古田会計事務所

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今週の考える言葉「心記」

考える言葉

心記

   『渋沢栄一の「生き方」を磨く』という書物の中で、「読書の真髄は“心記”にある」という一節に出逢う。
 
   渋沢栄一は、人生において、夢と成功を実現する最高の方法の一つとして「自分の血となり肉となる読書法」を習慣化させることの重要性を説いている。
 
   小生も小さい頃から、誰彼となく、「しっかりと本を読む習慣を身につけなさい」と教えられ、そう心がけて生きてきたと思う。
 
   読書といえば、いつも思い出すのが、学生の頃にスナックのカウンターで隣り合わせた人のことである。ある大手企業の研究所員だったと思うが、その当時読んだ書物の内容を話しているうちに読書論になった。
 
   「若いときの読書は、自分の血肉になるからしっかり読んでおいた方がいいよ」と助言された。そこで、「先輩、大人になってからの読書は血肉にはならないのですか?」と聞き返すと、「若いときほど血肉にはならないね・・・。でも、読書は他人を理解するためには必要だね」という返答があった。
 
   そのあと、意気投合して、下宿に招かれていったら、ビックリ。所狭しと、いろんなジャンルの書籍が並んであった。お薦めの本を何冊も借りて、読んで返しては又借りを繰り返す日々があった・・・。
 
   さて、渋沢栄一は、古人の読書法について、いろいろと紹介をしたうえで、「読書の真髄は“心記”にある」と喝破した。“心記”とは、「心に刻みつける」という意味だ。蓋し、名言だと思う。
 
   最近、ある人と話していると、「今、読んでいる本があって、もう10回以上読み返した」という。小生にも、座右の書、座右の銘なるものがあるが、そんなにも繰り返し、精読したことはない・・・。
 
   考えるに、“心記”となることを心掛けるとなれば、それくらい読み返すほどの執念というか、真摯さが必要ではないかと思った。
 
   確かに、以前に読んだ名著を読み返す機会がときどきあるが、その都度、新しい気づきに出逢うことが多い。その時の心境によって関心の個所も変わってくるのだろうが、読書の奥に深さを感じさせられる。
 
   読書法で、精読がよいか、多読がよいかという議論があるが、渋沢はどちらでもよいという。多読でも“心記”はあるだろうし、座右の書であれば当然、精読を心掛けるであろう。
 
   「読書三上、馬上、枕上、厠(し)上」(古人)という。かつ、“心記”を心得たい。
 

今週の考える言葉「機会損失」

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機会損失

   “機会損失”(opportunity cost)とは、平たくいうと「儲け損ない」のことである。つまり、もっと多く儲けられるチャンスがあるのに、それに気づかずに失ってしまった利益のことである。
 
   ある飲食店のオーナーの話・・・。コロナ禍で、お店への客足が鈍り、売上が激減したという。しょうがないと諦めていたが、ある日、ある事に気づいたという。それは何かというと、出前の注文が増えているという。
 
   そこで、出前の受注体制に注力をそそぎ、様々な手を打ったら、業績が上向いてきて、そのうち来店客も戻りつつあると・・・。
 
   ちょっとした変化に気づくのと、気づかないとで、“機会損失”は防げるものなんだと思った。コロナ禍という異常事態の中だけでなく、意外と日常的に“機会損失”が生じていることがないだろうか・・・。
 
   通常の場合、“機会損失”が生じるケースとして、次のようなことが指摘されている。
① 在庫切れ
② 店舗のオペレーションによるもの(クレジットカードが使えないなど)
③ 生産体制によるもの
④ 営業活動によるもの
⑤ 内部の連係ミス
⑥ 役割分担によるもの
 
   なぜ、このようなケースが生じてしまうのであろうか?
 
