今週の考える言葉「事業コンセプト」
考える言葉
事業コンセプト
英語のコンセプト(concept)とは、「①概念、考え。②骨格となる発想や観点」(デジタル大辞典)という意味を持つ。
つまり、物事の考え方のベース・方向性のことで、哲学や芸術などの分野で使われるほか、ビジネスにおいてもよく使われている。
ビジネスで使われる「コンセプト」は、どのような顧客にどのような価値をどのようにして提供するかといった、企画の骨組み・構想をいう。
今回の“事業コンセプト”とは、起業のアイデアをビジネスの構想として具体的に整理したものをいう。「誰に」「何を」「どのようにして」といった視点でまとめることで、事業概要が端的に表現される。
先ずは、ビジネスのアイデアを打ち立て、マーケティングリサーチにより検証をしたあと、いよいよ“事業コンセプト”の策定に取り掛かることになる。
市場性はあるのか、商品・サービスの魅力度はどれくらいか、事業の実現性は高いかなどを確認していく。
具体的には、次の5つの設問に答えてみると頭の整理がしやすいだろう。
① 誰に対して(顧客は誰か)
② どのような商品・サービスを
③ どんな相手を競合に
④ どんなかたちで(システム)で提供するか
⑤ 必要な経営資源の整理・把握
さて、最近、戦後80年という言葉をよく耳にする。その流れを経済的動向の視点でとらえると、「戦後の復興期(1945~1954)~高度成長期(1955~1973)~安定成長期(1974~1985)~バブル期(1986~1990)~低成長期(1991~現在に及ぶ)」という変遷があり、今や「失われた30年」を迎えているという。
70年代、経済が成熟化し安定成長期に入ったころ、ニーズの多様化に伴い、多くの企業で事業の「多角化」が叫ばれた時代があった。その一つの手法としてM&Aがあった。そのメリットはリスクを分散・軽減できることであるが、逆にデメリットとして利益率の低下・財務リスクなどが言われている。
その後、「選択と集中」という事が言われ、「コアコンピタンス(Core Competence)」という言葉が流行った。つまり、「得意分野」に選択・集中する差別化の戦略である。
「多角化」あるいは「選択と集中」、いずれの戦略を取るにしても、“事業コンセプト”を明確にして、組織で共有化しておくことは大事である。過去の延長線上に未来が描けない時代である。“事業コンセプト”を再確認したいと思う。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」