古田会計事務所

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今週の考える言葉「ツボ」

考える言葉

ツボ

    “ツボ”とは、東洋医学では「経穴(ケイケツ)」と呼ばれ、五臓六腑の異常「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」が滞るところとして、鍼、灸、マッサージを行うための場所と考えられている。
 
   数年前に購入した本に、『1年で結果を出す経営改善の“ツボ”』(野村宜功・丸山直明 著)というものがある。
 
   ここでいう“ツボ”とは、「押さえどころ、要所」という意味だと思うが、「経営改善の“ツボ”というべき課題を的確に見極め、正しい優先順位で取り組むことが、結果を出すためには不可欠である」と説いてある。
 
   著者は、経営改善の“ツボ”として、次の6つのジャンルを設定し、それらの“ツボ”を探すためのチェックリスト35項目を紹介している。(レジュメを添付)
  
(ツボ1) 社長(①~⑦)
(ツボ2) 戦略・ビジネスモデル(⑧~⑬)
(ツボ3) 経営管理(⑭~⑱)
(ツボ4) 人・組織(⑲~㉔)
(ツボ5) 営業(㉕~㉙)
(ツボ6) 財務(㉚~㉟)
 
   著者は二人とも政策公庫を退職したあと、中小企業に特化したコンサルティング業務を志向し、様々な活動を行って今日に至っているようだ。そのせいか、中小企業者として仕事をしている人間にとって、違和感のない、むしろ的を射た内容である。
 
   小生も、「“ツボ”探しのチェックリスト」を自分の立場からチェック(〇・✕)してみた6割方はクリアできたと思うが、あとの4割は課題として残った。特に、「営業の“ツボ”」に関していうと、ほぼ全滅・・・。
 
   何が問題だったかというと、営業のプロセス(顧客のリストアップ~訪問~情報収集~提案~クロージング~受注など)がきちんと分けられておらず、結果として部署・部門あるいは個人任せになっていたようだ。それでは、情報の共有がなされず、結果として個人プレーに流されていたと思う。
 
   以上、一つの事例であるが、それぞれの立場でチェックをしてみると、いろいろな立場での経営改善の“ツボ”が明確になってくると考える。
 
   いよいよコロナ後の対策が問われる時期がきていると思われる。ツボを押さえた効果的な改善策の立案と実行が重要である。この書籍の要約文をまとめているところです。ご要望があれば、でき次第、メール等で配送させて頂きます。
 

今週の考える言葉「DX」

考える言葉

DX

   “DX”とは、英語で「Digital Transformation」を意味する。Transformationとは「変形」、「変質」、「変容」という意味なので、日本語にするならば「デジタルによる(社会の)変容」ということだろう。
 
   接頭語のTrans‐がXと略されることから、「Digital Transformation」の略語として“DX”が定着するようになったという。
 
   “DX”という言葉は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授(ウメオ大)が提唱したとされている。この言葉が誕生して、17年も経っていることになる。
 
   遅ればせながら、“DX”について真摯に学びたいと思った。
 
   日本では、2010年代の後半頃から“DX”という言葉が浸透してきたようで、経済産業省のガイドラインでは、“DX”を次のように定義している。
 
   「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としている。(「DX推進ガイドライン」参照のこと)
 
   同ガイドラインは、大きく次の2つの項目で構成されている。
 ① DX推進のための経営のあり方、仕組み
 ② DXを実現する上での基盤となるITシステムの構築
 
   つまり、まずはトップマネジメント自らが強い当事者意識をもって取り組み、全体に対してコミットメントすること。さらに、全社的なITシステムの構築に向けたガバナンスの確立が必要だと、指摘している。
 
   “DX”化の目的は、一言でいうと、「変革」である。つまり、ビジネス環境の激変に対応するために、どう自己変革することが競争上の優位性を確立し、生き残っていけるのかをしっかりと考え抜くことである。つまり、小手先のテクニックではない・・・。
 