   一言でいうと、「売る側の怠慢」ということになるのだが、日常的な怠慢と革新的な怠慢がある。
 
   まず、日常的な怠慢とは、“機会損失”防止のためのルーチン・ワークを怠ってしまったことによるものだ。やるべきことが明確なのにサボっている。いわゆる、気の緩みである。個人的なレベルなのか、組織全体の体質なのか、検討する必要があるだろう。
 
   もう一つは、革新的な怠慢。それは、環境の変化に適応できなくなっているのに、従来の考え方、やり方を変えようとしない怠慢である。この対策には、イノベーションのリスクが生じる。それなりの覚悟が必要だろう。
 
   あるセミナーで、こんな話があった。「“機会損失”とは、儲かるチャンスがあるも関わらず、損をしたってこと。だとすれば、対応次第では未来の利益がそこにあるということでもある」と。視点を変えると、そこには常にチャンスがある。
 

今週の考える言葉「自主経営組織」

考える言葉

自主経営組織

   IG会計グループは、中期ビジョン「Breakthrough10」(2020~2024年)にも掲げるように、次世代にバトンをタッチする時期にきている。伴走期間を考慮するとそろそろであろう。
 
   1984年創業のとき、パートナーシップ制の導入を決め、資格をとっても独立することは考えず、お互いの強みを生かし合えるような組織をつくっていこうと決め、スタートしたのが、IG(intelligent Group)の原点である。
 
   30数年たった今、ダイバシティー(多様性)が叫ばれる中、関係性思考をベースに仕事を展開していこうとする『パートナーシップ制』、そしてそれを支える『IG式目標管理システム』は、今日の組織運営にとって、使い勝手の良い、的を射たシステムだと思う。
 
   ドラッカーが提唱した目標管理は、「目標による管理(Management by Objectives)」のことで、「組織のリーダーがメンバーに自ら目標を設定させ、目標達成のために自律的に仕事をさせることで組織の方向づけていく」というものである。
 
   目標管理とは、「Self‐management(自己管理)」できる人材を育成することによって組織を運営していくマネジメント手法だと考え、「主体的・自律的な人材の育成」こそが重要なポイントであると思っていた。
 
   最近、次の本を読んで大変な気付きを得たので紹介したい。
 
   原題は「Self‐management」であるが、日本語版では『自主経営組織のはじめ方』というタイトルで出版されている本である。
 
   この本の著者は、「Self‐management」を「自己管理」という意味ではなく、「“自主経営”」という概念で捉えている。つまり、「Self‐management」は個人のあり方ではなく組織構造のことだという。
 
   自主経営組織とは、「一人ひとりあるいはチーム単位の意思決定を中心にすえた組織構造になっている」という意味であり、権力が上部に偏っている階層構造と対照的な概念として捉えているようだ。つまり、組織のあり方を問うているのである。
 
   そして、「Self‐management」による“自主経営組織”には次のようなメリットがあるという。さらに、時間をかけて研究してみたいと思う。
  ❖ 従業員満足度の向上
  ❖ 顧客満足度の向上
  ❖ 間接費の節約
  ❖ コミュニケーションの簡素化
  ❖ ルールや規則の削減
 

今週の考える言葉「夢」

考える言葉


   ある書物の中に、「“夢”は成功の燃料である」という一節があった。
 
   “夢”がなければ、意義ある成功は手に入らない。エンジンの性能がいくらよくても、燃料がなければ車が走らないのと同じだという。・・・全く、同感だ。
 
   小さい頃から、「“夢”や希望を持って生きなさい!」と学校の先生をはじめ誰彼となく言ってくれていたし、“夢”を描くことの大切さを教えられながら育ってきた。
 
   私自身、今もそうだが過去においても、“夢”を想い描くことによって、多くの欲求・願望を満すことができたし、成長してこれたと確信している。
 
   ここでいう“夢”とは、現実からはなれた空想や楽しい考えであり、将来実現させたいと思っている事柄である。
 
   そして、私たちが描く“夢”にも二種類の“夢”があると考える。
 
① 一つは、私的な“夢”の描き方。
② もう一つは、公的な“夢”の描き方。
 
   歳を重ねるにつれて、どちらかというと、①よりも②のほうのウェートが高くなってきているようだ。それと、「公的な“夢”(社会)を実現することが、私的な夢(個人)の実現につながるのだ」という一体感を感じることができるよう心境になってきているような気がする。
 
   そのような“夢”を描くための心得とは何か?
 
