古田会計事務所

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今週の考える言葉「ROE」

考える言葉

ROE

   先週の考える言葉シリーズ(23‐19)で、「BS経営は自己資本の充実」こそ、課題であると述べたが、幾人かの人から「自己資本の充実」について、もう少し解説が欲しいという意見があった。
 
   そこで、今回はその事について、二つの視点から考えてみたい。
 
   一つは、“ROE”である。「Return On Equity」の略で、日本語では「自己資本利益率」と呼ばれている。次の計算式で算出される。
 
   「ROE(自己資本利益率)(%)=当期純利益÷自己資本×100」
 
   自己資本に対し効率よく利益を上げられているか、言い換えると効率のよい経営か否かが判断できる。また、株主にとっては配当金のもとになるので非常に重要な指標でもある。
 
   そのため、自己資本利益率の高い企業ほど、優良な投資先と判断される傾向がある。その平均は6~8%程度、10%を超えると優良企業だとみなされる。
 
   もう一つは、“ECR”。「Equity Capital Ratio」の略で、日本語では「自己資本比率」と呼ばれている。次の計算式で算出される。
 
   「ECR(自己資本比率)(%)=自己資本÷総資産×100」
 
   会社の財務面の安全性を表す経営指標の一つである。「会社の資産のうちに、返済しなくていい資本がどれだけをあるか」を示している。一般に「30%以上が望ましく、
50%を超えると優良だ」と言われている。逆に10%を下回ると危険である。0%やマイナスは債務超過の状態を意味する。
 
   以上、「自己資本の充実」という経営課題に関して、「自己資本利益率」と「自己資本比率」の二つの指標を用いて解説を加えたが、この二つの指標はトレードオフの関係にあることを留意しておこう。つまり、同じ利益でも「自己資本比率」が高ければ「自己資本利益率」は下がり、「自己資本比率」が低ければ「自己資本利益率」は上がることになるということだ。
 
   少し説明が専門的になり面倒になったが、要は、企業の資金調達には自己資本(利益や増資)による方法と、他人資本(借入金などの負債)による方法がある。
 
   戦後の高度成長期には、他人資本による資金調達がメインだった。企業の成長のスピードに自己資本だけでは追いつかなかったのだろう。
 
   安定期に入った今、企業が安定した経営をするために必要な資金として、返済する必要がない自己資本による資金の調達が課題となっているのだろう。
 
   状況に応じて、判断する必要がある。経営には、何事もバランスが必要だと思う。