   そのためには、次の2つの問いに向き合う必要がある。
 
 ① “DX”化に伴い、「自社が属する業界はどこに向かっていくのか」
 ② 一変しうる業界の将来において「自社はどのような役割、立ち位置を担うのか」
 
   さて、“DX”という大きな波を乗りこなす準備ができている企業がどれくらいあるのだろうか?“DX”というバズワードに踊らされず、変革の時代を戦い抜くにはどうしたらいいのだろうか。
 
   ある週刊誌で、将来なくなる職業ランキングが掲載され、話題になったことがある。やはり、“DX”についてしっかりと学び、その未来についてもっと考えようと思う。
 

今週の考える言葉「万能利益の方程式」

考える言葉

万能利益の方程式

   長引きそうなウィズコロナと、コロナ終息後のアフターコロナにおける心構えと対処法について、様々な意見を見聞するようになった。
 
   そんな中で、誰もが共通して指摘していることが一つある。
 
   それは、コロナが落ち着いた後も、「コロナ前の状況に完全に戻ることはない」ということである。つまり、コロナ禍で起こった変化の一部を受け入れ、自らを変えていく必要があるというのだ。
 
   コロナ禍における企業経営者の最大の悩みは業績の悪化、低迷であろう。当然ながら、業績の回復を願う。その時に、気をつけるべきことは売上至上主義の考え方であろう。「売上ノルマ」から「“利益”ノルマ」に意識を変えるべきではないか・・・。
 
   そこで、“利益”の概念について改めて考えてみたい。
 
   通常、私たちは“利益”を計算するとき、「“利益”=収益-費用」あるいは「“利益”=売上×限界利益率-固定費」という計算式を使う。
 
   しかし、この計算式では今一つ“利益”の源泉が抽象的で、売上さえ伸ばせば“利益”は何とかなると思いがちだ。それでは、“利益”を増やすコツが曖昧だ。
 
   そこで、『勝間式 利益の方程式』(勝間和代 著)で著者が提唱している次の計算式を紹介したい。
 
   『利益=(顧客当たり単価-顧客当たり獲得コスト-顧客当たり原価)×顧客数』
 
   確かに、“利益”を出すための要素を、以下の4つの要素に分解してしまうと、自社にとってどのキーレーバーがよく効くか、捉えやすくなるだろう。
 
① 顧客単価・・・4つの変数の中で最も重要な要素で、企業価値を最も大きく決めてしまうものである。1円でも、2円でも上げる努力をすること。
 
 ② 顧客獲得コスト・・・最も儲かる商品とは、顧客獲得コストがほとんどただの商品である。一度買った人がリピーターになり、口コミしてくれる。ブランディング。
 
 ③ 顧客原価・・・直接コストと、間接コストの配賦の合計となる。顧客の購買ポイントを押さえ、そこには十分なコストをかけるが、それ以外の面ではオーバースペックを避けること。
 
 ④ 顧客数・・・顧客当たりの儲けに顧客数を掛けると、“利益”になる。顧客数の拡大は、他の3つの変数への良循環を生み出す力となり、「規模の“利益”」という効果を生み出す。
 
   アフターコロナの経済的な環境は、「売上ノルマ」から「“利益”ノルマ」へと舵を取る時代になるだろう。ぜひ、「万能“利益”の方程式」を活用してみよう。
 
   ぜひ、参加して頂き、自社の“知的資産”経営を再考し、活かして頂きたいと思う。
 

今週の考える言葉「知的資産」

考える言葉

知的資産

   先週9月9~10日、『NN構想の会・第21回全国大会』がオンラインで開催されて、全国から多くの方々の参加のもと、無事に終了することができた。偏に皆様の協力のおかげだと感謝の気持ちでいっぱいである。
 
   基調講演、パネルディスカッション(第Ⅰ、Ⅱ部)、分科会(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ部A~H)とメニューが豊富で、学ぶこと多き、充実した2日間だったと思う。大会の詳しい内容については、ホームページなどで見聞できるので、関心のある方は立ち寄って頂きたい。
 