① 自分が叶えたいと願う“夢”は道理にかなっているだろうか
 
② その“夢”が実現できたら世のため人のためになるだろうか
 
③ そして、その“夢”の実現は自分のためになるのだろうか
 
   以上、①~③の条件がすべて満たされることが最善だと考える。そのためには、分離思考ではなく、統合の価値観を学ばねばならないと思う。(『経営人間学講座』)
 
   IG会計グループでは、創業の当初から「経営計画」を作成するお手伝いをずっと行ってきているが、小生は「経営計画」を作成する目的は、経営者の“夢”(理念、哲学、想い、志など)を具現化すること、つまり「形」にすることだと思っている。
 
   未来会計(MAS監査サービス)を通して、「あるべき姿(夢)」を描き、「現状」との差を明確にし、「その差」を埋めるために何をなすべきか(戦略と戦術)を考えて、実行していく。
 
   「仮説~実践~検証」の仕組み(経営サイクル)をしっかりとつくり、健全経営をサポートして、世の中から「倒産の二文字」をなくしたい。
 
   今、小生が職業会計人として、思い描いている“夢”である。
 

今週の考える言葉「多角化」

考える言葉

多角化

   「本業一筋でずっとやってきたのだが、多角化も検討すべきだろうか?」という相談を受けることがある。
 
   その理由の一つには、業界の成熟化に伴う、成長の鈍化がある。放っておくと、いずれ横這いに陥り、低迷の一途を辿るという不安である。解らなくもないが、当然ながら新規事業に取り組むには、それなりのリスクが伴う・・・。
 
   経営戦略を検討する著名なフレームワークに「アンゾフの成長マトリックス」がある。これは、縦軸に「市場」、横軸に「製品」を取り、それぞれ「既存」、「新規」の2区分を設け、次に掲げる4象限のマトリックスとした考え方である。
 
   ①市場浸透戦略 (既存市場×既存製品)
   ②市場開拓戦略 (新規市場×既存製品)
   ③製品開発戦略 (既存市場×新製品)
   ④“多角化”戦略 (新市場×新製品)
 
   “多角化”とは、アンゾフが提唱した4つの成長領域の一つであり、「新市場」に「新製品・サービス」を出していく考え方である。なじみのない領域への進出なのでそれなりのリスクが伴うといえよう。他の3つの領域での検討も十分に行なったうえで、“多角化”を検討すると良いだろう。
 
   さて、企業が“多角化”(複数の事業化)を成長戦略として検討する理由を考えると次のようなことがいえるだろう。
   ①経営基盤の平準化・リスク分散
   ②衰退事業の補完による企業の存続性
   ③チャレンジによる企業成長
   ④余剰資金の有効活用
   ⑤経営者の事業意欲
   ⑥シナジー効果
 
   そして、“多角化”戦略を選択し、実行するときの留意点が3つあると考える。
   ①自社の強み(コアコンピタンス)利用
   ②実行時の徹底度(不退転の覚悟)
   ③スピード感(M&Aの活用など)
 
   激しい時代環境の変化の中、異次元の成長戦略を視野に入れて検討すべきだと考えている。そのとき、“多角化”は大変重要な選択だと思う。そして、できれば本業とのシナジー効果が得られるような“多角化”でありたいと思う。
 

