今週の考える言葉「CSR」
考える言葉
CSR
「CSR(Corporate Social Responsibility)」とは、企業が社会的存在として果たすべき責任のことである。日本語では、「企業の社会的責任」と訳されている。
企業が適切に“CSR”を果たすことは、信頼向上や人材採用・定着への好影響、法令違反のリスクを低減するなどの観点から非常に重要なことである。
日本で“CSR”の考え方が普及した背景には次のような時間があったからだと思う。
1970年代のオイルショックの際の便乗値上げや買い占め・売り惜しみなどで生活物資が高騰し、小売業らに対する批判的なムードが高まった。また、2000年代には不景気の中で相次いで企業不祥事が問題となり、一般消費者の企業に対する信頼は大きく低下した。
こうした背景の下、企業の信頼回復・維持するためには、“CSR”を適切に果たすことが重要であると認識されるように至ったのであろう。
“CRS”に関しては、「国際標準化機構(ISO)」が定めた、次の「CRSに関する7つの原則」がある。
① 説明責任
② 透明性
③ 倫理的な行動
④ ステークホルダーの利害の尊重
⑤ 法の支配の尊重
⑥ 国際的行動規範の尊重
⑦ 人権の尊重
驚くことに、ドラッカーは約50年前の1973年(63歳)のマネジメント論の著作の中で、その社会的な役割として次の3つを掲げ、「企業の社会的責任(CSR)」に関しても言及している。
① 自らの組織に特有の使命を果たす
② 仕事を通じて働く人たちを生かす
③ 社会の問題について貢献する
ただ、「企業とは、それぞれに特有の目的をもつ組織であり、その分野で成果をあげることを目的とする社会の機関である」とし、「それらの組織が果たすべき最大の貢献、すなわち“社会的責任”とは、自らに特有の機能を果たすことである」としている。
つまり、その能力を超えた課題に取り組み、あるいは“社会的責任”の名のもとに自らの権限のないことを行い、成果を損なうようなことは行うことは許されるべきではないとしている。つまり、分を弁えた上で、“CSR”に取り組むべきだと忠告している。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」