   さて、基調講演~「専門家と地域金融機関のチームによる中小企業伴走型支援のパラダイムシフト」で、講師のお招きした日下智晴氏(金融庁)が事業性評価に基づく融資のあり方で、“知的資産”分析の重要性について話をされていたので紹介したい。
 
   “知的資産”とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものである。バランスシートだけでは把握することができない、この“知的資産”をしっかりと掌握することがコロナ禍でクローズアップされてきているという。
 
   コロナ禍で同じ影響を受けて、どこの企業も、顧客が激減し、売上減少の状況に陥っている事実がある。このことはある意味、やむを得ないとしても、問題はアフターコロナのおける回復軌道に乗ったときの企業格差であろう。
 
   つまり、客足の戻り・売上の回復に、次のような差が生じるのではないかという。
 
   ① すぐに回復できる、② 徐々に回復する、③ 回復の遅れが生じる。
 
   この差は、財務には無相関であり、“知的資産”のみで決まるのだという。例えば、自社の原状回復を、うずうずして待ち望んでくれているロイヤリティの高い顧客がどれだけいるのか、などである。
 
   “知的資産”に関して詳しく知りたければ、中小企業基盤整備機構がまとめた『知的資産経営マニュアル』を参考にするといいだろう。
 
   その中に、「知的資産経営」を実践するための、次の4つのステップが紹介してある。
 
 ①自社の強みを認識する(“知的資産”の棚卸)
 ②自社の強みがどのように収益に繋がるかをまとめる(ストーリー化)
 ③経営の方針を明確化し、管理指標を特定する(見える化の技術)
 ④報告書としてまとめる(見せる化の技術)
 
   実は、これらの手順、ステップは、IG会計グループが行っている経営者のための『将軍の日』(中期5カ年計画策定セミナー)と、ほとんど同じである。
 
   ぜひ、参加して頂き、自社の“知的資産”経営を再考し、活かして頂きたいと思う。
 

今週の考える言葉「場のマネジメント」

考える言葉

場のマネジメント

   前回の”考える言葉”シリーズ(21‐34)で紹介した『経営を見る眼』(伊丹敬之著)の中で、“場のマネジメント”という概念を提唱してあるので、考えてみたい。
 
   周知のとおり、従来の経営システムは、主にタテ(上下関係)の影響をきちんと与えることを目的とする仕事の「仕組み」の枠づくりである。
 
   しかし、世の中はタテばかりではなく、ヨコもある。
 
   そして、著者のいう“場のマネジメント”とは、「仕事のプロセスの中で人々の間のヨコの相互作用を活発化させ、導くような枠づくりである」という。
 
   氏は、「場」を次のように定義している。
 
   「場とは、人々がそこに参加し、意識・無意識のうちに相互に観察し、コミュニケーションを行い、相互に理解し、相互に働きかけ合い、相互に心理的に刺激をする、そのプロセスの枠組みのことである」
 
   つまり、場とは、人々のヨコの相互作用のプロセスの「容れもの」だといえる。このように考えると、“場のマネジメント”の原点は、チェスター・バーナードの組織論の考え方にあるといえるだろう。
 
   バーナードは、組織を「協働行為の体系」であると定義し、その成立要件として次の3つを掲げている。
 
   ①共通の目的、② 協働意欲、③コミュニケーション。
 
   つまり、関係性思考の価値観(=統合の価値観)をベースに、組織を構成するメンバーの主体性・自律性を促し、自己組織的にゴールを目指して動いていくような場を生成し、「場のかじ取り」をしていくこと。それが、“場のマネジメント”の意図するところであろう。
 
   “場のマネジメント”の背後にある人間観は次の三つであるという。
 
 ①人間はつねに周りを見ている
 ②人間は実に多様な情報メディアへの感覚能力を持っている
 ③人間は個人ではあるが、全体という名の衣をまとった個人である
 場に関する以上のような考え方を十分に考慮して、組織の中で、人々の間の「情報的相互作用」と「心理的相互作用」が十分に機能するようにマネジメントする必要があるだろう。
 
