今週の考える言葉「先見力」
考える言葉
先見力
「先が読めない時代である」といわれるようになって久しい。
あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来予測が難しい状況にあることから、「VUCA時代」と呼ばれている。
さらに、新型コロナウィルスの流行という想定外の出来事もあり、一層不安を募らせている感がある。「100年に一度のパンデミックだ」とも言われているようだが、いよいよ、『断絶の時代』が到来したのだろう。
ドラッカーがいう『断絶の時代』とは、連続性、連綿性のない飛躍としての時代変化を言う。そんな時代環境の中で未来への予兆を、的確に読み取るのは、それなりの“先見力”が要求される。
では、その“先見力”を磨き、高めるためにはどうしたらいいのだろうか。「苦しいときのドラッカー頼み」といこう。
ドラッカーの鋭い“先見力”は、次の6つの源泉にあるという。
①マクロ(経済)とミクロ(経営)との両方に強いこと
言葉を変えていうと、全体と部分の関係性を見抜ける観察力があるかどうかであろう。
②歴史通であること
古今東西の歴史に対する該博な知識、教訓の読取りの甚深さがあること。
③グローバル的な思考であること
グローバルとは、「地球的な、全世界的な広がり」「普遍性を持った」という意味である。
④マルチ人間の特徴を存分に発揮すること
近視眼的ではなく、多角的な視野に立つことである。確かに、ドラッカーはジャーナリスト、投資銀行のエコノミスト、大学の教授など、多角的に闊歩している。
⑤あくなき統合への執念があること
統合への執念のためには、狭い視野に捉われず、大局観を養う必要がある。
⑥流行の中に不易を見抜けること
移りゆくものの中に、移りゆかざるものを観ることであろう。
見えにくい未来を観るための“先見力”・・・。過去の延長線上に未来がない乱世において、「分析予測型」の手法だけでは通用しないのである。未来を「洞察創造する」“先見力”が求められている。
ドラッカーはいう、「未来はすでに始まっている」と・・・。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」