今週の考える言葉「有無相通」

考える言葉

有無相通

   今回は、“有無相通”という言葉について考えてみたい。
 
   “有無相通(うむそうつう)”は、『現代語訳 論語と算盤』(渋沢栄一、守屋淳 訳)を読み直しているときに出逢った言葉である。
 
   その言葉の意味は、「有無相通ずる」。つまり「あるものとないものを、お互いに融通し合って便宜をはかること」である。このことは、数千年前から理解されてきた経済上の原則であり、この大原則に反しては経済の発展など思い描くことなどできないのだという。
 
   ご存じのように、渋沢栄一といえば、「日本資本主義の父」と呼ばれた人である。その彼が生涯をかけて追い続けた理念が「道徳経済合一」であり、その考え方のベースとなるのが“有無相通”であり、それを具体的に説いたのが『論語と算盤』だったのではないだろうか。
 
   実は、「道徳経済合一説」も道徳の側からみるか、経済の側から見るかで、それぞれ異なった主張が出てくるという。
 
   第一は、道徳を表にした場合の「道徳経済合一説」の見方である。これを「道徳=経済説」と呼び、「道徳なくして経済なし」ということであろう。
 
   経済、経済と言って不正なことをやって道徳に反すれば、やがて経済が破綻してしまう。その意味での道徳なくして経済なしなのである。つまり、健全さを重視した考え方で、「武士は食わねど高楊枝」的な視点がある。
 
   そして、第二は、経済を表にした場合の「道徳経済合一説」の見方である。これを「経済=道徳説」と呼び、活力を重視した考え方である。。第一とは逆に、「経済なくして道徳なし」ということである。「衣食足りで礼節を知る」ということだろうか・・・。
 
   私たち日本人は、『論語と算盤』つまり、道徳と経済のバランスの大切さについて、身をもって体験してきたと思う。
 
   敗戦後の貧困から立ち上がるため、経済を最優先した政策により高度の経済成長を遂げたが、置き去りにした道徳により、90年代初頭にバブル崩壊の憂き目にあって今日に至っている。
 
   経営計画を策定するお手伝いをしているので分かるが、このところ多くの経営者が算盤勘定だけではなく、道徳・論語の重要性を再認識して、理念・目的を真剣に考え、経営の舵取りをするようになってきている。
 
   今年から始まった、渋沢栄一を主人公にした、NHKの大河ドラマ『青天を衝け』は、まさに時代の機を見た企画だといえよう。
 

今週の考える言葉「集団IQ」

考える言葉

集団IQ

   『チームワークで異次元の戦いをしよう』 今年度のIG基本方針である。その内容について、考える日々が続いている。
 
   IG(Intellgent Group)とは、日本語に直訳すると「知的集団」であるが、「衆智による知的サービスを通して中小企業の存続と発展に貢献したい」という思いを込めて概念化した言葉である。
 
   その基盤をなすのが、ネットワークによって形成されるプラットフォーム(場)であり、その場を有意義に活用するために必要な仕事のスタイルとは何か・・・?それが、「チームワーク」ではないかと考えている。
 
    そこで、「チームワーク」という言葉の意義等について、いろいろ調べて考えているうちに“集団IQ”(Group IQ)という言葉に出逢う。この“集団IQ”という言葉は、BBT大学(ビジネス・ブレークスルー大学、大前研一学長)において重視されているアプローチだという。
 
   イギリスでは半世紀以上も前から、“集団IQ”に関心を持ち研究し、活用をしてきた歴史があるそうだが、ここではBBT大学の情報をもとに考えてみたい。
 
   まず、「“集団IQ”とは何か?」であるが、「過去の知識を多く蓄積した個人の経験則に頼るのではなく、多様なキャリア、背景を持つ人材集団が、その知識・経験を自由闊達に討議することから生まれるアイデア、知恵」である。まさに、チームワークの産物だといえよう。
 
   そして、「答えのない時代」に生きている私たちにとって、“集団IQ”は、前例のない課題の解決、未来を見通すための思考力を発揮しようとするとき、極めて有効な手段であると思う。
 