   こうした「場の生成」により、自己組織化の機運が高まり、場にエネルギーが生まれれば、一人ひとりがもつポテンシャルが活かされる組織となるだろう。
 
   自己組織化のためにも、“場のマネジメント”を深く考えてみたいと思う。
 

今週の考える言葉「経営」

考える言葉

経営

   『改めて問う、経営とは何か?』・・・。
 
   去る27日(金)に、Webで開催された『Ja‐BIG定例会(第17回)』の終講の挨拶時に話したテーマである。
 
   普段、周知のごとく使っている言葉が結構ある。だが改めて問われると、説明に戸惑うこと、しばしばである。“経営”という言葉もその一つではないだろうか。
 
   「経営とは何か?」と問われたら、どう答えるか。少し、言語概念化しておきたい。
 
   常套手段であるが、まずは、P・F・ドラッカーの所見を引用しよう。
 
   「マネジメントとは成果をあげるために行動していくこと」だ、そして「成果とは外部に対して良い影響をもたらすこと」だと述べている。さらに、成果をあげるために必要な次の「5つの行動習慣」を示唆してくれている。
 
   ① 時間管理、② 貢献に焦点をあてる、③ 強みを生かす、④ 集中する、⑤ 意思決定をする。
 
   さて、定例会で話した内容は、『経営を見る眼』(伊丹敬之著)の中で、展開されている経営論である。
 
   これは、リーダーという立場から“経営”を捉えた視点だといえよう。氏は、“経営”について次のように定義づけている。
 
   「経営とは、他人を通して事をなすこと」(Doing things through others)と定義し、「経営の本質は、協働である」と述べている。そして、「人を動かす」役割を担うリーダーにとって、「働く人たちの心を掌握、人心統一が、企業組織のリーダーの最大の仕事だ」としている。
 
   故に、リーダーの要諦、つまり“経営”の要諦とは、次の三つのことをきちんと行うことである、している。
 
   ①部下たちに仕事全体の方向を指し示す。
 
   ②部下たちが仕事をしたくなる、やりやすくなる環境を整備する。
 
   ③その後は、彼ら自身が自分で仕事をやるプロセスを刺激する。応援する。
 
   これらはまさに、ドラッガーがいう「目標管理」の本質であり、私たち職業会計人が推奨する「未来会計(MAS監査)」の本質だと言えよう。
 
   『経営を見る眼』は、「改めて問う、経営とは何か?」を実行するとき、大変参考になる良書の一冊であると思う。
 
   今、この本の要約文を、パワーポイントでまとめているところです。もうすぐ完結しますが、申し出があれば、送付したいと思います。
 

今週の考える言葉「信頼」

考える言葉

信頼

   連休中に、『経営者を育てるアドラーの教え』(岩井俊憲 著)という本を再読したが、その中に“信頼”について書かれていたので紹介したい。
 
   アルフレッド・アドラー(1870~1937年)は、オーストリア出身の精神科医、心理学者で、フロイトおよびユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した一人である。「人は目的のもとに生きている、幸せになるには勇気を持つ」というテーマからなるアドラー心理学を創始した。
 
   著者は、アドラー心理学が次の3つの視点から、経営者にとって人間観構築のためのモチベーションになるとしている。
 
   ①経営者としての人間観の確立
「人間をどう見るとか」という人間観において、「人間を肯定的に見て、人間には無限の可能性がある」と説いている。
 
   ②未来志向の視点を持つこと
「過去の原因を問わず、未来に向けて何ができるかを模索するもの」である。
 
   ③「勇気づけ」で組織を元気にすること
「人間の可能性を信じることによって、社内コミュニケーションがよくなり、モチベーションが上がる」としている。
 
   アドラー心理学は人間を肯定的に見ようとするので、一人ひとりの可能性を引き出すのに非常に効果的なのである。
 
   「令和は再構築の時代である」と言われているが、そのためには経営者にも経営マインドの再構築が求められるという。
 
   その時の大きな課題として、「恐怖・不信・軽蔑」という恐怖による支配から卒業し、「尊敬・“信頼”・共感・協力」といったものに基づく人間関係へとものの考え方、価値観を変えることができるかどうかである。
 
