題が残る。つまり、相手の立場に立てるかどうかである。
 
   “グローバリゼーション”が進む今日、能力や技術を活かし合うだけでなく、お互いの価値観を理解し合い、共有できるかどうかが、問われるのであろう。
 
   「出逢った相手は自分!」、自他非分離、統合の価値観を共有できてこそ、真の”グローバリゼーション”ではないだろうか。
 

今週の考える言葉「育てる」

考える言葉

育てる

   春といえば、季節の風物詩は「新入社員」だ。新しい出逢いドラマがはじまる季節でもある。弊社も、新しい仲間が3人(新卒者が2人、中途採用者が1人)増えて、新たなエネルギーが充満し、活気づいているところである。
 
   今年はコロナウイルスの関係で、自宅待機を余儀なくされている人たちもいるそうだが、「いつでも本番OK!」という状態で待機しておいて欲しい。恐らく、入社後「待ったなし」 の状況になるであろうから・・・。
 
   さて、「鉄は熱いうちに打て」という諺がある。つまり、「精神が柔軟で、吸収する力がある若いうちに鍛えるべきである」という意味合いがある。
 
   その意味においても、入社当初においての「新入社員」の教育は大変重要な経営的な課題だといえよう。
 
   そこで、”育てる”ことについて考えてみたい。
 
   大企業においては、社内において「新入社員の教育制度」が確立されており、一定期間において、組織人としての心構え、マナーなどを教えた上で、各部署に配属されるようになっている。しかし、多くの中小企業にはそういった制度がなく、配属された先の上司任せといった感が強い。そして、上司との人間関係で、すぐに辞めてしまうという、もったいない話もよく耳にする。
 
   「育てる」とは、社会人として適応できるように変化してもらうことだ。今までに身につけてきた習慣、能力、考え方などを社会人に相応しいものに変化させる、変化してもらうことだと考える。
 
   IG会計グループには、「IG式目標管理システム」というものがある。その資料を配布し、しっかりと読み込んでもらうことから始める。
 
   弊社は、「IG理念」を具現化する唯一の手段として、このシステムを個人と組織の成長の原則としている。ドラッカーがいう、「一人ひとりの主体性を尊重する自己統制的な管理手法(=目標管理)こそがマネジメントの哲学である」という考え方に共感するからである。「何のために職業会計人としての仕事を選んだのか?(目的)」「その目的を遂行するためには何を学び、身につける必要があるのか(目標)」「その目標を達成できた暁には、どんな自己を実現できるのであろうか(あるべき姿のイメージ)」等々、しっかりと考えて、日々の仕事を通して、自己研鑽に励んでもらえるように、環境を整えたいと思っている。
 
   人を育てるということは、組織全体の共同作業である。一日でも早く、頼れる職業会計人に成長してもらうように、皆で声掛けをしたいと思う。
 

今週の考える言葉「投企」

考える言葉

投企

   コロナウィルスの猛威になす術もなく、3月中に予定していたあらゆる行事が延期あるいは中止となり、まさに1ヵ月が過ぎようとしている。今尚も、予断を許さない状況である。
 
   IG会計グループ主催の『IG後継者育成塾(第6期第10講)』(3月27~28日)も開催を、残念ながら、見送った。2ヶ月に1回のペースで開催であるし、今回のテーマは「なぜ経営計画を立てるのか~事業計画書」だったので、何とか実施したかったのだが断念・・・。
 
   この後継者育成塾のオープニングで、話そうと思っていたことがあるので、この場を借りて紹介をしたい。
 
   それは、”投企(とうき)”である。”投企”とは、ハイデガーによって提唱された哲学の概念である。「被投という形で生を受けた人間は、常に自己の可能性に向かって存在している。これが”投企”である」(ウィキペディア)。
 
   つまり、「自己の存在の可能性を未来に向かって投げ企てること」であるといえよう。
 
   私たちが生きていく世界はままならぬ世界である(被投性)。しかし、その世界で自己の可能性を試し、どう自己実現していくかは私たちの判断と選択に任され、委ねられているである。
 
   少し難しい話になってしまったが、小生がなぜ”投企”という言葉に関心を持ち、後継者塾で話をしようと思ったかというと、経営計画をベースに展開する未来会計の考え方は、まさに”投企”と同じ概念であると直感したからである。
 
   小生の書籍に『社長、経営はぜんぶ「逆算」でやりましょう』(あさ出版)というのがある。読み方によっては「”投企”的な経営」とは、いかにあるべきかを解説した本と言えなくもない・・・。(苦笑)
 
   ① まず、弊社は何のために存在しているのか(理念・目的を明確に描く)。
 
   ② その目的を具現化するための、未来のあるべき姿とは何か(”投企”)
 
   ③ 現状を直視する(被投性)。
 
   ④ 「あるべき姿-現状」とのギャップを捉える。
 
   ⑤ その差を埋めるために何を為すべきか(戦略と戦術)。
 
   ⑥ 「仮説~実践~検証」を通して、”投企”の質を高め、続ける。
 
   「経営とは環境適応業である」というが、自らの未来に対してあるべき姿(ヴィジョン)を描き、そこに自らを投げ企てることである。(受動から能動へ)
 
    ”投企”とは、「主体的価値を創造する生き方、経営」であるといえよう。
 

今週の考える言葉「総合芸術」

考える言葉

総合芸術

   連休の間に読破した書物の中に、次のような一節があった。
 
   「問題解決は、いわば”総合芸術”のようなものだ」(「コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法」名和高司 著)と・・・。つまり、極めて学際的な領域なので、その問題を解決するのに必要な専門的な知識や技術をひとつふたつ極めたからといって、通用しないのだという。
 
   さらに、いかに問題解決の手法を学んでも、実践し、場数を踏まないと通用しない世界でもある。なぜかというと、現実のビジネスの課題は、たった一つの正解があるわけではない。経験値がものをいう領域なのだ。小生もコンサルを手掛ける者として同感である。
 
   著者は、「問題解決」に二大要素として次の二つを挙げている。
 
   一つは、「分析力」。先ずは、徹底して分析し尽くすことだ。丸ごとでは処理できない課題を、どんどん要素分解していくことによって、問題の本質に迫っていくこと。次に必要なのが、「構築力」。何をどういう順番で解いていくか、誰をどういう役割で巻き込んでいくべきかなどを構想すること。「分析力」によって得た解を実行に移す段階になると、当事者に対する動機づけが重要になる。つまり、「構築力」で「ビリーブ・ミー」の世界をつくり、これならやれると思ってもらえるかどうかだ。それができて、はじめて進む。
 
    さて、”総合芸術”に話を戻そう。
 
   IG会計グループは、創業の当初(1984年)から、パートナーシップ制の確立を目指してスタートした。これからの時代環境は、さらに複雑化する。しかも、顧客である中小企業の経営者の価値観は十人十色・・・。恐らく、様々な色合いの経営課題と向き合うことになるのであろう。では、どのように対処すればいいのか?
 
   その時、浮かんだのパートナーシップ制である。「個人の限界を組織の限界にしない。そして、組織の限界を業界の限界にしない」と思考だ。IG理念の中に出てくる「知的サービス」、「切磋琢磨」、「衆知を集める」という言葉はまさに”総合芸術”にとって必要な要素だと思う。
 
   「問題解決は、いわば”総合芸術”である」という言葉は、言い得て妙である。
 
   人生も、仕事もつねに問題解決の連続である。その”総合芸術”に関わり、一員として生きていくためには、つねに自己研鑽をし、周りから必要とされる存在であることが求められよう・・・。そうありたいと、改めて思う。
 

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