   「答えがわかっていない問題」への対応、対処するとき、“集団IQ”を活用するチームアプローチは有効だと思うが、より効果を期待するのであれば、次の点に留意すべきであろう。
 ①正しい課題に取り組む
 ②できるだけ異分野の人が集まり、チーム形成する
 ③チームメンバーには、当該分野の素人も加える
 ④自分の頭で考える
 ⑤失敗できる環境を創出する
 
   “集団IQ”を有効活用するためのプラットフォームとして、組織横断的チーム、経営チーム、商品開発チームなどチームワークを発揮できる環境をつくりたいと思う。
 

今週の考える言葉「アフターコロナ」

考える言葉

アフターコロナ

   コロナ禍が1年以上続いている。買い物はネットで、外食や映画(レジャー)に行く機会は減り、休日は自宅で動画配信などを楽しむ。
 
   私たちの生活も様変わりしつつ、コロナ後の消費に次の3つの変化が浮かび上がっているという(朝日新聞2月28日付)。
  
   (1)デジタル化加速
購買動向の調査によると、消費は昨春に急落し、夏から秋に持ち直したが、今年の1月から再び冷え込んでいるという。スーパーは食品や日用品の買いだめなどが追い風となり、昨年二桁の伸びを示しているという。外食やレジャーなど対面型サービスは減少し、苦境が続いているという。
 
1年振り返って浮かび上がる変化の一つ目は、消費のデジタル化の加速である。食料品や日用品をネットで買うEC(電子商取引)は、2桁成長の高い伸びを続けているという。
 
また、映画や音楽をスマホなどで楽しめるコンテンツ配信も、昨年4月以降に30~40%台の高い伸びが毎月続いているそうだ。
 
   (2)分野・業態で落差
二つ目は、消費の分野や業態による格差・・・。物販などの流通分野より対面型サービス分野への打撃が大きい。
 
同じ流通でも、インバウンド消費に沸いた百貨店が急速に落ち込んだ一方で、スーパーは堅調。レジャーの中では遊園地や映画館への影響が大きく、ゴルフ場はさほどでもないという。
 
   (3)所得下がり悪影響の兆し
三つ目は、雇用所得環境が悪化し、消費への悪影響の兆しが表れているという。
 
給料が減ったり、職を失ったりする人が増えている。人出が戻れば消費も戻るという相関関係が崩れ出しているという。今や、人出の割には消費が戻っていない。つまり、「将来の所得に対する不安が高まり、生活防衛意識が強くなっているのではないか」という。
 
   ざっと、以上のような内容であった。
 
   私たちが最も気になるのは、将来への影響である。「コロナ時代の消費 三つの変化」が“アフターコロナ”において生じたわけだが、デジタル化と在宅勤務という行動変容がそのまま定着するのか、もとの状態に完全に戻るのか・・・。
 
   私たちは今、“アフターコロナ”によって生じた様々な変化をしっかりと見極めると同時に、感染収束後の動向にも注意を払い、見極めておく必要があると思う。
 

今週の考える言葉「経営センス」

考える言葉

経営センス

   “センス”といえば、小さい頃に草野球をやっていたときのことだが、見学に来ていた先輩たちの何気ない会話をいまでも思い出す。
 
   「サードを守っているあのこ、“センス”がいいよね・・・」「うん、持って生まれたもので、理屈じゃないね」 それ以来、“センス”を磨くにはどうしたらいいのか、いろいろ考えたものだ。
 
   ① 盗んで、真似をする、② 天賦の才の背景にある法則を知る、③ 試行錯誤する、④ データベースをつくる等々。
 
   小生は、職業柄、多くの経営者とお付き合いがある。その中には、“経営センス”の良さがビンビン伝わってくるような方々がけっこういる。もちろん、先天的な資質もあるのだろうが、どちらかと言うと、実践(体験)を通して学び身につけた後天的なものが多いように思う。
 