   4つのキーワードの中で、“信頼”について考えてみたい。
 
   経営者が社員をいかに“信頼”するか・・・。その時大切なことは、「期待」だという。
 
   アドラーはあらゆる形で否定的な人間観を捨て、肯定的な人間観を持つことを強調している。否定的に見られがちな劣等感についても「健全な向上心につながるきっかけになる」と言っている。
 
   アドラー心理学は非常にポジティブである。アドラーは、未来に向けて進化しようとする人間の意思に“信頼”を置き、それを肯定している。
 
   そして、「“信頼”は人間を前に進ませる大きな力となる」という。
 

今週の考える言葉「人生の法則」

考える言葉

人生の法則

   専門書の中でよく使われる言葉に、「法則」というのがある。
 
   いわゆるビジネスモデルでもそうが、一定のモデル(仕組み)の前提には必ず基本的な考え方、つまり法則と呼ばれるものが存在しているといえる。
 
   法則とは、「一定の条件下で、事物の間に成立する普遍的、必然的関係」をいう。(「因果の法則」「遺伝の法則」など)周囲の優れた経営者をよく観察すると、自らが関わる事業において機能している法則なるものを自らのルールとして認識し、意思決定している人が多いことに気づかされるだろう。
 
   十数年前に購入していた書籍、『史上最強の人生戦略マニュアル』(フィリップ・マグロー 著、勝間和代 訳)を再読している。
 
   その中に、「誰もが自分自身の人生に責任がある」にも関わらず、自分自身の人生と真剣に向き合わず、自分をダマして、自己欺瞞の中で生きているのではないかと問題提起をしている。
 
   そして、自分自身の人生に主体的に関わり、生きていくためには、自らの人生戦略(LIFE Strategies)を描くべきだと説いている。さらに、そのためには人生戦略に必要不可欠な“人生の法則”を学ぶべきだとし、次の10の法則を紹介している。
 
①人生の法則❶ 「ものがわかっているか、いないか」
②人生の法則❷ 「人生の責任は自分にある」
③人生の法則❸ 「人はうまくいくことをする」
④人生の法則❹ 「自分が認めていないことは変えられない」
⑤人生の法則❺ 「人生は行動に報いる」
⑥人生の法則❻ 「事実なんてない。あるのは認識だけ」
⑦人生の法則❼ 「人生は管理するもの。癒すものではない」
⑧人生の法則❽ 「私たちは自分の扱い方を人に教えている」
⑨人生の法則❾ 「許しには力がある」
⑩人生の法則❿ 「自分が求めているものを知り、要求する」
以上である。さすが、法則!なかなか味わいの内容である。
 
   著書の中では、10法則の他に、人生戦略達成のための「目標設定の仕方」や「成功のための要素」などが書かれてある。
 
   結構なボリューム(p429)と内容の濃さがあり、読み応えがある本である。良かったら、一読願いたいと思う。
 

今週の考える言葉「自己の強み」

考える言葉

自己の強み

   P・F・ドラッカーによると、「歴史上の偉人は、自己をマネジメントしたからこそ、偉業を成し遂げた」のだと言う。
 
   「自己をマネジメントする」ということは、「“自己の強み”、仕事の仕方、価値観を知ること」であるが、今回は“自己の強み”について、少し考えてみたい。
 
   日本の歴史において、江戸時代は「士農工商」という制度があって、生まれながらにして、地位も仕事も決まっていた時代であった。ところが今日では、誰でも選択の自由
がある。したがって、自己の適所がどこであるかを知るために、“自己の強み”を知っておく必要がある。
 
   では、“自己の強み”を知るには、どうすればいいだろうか。
 
   ドラッカーの教えを体系化した『IG式目標管理システム』を活用し、「仮設~実践~検証」のサイクルを徹底実践することに尽きると、私は考える。
 
   その中でも、フィードバック分析とその機能をしっかりと活用することが大切だろう。そして、フィードバック分析をやり続けることによって、次の通りやるべきことが明らかになってくる。
 
