今週の考える言葉「数字」
考える言葉
数字
今年は“数字”をしっかり意識して、仕事をしたいと考えている。
そのために、新年早々であるが、以前から導入している経営分析ソフト「SPLEDID21」の有効活用を促進させるため、開発者である山本純子先生を招き、一日研修を行った。さすがに、この道一筋でやってこられただけあって、“数字”を捉えるセンスが光る・・・。
このソフトは、「営業効率」「資本効率」「生産効率」「資産効率」「流動性」と「安全性」の分析指標を用いて、それらを「企業力総合評価」として一つにまとめ上げ、「経営の見える化」を実現している優れものだ・・・。
弊社が提供したクライアントの分析事例を見ながら、「この会社の社長さんは凄く真面目な方ですね・・・」と一言コメント。「“数字”のどこを見れば、真面目だと分かるのですか?」という質問が飛ぶ。「だって、自己資本比率がこんなに高い会社って、ちゃんと税金を納めようという意識がある会社ですし、無駄遣いをしないですよね・・・」
ある“数字”を捉えて、その会社の経営者の人柄や人間性にまで言及する視点は流石である。
“数字”は、結果を客観的に表現する最良の手段である。その結果をどのように検証し、その後の経営に活かすかが問われるのであるが、“数字”の意味を読み取れない経営者が意外と多いのである。
ここで一つ気を付けておきたいのは、“数字”を深く観る人がみれば、 単に“数字”による客観的な分析結果(「収益性」「安全性」「成長性」「活動性」などの良否)だけでなく、その“数字”ができるプロセスに関わった人たちの人間性(価値観)まで見抜かれてしまうという事実である。
「決算書は、企業の顔である」と、よくいわれる。
全体として“数字”のバランスがいい会社は、やはり独自の経営観がしっかりしており、社会への貢献性をつねに意識した経営を心掛けている。
利益率が高い会社は、顧客との信頼関係が強く、「あなたの会社でないと困る」といわれるように、付加価値の高い事業領域をつねに目指している。また、生産効率がよく、生産性の高い会社は、社内の人間関係が良く、人材の育成も熱心である。
決算書の“数字”を観るとき、その“数字”のテクニカルな分析結果だけに捉われ、判断するのではなく、そこに至る背景に経営者のどのような価値観が存在し、そうなったのかという経営の本質に迫る視点が大事だと考える。
転載元:IG会計グループ 「考える言葉」