   さて、ここでいう“経営センス”とは何だろうか?社長の求められる“センス”を思い浮かべてみよう。
 
   「情報力」「先見力」「判断力」「決断力」「対応力」「行動力」「実行力」「掌握力」「人間関係力」・・・、「動物的な勘」や「運の強さ」なども挙げられよう。“経営センス”を語るとき、中でも、よく話題になるのは社長の「先見力」ではないだろうか。混沌としたご時世の中、先々をどこまでどのように見通すか、その力量を問われることが多い。
 
   小生も、「先見力」「決断力」「実行力」を基準に観察し、チェックしていることが多いような気がする。ただ、“経営センス”とはバランス感覚のようなものであるから、様々な力の総合力だと考えた方がよい。
 
   そして、その総合力を支えているのは、社長の生き様、つまり価値観、使命観、信条や信念などであり、経営に対する哲学だと思う。
 
   また、“経営センス”とは儲けにつながっていないと意味がない。その意味においてもマネジメント能力を発揮できるセンスが求められる。
 
   経営とは3つの戦い(組織統率力、環境適応力、変化への対応力)をしていると言われている。これら3つの戦いに勝ち、生き残っていくために自らの“経営センス”に磨きをかけ続けるしかない。
 
   自らの“経営センス”を磨くには、何をすべきかを洗い直す必要がある。
 
   「将軍の日」は、一日かけて、自社の経営理念の見直し、SWOT分析、課題の抽出、解決方法などを考える。“経営センス”を磨くいい機会になると思う。
 

今週の考える言葉「経営者の条件」

考える言葉

経営者の条件

   経営者としての絶対条件とは・・・・・?
 
   一言でいうと、「他人のせいにしない」ということ。つまり、「すべての責任を自分で取る覚悟」だと思う。なぜ、そう思うかというと、故・土光敏夫氏(1896~1988年)の次の言葉が鮮明に記憶に残っているからだ。(”考える言葉”シリーズ・2003.2.24付)
 
   「社長になったときは、自分の背広の両ポケットには”権限と責任”が同じくらいの重さで入っていると思っていたが、気がついたら片方のポケットに”責任”だけが残っているのだ。社長って、割の合う仕事ではないなぁ・・・」
 
   「メザシの土光さん」と親しまれながらも、「ミスター合理化」の「土光臨調」と称されて、第二次臨時行政調査会で辣腕を振るった人の覚悟を見てとれる言葉だ。
 
   さて今回は、『経営者を育てるアドラーの教え』(岩井俊憲 著)という著書の中で「令和時代の経営者に求められる四つの条件」が紹介されているので、考えてみたい。
 
   著者によると、「令和は再構築の時代であり、経営者にも経営マインドの再構築が求められている」とし、人間関係をベースにチームワークを重視した経営システムを構築しようとするのであれば、それを率いる”経営者の条件”(人間性)として、次の4つの条件が求められるのだという。
 
   ①尊敬(リスペクト)
上下という概念ではない。誰もが無限大の尊厳を持つ存在だということを受け入れて、礼節をもって接することをいう。
 
   ②信頼(トラスト)
信頼とは無条件である。トップに求められるイノベーションとは「新結合」をいう。コンビネーションこそイノベーションの源泉である。自分の持っている可能性と相手の持っている機会を結びつけることをいう。
 
   ③共感(エンパシー)
「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じる」 アドラーが共感(エンパシー)について述べた言葉である。これは他者の目であり、現実・現場の感覚であり、より大きな視点となる。
 
   ④協力(コーポレーション)
経営者が強烈な理念を持つこと。それが協力の原点である。原因追及のWHYではなく、協力のWHYを使う。
 
   令和は再構築の時代・・・。令和の時代の新しい経営者のあり方をアドラー心理学の「尊敬・信頼・共感・協力」という4つの考え方をベースに再考してみたいと思う。
 

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