 ① 明らかになった強みに集中すること。(成果への集中)
 ② その強みをさらに伸ばすこと。(スキルや知識の研鑽)
 ③ 知的傲慢を知り、正すこと。(無知の元凶)
 ④ 自己の欠陥、成果の妨げになっていることを改めること。(自己反省)
 ⑤ 人への接し方を改めること。(潤滑油としての意識)
 ⑥ できないことはしないこと。(己自身を知ること)
 ⑦ 強みに集中すること。(無駄な努力をしないこと)
 
   アメリカの心理学者ターシャ・ユーリック氏は、次のように述べている。
 
   「95%の人は自己認識ができていると思っているが、実際には10~15%の人しか正しい自己認識をしていない」という驚きの統計を明らかにしている。つまり、約9割の人が、自分自身に対して客観的な視点を持てていないということである。
 
   特に気を付けるべきは、「年齢と自己認識は正比例する」という迷信だという。実は、
年齢を重ね、経験豊富な人ほど、自己の能力に対する評価が甘いという研究結果があるそうだ。
 
   「敵を知り己を知れば百戦危うからず」(孫氏)という諺がある。他人の言葉に謙虚に耳を傾け、“自己の強み”を正しく知ること。そして、その強みで相手の弱みをかばってあげるような仕事の仕方、価値観を身につけていきたいと思う。
 

今週の考える言葉「寝そべり族」

考える言葉

寝そべり族

 
   最近のことだと思うが、中国で「躺平族(タンピン)・“寝そべり族”」と呼ばれる人々の生き方が、共感を呼んでいるという。
 
   「タンピン」とは、「だらっと寝そべる」という意味らしい。今年春から流行り始めた言葉で、仕事や結婚、出産に積極的でなく、物欲が少ない若者たちを指すという。
 
   SNSに「私ものんびり泳ぐ魚のように生きたい」と書き込まれるなど共感が広がり、わずか数か月でほとんどの中国人が知る単語となったそうだ。
 
   高度経済成長が続いてきた中、激しい競争社会や発展がもたらした価値観の多様化が背景にあるようだが、中国メディアは今後の中国の経済成長を阻害しかねないとして警鐘を鳴らしているそうだ。
 
   この新聞記事(朝日)を読みながら、フッと30年前の日本の状況を思い出した。
 
   『若者・アパシーの時代~急増する無気力とその背景』(稲村博 著)という本がバブル経済真っ盛りの1989年に出版されている。
 
    アパシーとはドイツ語で、「外界からの刺激に無感覚になること」を意味する概念だそうで、1960年代の米国で生まれたという。つまり、経済的豊かさのみを追求する過程で、どこの国においても起こり得る現象だと言える。
 
   中国メディアでは、「“寝そべり族”は恥だ」と切り捨て、「“寝そべり族”は経済発展に不利だ」という論評を掲載しているという。
 
   中国政府によると、2013年に結婚を届け出た夫婦は1347万組いたが20年には813万組にまで減少。出生数の減少にも歯止めがかからず、20年の出生数は約1200万人でピーク時の半分以下だという。
 
   “寝そべり族”という社会現象の本質には、「教育のあり方」にあるのではないかと考える。
 
   経済的、物理的な成長を追求するあまり、専門的な知識や経験ばかりを重視する能力主義的な教育への偏重があった・・・。人間にとってもっと大切な、「何のために」という目的を思考する考え方、つまり価値観教育が欠如していた結果だと思う。
 
   これは、国に限ったことではない。企業においてもそうだと思う。成長と発展にはバランスが必要だ。ただ単に、売上や利益といった業績の向上・発展も成し遂げたとしても、人材のスキルアップ向上だけで、ものの考え方、価値観教育を置き去りにしていたのでは、“寝そべり族”が増えてきて、仕事の価値は損なわれてくるに違いない。
 
   コロナ騒動で不安的な環境にある今こそ、人間としての原点に立ち返って、正しい価値判断ができる人材教育に力を注ぐときであると考える。
 

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