今週の考える言葉「養生訓」
考える言葉
養生訓
『養生訓』といえば、江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630~1714)が83歳の時に著した書として有名だが、ここでは、『松原泰三の養生訓 戒語「早起きすべし!」』(松原泰三 著 1907~2009、臨済宗僧侶)という著書に出てくる良寛和尚(1758~1831)の「戒語」における“養生訓”について考えてみたい。
①「油濃き魚食ふべからず」、「油のもの食ふべからず」
江戸末期といえば、まだ肉を口にする機会などが少なかった時代であるが、良寛は「脂肪分の多い食事を避けよ。バランスのとれた食生活を心掛けよ」と説いたのである。
②「朝寝すべからず」
早起きして、天地間に生まれたばかりの新鮮な空気を吸って、それを身体中に循環させること。早起きが養生につながると説いている。
③「大食すべからず」
単に食べ過ぎは健康に良くない、という注意だけではなく、仏教でいう「知足」という考えから発しているという。物への感謝とつつしみ、そして忍耐の徳が得られる。「足るを知る(知足)」のが、先ず養生の心なのだ。
④「心にものを隠すべからず」秘密をもったら、長生きできないという。秘密を抱えていると「気を病む」からだ。それには、怒りや欲を抑え、心配ごとを少なくして心を安らかにすることだ。つまり、現代風にいうと、余計なストレスを溜め込むな、ということになる。
⑤「酒は暖めて飲むべし」
熱燗にした酒は、五臓六腑にしみ渡り、身体を温める効果があったのだろう。良寛は酒を愛し、酒を知り尽くし、「百薬の長」として用いたのだろう。現代医学でも、酒は暖めて飲んだほうが身体に良いとされている。
⑥「口注ぎ、楊枝をつかふべき」「湯浴(ゆあ)みすべし」
この二つの戒語は、口の中と身体を清潔にしなさい、ということである。老化はまず歯からやってくる。「歯」はヨワイとも読むように、元来、年齢を示す言葉でもある。養生として、歯の手入れ、身体の清潔さを心掛けよ、ということだ。
⑦「声を出すべし」
「腹から声を出せ、喉から出すな」という。発生訓練は、健康や長寿に非常に役立つという。発生訓練にかぎらず、「調息(息を整えること)」は、中国において早くから健康法や長生術の一つとして重視されてきたという。
以上であるが、意識すれば、日頃においてすぐに実行できる“養生訓”ばかりである。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」





